ハードコアの何が面白いかというと人それぞれだろうが、わたし的には基本にハードコアがあるとあとは結構何を載せてもイケるってところだ。融通が効くなあというわけだ。ハードコアを出発点に色々なバンドが様々な要素をそこに追加していった。逆に言えば初めは表現力にやや難があったジャンルに対して、それを好むものたちがなんとかそれを自分が補填し完璧な音楽にしてやろう、という動きがなんとなくあったのだろう。
メタルからミュートリフを持ち込んだニュースクールやメタルコア、哀愁をメロディラインとギターソロで充填したジャパニーズ・ハードコア、どんどん遅くしたろうかなというスラッジコアに、いやー速いのがパンクよとばかりにファストコアやパワーバイオレンス、結果的に尖ったのが色々サブジャンルとして乱立してどれもハードコアなもんで面白い。
ユタ州ソルトレイクにGazaというバンドがいてこのバンドはグラインドコアばりの突進力にスラッジコアの要素を取り入れ、それもいい感じに混じり合わせるのではなく無理やりくっつけたようなヤケクソさがあって好きだった。ラストアルバムは歴史に残る傑作であると思っている。そんなGazaが終わり、残った3人で始めた(メンバーを一人追加している)のがこのCult Leaderだ。Deathwish INC.と契約し精力的に活動。今回が3枚目のアルバムだ。
Gazaで分裂してた別々の表現手法を融合させるというのが隠れたCult Leaderのテーマだったのかと思う。Gazaの放心したようなスラッジパートの空虚さ、そして物悲しい感情を今度は曲そのものに溶かし込んだ。前作「Lightless Walk」の「Sympathetic」でその方向性は極点に達し、そしてわたしは遂にCult LeaderはGazaを超えてその先に行ったんだと思い、感極まって泣いた。この曲に関しては私は日本における激情にたいするアメリカからの一つの回答でもあるなとひそかに思っている。
さて前作から3年が経ちリリースされたのが今作。アートワークから前作からの流れを組むものだと理解できる。さらに色が追加されているのが印象的だ。
聴いたら驚いた。やりやがった!このアルバムにあったのはまたもや露骨な分断だった。バラバラになった破片を集める修復作業がGazaを経てのCult Leaderだったとしたら、今作でまたそれを壊してしまったのだった。ただそのやり方は斬新で1曲の中で疾走パートとスラッジパートを同居させるようなやり方ではない。激しい曲とアコースティックなアンビエントな曲を分けたのだった。調和も何もあったものではない。二律背反の葛藤する心をもはやそのまま表現するような、穿った見方をすれば迷いのあるやり方だ。
前作同様1曲め「I Am Healed」からぶちかましそのままラストまで行くのかと思いきや、4曲目「To:Achlys」でダークなフォークで沈み込む。(2曲ともMVが作られていることからアルバム内でも露骨に重要な曲だということがわかる。)ディストーションもってのほかの生々しくダウナーな世界観をひきずり、「A World of Joy」のラストで再浮上する。普通のアルバムなら山があるのだろうが、「A Patient Man」には谷がある。一回沈み、そして死にきれずに戻ってくる。後半はいわば恨み節の二回戦であり(ジャケットの骸骨は泣いている。)、そこからまた突っ走っていく。
タイトルは「忍耐強い男」か、しかし冒頭が「私は癒やされる」だからおそらく「患者の人」だろう。3曲めのタイトルは「Isolation in the Land of Milk and Honey」で聖書に出てくるワードだったはずだ。つまりこの世の楽園ってことだろうが、そこで孤独。このアルバムは一つの物語であり、それ故中盤の露骨な沈降も納得できるだろう。ラスト手前の「A Patient Man」のアコースティックギターの響きのなんて空疎なことか。何もない空っぽが鳴っているようだ。
破壊と想像なんてこのジャンルではもはや聞き飽きたワードだが、このバンドはそれを地で行っているような気がする。しっかり根を持ちながらも新しい表現方法に挑戦していく。言うは易く行うは難し。現行でこんな大胆なことをやっているのは日本のSWARRRMくらいしか思い浮かばない。どちらも今年新作をリリースしたが、いずれもモニュメントや不気味なモノリスのように聳え立っている。
素晴らしいアルバムである。慟哭しながら地面をたたきたいほどに。こういうのが好きなんだ、私は。この雑念が混じり合い、もはや怨念となって渦巻いている感じが。そして如何ともし難い諦念が底流を這っている。狂乱と空虚だ。もはやそれしかない。「We Must Walk On」というリフレインが強烈なラストの「The Broken Right Hand of God」。決して癒やされることのない病を抱えてこの地上をさまよっていくのだ。それを呪いという人もいるだろう。
2018年12月9日日曜日
2018年11月4日日曜日
Your Dream is Our Nightmare@鶯谷What's Up
この日もよいライブが被る週末だったが、私は鶯谷へ。大阪のZyanoseが来るからだ。音源が格好良かったからぜひぜひライブが見たかった。
ホテルと無料案内所に挟まれて神社の下にあるのがWhat's Up。建物の上に神社のあの寄付した人の名前が入っている柵(?)がついている。18時開場で概ねその時間に着いたら人がズラーっと並んでいる。なんと。ボヤーっと並んでいると演者の方が私のあたりに並んでいるクラスティーズに「お前らもう入れねえぞ」と声をかける。なんと。でもなんとか入ることが出来ました。お店の人がのちにツイートしていたが、この日お店至上一番人が入ったとのこと。大きさ的には横浜にあるEl Puenteより大きく荻窪にあるPit Barより小さいくらい。ここは縦にやや長い。天井が高く鉄筋が組んである上にスピーカーが載っている。ステージは本当に狭くて演者のバンドが4人いればもうステージに乗れないのだ。Pit Barと違ってこちらは一階である。防音扉もないので音漏れがえぐいことになるのではなかろうか。ホテル街だからあまり騎乗がこないのかもしれない。面白いとライブハウスだ。(一応バーということになっている。)そこに人がパンパンに入っている。本当パンパン。というのもZyanoseは活動休止をアナウンスしており、おそらく少なくとも東京でのライブは最後だということだ。
System Fucker
一番てはSystem Fucker。見るのは二度目。ラスタな風貌だったベーシストがいなくなり、代わりに短髪なのに後ろ髪だけを伸ばした新メンバーが加入。この方は非常に若いそうだが、なかなか堂々として格好良かった。ボーカルの方は前は長いモヒカンだったが、今はサイドもある感じ。周りの人がボーカルの方を指して俳優みたいだねと言っていた。始まってみれば見た目もそうだしパフォーマンスも非常に華がある。
見た目はクラスティーズなんだが、微妙に日本特有のヤンキー文化と融合しているような趣があり、面白い。音は明快なクラストコアだが、反抗心を燃やす粗野さにジャパニーズ・ハードコアの要素を持ち込みかなり叙情的に。短く速いギターソロで哀愁を充填するスタイル。歌詞はおそらく日本語で、「バカヤロー」「このヤロー」と飾らない言葉で強烈に語りかけてくる。(語りかけてくるというのはなんとなくジャパニーズ・ハードコアっぽい気がする。)メンバーは冷静だが、ボーカルはどんどん客席に向かって突っ込んでくる。パンパンなんでこれはやべえなという感じがあってこれが最高。
中盤ではかなりストレートなラブソング(なんせ音がでかいのでちゃんと聞き取れているか怪しいのだけれど)も披露。歌詞が結構びっくりするのだけど、普通に歌う(というより叫ぶだが)ってしまうボーカルの方はやはり格好良い。この人ちょっと独特の世界観があってしっくり理解できるというのではないけどなんとなくその世界観に惹かれてしまうという意味ではTMGEのチバユウスケさんに似ているかもな、なんて思ったりした。
LiFE
続いてはLiFE。大変有名なバンドだが私は見るのは初めて。一応最近リリースされたEPだけ持っている。選任ボーカルにギターが二人という五人組。ギターは役割分担がはっきりされていて一人が明確な輪郭なかっちりとしたリフを弾き、もう一人がかなりノイジーな輪郭が曖昧な音を出す。前者はかなりメタリックで音もでかいのでこれはもう一方がきこえないかも?なんて思ったが始まってみればそんなことはなかった。Eyehategod顔負けの高音フィードバックノイズがえらいカッコい良いのだ。
メンバーものちに振り返っていたがかなり問題続出のライブで、結果的にはギタリストのアンプが二つとも音が出なくなる。(片方は壊れたらしく交換した。)ギタリストの方のシールドが切れる。ベーシストの方がかなり激しく流血する。なかなかないです。というのも非常に狭いライブハウス、狭いステージなのにメンバがー動く動く。特にベーシストの方は縦横無尽に動き、落ちたり転んだりしておりました。危ない。
こちらは完全にクラストコア。それもかなり無骨でおそらく曲も短い。(セットリストを見ると多分30曲くらいやる感じ。)音は思った以上にメタリックではなく、本当にもっと汚いし、とにかくノイジー。耳を突き刺すようなノイズギターが非常に良い。良い!System Fuckerと比べると聴きやすさのとっかかりは非常に希薄に思えるが、曲によっては単音リフで組み立てたようなものがあったりして表現方法もかなり豊か。
私がびっくりしたのドラム。D-beatを中心に組み立てられたプレイで例えば手数が多いか、ブラストビートだとかではない(ただし基本めちゃ速い)のだが、妙に引き込まれる。これはグルーヴ感というやつなのだろうか。とにかく歯切れの良い音がカチカチ決まっていってそれだけですぐに持ってかれる感覚。めちゃくちゃ気持ちが良い。こうなるともはやメロディなどもはや不要で、そういった意味では全体のアンサンブルが肉体的。フロアもえらいことになっていて、さながらぎゅうぎゅうすし詰め状態の満員電車が巨大な力で揺さぶられているようだ。そんな荒々しさのど真ん中でみんな笑顔なのがさらに輪をかけてすごかった。
Zyanose
続いては大阪のノイズコアバンド。Insane Noise Raid!
こちらもギターが二人いる五人組。全体的に完全にクラスティーズなのだが、ギタリストの一人はロンドンな感じのパンクファッションに身を包んでいる。
始まって見るととにかくうるさい。ただ思っていたよりほぼノイズです、という感じでもない。耳がバカになって悟りを開いたのかもしれないが、なんとなく結構曲が判別できるような気がする。音源を聴いているといやーノイズですなーとか思っていたが、ライブで見ると違う。これはクラストコアだ。ちゃんと曲になっている。ただ異常にでかい音で演奏しているだけで。つまりノイズに逃げていない。全く抽象的ではない。音をどんどんでかくしたらこんなことになった、という趣でとにかく元はハードコアなのだ。轟音をつんざく嗄れ声の吐き捨て型のボーカルが非常に格好良いのだ。ギタリスト、ベーシストもコーラスを入れるのだが、これはもう「うぎゃー」と叫んでいるようにしか聞こえない。もう最高。LiFEと異なるのは音の出し方と時間軸に対するその埋め型で、あちらはノイズの中にも緩急をつけて隙間を開けていたが、Zyanoseはもう病的なまでに最初っから最後まで轟音で塗りつぶしていく。さながらブルドーザーのように全てを巻き込んで雪崩のように駆け抜けていく。
フロアの方は一体感というか、こっちも負けてられないくらいの対抗意識で盛り上がっていく感じで大荒れ。
やばい、頭おかしい、病的というのは簡単なんだけど、クラストコアはそうじゃないんだよな。音がでかいからそう思いがちだけど、もっと現実的な闘争だなと改めて思った。
いい気持ちで物販に向かったらすでにZyanoseの音源とT-シャツは売り切れていたのだった…。これはもう慟哭するくらい後悔したのだった。開演前にかっとけばよかった。
まあでも私が買えなかったということは他の誰かが買えたということなのだ。
楽しかったなあ。
ホテルと無料案内所に挟まれて神社の下にあるのがWhat's Up。建物の上に神社のあの寄付した人の名前が入っている柵(?)がついている。18時開場で概ねその時間に着いたら人がズラーっと並んでいる。なんと。ボヤーっと並んでいると演者の方が私のあたりに並んでいるクラスティーズに「お前らもう入れねえぞ」と声をかける。なんと。でもなんとか入ることが出来ました。お店の人がのちにツイートしていたが、この日お店至上一番人が入ったとのこと。大きさ的には横浜にあるEl Puenteより大きく荻窪にあるPit Barより小さいくらい。ここは縦にやや長い。天井が高く鉄筋が組んである上にスピーカーが載っている。ステージは本当に狭くて演者のバンドが4人いればもうステージに乗れないのだ。Pit Barと違ってこちらは一階である。防音扉もないので音漏れがえぐいことになるのではなかろうか。ホテル街だからあまり騎乗がこないのかもしれない。面白いとライブハウスだ。(一応バーということになっている。)そこに人がパンパンに入っている。本当パンパン。というのもZyanoseは活動休止をアナウンスしており、おそらく少なくとも東京でのライブは最後だということだ。
System Fucker
一番てはSystem Fucker。見るのは二度目。ラスタな風貌だったベーシストがいなくなり、代わりに短髪なのに後ろ髪だけを伸ばした新メンバーが加入。この方は非常に若いそうだが、なかなか堂々として格好良かった。ボーカルの方は前は長いモヒカンだったが、今はサイドもある感じ。周りの人がボーカルの方を指して俳優みたいだねと言っていた。始まってみれば見た目もそうだしパフォーマンスも非常に華がある。
見た目はクラスティーズなんだが、微妙に日本特有のヤンキー文化と融合しているような趣があり、面白い。音は明快なクラストコアだが、反抗心を燃やす粗野さにジャパニーズ・ハードコアの要素を持ち込みかなり叙情的に。短く速いギターソロで哀愁を充填するスタイル。歌詞はおそらく日本語で、「バカヤロー」「このヤロー」と飾らない言葉で強烈に語りかけてくる。(語りかけてくるというのはなんとなくジャパニーズ・ハードコアっぽい気がする。)メンバーは冷静だが、ボーカルはどんどん客席に向かって突っ込んでくる。パンパンなんでこれはやべえなという感じがあってこれが最高。
中盤ではかなりストレートなラブソング(なんせ音がでかいのでちゃんと聞き取れているか怪しいのだけれど)も披露。歌詞が結構びっくりするのだけど、普通に歌う(というより叫ぶだが)ってしまうボーカルの方はやはり格好良い。この人ちょっと独特の世界観があってしっくり理解できるというのではないけどなんとなくその世界観に惹かれてしまうという意味ではTMGEのチバユウスケさんに似ているかもな、なんて思ったりした。
LiFE
続いてはLiFE。大変有名なバンドだが私は見るのは初めて。一応最近リリースされたEPだけ持っている。選任ボーカルにギターが二人という五人組。ギターは役割分担がはっきりされていて一人が明確な輪郭なかっちりとしたリフを弾き、もう一人がかなりノイジーな輪郭が曖昧な音を出す。前者はかなりメタリックで音もでかいのでこれはもう一方がきこえないかも?なんて思ったが始まってみればそんなことはなかった。Eyehategod顔負けの高音フィードバックノイズがえらいカッコい良いのだ。
メンバーものちに振り返っていたがかなり問題続出のライブで、結果的にはギタリストのアンプが二つとも音が出なくなる。(片方は壊れたらしく交換した。)ギタリストの方のシールドが切れる。ベーシストの方がかなり激しく流血する。なかなかないです。というのも非常に狭いライブハウス、狭いステージなのにメンバがー動く動く。特にベーシストの方は縦横無尽に動き、落ちたり転んだりしておりました。危ない。
こちらは完全にクラストコア。それもかなり無骨でおそらく曲も短い。(セットリストを見ると多分30曲くらいやる感じ。)音は思った以上にメタリックではなく、本当にもっと汚いし、とにかくノイジー。耳を突き刺すようなノイズギターが非常に良い。良い!System Fuckerと比べると聴きやすさのとっかかりは非常に希薄に思えるが、曲によっては単音リフで組み立てたようなものがあったりして表現方法もかなり豊か。
私がびっくりしたのドラム。D-beatを中心に組み立てられたプレイで例えば手数が多いか、ブラストビートだとかではない(ただし基本めちゃ速い)のだが、妙に引き込まれる。これはグルーヴ感というやつなのだろうか。とにかく歯切れの良い音がカチカチ決まっていってそれだけですぐに持ってかれる感覚。めちゃくちゃ気持ちが良い。こうなるともはやメロディなどもはや不要で、そういった意味では全体のアンサンブルが肉体的。フロアもえらいことになっていて、さながらぎゅうぎゅうすし詰め状態の満員電車が巨大な力で揺さぶられているようだ。そんな荒々しさのど真ん中でみんな笑顔なのがさらに輪をかけてすごかった。
Zyanose
続いては大阪のノイズコアバンド。Insane Noise Raid!
こちらもギターが二人いる五人組。全体的に完全にクラスティーズなのだが、ギタリストの一人はロンドンな感じのパンクファッションに身を包んでいる。
始まって見るととにかくうるさい。ただ思っていたよりほぼノイズです、という感じでもない。耳がバカになって悟りを開いたのかもしれないが、なんとなく結構曲が判別できるような気がする。音源を聴いているといやーノイズですなーとか思っていたが、ライブで見ると違う。これはクラストコアだ。ちゃんと曲になっている。ただ異常にでかい音で演奏しているだけで。つまりノイズに逃げていない。全く抽象的ではない。音をどんどんでかくしたらこんなことになった、という趣でとにかく元はハードコアなのだ。轟音をつんざく嗄れ声の吐き捨て型のボーカルが非常に格好良いのだ。ギタリスト、ベーシストもコーラスを入れるのだが、これはもう「うぎゃー」と叫んでいるようにしか聞こえない。もう最高。LiFEと異なるのは音の出し方と時間軸に対するその埋め型で、あちらはノイズの中にも緩急をつけて隙間を開けていたが、Zyanoseはもう病的なまでに最初っから最後まで轟音で塗りつぶしていく。さながらブルドーザーのように全てを巻き込んで雪崩のように駆け抜けていく。
フロアの方は一体感というか、こっちも負けてられないくらいの対抗意識で盛り上がっていく感じで大荒れ。
やばい、頭おかしい、病的というのは簡単なんだけど、クラストコアはそうじゃないんだよな。音がでかいからそう思いがちだけど、もっと現実的な闘争だなと改めて思った。
いい気持ちで物販に向かったらすでにZyanoseの音源とT-シャツは売り切れていたのだった…。これはもう慟哭するくらい後悔したのだった。開演前にかっとけばよかった。
まあでも私が買えなかったということは他の誰かが買えたということなのだ。
楽しかったなあ。
2018年2月4日日曜日
assembrage/A Curtain Call of an Aeon
日本は大阪府のデスメタリック・ハードコアバンドの1stアルバム。
2017年にGuerrilla Recordsからリリースされた。assembrageは2011年に結成されたバンドで現在のメンバーはCataplexy、Second to None、Greenmachineなどのメンバーでもあるようだ。どうもフライヤーを見るとバンド名は「Assembly of the Rage」を短く詰めたもののようだ。
全15曲で9曲がアルバム用の曲、残りの6曲は2014年にリリースされたLP「A Wheel of Wraith」収録の曲を取り直したものということ。装丁も凝ったものになっていて、ジャケットの表の緑色のもやもやはスリーブではなくケースに直接塗装が施されている。1stプレスは発売後にすぐに完売し、今売っているのはケースの緑の塗装を赤に変更した2ndプレスとのこと。
「アイオーンのカーテンコール」というタイトルでアイオーンには調べてみるといろいろな意味があるそうだ。曰く「時間」「時間の神」「真の神」など、どうやら様々な神秘思想で用いられる言葉らしい。インナーも開いていみると凝った世界観が提示されており、重厚な物語性があるという意味ではメタル的である。
音の方はと言うと強烈に撓ませひび割れた音が特徴的なサウンドが耳を突く。いわゆるスウェディッシュという言葉で評されることもある得意なサウンドで、ギターにHM-2というエフェクターを噛ませて作るあのサウンドである。レーベルインフォによるとこのエフェクターをフルテン、つまり効果をかけるつまみをマックスまで振り切らせているとのこと
。チューニングも下げているし実際相当な低音なのだが、このサウンドはただ重たさ一辺倒ではなく、やはりグチャッと潰れたような、ひび割れてささくれだち、意図的な雑味が聞いている。ドス(またはエフェクターかな?)の効いたボーカルも同様にひび割れた声で低音うめき声から高音喚き声。どう考えてもユーザーフレンドリーな音楽ではないので圧倒される。「これは気合の入ったデスメタルだなあ」と私は思っちゃったわけなんだけど、3曲くらい聴いていると不思議なもので音の衝撃から立ち直って慣れてくる。どっしり構えてずんずん進むドゥーミィなデスメタルとは違う。装飾過多な荘厳さはあまりなく代わりにもっとストレートな突進力がある。かなりハードコア的なアプローチで、この音でハードコアというとTrap Themが頭に浮かぶけどあそこまで冷血でカオティックではない。なんかもっとこう熱く、血潮がたぎるような、とここでそうか日本のハードコアか!と納得がいく。かなりいかつい音なのではじめは気が付かないのだが、速く重たく、しかし爽快で気持ちがよく、なにより聴いている人を熱く盛り上げる情熱をもったあのハードコア。そう考えるとメタルから持ち込んだ色彩豊かでテクニカルなリフと感情のこもったメロディアスなギターソロが説得力を持って前にせり出してくる。もちろんアンダーグラウンドな音楽であることは間違いないだろうが、思ってたよりずっと聞きやすい。唸るツインギターのソロなんてクラシカルであり、この間再発されたDeath Sideを彷彿とさせる。個人的に好きなのはボーカルでここだけは完全にメタル的なアプローチだと思う。だから熱いハードコアサウンドと相克と対比がよく出ていて陰影がきっちりしているし、オリジナリティが出ている。ただ熱いねえ!というのではなく、まず一回は完全に初見でぶん殴ってくるみたいな迫力があり好きだ。
HM-2を使った音でハードコアをやるというアプローチで冷たい方に走った海外勢と、真逆の熱い方に走った日本と差が出て面白い。熱いハードコアが好きな人は是非どうぞ。
2017年にGuerrilla Recordsからリリースされた。assembrageは2011年に結成されたバンドで現在のメンバーはCataplexy、Second to None、Greenmachineなどのメンバーでもあるようだ。どうもフライヤーを見るとバンド名は「Assembly of the Rage」を短く詰めたもののようだ。
全15曲で9曲がアルバム用の曲、残りの6曲は2014年にリリースされたLP「A Wheel of Wraith」収録の曲を取り直したものということ。装丁も凝ったものになっていて、ジャケットの表の緑色のもやもやはスリーブではなくケースに直接塗装が施されている。1stプレスは発売後にすぐに完売し、今売っているのはケースの緑の塗装を赤に変更した2ndプレスとのこと。
「アイオーンのカーテンコール」というタイトルでアイオーンには調べてみるといろいろな意味があるそうだ。曰く「時間」「時間の神」「真の神」など、どうやら様々な神秘思想で用いられる言葉らしい。インナーも開いていみると凝った世界観が提示されており、重厚な物語性があるという意味ではメタル的である。
音の方はと言うと強烈に撓ませひび割れた音が特徴的なサウンドが耳を突く。いわゆるスウェディッシュという言葉で評されることもある得意なサウンドで、ギターにHM-2というエフェクターを噛ませて作るあのサウンドである。レーベルインフォによるとこのエフェクターをフルテン、つまり効果をかけるつまみをマックスまで振り切らせているとのこと
。チューニングも下げているし実際相当な低音なのだが、このサウンドはただ重たさ一辺倒ではなく、やはりグチャッと潰れたような、ひび割れてささくれだち、意図的な雑味が聞いている。ドス(またはエフェクターかな?)の効いたボーカルも同様にひび割れた声で低音うめき声から高音喚き声。どう考えてもユーザーフレンドリーな音楽ではないので圧倒される。「これは気合の入ったデスメタルだなあ」と私は思っちゃったわけなんだけど、3曲くらい聴いていると不思議なもので音の衝撃から立ち直って慣れてくる。どっしり構えてずんずん進むドゥーミィなデスメタルとは違う。装飾過多な荘厳さはあまりなく代わりにもっとストレートな突進力がある。かなりハードコア的なアプローチで、この音でハードコアというとTrap Themが頭に浮かぶけどあそこまで冷血でカオティックではない。なんかもっとこう熱く、血潮がたぎるような、とここでそうか日本のハードコアか!と納得がいく。かなりいかつい音なのではじめは気が付かないのだが、速く重たく、しかし爽快で気持ちがよく、なにより聴いている人を熱く盛り上げる情熱をもったあのハードコア。そう考えるとメタルから持ち込んだ色彩豊かでテクニカルなリフと感情のこもったメロディアスなギターソロが説得力を持って前にせり出してくる。もちろんアンダーグラウンドな音楽であることは間違いないだろうが、思ってたよりずっと聞きやすい。唸るツインギターのソロなんてクラシカルであり、この間再発されたDeath Sideを彷彿とさせる。個人的に好きなのはボーカルでここだけは完全にメタル的なアプローチだと思う。だから熱いハードコアサウンドと相克と対比がよく出ていて陰影がきっちりしているし、オリジナリティが出ている。ただ熱いねえ!というのではなく、まず一回は完全に初見でぶん殴ってくるみたいな迫力があり好きだ。
HM-2を使った音でハードコアをやるというアプローチで冷たい方に走った海外勢と、真逆の熱い方に走った日本と差が出て面白い。熱いハードコアが好きな人は是非どうぞ。
2017年10月11日水曜日
3LA-LongLegsLongArms Records-Presents『ろくろ』@新宿Nine Spices
よくあることなんだけど10月8日は面白そうなライブがかぶって困る日だった。そんな中でも足を運んだのはこちら。このライブは日本のLongLegsLongArms Recordsが主催するもので、先日リリースされたレーベル初めてのコンピレーションアルバムの発売を記念してのもの。アルバムに曲を提供しているアーティストが出演する。さすがにアルバム収録全アーティストとは行かないが、出演陣は下記の通り。
PRIZE OF RUST (茨城)
ungodly (香川)
unfaded (奈良)
SWARRRM (神戸)
ILIAS (神奈川)
ご覧の通り東京のバンドが一つしかない。奈良、神戸、京都、香川と普段はなかなか見れないような地域で活動しているバンドが名を連ねており、それならこの機会に見るべき!と思ったわけ。もちろんコンピレーションアルバム「ろくろ」の内容が素晴らしいことも理由の一つ。
この日会場のSEではHelmetが流れていた。アメリカのオルタナティブ・ロック(メタル)バンドである。この3LAというレーベルは一風変わったハードコアを世に紹介するレーベルで、もう一つの可能性という意味で「オルタナティブ」という言葉がよく似合う。その集大成の一つが日本全国からバンドを集めて作った「ろくろ」なわけで、それが眼前で見れるということで期待が高まる。
例によって道に迷ったので(馴染みのない駅を使うとかならずぜんぜん違う出口を選択するのが私)私がおっとり刀で会場にたどり着くとすでに一番手が始まっているところだった。
PRIZE OF RUST
茨城(いばらき)のハードコアバンド。この間見たときも同じ3LA企画でやはり同じ会場だった。4人組のバンドでコンピレーションアルバムでもお気に入りだったので二回目に見るのが楽しみだった。改めてライブで見るとニュースークール・ハードコア!という感じ。音が非常にゴツゴツしている。音が非常にメタリックで、ミュートを使った刻み込んでくるリフをあまり多様せず、滑らかにつややかなリフを弾きまくる。このリフが非常にメロディックで、ツインボーカルはシャウトしかしないのでその対比が本当に”叙情的”という感じ。低音低速で力任せにぶん回すモッシュパートみたいなのもあって非常に暴力的だが、歌詞は多分日本語で、モッシュ用ハードコア(それはそれで好きだけど)ではなくて訴えかける何かがある。マイクにかぶりつくように歌う様もそうだが、前のめりにメッセージ性がある感じは日本の激情系からの流れを感じさせる。個人的には日本ならではのニュースクール・ハードコアという感じで、どうしても悩みすぎている激情に比較すると、懊悩はあるけどアクセルを踏み切っているような潔さが魅力。重量感があるけど滑るようなメロディアスなリフを低音で急ブレーキ掛けるところが非常にかっこよかった。
ungodly (香川)
続いては香川のバンド3ピースでボーカルの方がボーカルを取る。「ろくろ」収録の曲しか知らないものでどんな音なのか?白塗りにしている動画があったようだしブラックメタルよりの(ブラッケンドな)ハードコアかな?と思っていたら、結構想像と違った。まずはリフの音の数が多い。刻みまくるような密度濃く詰め込んだリフは、相当テクニカルでかっちりしたスラッシュの影響色濃いデス/ブラックだった。トレモロにそこまで比重をおいているわけではないというか、印象ではもっと刻みまくっていたようなのでボーカルの喉に引っ掛けるようなイーヴィルなシャウト意外はわかりやすいブラックメタルの要素はないし、塊をぶん回すのがハードコアの真髄の一つだとするとそういった意味ではハードコア感はほぼない。ただ(間違っているかもだが)ドラムはツービート主体だったり、曲もアルペジオをなどを効果的に導入しつつ起伏に飛んでいるが、ダラダラ長くないし、あまり耽美/アーティステックな雰囲気もしないので終始殺伐としてて個人的にはそこが良かった。
unfaded (奈良)
つづいては奈良のバンドで、MCでいっていたのだが10年位は活動しているが県外でライブをするのは2回めで東京はこの日が初めてだったらしい。「ろくろ」ではとにかく攻撃的でメロディアスな楽曲がかっこよかったのでこの日楽しみだった。
スリーピースで基本的にギタリストの方がボーカルを取る。この日一番”激情”という感じだったのでなかろうか。内省的な歌詞をうずまきのような轟音にのせて送り出すあのスタイルである。ただいわゆる激情というよりはむしろエモバイオレンスという感じで、具体的には激情でありがちな静かなパートは必要最小限にとどめて勢いとスピードを殺さないように、そして飾らないシンプルさでほとばしる激情を披露していた。歌詞に関しては演奏の合間に吐き出す、というようなスタイルで演奏のよく練られた細やかさが感じられた。うるさいバンドだが、なんとなく寡黙でいぶし銀なスタイル。ギタリストの方はDeath SideのT-シャツを着ていたが、envyからの激情というよりはむしろジャパニーズ・ハードコアの流れを強く感じた。音源を購入したのだがシンプルだが力強い歌詞も勿体つけない音楽性とあいまってシンプルかつ力強いハードコアの進化系という方がしっくり来る。ドラムがやたらと印象的だった。
SWARRRM (神戸)
曲が始まってみるとこの日一番ブラックメタルだった、というか完全にブラックメタルだ。ギタリストの一人は多分7弦ギターで、ベーシストと三人で相当テクニカルなリフを矢継ぎ早に繰り出していく。ミュートも使いながらも主体となるのはブラックメタル然としたトレモロを主体としたリフで、不穏なアルペジオや低速パートを使いながら自らの持ち味である激速トレモロパートに持ち込んでいくスタイル。面白いのは「ろくろ」ではYvonxheなんかはアンダーグラウンドなブラックメタルだったが、このPterionに関しては曲に起伏があるし、ドラスティックな曲作りをしていて結構メジャー感というか、そういう感じがあって面白かった。多分メンバーはまだすごく若いと思うが、あまり動かないメンバーに対してボーカリストの人は声にバリエーションがあるし、動きも派手。面白かった。
KLONNS (東京)
つづいては唯一の東京のバンド。ライブを見るのは2回め。ブラッケンドとは距離をおいている的なインタビューが面白かったが、たしかに音源を聞いてみてもライブを見てもバンドの核はハードコアな感じ。メンバー全員が黒い服に身を包みスタイリッシュ。
ぬろぬろ動き回るベースがかっこいいのだが相当な轟音でとにかくやかましい。ドラムもとにかく叩きまくりで、ギターとボーカルには強烈なリバーブ効果がかけられており、特にギターは音がでかい。非常にノイジーだが、例えばノイズ専用の装置を使っていないところなどあくまでもハードコアで勝負という姿勢の現れだろうか。曲も基本的にはシンプルな構成で、たまにギターソロなどを挟むもののほぼ一直線で進行するオールドスクールスタイル。ボーカルも歌うというよりは要所要所に吐き捨てて置いていく、のような歌唱方法。ステージを降りてきて客席に突っ込むという場面もあり、この日一風変わったバンドが多い中で一番やかましく、一番肉体的だったのがこのKLONNSだったと思う。
ILIAS (神奈川)
トリを飾るのはコンピレーションの冒頭を飾るILIAS。ライブを見るのは初めて。専任ボーカルにギタリスト二人を擁する5人組。「存在と理由」というタイトルの1曲からはいわゆる激情系かとおもっていたが、ライブで見るともっと、というかだいぶかっちりとしたハードコアだった。ニュースクールや日本の激情を巻き込んだバランスの音で、ハードコアなりの強面感と叙情感を勢いを殺さずに取り込んでいる。曲によってはガッツガッツした暴れるパートとドラスティックと言っていいくらいのトレモロい叙情的なパートが奇妙に同居している両極端さが魅力的。この日のバンド概ねそうだが、このバンドも激情というよりは絵もバイオレンスという感じで、冗長とした感じは皆無。ボーカルの人のちょっとかすれた歌唱法もあって、場面によってはkhmerの新作がちらっと頭をよぎった。ブラッケンド感は皆無だし、一聴したところクラスト感もそこまで感じられないのだが、(MCでもあったが)あとからそのような流れを聴いて影響を受けたのかもしれない。
この日唯一のMCをちゃんとするバンドでポジティブなメッセージが印象的だった。
音楽を本当に好きな人は国や州、県、など地域で音楽を語り、そのときは所々の「シーン」という言葉が出てくる。今少なくとも日本を含めた先進国だとおおよそインターネットを通じて均等に音楽の昨今を知ることができるが、それでもやはり地方ごとのシーンが出来上がるのは面白い。(すべてが均質化されているならそもそもシーンと言う言葉がなくなるはずだ。)先輩からの伝統だったり、内輪での流行り廃りだったり、きっとそういうものが積み上がって地域ごとの差を生み出しているのだろう。別に全国からバンドを集めようというコンセプトではないだろうが、結果的に「ろくろ」というコンピレーションには相通じる要素を通して全国のバンドが名を連ねたわけで、この日はそんな各所のシーンを垣間見れて面白かった。出演者の皆様はわざわざ遠いところありがとうございました。
Prize of RustとUnfaded、それからungodlyの音源を買って帰宅。
PRIZE OF RUST (茨城)
ungodly (香川)
unfaded (奈良)
SWARRRM (神戸)
Pterion (京都)
KLONNS (東京)ILIAS (神奈川)
ご覧の通り東京のバンドが一つしかない。奈良、神戸、京都、香川と普段はなかなか見れないような地域で活動しているバンドが名を連ねており、それならこの機会に見るべき!と思ったわけ。もちろんコンピレーションアルバム「ろくろ」の内容が素晴らしいことも理由の一つ。
この日会場のSEではHelmetが流れていた。アメリカのオルタナティブ・ロック(メタル)バンドである。この3LAというレーベルは一風変わったハードコアを世に紹介するレーベルで、もう一つの可能性という意味で「オルタナティブ」という言葉がよく似合う。その集大成の一つが日本全国からバンドを集めて作った「ろくろ」なわけで、それが眼前で見れるということで期待が高まる。
例によって道に迷ったので(馴染みのない駅を使うとかならずぜんぜん違う出口を選択するのが私)私がおっとり刀で会場にたどり着くとすでに一番手が始まっているところだった。
PRIZE OF RUST
茨城(いばらき)のハードコアバンド。この間見たときも同じ3LA企画でやはり同じ会場だった。4人組のバンドでコンピレーションアルバムでもお気に入りだったので二回目に見るのが楽しみだった。改めてライブで見るとニュースークール・ハードコア!という感じ。音が非常にゴツゴツしている。音が非常にメタリックで、ミュートを使った刻み込んでくるリフをあまり多様せず、滑らかにつややかなリフを弾きまくる。このリフが非常にメロディックで、ツインボーカルはシャウトしかしないのでその対比が本当に”叙情的”という感じ。低音低速で力任せにぶん回すモッシュパートみたいなのもあって非常に暴力的だが、歌詞は多分日本語で、モッシュ用ハードコア(それはそれで好きだけど)ではなくて訴えかける何かがある。マイクにかぶりつくように歌う様もそうだが、前のめりにメッセージ性がある感じは日本の激情系からの流れを感じさせる。個人的には日本ならではのニュースクール・ハードコアという感じで、どうしても悩みすぎている激情に比較すると、懊悩はあるけどアクセルを踏み切っているような潔さが魅力。重量感があるけど滑るようなメロディアスなリフを低音で急ブレーキ掛けるところが非常にかっこよかった。
ungodly (香川)
続いては香川のバンド3ピースでボーカルの方がボーカルを取る。「ろくろ」収録の曲しか知らないものでどんな音なのか?白塗りにしている動画があったようだしブラックメタルよりの(ブラッケンドな)ハードコアかな?と思っていたら、結構想像と違った。まずはリフの音の数が多い。刻みまくるような密度濃く詰め込んだリフは、相当テクニカルでかっちりしたスラッシュの影響色濃いデス/ブラックだった。トレモロにそこまで比重をおいているわけではないというか、印象ではもっと刻みまくっていたようなのでボーカルの喉に引っ掛けるようなイーヴィルなシャウト意外はわかりやすいブラックメタルの要素はないし、塊をぶん回すのがハードコアの真髄の一つだとするとそういった意味ではハードコア感はほぼない。ただ(間違っているかもだが)ドラムはツービート主体だったり、曲もアルペジオをなどを効果的に導入しつつ起伏に飛んでいるが、ダラダラ長くないし、あまり耽美/アーティステックな雰囲気もしないので終始殺伐としてて個人的にはそこが良かった。
unfaded (奈良)
つづいては奈良のバンドで、MCでいっていたのだが10年位は活動しているが県外でライブをするのは2回めで東京はこの日が初めてだったらしい。「ろくろ」ではとにかく攻撃的でメロディアスな楽曲がかっこよかったのでこの日楽しみだった。
スリーピースで基本的にギタリストの方がボーカルを取る。この日一番”激情”という感じだったのでなかろうか。内省的な歌詞をうずまきのような轟音にのせて送り出すあのスタイルである。ただいわゆる激情というよりはむしろエモバイオレンスという感じで、具体的には激情でありがちな静かなパートは必要最小限にとどめて勢いとスピードを殺さないように、そして飾らないシンプルさでほとばしる激情を披露していた。歌詞に関しては演奏の合間に吐き出す、というようなスタイルで演奏のよく練られた細やかさが感じられた。うるさいバンドだが、なんとなく寡黙でいぶし銀なスタイル。ギタリストの方はDeath SideのT-シャツを着ていたが、envyからの激情というよりはむしろジャパニーズ・ハードコアの流れを強く感じた。音源を購入したのだがシンプルだが力強い歌詞も勿体つけない音楽性とあいまってシンプルかつ力強いハードコアの進化系という方がしっくり来る。ドラムがやたらと印象的だった。
SWARRRM (神戸)
続いては「カオス&グラインド」を掲げるSWARRRM。この日は冒頭から激速で一気に耳目を集め、そこから「幸あれ」、そしてkillieとのスプリット音源から「愛のうた」「あなたにだかれこわれはじめる」、ろくろ収録の「March」と大胆に歌を取り込んだバンドの昨今を披露していく。「カオス&グラインド」とは単なるスローガンではなく1曲に1回はブラストビートを入れる、という厳格なルールでもある。このバンドは常に何かに挑戦しているように個人的には感じられる。すべての曲はそれ自体完成品だが、同時に何かに対する一つの試行錯誤の結果に見れる。バンドとしての挑戦の結果が曲として残っているようなイメージだ。常に高みに、だから孤高のバンドと呼ばれるし、目下最新アルバム「Flower」以降での大胆な歌へのアプローチも単純なセルアウトとは絶対解釈されようがない。ルールと言うのは縛るものだが、他のバンドが良くも悪くもとどまり続けるフィールドを、SWARRRMはルールを使ってあっさり(はたからそう見えるだけで実際には苦労を重ねた末にだと思うが)乗り越えていく。ビリビリ震えた。
Pterion (京都)
つづいては京都のバンド。このコンピで初めて知ったのでバンドの情報については殆ど知らなかった。(結成は2017年ということもあり。)5人組でボーカルは専任。ボーカル以外は顔を白く塗っている。ボーカルがガッチリした体躯に編み上げブーツを履き込んで一人だけ素顔を晒している。他のメンバーは顔を塗っているものの服装は結構バラバラでなかなか作為が読み取りにくいスタイルで面白い。曲が始まってみるとこの日一番ブラックメタルだった、というか完全にブラックメタルだ。ギタリストの一人は多分7弦ギターで、ベーシストと三人で相当テクニカルなリフを矢継ぎ早に繰り出していく。ミュートも使いながらも主体となるのはブラックメタル然としたトレモロを主体としたリフで、不穏なアルペジオや低速パートを使いながら自らの持ち味である激速トレモロパートに持ち込んでいくスタイル。面白いのは「ろくろ」ではYvonxheなんかはアンダーグラウンドなブラックメタルだったが、このPterionに関しては曲に起伏があるし、ドラスティックな曲作りをしていて結構メジャー感というか、そういう感じがあって面白かった。多分メンバーはまだすごく若いと思うが、あまり動かないメンバーに対してボーカリストの人は声にバリエーションがあるし、動きも派手。面白かった。
KLONNS (東京)
つづいては唯一の東京のバンド。ライブを見るのは2回め。ブラッケンドとは距離をおいている的なインタビューが面白かったが、たしかに音源を聞いてみてもライブを見てもバンドの核はハードコアな感じ。メンバー全員が黒い服に身を包みスタイリッシュ。
ぬろぬろ動き回るベースがかっこいいのだが相当な轟音でとにかくやかましい。ドラムもとにかく叩きまくりで、ギターとボーカルには強烈なリバーブ効果がかけられており、特にギターは音がでかい。非常にノイジーだが、例えばノイズ専用の装置を使っていないところなどあくまでもハードコアで勝負という姿勢の現れだろうか。曲も基本的にはシンプルな構成で、たまにギターソロなどを挟むもののほぼ一直線で進行するオールドスクールスタイル。ボーカルも歌うというよりは要所要所に吐き捨てて置いていく、のような歌唱方法。ステージを降りてきて客席に突っ込むという場面もあり、この日一風変わったバンドが多い中で一番やかましく、一番肉体的だったのがこのKLONNSだったと思う。
ILIAS (神奈川)
トリを飾るのはコンピレーションの冒頭を飾るILIAS。ライブを見るのは初めて。専任ボーカルにギタリスト二人を擁する5人組。「存在と理由」というタイトルの1曲からはいわゆる激情系かとおもっていたが、ライブで見るともっと、というかだいぶかっちりとしたハードコアだった。ニュースクールや日本の激情を巻き込んだバランスの音で、ハードコアなりの強面感と叙情感を勢いを殺さずに取り込んでいる。曲によってはガッツガッツした暴れるパートとドラスティックと言っていいくらいのトレモロい叙情的なパートが奇妙に同居している両極端さが魅力的。この日のバンド概ねそうだが、このバンドも激情というよりは絵もバイオレンスという感じで、冗長とした感じは皆無。ボーカルの人のちょっとかすれた歌唱法もあって、場面によってはkhmerの新作がちらっと頭をよぎった。ブラッケンド感は皆無だし、一聴したところクラスト感もそこまで感じられないのだが、(MCでもあったが)あとからそのような流れを聴いて影響を受けたのかもしれない。
この日唯一のMCをちゃんとするバンドでポジティブなメッセージが印象的だった。
音楽を本当に好きな人は国や州、県、など地域で音楽を語り、そのときは所々の「シーン」という言葉が出てくる。今少なくとも日本を含めた先進国だとおおよそインターネットを通じて均等に音楽の昨今を知ることができるが、それでもやはり地方ごとのシーンが出来上がるのは面白い。(すべてが均質化されているならそもそもシーンと言う言葉がなくなるはずだ。)先輩からの伝統だったり、内輪での流行り廃りだったり、きっとそういうものが積み上がって地域ごとの差を生み出しているのだろう。別に全国からバンドを集めようというコンセプトではないだろうが、結果的に「ろくろ」というコンピレーションには相通じる要素を通して全国のバンドが名を連ねたわけで、この日はそんな各所のシーンを垣間見れて面白かった。出演者の皆様はわざわざ遠いところありがとうございました。
Prize of RustとUnfaded、それからungodlyの音源を買って帰宅。
2017年9月3日日曜日
Framtid/Defeat of Civilization + Split EP Tracks
日本は大阪のクラストコアバンドの編集盤。
2017年にMCR Companyからリリースされた。
耳慣れない「Framtid」という言葉はスウェーデン語で「未来」という意味らしい。ひねくれた名前も良いけど、シンプルかつストレートでかっこいい。
2002年には1stアルバムをリリースしているから結成はその以前ということになるが、この手のバンドにありがちなあまり情報がない。Discogsを見るとそこまで音源の数が多くなく、マイペースに活動しているよう(1stと2ndの間には11年の隔たりがある)だが、その名は日本だけでなく世界でも広く知られているようで、由緒あるアメリカの音楽祭のトリを飾ったりしているそうな。名前は気になっていたし、1stのカセットはユニオン新品コーナーでも横目にしていたけどなんとなく聴けてなかったが(私はカセットを再生できる機器を持っていない)、CD形式で音源が出るということで購入してみた。タイトルもストレートで2ndアルバム(ミニアルバムと書いているページもある)「Defeat of Civilization」(2013)を主体に(アートワークはこちらのアルバムから引き継いでいるようだ、少なくとも表のカヴァーは)3つのスプリット音源(2004〜2009)を収録している。2016年の音源を除いて、概ねこのバンドの最近の音楽を聴くことができる編集版のようだ。
音の方は完全にクラストコアだ。トゲトゲに逆立てた頭、鋲を打ちまくった革ジャンという見た目、「どんな理由だろうが戦争はいらねえ」というメッセージ、見た目も音もクラストスタイル。D-ビートに高音に潰れた特徴的なサウンドのギターが乗る。思うにクラストというのは非常にとっつきにくい音楽性だ。(いろんなバンドがいるけど大抵は)メロディアスではないし。速度も速く激しいが、熱いシンガロングがあるわけではない。ひたすら疾走する地獄感に聞き手も打ちのめされるような感じがする。このバンドも間違いなくそんな厳格なクラストの血統を受け継ぐもので、決してフレンドリーではないが、ギターのノイズ加減も程よく調整されていてノイズコアというほどにリフが判別できないわけではない。終始弾き倒すでもなく、ミュートを挟んできちんと曲にメリハリをつけている。ボーカルも伝統的なクラストスタイルを受け継ぎつつ低音に特化している野太い歌唱方法とはちょっと違って中音も出ているので聴きやすいと思う。
歌詞は基本的に英語で歌われているが、この編集盤でもきちんと読める形で掲載されていてしかも和訳もついている。ハードコアで歌詞がきちんと読めるバンドが私は好きだ。私たちの主張を読んでくれ、ってことだもの。一体大抵はひどくうるさい形式で発される音楽が何を言いたいのかというのは私にとっては重要だ。戦争、(大量破壊)兵器、虐殺、格差をテーマとした歌詞からは攻撃的なパンクアティテュードをひしひしと感じられるが、思った以上に攻撃的ではないのに驚く。「あいつを打ち倒せ」「破壊しろ」なんて少なくともこの音源のどの曲でも一言も言ってない。むしろ淡々と悲劇的な光景の描写をするそれからは、怒りを通り越した嘆きを強く感じられる。音楽自体は力強くうるさいのだが、その歌詞はなんとも言えない無常観に包まれていて、それゆえ瞬間風速的な、というよりこの世の不条理に対する怒りがふつふつと燃え続けている様が感じられている。黒い瞳の奥に地獄の業火が燃え盛っているように。奥に秘めた激情が溢れてくるようで私的には非常に好きな歌詞の書き方だ。
何と言っても「ヒロシマ」「ナガサキ」という歌詞が轟音から飛び出して脳に突き刺さる15曲目「Land of Devastation」が良い。その後は「私たちは立ち続けよう あの荒廃の地に」と続く。誰を責めるわけでもないが覚悟が見て取れる、非常にかっこいい歌詞だと思う。
今ならまだ手に入りやすいと思うので、気になっている人はこのタイミングで是非どうぞ。クラストという音楽性がおっけーという人なら購入して間違いないだろう。激しい音楽性はもちろん是非歌詞も読んでいただきたい作品。オススメ。
2017年にMCR Companyからリリースされた。
耳慣れない「Framtid」という言葉はスウェーデン語で「未来」という意味らしい。ひねくれた名前も良いけど、シンプルかつストレートでかっこいい。
2002年には1stアルバムをリリースしているから結成はその以前ということになるが、この手のバンドにありがちなあまり情報がない。Discogsを見るとそこまで音源の数が多くなく、マイペースに活動しているよう(1stと2ndの間には11年の隔たりがある)だが、その名は日本だけでなく世界でも広く知られているようで、由緒あるアメリカの音楽祭のトリを飾ったりしているそうな。名前は気になっていたし、1stのカセットはユニオン新品コーナーでも横目にしていたけどなんとなく聴けてなかったが(私はカセットを再生できる機器を持っていない)、CD形式で音源が出るということで購入してみた。タイトルもストレートで2ndアルバム(ミニアルバムと書いているページもある)「Defeat of Civilization」(2013)を主体に(アートワークはこちらのアルバムから引き継いでいるようだ、少なくとも表のカヴァーは)3つのスプリット音源(2004〜2009)を収録している。2016年の音源を除いて、概ねこのバンドの最近の音楽を聴くことができる編集版のようだ。
音の方は完全にクラストコアだ。トゲトゲに逆立てた頭、鋲を打ちまくった革ジャンという見た目、「どんな理由だろうが戦争はいらねえ」というメッセージ、見た目も音もクラストスタイル。D-ビートに高音に潰れた特徴的なサウンドのギターが乗る。思うにクラストというのは非常にとっつきにくい音楽性だ。(いろんなバンドがいるけど大抵は)メロディアスではないし。速度も速く激しいが、熱いシンガロングがあるわけではない。ひたすら疾走する地獄感に聞き手も打ちのめされるような感じがする。このバンドも間違いなくそんな厳格なクラストの血統を受け継ぐもので、決してフレンドリーではないが、ギターのノイズ加減も程よく調整されていてノイズコアというほどにリフが判別できないわけではない。終始弾き倒すでもなく、ミュートを挟んできちんと曲にメリハリをつけている。ボーカルも伝統的なクラストスタイルを受け継ぎつつ低音に特化している野太い歌唱方法とはちょっと違って中音も出ているので聴きやすいと思う。
歌詞は基本的に英語で歌われているが、この編集盤でもきちんと読める形で掲載されていてしかも和訳もついている。ハードコアで歌詞がきちんと読めるバンドが私は好きだ。私たちの主張を読んでくれ、ってことだもの。一体大抵はひどくうるさい形式で発される音楽が何を言いたいのかというのは私にとっては重要だ。戦争、(大量破壊)兵器、虐殺、格差をテーマとした歌詞からは攻撃的なパンクアティテュードをひしひしと感じられるが、思った以上に攻撃的ではないのに驚く。「あいつを打ち倒せ」「破壊しろ」なんて少なくともこの音源のどの曲でも一言も言ってない。むしろ淡々と悲劇的な光景の描写をするそれからは、怒りを通り越した嘆きを強く感じられる。音楽自体は力強くうるさいのだが、その歌詞はなんとも言えない無常観に包まれていて、それゆえ瞬間風速的な、というよりこの世の不条理に対する怒りがふつふつと燃え続けている様が感じられている。黒い瞳の奥に地獄の業火が燃え盛っているように。奥に秘めた激情が溢れてくるようで私的には非常に好きな歌詞の書き方だ。
何と言っても「ヒロシマ」「ナガサキ」という歌詞が轟音から飛び出して脳に突き刺さる15曲目「Land of Devastation」が良い。その後は「私たちは立ち続けよう あの荒廃の地に」と続く。誰を責めるわけでもないが覚悟が見て取れる、非常にかっこいい歌詞だと思う。
今ならまだ手に入りやすいと思うので、気になっている人はこのタイミングで是非どうぞ。クラストという音楽性がおっけーという人なら購入して間違いないだろう。激しい音楽性はもちろん是非歌詞も読んでいただきたい作品。オススメ。
2017年7月23日日曜日
Zyanose/Why There Grieve?
日本は大阪府のクラスト/ノイズコアバンドの3rdアルバム。
2013年にLa Vida Es Un Musからリリースされた。
2013年にLa Vida Es Un Musからリリースされた。
読み方は「ザイアノーズ」でドイツ語でチアノーゼのことらしい。ギターレスのツインベースという一風変わった体制のバンドで写真を見る限り、ヨレヨレを通り越したボロボロの格好をしているクラスト・ハードコアバンドのようだ。
※メディアを含めた外部への露出に気を使っているバンドのようですが、オフィシャルにはレビューはご自由にと明記されていたので書いてます。問題ありましたらおしらせください。
昨今ノイズとハードコアの組み合わせがちょっとした一つの流れになっていて、特に今年2017年は日本ならENDON、海外ならFull of HellやCode Orangeなどブルータルさの一歩先をノイズに託すバンドが日の目を見ている。(というのもその組み合わせは昔からある。Bastard NoiseとかThe Endless Blockadeとか。)
それとは別にハードコアを突き詰めたらノイズ化したという分野もあって、このZyanoseはその系統に属すると思われるバンド。自分はほとんど通ってこなかった道なんだけど、パッと思い浮かぶのは同じく日本のDiscloseだろうか。後アメリカのLotus Fucker。厚みのないギターが、さらにスカスカになりホワイトノイズめいたシャーシャーした音になる感じ。このバンドは空をさらに突き詰めている。出しているのはベースなのだろう。おそらく片方のベースは割とベースっぽい音でリフを奏でているのが分かる。ギターがない分かなり饒舌なフレーズだと思う。そこにもう一方のベースがかぶさってくるのだが、ノイズ特有のぐしゃっとした触感で高音が出ているかと思いきや、音に重量感があって厚みが半端ない。私は言われなければベースの音だとわからないくらい原型がない。ノイズ発生器といっても過言ではない。多分きちんと聞くとリフを反復しているはず、だと思う。音楽性はだいぶ違うけど減額隊で出している音の種類的にはStruggle for Prideのノイズ具合に通じるところはあるのではと。
ノイズに耳が奪われるけど曲はちゃんとしていてノイズの奇抜さに全てをかける一芸入試的なバンドではない。野太いシャウトもDis直系のハードコアだし、そこに絡んでくるギャーギャー喚きボーカルがかっこいい。ただただ突っ走るわけではなく、短い曲の中でもきちんと展開と速度の転換がある。あくまでもクラストをやっているバンドで、たまたまベースがノイズを出しているだけ、とはさすがに行かないけど、ちゃんとハードコアパンクの系譜に属するバンドだということはわかる。「なんで悲しみがあるんだろう?」という根源的な問いであるアルバムのタイトルにもそういったバンドの姿勢が表れている。
個人的にはたまに出てくるメロディというか歌い回しが非常にかっこいいと思う。このバンドの持つ感情的な面が一番わかりやすく出ているかも。
調べて見ると1stと2ndはこの手のバンドには非常に珍しいアートワークをしているようで、なかなか読めない中身を持っていそう。既に廃盤かもだけどユニオンとかで地道に探してみようかと。ノイズとハードコアという単語に興味がある人は、流行りとは異なるその組み合わせという意味で聞いて見てはいかがでしょうか。
2017年3月12日日曜日
TRAGEDY/TRAGEDY
アメリカ合衆国オレゴン州ポートランド(かつてはテネシー州メンフィスを拠点としていたとのこと)のハードコア/クラストバンドの1stアルバム。
TRAGEDYはやはりクラスト・ハードコアバンドHis Hero is Goneのメンバーらによって2000年に結成された。このアルバムはその結成の2000年に自身のレーベルTragedy Recordsからリリースされた。
この界隈では後続に多大な影響を与えたバンドで、その中でも1stと2ndが名盤!という声も多くあるとか。私は2nd、3rdと聴いていて正直なところ3rdがそこまで(2ndと比較してという意味でも)優れていないアルバムだと思うし、なんなら確かに暗くなっているけどそこまで変化したアルバムかな?と思ったり。そんな中1stが売っていたのでよしこれはと思って買った次第。
変な順番で聴いているからあれだけど、音楽的には1stからブレていない。叙情的なハードコアをやっている。クラストの持つ小汚くも(crustはかさぶたとか、そういった意味)激しい攻撃性を土台にある意味クラストから最も遠い、というよりは一見相入れそうにない感情的でメロディアスという要素を見事に両立しているバンド。ハードコアとメロディーに親和性がないわけでなくて、それこそメインストリームに近づくほどその傾向は強くなるんだけど、アンダーグラウンドの底流でそれができるのか。つまりそれをやっちゃってまだアンダーグラウンドでいられるの?的な野次馬な余計なお節介Lawがなんとなくへばりついている頭(見る方もやる方も)がひしめく中でそれをやってのけたのがTRAGEDYというバンドかもしれない。もちろんTRAGEDYがそれを単独でやったかというとそうではないだろうけど、みんなが驚くようなバランス(つまりとても多くの人の心に訴えかけた)を打ち立てのが彼らであって、だから後続に大きな影響を与えたバンドと言われるのかもしれない。そういった意味だと後続を聞いて入った人は別に真新しさを感じないのかもしれない。(私が3rd悪くないな…と思うのもここら辺ではと思ったり。)
そんなわけでいきなりシーンにどでかい一石を投じた記念碑的なアルバムであるこの1stなかなか緊張して再生ボタンを押すと、まずは短いイントロでアコギの旋律が流れる。続いて2曲め「Point of No Return」。このイントロでやられた。そうしてああみんなこうだったのでは、と思ってしまう。あれやっぱりTRAGEDYは必要以上に内省的にならなくてもいいじゃない…なんてすぐに思ってしまうのは私の軽薄さだろうが、それでもこの勢いにはやられてしまう。無骨でメタリックなリフはあくまでもクラストハードコアで一歩も引かない強さ。その直線的な”強さ”に曲線的に絡むのがツインギターの片方であって、それらが無骨な男の叫びと演奏にストーリーを与える。勢いよく拡散しがちなアトモスフィアをぎゅっと引き締める。割合シンプルな構成の曲にこれが一つの回答を与えたようにしっくりくる。全てが筋道だって見えてくる。キャッチーとはこのことか。つまり読み方をある程度教えてくれる。
やはり勢いなのかと言われるとしかし否と言いたいところ。やはり暗さの萌芽、内省の香りは感じ取れると思う。長めの曲(といっても3分から4分だけど)でHis Hero is Goneでも披露していた停滞した暗さというのはしっかり封じ込められている。ただテンポチェンジによってその鬱屈をむしろその後の疾走の助走、というか前段階に使っているからわーっとテンション上がってそこは忘れがちになってしまうのだが。TRAGEDYにしてはもちろんそこも曲で、3rd以降はそちらをもっと追求したいということだったのかな、と思う。
2nd、3rdも好きだけどやはり初めて聴く人に一枚渡すならこのアルバムかな…と思ってしまう。なんというか納得感を感じてしまったアルバム。
TRAGEDYはやはりクラスト・ハードコアバンドHis Hero is Goneのメンバーらによって2000年に結成された。このアルバムはその結成の2000年に自身のレーベルTragedy Recordsからリリースされた。
この界隈では後続に多大な影響を与えたバンドで、その中でも1stと2ndが名盤!という声も多くあるとか。私は2nd、3rdと聴いていて正直なところ3rdがそこまで(2ndと比較してという意味でも)優れていないアルバムだと思うし、なんなら確かに暗くなっているけどそこまで変化したアルバムかな?と思ったり。そんな中1stが売っていたのでよしこれはと思って買った次第。
変な順番で聴いているからあれだけど、音楽的には1stからブレていない。叙情的なハードコアをやっている。クラストの持つ小汚くも(crustはかさぶたとか、そういった意味)激しい攻撃性を土台にある意味クラストから最も遠い、というよりは一見相入れそうにない感情的でメロディアスという要素を見事に両立しているバンド。ハードコアとメロディーに親和性がないわけでなくて、それこそメインストリームに近づくほどその傾向は強くなるんだけど、アンダーグラウンドの底流でそれができるのか。つまりそれをやっちゃってまだアンダーグラウンドでいられるの?的な野次馬な余計なお節介Lawがなんとなくへばりついている頭(見る方もやる方も)がひしめく中でそれをやってのけたのがTRAGEDYというバンドかもしれない。もちろんTRAGEDYがそれを単独でやったかというとそうではないだろうけど、みんなが驚くようなバランス(つまりとても多くの人の心に訴えかけた)を打ち立てのが彼らであって、だから後続に大きな影響を与えたバンドと言われるのかもしれない。そういった意味だと後続を聞いて入った人は別に真新しさを感じないのかもしれない。(私が3rd悪くないな…と思うのもここら辺ではと思ったり。)
そんなわけでいきなりシーンにどでかい一石を投じた記念碑的なアルバムであるこの1stなかなか緊張して再生ボタンを押すと、まずは短いイントロでアコギの旋律が流れる。続いて2曲め「Point of No Return」。このイントロでやられた。そうしてああみんなこうだったのでは、と思ってしまう。あれやっぱりTRAGEDYは必要以上に内省的にならなくてもいいじゃない…なんてすぐに思ってしまうのは私の軽薄さだろうが、それでもこの勢いにはやられてしまう。無骨でメタリックなリフはあくまでもクラストハードコアで一歩も引かない強さ。その直線的な”強さ”に曲線的に絡むのがツインギターの片方であって、それらが無骨な男の叫びと演奏にストーリーを与える。勢いよく拡散しがちなアトモスフィアをぎゅっと引き締める。割合シンプルな構成の曲にこれが一つの回答を与えたようにしっくりくる。全てが筋道だって見えてくる。キャッチーとはこのことか。つまり読み方をある程度教えてくれる。
やはり勢いなのかと言われるとしかし否と言いたいところ。やはり暗さの萌芽、内省の香りは感じ取れると思う。長めの曲(といっても3分から4分だけど)でHis Hero is Goneでも披露していた停滞した暗さというのはしっかり封じ込められている。ただテンポチェンジによってその鬱屈をむしろその後の疾走の助走、というか前段階に使っているからわーっとテンション上がってそこは忘れがちになってしまうのだが。TRAGEDYにしてはもちろんそこも曲で、3rd以降はそちらをもっと追求したいということだったのかな、と思う。
2nd、3rdも好きだけどやはり初めて聴く人に一枚渡すならこのアルバムかな…と思ってしまう。なんというか納得感を感じてしまったアルバム。
2017年2月5日日曜日
TRAGEDY/NERVE DAMAGE
アメリカ合衆国オレゴン州ポートランド(かつてはテネシー州メンフィスを拠点としていたとのこと)のハードコア/クラストバンドの3rdアルバム。
2006年に自身のレーベルTragedy Recordsからリリースされた。
クラストのHis Hero is Goneのメンバーらによって1995年に結成されたバンドで
今までに4枚のアルバムをリリースしている。
この手の音楽では非常に愛されているバンドで多大なフォロワーを生み出しているバンドでにわかな私は名盤と誉れ高い2ndアルバム「Vengeance」を持っている。
どうもこの3rdアルバムからバンドは音楽性を変更させ始めたらしく、4thと合わせてかなりの賛否両論を巻き起こしたという。そんな話題性に富むアルバムは気になるものでかってみた。私が買ったのはLP。鳥の輪郭が青い版。バンドのモチーフである鳥が大胆にあしらわれている。いうまでもなく空高く飛ぶ鳥は自由の象徴だ。
結論から言うと全然かっこいい。むしろ2ndより好きかもしれない。こう書くと「天邪鬼め!」「通ぶりやがる!」と言われそうなのだけど、これはにわかな私が聴いているからだろうだと思う。もっと言うとこのバンドに何を求めているのか?と言うことかもしれない。1st、2ndは疾走感のあるカラッとしたハードコアだった。大変格好良く耳目を集めたわけで当然そんな音楽性を次作にも期待するのが人情というものだ。Tragedyのイメージというのが確立したわけだ。私はそれが固まっていなかったので今作を聞いて「これがTragedyなのだな」とこう思ったのだ。こうなるとやはり2ndを聞き直してみる必要がある。そうしてみるとやはり強く強くそして外へ外へ広がっていく開放感のある気持ち良いハードコアをやっている。一転して今作3rdではそのポジティブさに歯止めがかけられている。これは意図的なもので1曲め「Eyes of Madness」の冒頭のサイレンのサンプリングでわかる。これは文字どおり警鐘を鳴らす音楽であって、全体的に陰鬱さが立ち込めている。外に広がっていくというよりは内側に沈み込んでいく。いわば閉鎖的になっているわけだ。ただ「Nerve Damage」の陰鬱さがダメというなら「Vengeance」にだってその要素はあるでしょ!というのは流石にずるい言い方だと思うけど(色の濃さが問題なので)、暗いからダメというのではないのだないう気がする。勢いがなくなったわけでもない、メロディ性もある。音はメタリックだがそれについては前作も同様だ。ただし今作の方が音の厚みが増しているからそれが壁のようになっていて閉塞感を増しているのかもしれない。ピアノやアコギ、インストも入れてきているのは変化だが、曲自体が大げさに誇張されたものにはなっていない。後半の曲は顕著だがスピードは落としている。ただ古典的なドゥームメタルのように音に隙間がないから緊張感が高まって逃げ場がない。そういった意味では苦しさがあるかもしれない。爽快感を求めているなら確かにちょっとこれには違和感を感じる人も多いだろう。
ただ言いたいのだけどやはり「Nerve Damage」かっこよくないだろうか?Tragedyの良さってなんだろう。一つはハードコアらしさだ。男らしい。今回内巻きに沈み込んでいるとしてもその音楽性は例えば激情ハードコアの持つ内省的で個人的な鬱っぽさ、そして装飾性は皆無だ。基本的な音楽に対する立ち向かい方は変わってないんじゃないかと思う。もう一つはメロディセンス。ぶっとい音で突き進むトレモロめいたハードコアなリフはシンプルだが力強く、そして無骨なメロディに満ちている。ボーカルにメロディラインを導入しない代わりにギターが導く無言のメロディセンスがある。バッキングとそれからソロ的に被せてくる組み合わせは3rdでも健在だ。むしろボーカルパートが減って叙情的なメロディが前面に押し出されていると思う。ぶれてないと思う。
私はもともとHis Hero is Goneにしても超名曲「Raindance」のような勢いというよりもグルーミィな後ろ向きな陰鬱さに満ちたハードコア(ここではピュアなハードコアという意味で)が好きなのでこの「Nerbe Damage」も非常に楽しんで聞くことができた。
飛ぶ鳥の不自由さをあえて歌ったかのような作風。もちろん前作とは異なるという意味では問題作なのだろうが、1st、2ndまでがTragedyなのか判断をするならネットの情報を鵜呑みにするのではなく是非今作を聞いてほしいと思う。
2006年に自身のレーベルTragedy Recordsからリリースされた。
クラストのHis Hero is Goneのメンバーらによって1995年に結成されたバンドで
今までに4枚のアルバムをリリースしている。
この手の音楽では非常に愛されているバンドで多大なフォロワーを生み出しているバンドでにわかな私は名盤と誉れ高い2ndアルバム「Vengeance」を持っている。
どうもこの3rdアルバムからバンドは音楽性を変更させ始めたらしく、4thと合わせてかなりの賛否両論を巻き起こしたという。そんな話題性に富むアルバムは気になるものでかってみた。私が買ったのはLP。鳥の輪郭が青い版。バンドのモチーフである鳥が大胆にあしらわれている。いうまでもなく空高く飛ぶ鳥は自由の象徴だ。
結論から言うと全然かっこいい。むしろ2ndより好きかもしれない。こう書くと「天邪鬼め!」「通ぶりやがる!」と言われそうなのだけど、これはにわかな私が聴いているからだろうだと思う。もっと言うとこのバンドに何を求めているのか?と言うことかもしれない。1st、2ndは疾走感のあるカラッとしたハードコアだった。大変格好良く耳目を集めたわけで当然そんな音楽性を次作にも期待するのが人情というものだ。Tragedyのイメージというのが確立したわけだ。私はそれが固まっていなかったので今作を聞いて「これがTragedyなのだな」とこう思ったのだ。こうなるとやはり2ndを聞き直してみる必要がある。そうしてみるとやはり強く強くそして外へ外へ広がっていく開放感のある気持ち良いハードコアをやっている。一転して今作3rdではそのポジティブさに歯止めがかけられている。これは意図的なもので1曲め「Eyes of Madness」の冒頭のサイレンのサンプリングでわかる。これは文字どおり警鐘を鳴らす音楽であって、全体的に陰鬱さが立ち込めている。外に広がっていくというよりは内側に沈み込んでいく。いわば閉鎖的になっているわけだ。ただ「Nerve Damage」の陰鬱さがダメというなら「Vengeance」にだってその要素はあるでしょ!というのは流石にずるい言い方だと思うけど(色の濃さが問題なので)、暗いからダメというのではないのだないう気がする。勢いがなくなったわけでもない、メロディ性もある。音はメタリックだがそれについては前作も同様だ。ただし今作の方が音の厚みが増しているからそれが壁のようになっていて閉塞感を増しているのかもしれない。ピアノやアコギ、インストも入れてきているのは変化だが、曲自体が大げさに誇張されたものにはなっていない。後半の曲は顕著だがスピードは落としている。ただ古典的なドゥームメタルのように音に隙間がないから緊張感が高まって逃げ場がない。そういった意味では苦しさがあるかもしれない。爽快感を求めているなら確かにちょっとこれには違和感を感じる人も多いだろう。
ただ言いたいのだけどやはり「Nerve Damage」かっこよくないだろうか?Tragedyの良さってなんだろう。一つはハードコアらしさだ。男らしい。今回内巻きに沈み込んでいるとしてもその音楽性は例えば激情ハードコアの持つ内省的で個人的な鬱っぽさ、そして装飾性は皆無だ。基本的な音楽に対する立ち向かい方は変わってないんじゃないかと思う。もう一つはメロディセンス。ぶっとい音で突き進むトレモロめいたハードコアなリフはシンプルだが力強く、そして無骨なメロディに満ちている。ボーカルにメロディラインを導入しない代わりにギターが導く無言のメロディセンスがある。バッキングとそれからソロ的に被せてくる組み合わせは3rdでも健在だ。むしろボーカルパートが減って叙情的なメロディが前面に押し出されていると思う。ぶれてないと思う。
私はもともとHis Hero is Goneにしても超名曲「Raindance」のような勢いというよりもグルーミィな後ろ向きな陰鬱さに満ちたハードコア(ここではピュアなハードコアという意味で)が好きなのでこの「Nerbe Damage」も非常に楽しんで聞くことができた。
飛ぶ鳥の不自由さをあえて歌ったかのような作風。もちろん前作とは異なるという意味では問題作なのだろうが、1st、2ndまでがTragedyなのか判断をするならネットの情報を鵜呑みにするのではなく是非今作を聞いてほしいと思う。
2016年12月31日土曜日
Martyrdöd/List
スウェーデンはヴェストラ・イェータランド県ヨーテボリのクラストパンクバンドの6thアルバム。
2016年にSouthern Lord Recordsからリリースされた。
Martyrdödは2001年に結成されたバンドでメンバーチェンジを経て今までに5枚のアルバムをリリースしてきてた。今は4人体制とのこと。私はTwitterで今回の新作のリリースの盛り上がりで初めて知ったので過去作を聞いたことはない。どうも日本の特定の人たちの間ではかなり有名なバンドのようだ。
いわゆる”ブラッケンド”という形容詞がつくクラストパンク/ハードコアバンドで、アングラ界隈で昨今隆盛を見せるジャンルの一つ。6枚のフルアルバムをリリースしているから先行者ということにはなるのかもしれない。
全部で10曲が36分、平均3分台なのでハードコアにしても速さを売りにしているバンドでないことがわかる。じっくり聴かせる、というと語弊があるかもしれないがとにかく叙情的なバンド。別にボーカルがしっとり歌い上げるわけではない。つまりクリーンボーカルは皆無で、どうしようもないクラストボーカルが綺麗とはお世辞にも言えないしゃがれたダミ声で、メロディ性のあまり感じられないシャウトをかましていく。じゃあ何が叙情的なのかというとギターがひたすらメロい。メロすぎるほどにメロい。ほぼほぼ途切れなく弾きまくっていくハードコア/ブラックメタルスタイルで、音が非常にクリアかつきれいに仕上げられており、高音でキラキラ装飾されたトレモロリフが極めて滑らかに(ここ結構大切)メロディ成分を曲にバンバン追加していく。どうしても「俺らハードコアだからさ…」となりがちな男の虚栄心(テキトー言ってますよ)がサウンドの一片一片までも小汚くしようとしてしまい、それすらも男らしさの象徴として賞賛されがちなこの界隈で、ここまで思い切ってハードコアにあってはいけない”綺麗”さをしれっと表現仕切ってしまうとは、まさにその姿勢がハードコアスピリッツに溢れているのかもしれない。ギターソロもかなり泣いてきてその思い切りの良さはもう凄まじいものがある。
こうなってしまうともう何かによって心が洗われてしまったブラックゲイズのようなサウンドになるんでないの?って気もするがこのバンドはそれでもどっからどう見てもハードコアだ、と思わせるからさらにすごい。なぜかというとギター以外は余り美麗な方向に引っ張られていない。前述のボーカルはそうだし、また特にドラムとベースが担当するビートの部分は明確にハードコアだ。重たいドラムを回すようにロールさせたり、ズタタズタタと重さとリズムの小気味好い気持ち良さを併せ持ったD-ビートを明確に曲の根幹に据えているので「俺たちハードコアです」と問答無用にぶっといビートで持って聞き手の顔面に叩きつけてくる。
音楽で何かの要素をブレンドするときどうしても両者を程よく接近させる手法が一番手っ取り早いのだろうが、このバンドに関してはハードコアはハードコア!、ブラッケンドはブラッケンド(つまりギター)!と明確に線を引いてそれをハードコアという土台の中で両立させているからすごい。溢れんばかりの叙情性というとTotem Skinに似ているが、激情っぽいTotem Skinに比べてこちらは明確にクラストという感じなので似ているところもあれば違うところもある。
賛否両論の新作ということだが、私は前述の通りこの作品で初めてこのバンドに触れたので素直にいいな〜と思ってしまった。実のところ過去作を聞いた上で今作に否定的な意見こそ聴きたいなと思ったしまったりもする。
叙情的なハードコアなんて手垢のついた表現かもしれないがいつの時代も言葉で説明仕切ることができない音楽をやっている人たちがいるものだ。ぜひどうぞ。非常にかっこいいおすすめ盤です。
2016年にSouthern Lord Recordsからリリースされた。
Martyrdödは2001年に結成されたバンドでメンバーチェンジを経て今までに5枚のアルバムをリリースしてきてた。今は4人体制とのこと。私はTwitterで今回の新作のリリースの盛り上がりで初めて知ったので過去作を聞いたことはない。どうも日本の特定の人たちの間ではかなり有名なバンドのようだ。
いわゆる”ブラッケンド”という形容詞がつくクラストパンク/ハードコアバンドで、アングラ界隈で昨今隆盛を見せるジャンルの一つ。6枚のフルアルバムをリリースしているから先行者ということにはなるのかもしれない。
全部で10曲が36分、平均3分台なのでハードコアにしても速さを売りにしているバンドでないことがわかる。じっくり聴かせる、というと語弊があるかもしれないがとにかく叙情的なバンド。別にボーカルがしっとり歌い上げるわけではない。つまりクリーンボーカルは皆無で、どうしようもないクラストボーカルが綺麗とはお世辞にも言えないしゃがれたダミ声で、メロディ性のあまり感じられないシャウトをかましていく。じゃあ何が叙情的なのかというとギターがひたすらメロい。メロすぎるほどにメロい。ほぼほぼ途切れなく弾きまくっていくハードコア/ブラックメタルスタイルで、音が非常にクリアかつきれいに仕上げられており、高音でキラキラ装飾されたトレモロリフが極めて滑らかに(ここ結構大切)メロディ成分を曲にバンバン追加していく。どうしても「俺らハードコアだからさ…」となりがちな男の虚栄心(テキトー言ってますよ)がサウンドの一片一片までも小汚くしようとしてしまい、それすらも男らしさの象徴として賞賛されがちなこの界隈で、ここまで思い切ってハードコアにあってはいけない”綺麗”さをしれっと表現仕切ってしまうとは、まさにその姿勢がハードコアスピリッツに溢れているのかもしれない。ギターソロもかなり泣いてきてその思い切りの良さはもう凄まじいものがある。
こうなってしまうともう何かによって心が洗われてしまったブラックゲイズのようなサウンドになるんでないの?って気もするがこのバンドはそれでもどっからどう見てもハードコアだ、と思わせるからさらにすごい。なぜかというとギター以外は余り美麗な方向に引っ張られていない。前述のボーカルはそうだし、また特にドラムとベースが担当するビートの部分は明確にハードコアだ。重たいドラムを回すようにロールさせたり、ズタタズタタと重さとリズムの小気味好い気持ち良さを併せ持ったD-ビートを明確に曲の根幹に据えているので「俺たちハードコアです」と問答無用にぶっといビートで持って聞き手の顔面に叩きつけてくる。
音楽で何かの要素をブレンドするときどうしても両者を程よく接近させる手法が一番手っ取り早いのだろうが、このバンドに関してはハードコアはハードコア!、ブラッケンドはブラッケンド(つまりギター)!と明確に線を引いてそれをハードコアという土台の中で両立させているからすごい。溢れんばかりの叙情性というとTotem Skinに似ているが、激情っぽいTotem Skinに比べてこちらは明確にクラストという感じなので似ているところもあれば違うところもある。
賛否両論の新作ということだが、私は前述の通りこの作品で初めてこのバンドに触れたので素直にいいな〜と思ってしまった。実のところ過去作を聞いた上で今作に否定的な意見こそ聴きたいなと思ったしまったりもする。
叙情的なハードコアなんて手垢のついた表現かもしれないがいつの時代も言葉で説明仕切ることができない音楽をやっている人たちがいるものだ。ぜひどうぞ。非常にかっこいいおすすめ盤です。
2016年10月9日日曜日
Trap Them/Crown Feral
アメリカはマサチューセッツ州ボストン、ワシントン州シアトルのハードコアバンドの5枚目のアルバム。
2016年にProsthetic Recordsからリリースされた。
2016年にProsthetic Recordsからリリースされた。
前作「Blissfucker」から2年ぶりで私は今作と前作のみ聴いたことがある。
2001年に結成されたバンドで、バンド名は映画からとったとのこと。今作のタイトルは「野生の王冠」かな?
ジャンルとしてはクラスト・ハードコアという事になるのだと思うが、北欧デスメタル、いわゆるスウェディッシュデスメタルに影響を受けた音楽性が特徴的。調べてみると元々スウェディッシュデスメタルはハードコアパンクに親和性を持ったジャンルらしい。また特定のエフェクターを用いた独特のギター音が特徴で、勿論このTrap Themもそんな特徴を持っている。
糜爛した金属みたいな汚い音のギターはハードコアとメタルの良いとこ取りで、疾走する弾き倒すリフト刻んでくるリフを織り交ぜてくる。低音一辺倒かと思いきや良く伸びる中音〜高音フレーズやらやけっぱちな短いソロも入れてくる。
ドラムはとにかく回転が良くてどんな速度でもリズミカルにビートを刻みつつもう一音くらい足してくる印象で、ブラストやらD-ビートやらでも乾いた重量のある音で気持ちがよい。シンバルをキンキン鳴らすのも結構多くて個人的にはかなり好き。結構ドラムを追って聴いていると同じ曲中でも速度を頻繁に買えるのもそうだし色んな事をやっているのが分かる。速度を上げるにしても(ゆっくり)スタスタ、(速く)ズダダダダみたいに疾走前に印象的なフレーズを入れて来てそこがかっこいい。
曲中に速度を頻繁に買えるのはこの手のジャンルでは珍しくはないが、分かりやすく低速モッシュパートみたいのや、頭良さげなドゥームパートとかは一切無しなのも良い。徹頭徹尾ハードコアという感じで。非常に真面目でおもねらないタイプ。
攻撃的ながらどこかしらグルーミィな雰囲気があって、そこに向かって引きずられていくように引っ張られる様な暗さがあって、それがアコースティックだったり、キャラキャラした高音リフだったりに垣間見えて、ハードコアの男らしさと意外に良くあって良いと思う。
攻撃的ながらどこかしらグルーミィな雰囲気があって、そこに向かって引きずられていくように引っ張られる様な暗さがあって、それがアコースティックだったり、キャラキャラした高音リフだったりに垣間見えて、ハードコアの男らしさと意外に良くあって良いと思う。
個人的には中盤の高音で歌に絡んでくるギターが印象的な2曲目「Helluionaires」とか、明快なパンキッシュリフがストレートにハードコアな9曲目「Stray of The Tongue」とかがお気に入り。
まったり濃厚なジャケットのアートワークはメタル的だが、過去作は結構ハードコア的だったりもする。アウトプット的にはやはりハードコア的な様式になっていると思うけど、メタルの要素を非常に上手く飲み込んでいるので、どちらのジャンルのファンにも訴えかける様なきがする。そういった意味では音楽的には結構違うけどConvergeにちょっと似てるかもと思った。
2016年9月11日日曜日
SECT/SECT
アメリカ合衆国ノースカロライナ州ローリー、同じくオレゴン州ポートランド、カナダのトロントの混成バンドの1stアルバム。
2016年に発表された音源で私は日本のレーベルALLIANCE TRAXから購入。CDというフォーマットではこちらからのみとこと。Bandcampでも買えるみたい。
複数のエリアの混成バンドという事でわかるかもなんだが、いわゆるスーパーバンドというやつで名だたるバンドで活躍するメンバーが集まって2015年に結成された。
ボーカルがChris Colohan (Cursed, Burning Love)、ギターが Scott Crouse (Earth Crisis)とJames Chang (Undying, Catharsis)、ベースがIan Edwards (Earth Crisis)、ドラムがAndy Hurley (Fall Out Boy)。私はボーカル目当てで購入。他のバンドは申し訳ないが聴いた事ない、と思ったらFall Out Boyは会社の先輩からCD借りた事ある。有名なバンドだと思うんだけど音楽性はポップなパンクでこの面子だとちょっと違和感がある。調べてみたらFall Out Boy以外でもEnablerとか、ガッチリアンダーグラウンドでも活動している人のようだ。見た目も入れ墨ばっちりで恐ろしい。
ジャンル的にはメタリックなハードコアパンク/クラストコア。音的には近代的でクリアなものにばっちりアップデート済みでモダンだが、そんな音で演奏するのは正攻法で突き進む飾りっけのあまりないハードコア。パワーバイオレンスでもビートダウンでもないが新旧色々な音を飲み込んで伝統に敬意を払いつつ自分たちなりの音を模索している印象。
全部で10曲を16分で駆け抜ける。
速度のコントロールが抜群に上手いバンドで短い曲の中で曲のスピードが結構変わる。一番分かりやすいのはバスドラムの連打がもはやえげつない高速パートだが、ためのある低速も勿論カッコいい。ギターは明快なもののメタルの影響を大きく受けて結構音の数が多い。ミュートを多用したメタリックなものから、ハードコア影響かの荒々しいトレモロまで、ギタリストも二人いるのでその表現は実に多彩。なんといっても独特のしゃがれ声で言葉を吐き出していくボーカルが良い。Burning LoveもCursedも好きだが、なんというかドロップアウトしそうでギリギリ踏みとどまっている様な危うさと悲壮さがあってとても良い。
自分だけかもしれないが2曲目「Death Dealer」のイントロはcarcassの超有名曲「Genital Grinder」のそれにちょっと似ているかもと思う。色々なバンドがカバーしている曲だし、ハードコアからデスメタルへの敬意表明ではないかと勝手に思っている。
個人的にはギターがうねうね動いてちょっとブラックメタルっぽさもある6曲目「All or Nothing」が好き。タメのあるイントロ、突き進む中盤、また速度を落とす後半と、このバンドの良さが短い中にもぎゅっと詰まっている。
ちなみにヴィーガン&ストレート・エッジなバンドである。マジでハードコア。ここでいうハードコアというのは敢えて厳しい道に進む、というよりは確固たるポリシー(つまり明確な意志を持ってやるべき事と逆に断じて許せないので絶対やらないこと、その両方)があるという事だ。言うは易し行うは難し。言葉と音楽でアジテートするバンドだが、決して言葉だけにはならないのだろう。
バンドメンバーに引っかかる人は買ったら楽しめる事請け合いだと思う。
2016年に発表された音源で私は日本のレーベルALLIANCE TRAXから購入。CDというフォーマットではこちらからのみとこと。Bandcampでも買えるみたい。
複数のエリアの混成バンドという事でわかるかもなんだが、いわゆるスーパーバンドというやつで名だたるバンドで活躍するメンバーが集まって2015年に結成された。
ボーカルがChris Colohan (Cursed, Burning Love)、ギターが Scott Crouse (Earth Crisis)とJames Chang (Undying, Catharsis)、ベースがIan Edwards (Earth Crisis)、ドラムがAndy Hurley (Fall Out Boy)。私はボーカル目当てで購入。他のバンドは申し訳ないが聴いた事ない、と思ったらFall Out Boyは会社の先輩からCD借りた事ある。有名なバンドだと思うんだけど音楽性はポップなパンクでこの面子だとちょっと違和感がある。調べてみたらFall Out Boy以外でもEnablerとか、ガッチリアンダーグラウンドでも活動している人のようだ。見た目も入れ墨ばっちりで恐ろしい。
ジャンル的にはメタリックなハードコアパンク/クラストコア。音的には近代的でクリアなものにばっちりアップデート済みでモダンだが、そんな音で演奏するのは正攻法で突き進む飾りっけのあまりないハードコア。パワーバイオレンスでもビートダウンでもないが新旧色々な音を飲み込んで伝統に敬意を払いつつ自分たちなりの音を模索している印象。
全部で10曲を16分で駆け抜ける。
速度のコントロールが抜群に上手いバンドで短い曲の中で曲のスピードが結構変わる。一番分かりやすいのはバスドラムの連打がもはやえげつない高速パートだが、ためのある低速も勿論カッコいい。ギターは明快なもののメタルの影響を大きく受けて結構音の数が多い。ミュートを多用したメタリックなものから、ハードコア影響かの荒々しいトレモロまで、ギタリストも二人いるのでその表現は実に多彩。なんといっても独特のしゃがれ声で言葉を吐き出していくボーカルが良い。Burning LoveもCursedも好きだが、なんというかドロップアウトしそうでギリギリ踏みとどまっている様な危うさと悲壮さがあってとても良い。
自分だけかもしれないが2曲目「Death Dealer」のイントロはcarcassの超有名曲「Genital Grinder」のそれにちょっと似ているかもと思う。色々なバンドがカバーしている曲だし、ハードコアからデスメタルへの敬意表明ではないかと勝手に思っている。
個人的にはギターがうねうね動いてちょっとブラックメタルっぽさもある6曲目「All or Nothing」が好き。タメのあるイントロ、突き進む中盤、また速度を落とす後半と、このバンドの良さが短い中にもぎゅっと詰まっている。
ちなみにヴィーガン&ストレート・エッジなバンドである。マジでハードコア。ここでいうハードコアというのは敢えて厳しい道に進む、というよりは確固たるポリシー(つまり明確な意志を持ってやるべき事と逆に断じて許せないので絶対やらないこと、その両方)があるという事だ。言うは易し行うは難し。言葉と音楽でアジテートするバンドだが、決して言葉だけにはならないのだろう。
バンドメンバーに引っかかる人は買ったら楽しめる事請け合いだと思う。
2016年8月14日日曜日
.NEMA/BRING OUR COURSES HOME
アメリカはミシガン州アナーバーのハードコア/クラストコア/ブラックメタルバンドのディスコグラフィー(同名の1stアルバムにその他の音源を追加したものとの事。)
1999年にSound Pollution Recordsから発売された。
元はと言えばtoosmell RecordのHPで見つけたのだが既に在庫はなく、どうやらデジタルでの販売もなさそうなので、他のショップで購入した。
1995年に結成されたバンドで1999年に解散している。どうもバンドメンバーの変遷が多かったようだ。
「私たちの呪いを家に持ち込む」というのはいささか変わったタイトルだ。ひょっとしたら元ネタがあるのかもしれない。
彼らの音楽を説明するならブラックメタルに強い影響を受けたハードコアだろうか。所謂ブラッケンドというと手っ取り早いのだが、まあ待ってほしい。オリジナルとなるアルバムリリースされたのは1998年(アルバムは1年速いようだ)でバンド自体は95年からやっている訳だ。きっと当時には「ブラッケンド」という言葉はなかったのではなかろうか。いわばオリジネーターの一角をになうバンドなのだろうがメジャーさで言えばどうだろうか?(私が知らなかっただけでひょっとしたらみんな知っているのかもしれないが。)
一見無慈悲に見えるが実は陰としたメロディを奥に秘めたのトレモロリフ。元々共通項があるハードコアとブラックメタルなのでこの融合は非常にしっくり来る。ボーカルは複数人がとる体制で、恐らくメンバーチェンジもあってか結構バリエーションがある。Gehennaを思わせる厭世観/嫌悪型満点のブラックメタラーもはだしで逃げ出しそうなイーヴィルなもの。いかにもハードコア然とした低音、わーわー叫ぶ高音、そしてのどから吐き出す早口吐き捨てパンクス中音。曲によってはそれらが同時にわめいたりして非常に異形のハードコアらしくてとても良い。このバンドのブラッケンドというのはブラックメタルの技術的なものを取り出して来てハードコアに当てはめているというよりは、とにかくトーラルで見たときの暗さに一番良く反映されている気がする。クラストコアの持つ追い込まれた捨て鉢な厭世観が異界に結びついた様な感じで、ストイックで現実的なハードコアのその先にヤバい世界が見え隠れしました、というイメージ。そういった意味では完全に異世界に負見れ入れているメタルとは違って、神経的に病んできました…感が強く音楽的にはタフさも勢いもある故にそのまずさが恐ろしい。
手元にある音源で一番似ていると思ったのはGehenna。ブラックメタル化した曲調や吐き捨て型のボーカル。この世に対する憎悪しかありませんが?という不遜で冒涜的な態度はかなり似ている。ただGehennaが完全に奇形的な悪魔の首領的な孤高の雰囲気を出しているのに対して、こちらはもっと若くて試行錯誤している印象。ハードコア特有のストレートさでいうとむしろGehennaなのかもしれないが、色々取り入れるどん欲さはこちらに分があるか。全22曲でも結構曲にフックというかバリエーションがあって面白い。(メンバーチェンジの多さで曲にバリエーションが出ている、というのもあるのでは。ボーカルも。)個人的には反復を執拗に繰り返す7分台のスラッジチックな曲は未来先取りだな〜という感じで好き。
今でこそ「ブラッケンド」という言葉は一定の音楽ジャンルを説明する形容詞として定着しているが、その成立には色々なバンドの地道な活動が確実に寄与していたんだなと感慨深い気持ちになるとともに、歴史的な意味を考慮しなくても一個の音源として非常に楽しめる音源。私が買ったショップでは今ならA389からリリースされていてもおかしくない、とか書かれていてなるほどなと思った。「ブラッケンド」というジャンルに目が無い人は見つけたら是非買ってみてどうぞ。
1999年にSound Pollution Recordsから発売された。
元はと言えばtoosmell RecordのHPで見つけたのだが既に在庫はなく、どうやらデジタルでの販売もなさそうなので、他のショップで購入した。
1995年に結成されたバンドで1999年に解散している。どうもバンドメンバーの変遷が多かったようだ。
「私たちの呪いを家に持ち込む」というのはいささか変わったタイトルだ。ひょっとしたら元ネタがあるのかもしれない。
彼らの音楽を説明するならブラックメタルに強い影響を受けたハードコアだろうか。所謂ブラッケンドというと手っ取り早いのだが、まあ待ってほしい。オリジナルとなるアルバムリリースされたのは1998年(アルバムは1年速いようだ)でバンド自体は95年からやっている訳だ。きっと当時には「ブラッケンド」という言葉はなかったのではなかろうか。いわばオリジネーターの一角をになうバンドなのだろうがメジャーさで言えばどうだろうか?(私が知らなかっただけでひょっとしたらみんな知っているのかもしれないが。)
一見無慈悲に見えるが実は陰としたメロディを奥に秘めたのトレモロリフ。元々共通項があるハードコアとブラックメタルなのでこの融合は非常にしっくり来る。ボーカルは複数人がとる体制で、恐らくメンバーチェンジもあってか結構バリエーションがある。Gehennaを思わせる厭世観/嫌悪型満点のブラックメタラーもはだしで逃げ出しそうなイーヴィルなもの。いかにもハードコア然とした低音、わーわー叫ぶ高音、そしてのどから吐き出す早口吐き捨てパンクス中音。曲によってはそれらが同時にわめいたりして非常に異形のハードコアらしくてとても良い。このバンドのブラッケンドというのはブラックメタルの技術的なものを取り出して来てハードコアに当てはめているというよりは、とにかくトーラルで見たときの暗さに一番良く反映されている気がする。クラストコアの持つ追い込まれた捨て鉢な厭世観が異界に結びついた様な感じで、ストイックで現実的なハードコアのその先にヤバい世界が見え隠れしました、というイメージ。そういった意味では完全に異世界に負見れ入れているメタルとは違って、神経的に病んできました…感が強く音楽的にはタフさも勢いもある故にそのまずさが恐ろしい。
手元にある音源で一番似ていると思ったのはGehenna。ブラックメタル化した曲調や吐き捨て型のボーカル。この世に対する憎悪しかありませんが?という不遜で冒涜的な態度はかなり似ている。ただGehennaが完全に奇形的な悪魔の首領的な孤高の雰囲気を出しているのに対して、こちらはもっと若くて試行錯誤している印象。ハードコア特有のストレートさでいうとむしろGehennaなのかもしれないが、色々取り入れるどん欲さはこちらに分があるか。全22曲でも結構曲にフックというかバリエーションがあって面白い。(メンバーチェンジの多さで曲にバリエーションが出ている、というのもあるのでは。ボーカルも。)個人的には反復を執拗に繰り返す7分台のスラッジチックな曲は未来先取りだな〜という感じで好き。
今でこそ「ブラッケンド」という言葉は一定の音楽ジャンルを説明する形容詞として定着しているが、その成立には色々なバンドの地道な活動が確実に寄与していたんだなと感慨深い気持ちになるとともに、歴史的な意味を考慮しなくても一個の音源として非常に楽しめる音源。私が買ったショップでは今ならA389からリリースされていてもおかしくない、とか書かれていてなるほどなと思った。「ブラッケンド」というジャンルに目が無い人は見つけたら是非買ってみてどうぞ。
2016年1月24日日曜日
BUTCHER/Holding Back The Night
アメリカのハードコアバンドの1stアルバム。
(恐らく)自身のレーベルButcher Recordsから2015年にリリースされた。
目下のところLPがメインなんだろうけど、オフィシャルサイトからデジタル版を購入可能。私が買ったのはデジタル。
デビュー作なのだが新人ではない。World Burns to DeathというクラストハードコアバンドのボーカリストJack Controlが新しく始めたバンドだ。(ディスクユニオンのこの音源の紹介にはJackが元World Burns to Deathと紹介されているから脱退してしまったのかな…)他にはAsshole Paradeのメンバーがいるらしい。(日本のSlight Slappersとのスプリットを買った事ある。)日本のForwardというバンドのギタリストSouichi Hisatakeさんがゲストで参加している。ちなみに印象深いコラージュジャケットも日本人のTomohiro Matsudaさんの手によるもの。World Burns to DeathはHG Factからのリリースも、来日経験もあるからその繋がりかも。
私はこのJack Cotrolという人の声が好きでWorld Burns to Deathも今でも聴いたりします。吐き捨てるような男らしい(というより男臭い)ボーカルはいかにもハードコア的なんだけどいわゆるD系のバンドの猛々しい感じとは少し異なるんだよね。もっと掠れていて自暴自棄なところがある。といってもスラッジのような厭世的なものともちがって、もうすこし華がある感じ。良い声なんだ。
音的にはまさにハードコアパンクといった赴き。だいたい平均すると2分位の曲の長さ。速いしぎゅっと詰まっている。ただあくまでもハードコアパンクの形で極端に速過ぎたり、バンドサウンド意外の音を入れたりと行った事はなしの王道。まず主張があり、それを攻撃的な音楽で表現している、といった印象。飾りっけ皆無のストレートさ。ドラムは小気味よくビートを刻み、ベースはあくまでも伸びやかに。ギターの音がとにかく気持ちよい。曲の速さもあってせわしないのだが、ところどころ良く伸びている。そのぎゅーんと行った感じが飾らないのだけど、ギターという楽器の良さがぎゅっと詰まっている様な、そんな音。高音のフレーズもキンキンしていなくて耳にストレートに飛び込んでくる。Jack Controlの声はやっぱり良くて悪っぽさのなかにも何かこちらの軽快を飛び込んでくる様な親しみみたいなのがあって、ハードコアでこんな事も言うのは変化もだけどあったかい感じ。ただ勿論曲に負けないくらいの緊張感で、なにより声の太さもあって迫力満点。そんな土台に流れる様なギターリフだったり、Jackの歌のメロディアスさが良い感じにまざりあってラディカルながら哀愁のあるサウンドに仕上がっている。どの曲も怒り以外の感情にも満ちていてなんといってもそこが良い。
全10曲であっという間の21分。最後まで行ってももう一回という魅力にあふれている。カッコいいわ〜。非常にオススメのハードコアです。是非どうぞ。
(恐らく)自身のレーベルButcher Recordsから2015年にリリースされた。
目下のところLPがメインなんだろうけど、オフィシャルサイトからデジタル版を購入可能。私が買ったのはデジタル。
デビュー作なのだが新人ではない。World Burns to DeathというクラストハードコアバンドのボーカリストJack Controlが新しく始めたバンドだ。(ディスクユニオンのこの音源の紹介にはJackが元World Burns to Deathと紹介されているから脱退してしまったのかな…)他にはAsshole Paradeのメンバーがいるらしい。(日本のSlight Slappersとのスプリットを買った事ある。)日本のForwardというバンドのギタリストSouichi Hisatakeさんがゲストで参加している。ちなみに印象深いコラージュジャケットも日本人のTomohiro Matsudaさんの手によるもの。World Burns to DeathはHG Factからのリリースも、来日経験もあるからその繋がりかも。
私はこのJack Cotrolという人の声が好きでWorld Burns to Deathも今でも聴いたりします。吐き捨てるような男らしい(というより男臭い)ボーカルはいかにもハードコア的なんだけどいわゆるD系のバンドの猛々しい感じとは少し異なるんだよね。もっと掠れていて自暴自棄なところがある。といってもスラッジのような厭世的なものともちがって、もうすこし華がある感じ。良い声なんだ。
音的にはまさにハードコアパンクといった赴き。だいたい平均すると2分位の曲の長さ。速いしぎゅっと詰まっている。ただあくまでもハードコアパンクの形で極端に速過ぎたり、バンドサウンド意外の音を入れたりと行った事はなしの王道。まず主張があり、それを攻撃的な音楽で表現している、といった印象。飾りっけ皆無のストレートさ。ドラムは小気味よくビートを刻み、ベースはあくまでも伸びやかに。ギターの音がとにかく気持ちよい。曲の速さもあってせわしないのだが、ところどころ良く伸びている。そのぎゅーんと行った感じが飾らないのだけど、ギターという楽器の良さがぎゅっと詰まっている様な、そんな音。高音のフレーズもキンキンしていなくて耳にストレートに飛び込んでくる。Jack Controlの声はやっぱり良くて悪っぽさのなかにも何かこちらの軽快を飛び込んでくる様な親しみみたいなのがあって、ハードコアでこんな事も言うのは変化もだけどあったかい感じ。ただ勿論曲に負けないくらいの緊張感で、なにより声の太さもあって迫力満点。そんな土台に流れる様なギターリフだったり、Jackの歌のメロディアスさが良い感じにまざりあってラディカルながら哀愁のあるサウンドに仕上がっている。どの曲も怒り以外の感情にも満ちていてなんといってもそこが良い。
全10曲であっという間の21分。最後まで行ってももう一回という魅力にあふれている。カッコいいわ〜。非常にオススメのハードコアです。是非どうぞ。
2015年12月20日日曜日
This Gift is a Curse/All Hail the Swinelord
スウェーデンはストックホルムのハードコアバンドの2ndアルバム。
2015年にSeason of MIstからリリースされた。
「この贈り物は呪いです」というバンド名が印象的なものの聴いて事無かったが、とあるブログでのレビューが気になりBandcampで購入した。
自らの音楽を「重たいタール」と称するが言い得て妙であり、重厚かつねっとりと悪意の粘性に富んでいる。「豚王万歳」というアルバムタイトルも皮肉が利いて薄ら笑いのシニカルさが感じ取れる。
その音楽性はハードコアを基調としたもの。昨今一部で隆盛を見せている所謂ブラッケンドな音楽性でもって分厚く金属質なギターが雪崩のように責め立ててくる。影響を受けたもの「聖書」を挙げてくるあたり(BandcampのタグにはDeathspell Omegaが入っている)、思想的にもブラックメタル感があり、また音の方にもその影響は色濃く感じる。一番は間断無いトレモロリフで音作りがやや生々しいのでコールド感はそこまで無いが、一見優しさ皆無の容赦ない曲の隠れたメロディメイカーだったりする。クワイアっぽいアウトロを曲によっては入れたりして、そこら辺もハードコアから一歩進んだブラッケンド感をアピール。
曲は中速以上のスピードだが、速度を下げたりフィードバックノイズも多めでスラッジの要素を大胆に取り入れている。バンドアンサンブルを基調としたストレートな音作りだが、弾きまくるリフと展開が大仰とは言わないにしても空間的には広がっていく様な音作り。曲によってはポストメタル風のインストを挟んだり模するので、密室っぽいカルトメタルというよりはストレートなハードコアを感じさせるもの。音の一つ一つも詰まっていて質量がある。トレモロリフも相まってとにかく曲の密度が異常に濃い。しかも霧のような茫洋なものというよりはもっと実体のあるもの。なるほど「タール」である。これは思わずにやりとした。
このバンドの魅力はそのぎゅっと詰まった演奏に加えて、なんといってもボーカルでハードコアっぽい男っぽい咆哮スタイルなんだが、ハードコアにしては邪悪すぎる。ブラックメタルのイーヴィルなものとも一線を画す。私的にはNeurosisのScott Kellyにちょっとだけ似ているように聴こえる。声量が迫力を生み出し、余裕の無い感じが言葉に真実みを与える。(彼らの歌詞が分からないのが悔しい。)
面白いのは演奏は結構緻密でずっしりしていて喧しい。もしボーカルが違う人だったらこのバンドの印象はもっと違ったものではないかなと思う。もっとポストメタルっぽくカッチリ聴こえたのではと思う。ボーカルはバンドの顔とは言うらしいが、確かにこの邪悪なバンドの悪さをボーカルが結構な割合でになっているのだなと。
悪意の暴風雨でその衝撃に身をのけぞってしまうのだが、それが不思議と楽しい。
タールの様な真っ黒い音楽に目がない人は是非どうぞ。非常にオススメ!
2015年にSeason of MIstからリリースされた。
「この贈り物は呪いです」というバンド名が印象的なものの聴いて事無かったが、とあるブログでのレビューが気になりBandcampで購入した。
自らの音楽を「重たいタール」と称するが言い得て妙であり、重厚かつねっとりと悪意の粘性に富んでいる。「豚王万歳」というアルバムタイトルも皮肉が利いて薄ら笑いのシニカルさが感じ取れる。
その音楽性はハードコアを基調としたもの。昨今一部で隆盛を見せている所謂ブラッケンドな音楽性でもって分厚く金属質なギターが雪崩のように責め立ててくる。影響を受けたもの「聖書」を挙げてくるあたり(BandcampのタグにはDeathspell Omegaが入っている)、思想的にもブラックメタル感があり、また音の方にもその影響は色濃く感じる。一番は間断無いトレモロリフで音作りがやや生々しいのでコールド感はそこまで無いが、一見優しさ皆無の容赦ない曲の隠れたメロディメイカーだったりする。クワイアっぽいアウトロを曲によっては入れたりして、そこら辺もハードコアから一歩進んだブラッケンド感をアピール。
曲は中速以上のスピードだが、速度を下げたりフィードバックノイズも多めでスラッジの要素を大胆に取り入れている。バンドアンサンブルを基調としたストレートな音作りだが、弾きまくるリフと展開が大仰とは言わないにしても空間的には広がっていく様な音作り。曲によってはポストメタル風のインストを挟んだり模するので、密室っぽいカルトメタルというよりはストレートなハードコアを感じさせるもの。音の一つ一つも詰まっていて質量がある。トレモロリフも相まってとにかく曲の密度が異常に濃い。しかも霧のような茫洋なものというよりはもっと実体のあるもの。なるほど「タール」である。これは思わずにやりとした。
このバンドの魅力はそのぎゅっと詰まった演奏に加えて、なんといってもボーカルでハードコアっぽい男っぽい咆哮スタイルなんだが、ハードコアにしては邪悪すぎる。ブラックメタルのイーヴィルなものとも一線を画す。私的にはNeurosisのScott Kellyにちょっとだけ似ているように聴こえる。声量が迫力を生み出し、余裕の無い感じが言葉に真実みを与える。(彼らの歌詞が分からないのが悔しい。)
面白いのは演奏は結構緻密でずっしりしていて喧しい。もしボーカルが違う人だったらこのバンドの印象はもっと違ったものではないかなと思う。もっとポストメタルっぽくカッチリ聴こえたのではと思う。ボーカルはバンドの顔とは言うらしいが、確かにこの邪悪なバンドの悪さをボーカルが結構な割合でになっているのだなと。
悪意の暴風雨でその衝撃に身をのけぞってしまうのだが、それが不思議と楽しい。
タールの様な真っ黒い音楽に目がない人は是非どうぞ。非常にオススメ!
2015年12月12日土曜日
Totem Skin/Weltschmerz
スウェーデンはボルレンゲ、Falun(ファラン?ファルン?)のクラストハードコアバンドの2ndアルバム。
2015年に複数のレーベルからリリースされた。私の買ったのはデジタル版。
タイトルになっている「Weltschmerz」とはドイツ語で世界苦、厭世を意味する言葉らしい。生と死を混ぜて白でまとめあげた印象的なアートワークはChris Panatierの手によるもの。2012年に3人体制で発足したバンドはメンバーチェンジを繰り返し今は5人体制でやっているようだ。(彼らのFBより)
ダークハードコアとも評されるその音楽性は苛烈なハードコアを基調に、哀切に満ちたメロディを大胆に取り入れたもの。本人たちも自らの音楽性を「Fast,Heavy,Atmospheric」と称している。矢継ぎ早に繰り出される全7曲はまるでブリザードのよう。ブラッケンドとも称されるのは掠れていい感じにイーヴィルな質感を持っているボーカルの片割れと、ひたすら弾きまくるギターリフ故か。ただブラックメタル的な冷たさはあまり感じられなく、ギターリフにしても例えば6曲目なんかは勇壮でこちらを鼓舞してくる様な異常な”熱気”に満ちている。ニヒリスティックでお前を殺して私も死ぬ的なブラック感というより、タイトル通り生きる故の苦しみを悩み抜いた末に熱い気持ちとともにこの世にまき散らした様な気概を感じる。
ざらついた質感のギターの音は確かに今風だが、コンパクトにまとめあげて来たファッション性は皆無で、持てる武器を最大限に有効活用し、過去にリスペクトを捧げつつ、あくまでも伝統に則りその枠を超えようとする温故知新のその音楽性には頭が下がるばかり。なんら奇抜な事はやっていないのだが、人間の表現力(の結果)というのは想像を軽く追い越していく。
メロディアスと言ってもボーカルが分かりやすいサビを歌い上げる訳ではなく、轟音の嵐の中にそのメロディがわずかに終えるもの、アコースティックギターの静謐なアルペジオ、男臭いコーラスワーク、それからバンドアンサンブルで竜巻の中心に突っ込んでいくように爆走するその轟音自体がメロディとなっているものと表現の仕方は様々。どれも飾りっけなし。例えば5曲目なんかは中盤から後半にかけてのクライマックス感は半端無く、暴風雨の中叫びまくる後ろで泣きまくるギターがささくれた旨に火をつける。あったかい。ひたすら五月蝿い音楽何故こんなに涙腺を責め立ててくるのか分からないながらも涙がちょちょギレル激アツな展開に思わず笑い泣きの1曲。リピートが止まらん。
何の気なしにかったらとんでもない音源だった!的な嬉しさ満点の1枚。熱い音楽を聞きてえなという心も体も12月の空気に冷えきった貴方を熱くさせる激オススメの音楽を是非どーぞ。
2015年に複数のレーベルからリリースされた。私の買ったのはデジタル版。
タイトルになっている「Weltschmerz」とはドイツ語で世界苦、厭世を意味する言葉らしい。生と死を混ぜて白でまとめあげた印象的なアートワークはChris Panatierの手によるもの。2012年に3人体制で発足したバンドはメンバーチェンジを繰り返し今は5人体制でやっているようだ。(彼らのFBより)
ダークハードコアとも評されるその音楽性は苛烈なハードコアを基調に、哀切に満ちたメロディを大胆に取り入れたもの。本人たちも自らの音楽性を「Fast,Heavy,Atmospheric」と称している。矢継ぎ早に繰り出される全7曲はまるでブリザードのよう。ブラッケンドとも称されるのは掠れていい感じにイーヴィルな質感を持っているボーカルの片割れと、ひたすら弾きまくるギターリフ故か。ただブラックメタル的な冷たさはあまり感じられなく、ギターリフにしても例えば6曲目なんかは勇壮でこちらを鼓舞してくる様な異常な”熱気”に満ちている。ニヒリスティックでお前を殺して私も死ぬ的なブラック感というより、タイトル通り生きる故の苦しみを悩み抜いた末に熱い気持ちとともにこの世にまき散らした様な気概を感じる。
ざらついた質感のギターの音は確かに今風だが、コンパクトにまとめあげて来たファッション性は皆無で、持てる武器を最大限に有効活用し、過去にリスペクトを捧げつつ、あくまでも伝統に則りその枠を超えようとする温故知新のその音楽性には頭が下がるばかり。なんら奇抜な事はやっていないのだが、人間の表現力(の結果)というのは想像を軽く追い越していく。
メロディアスと言ってもボーカルが分かりやすいサビを歌い上げる訳ではなく、轟音の嵐の中にそのメロディがわずかに終えるもの、アコースティックギターの静謐なアルペジオ、男臭いコーラスワーク、それからバンドアンサンブルで竜巻の中心に突っ込んでいくように爆走するその轟音自体がメロディとなっているものと表現の仕方は様々。どれも飾りっけなし。例えば5曲目なんかは中盤から後半にかけてのクライマックス感は半端無く、暴風雨の中叫びまくる後ろで泣きまくるギターがささくれた旨に火をつける。あったかい。ひたすら五月蝿い音楽何故こんなに涙腺を責め立ててくるのか分からないながらも涙がちょちょギレル激アツな展開に思わず笑い泣きの1曲。リピートが止まらん。
何の気なしにかったらとんでもない音源だった!的な嬉しさ満点の1枚。熱い音楽を聞きてえなという心も体も12月の空気に冷えきった貴方を熱くさせる激オススメの音楽を是非どーぞ。
ラベル:
Totem Skin,
クラストコア,
スウェーデン,
ハードコア,
音楽
2015年11月22日日曜日
Extreme Noise Terror/Extreme Noise Terror
イギリスはイングランド、イプスウィッチのハードコアバンドの6thアルバム。
2015年にWillowtip Recordsからリリースされた。
不穏なコラージュで構成されたモノクロジャケットがカッコいい6作目にしてバンド名を冠してアルバム。
Extreme Noise Terrorといえば1985年結成からバンド名通りエクストリームな音楽界にその名を轟かすバンドなのだが、私はちゃんと聴くのはこのアルバムが初めて。同郷のこちらもいける伝説Napalm Deathと一時期ボーカリストを交換していた、というエピソードあったよね。(調べてみると1996年ごろのことのようだ。)
全13曲で26分だからやはり平均すると1曲2分くらいの”速い”バンドだなという事が分かる。クラストコアを土台にグラインドコアやデスメタル(Metallumには後期はデスメタルと書かれている!)を飲み込んだその音楽性は確かに速いのだけど、速さにだけ特化した音楽とは明確に一線を画す。まず聴いて驚いた事が二つあって一つ目はパンクっぽい!ドコドコスタスタ叩くドラムのビート。それからささくれ立ったギターの音質と、高くいななく様な高音リフ(勿論こちらが本家なんだろうけどWorld Burns to Deathを思い出した。)がとにかくオールドスクールなパンク感を演出する。渋い、まさにいぶし銀な、バックグラウンドを感じさせる動の入りっぷりに思わずうおおと熱くなる。
もう一つ驚いたのがボーカルで、ライオンの様な金髪のたてがみがアンチヒーローのようなDean Jonesの声はDischargeからの直系を感じさせる男臭い吐き捨て型なのだけど、これがデスメタルバンドをはったおす様な迫力!唸り上げるさまは獣じみていておっかない。デスメタルとは全然違うのだけど強面という形容詞がぴったりの声質。低音がなり、高音ギャーギャーが目立ちがちなんだけど、力を込めずに早口で巻くしたるところが個人的にはカッコいいと思う。
疾走感というのは単純な体感速度にすべて左右される訳ではないなと実感。例えば10曲目はスラッシーなリフから開始するのにあっという間にハードコアな展開に流れ込む。流れる様に弾き倒すリフがとっても気持ちよい。必殺という感じでの高音フレーズもサビ以上に饒舌。ラスト13曲目はスラッジーな展開で幕を開けつつやはりお得意のハードコアに引きずり込む。飽きさせない展開は流石だが、きっちりとぶれない軸が曲とバンドを軽薄なものにしていない。キッチリ自分たちのカラーがあるバンドなんだなあと実感。
どんな音楽だろうドキドキと聴いてみたけど、ストレートなハードコアパンクでビックリした。勿論メタルっぽさも感じられるのだけどトータルではハードコアパンク。バンドの歴史を感じさせるどうどうとした仕上がりにしびれた。オススメ。
2015年にWillowtip Recordsからリリースされた。
不穏なコラージュで構成されたモノクロジャケットがカッコいい6作目にしてバンド名を冠してアルバム。
Extreme Noise Terrorといえば1985年結成からバンド名通りエクストリームな音楽界にその名を轟かすバンドなのだが、私はちゃんと聴くのはこのアルバムが初めて。同郷のこちらもいける伝説Napalm Deathと一時期ボーカリストを交換していた、というエピソードあったよね。(調べてみると1996年ごろのことのようだ。)
全13曲で26分だからやはり平均すると1曲2分くらいの”速い”バンドだなという事が分かる。クラストコアを土台にグラインドコアやデスメタル(Metallumには後期はデスメタルと書かれている!)を飲み込んだその音楽性は確かに速いのだけど、速さにだけ特化した音楽とは明確に一線を画す。まず聴いて驚いた事が二つあって一つ目はパンクっぽい!ドコドコスタスタ叩くドラムのビート。それからささくれ立ったギターの音質と、高くいななく様な高音リフ(勿論こちらが本家なんだろうけどWorld Burns to Deathを思い出した。)がとにかくオールドスクールなパンク感を演出する。渋い、まさにいぶし銀な、バックグラウンドを感じさせる動の入りっぷりに思わずうおおと熱くなる。
もう一つ驚いたのがボーカルで、ライオンの様な金髪のたてがみがアンチヒーローのようなDean Jonesの声はDischargeからの直系を感じさせる男臭い吐き捨て型なのだけど、これがデスメタルバンドをはったおす様な迫力!唸り上げるさまは獣じみていておっかない。デスメタルとは全然違うのだけど強面という形容詞がぴったりの声質。低音がなり、高音ギャーギャーが目立ちがちなんだけど、力を込めずに早口で巻くしたるところが個人的にはカッコいいと思う。
疾走感というのは単純な体感速度にすべて左右される訳ではないなと実感。例えば10曲目はスラッシーなリフから開始するのにあっという間にハードコアな展開に流れ込む。流れる様に弾き倒すリフがとっても気持ちよい。必殺という感じでの高音フレーズもサビ以上に饒舌。ラスト13曲目はスラッジーな展開で幕を開けつつやはりお得意のハードコアに引きずり込む。飽きさせない展開は流石だが、きっちりとぶれない軸が曲とバンドを軽薄なものにしていない。キッチリ自分たちのカラーがあるバンドなんだなあと実感。
どんな音楽だろうドキドキと聴いてみたけど、ストレートなハードコアパンクでビックリした。勿論メタルっぽさも感じられるのだけどトータルではハードコアパンク。バンドの歴史を感じさせるどうどうとした仕上がりにしびれた。オススメ。
2015年10月3日土曜日
Knave/Discography of Darkcore-X
日本は大分県のダークコアバンドのディスコグラフィー盤。
2015年に自主リリースされた。
独特の3つ折トールケースでつや消しブラックに銀が鈍く光る凝った装丁。結成10周年を記念し、今までにリリースしたデモ音源、1stミニアルバム、Grind Bastards!のコンピに収録された曲群に未発表曲を1曲追加した全22曲。
Knaveを初めて知ったのはyoutubeの映像である。
路上ライブである。私はだいたいメタルの中でも特に激烈な個性を持ったバンドというのは現実から乖離している分、真っ暗な深夜のライブハウスがある種の舞台装置として必要というか、一番映えるのではと思っていた。しかし彼らは曇天の下恐らく真っ昼間から人の行き交う路上でもってライブを演奏していたのである。それも顔と体にはコープスペイントを施し、鋲を打ちまくった革ジャン、ガンベルト、ニードルのついた衣装と完全にブラックメタル全開の格好で持ってである。私は自分の未熟な認識を恥じるとともに、このバンドのいわば一番自分たちから遠いところに打って出るというその一歩も引かない姿勢に大いに感銘を受けたのである。素直にかっこ良い。
音源を探したものの売り切れ状態で歯嚙みしていたところ今回のリリースという事で飛びついた次第。
自分たちの音楽を持ってしてダークコアと称するその性質というのはやはり強烈であって、なるほどこれはダークコアを自称するのも納得の出来。
もっとブラックメタル然としている音楽を想像していたのだが良い意味でそれが裏切られた。ぱっと思い浮かんだのはグラインドコアっぽいなと。要するにストレートかつ重たく速い。音楽性は攻撃性に満ちている。ブラックメタルの持つ(本当に色んなバンドがいるので)儚さや内省性というのはあまり感じさせず、またいわゆるトレモロに彩られた美メロというのもほぼほぼ無い。とにかくもっと邪悪で勢いがある。時間と空間を真っ黒に染め上げていく暴風雨のようである。
音質は良いとは言えない。ずたずた突っ走るドラムはハードコア的である。ブラストビートは素直に気持ちよい。曲によっては冒頭にクリーンなトーンでアルペジオをみせる事もあるが、基本的には低音に特化したギターは人数が少ない分音の厚みが半端無い。ぎゃりぎゃりとした湿りっけのある音でひたすら黒い。時にリフが判別できないほど。ボーカルは金切り声を一歩か二歩進めた超音波ボイスの用で「キィイイイイイイ」とまさに耳をつんざく悲鳴のようだ。これはヤバい。常軌を逸している。たまに入る低音グロウルに何かしら落ち着きを感じてしまうほどだ。
短くて1分以下、だいたい3分前後でほぼほぼ突っ走りまくる。(恐らく)基本バンド編成のみで構築されていて余計な音の付け入る隙がない。その音楽性はとにかく喧しいとしか言いようが無い。真っ黒いノイズ。この徹底的な荒廃は例えばGazaだったりに少し似ているところがある。美的感覚を決定的に欠いたその容赦のない音楽性が、結果的にある種の退廃的な美(問いって良いのか分からないが)を獲得している様な希有な音楽性である。なるほどこれがダークコアかと思った次第。
予想と違ったがその恐ろしさに呆然とした音楽体験であった。容赦ない。黒い引力。これはカッコいい。殺気に満ちた音楽を聴きたい人は是非に。オススメ。
2015年に自主リリースされた。
独特の3つ折トールケースでつや消しブラックに銀が鈍く光る凝った装丁。結成10周年を記念し、今までにリリースしたデモ音源、1stミニアルバム、Grind Bastards!のコンピに収録された曲群に未発表曲を1曲追加した全22曲。
Knaveを初めて知ったのはyoutubeの映像である。
路上ライブである。私はだいたいメタルの中でも特に激烈な個性を持ったバンドというのは現実から乖離している分、真っ暗な深夜のライブハウスがある種の舞台装置として必要というか、一番映えるのではと思っていた。しかし彼らは曇天の下恐らく真っ昼間から人の行き交う路上でもってライブを演奏していたのである。それも顔と体にはコープスペイントを施し、鋲を打ちまくった革ジャン、ガンベルト、ニードルのついた衣装と完全にブラックメタル全開の格好で持ってである。私は自分の未熟な認識を恥じるとともに、このバンドのいわば一番自分たちから遠いところに打って出るというその一歩も引かない姿勢に大いに感銘を受けたのである。素直にかっこ良い。
音源を探したものの売り切れ状態で歯嚙みしていたところ今回のリリースという事で飛びついた次第。
自分たちの音楽を持ってしてダークコアと称するその性質というのはやはり強烈であって、なるほどこれはダークコアを自称するのも納得の出来。
もっとブラックメタル然としている音楽を想像していたのだが良い意味でそれが裏切られた。ぱっと思い浮かんだのはグラインドコアっぽいなと。要するにストレートかつ重たく速い。音楽性は攻撃性に満ちている。ブラックメタルの持つ(本当に色んなバンドがいるので)儚さや内省性というのはあまり感じさせず、またいわゆるトレモロに彩られた美メロというのもほぼほぼ無い。とにかくもっと邪悪で勢いがある。時間と空間を真っ黒に染め上げていく暴風雨のようである。
音質は良いとは言えない。ずたずた突っ走るドラムはハードコア的である。ブラストビートは素直に気持ちよい。曲によっては冒頭にクリーンなトーンでアルペジオをみせる事もあるが、基本的には低音に特化したギターは人数が少ない分音の厚みが半端無い。ぎゃりぎゃりとした湿りっけのある音でひたすら黒い。時にリフが判別できないほど。ボーカルは金切り声を一歩か二歩進めた超音波ボイスの用で「キィイイイイイイ」とまさに耳をつんざく悲鳴のようだ。これはヤバい。常軌を逸している。たまに入る低音グロウルに何かしら落ち着きを感じてしまうほどだ。
短くて1分以下、だいたい3分前後でほぼほぼ突っ走りまくる。(恐らく)基本バンド編成のみで構築されていて余計な音の付け入る隙がない。その音楽性はとにかく喧しいとしか言いようが無い。真っ黒いノイズ。この徹底的な荒廃は例えばGazaだったりに少し似ているところがある。美的感覚を決定的に欠いたその容赦のない音楽性が、結果的にある種の退廃的な美(問いって良いのか分からないが)を獲得している様な希有な音楽性である。なるほどこれがダークコアかと思った次第。
予想と違ったがその恐ろしさに呆然とした音楽体験であった。容赦ない。黒い引力。これはカッコいい。殺気に満ちた音楽を聴きたい人は是非に。オススメ。
2015年9月6日日曜日
Downfall of Gaia/Aeon Unveils the Thrones of Decay
ドイツはハンブルク、ベルリンそしてアメリカはニューヨークのメンバーが在籍するネオクラストバンドの3rdアルバム。
2014年にMetal Blade Recordsからリリースされた。
発売は去年だしネオクラストと言えばマイナー界隈では良く目にするジャンルでなんで今更という感じだが、このバンド日本のTokyo Jupiter RecordsとLongLegsLongArmsという二つのレーベルが共同でぶちあげた来る11月に開催されるその名もTJLA Festのヘッドライナーで来日する事が決まっており、慌てふためいて買って来たのが私なのである。完全に後追いも良いところで恐縮です。
さてこのバンドは2008年に結成されてメンバーチェンジがありつつも現在は四人体制でやっているという事。「アイオーンが腐敗の王を暴く」と中々物々しいタイトルでもってどちらかというとデスメタル感さえ漂う。
いざ再生ボタンを押すと結構驚いた。ネオクラストというと私はほとんど素人であるからどうしても最近聴いたKhmerだったり、同郷のAlpinistだったりをなんとなく頭に浮かべていた訳なのだが、それれのバンドとは共通点はありつつも相違点がデカく、そこに圧倒されたのであった。まず曲の尺が極めて長い。インタールード的な曲をのぞけばだいたい8分から11分くらい。ハードコアでこれだけの長さとなると真っ先に曲の速度を著しく落としたスラッジが頭に浮かぶし、(Metallumでもアトモスフェリックスラッジと称されている)なるほど速度を落としたスラッジパートも盛り込んでいる。ただアトモスフェリックという形容詞があるように汚いズルズルとしたスラッジ感というよりはポストロック、ポストハードコアを通過した轟音の中にも寂寥とした荘厳な美しさを感じさせる、そっちの方の要素が強い。そしてそのスラッジパートもあくまでもパートとしてなので全編低速で無声な訳ではない。要するに曲がドラマチックなのだ。展開が複雑という意味である。前述の通りポストハードコア感が強いのだが、しょっちゅう出てくる荒々しさは確かにクラストのもの。激情という言葉が上手く彼らのイメージを補完する訳なのだが、私はその荒々しさの先頭に立つ様なボーカルの恐ろしさにビックリしてしまったのである。掠れまくったそれはブラックメタル感を感じさせつつもそこにとどまらない異様な存在感を放っている訳で、一言で言うならおっかないな、という感じでただただ圧倒されたのだった。
ところがむむむという感じでイマイチ掴みきれなかったこの音源も、2回3回と聴いていくとその本当の姿がやっと見えて来た。それは徹底的に荒廃しつつもどこかしら幻想的な雰囲気のある音風景である。まったく制約があってのアートワークは今や中の音楽と完全に一体となっている様な気がするのだが、印象的なジャケットは良くこのバンドの音楽を表現している。暗くて荒涼としているがどこかしら詩情のある風景だ。何と行ってもこのバンドは演奏が劇的。ドラマチックという言葉がぴったり。同じネオクラストでもLight Bearer方面。(ネオクラストとか全然知らない頃に「Lapsus」を買った。)あくまでもバンドサウンドの形でしかも暗くて重い方に完全に舵を切っているのによくもここまで豊かな曲を作れるものだと思う。それこそポスト感の漂う停滞した様なスラッジパート。クリーンな余韻がたまらないアルペジオ。一点ブラックメタルそこのけのトレモロの嵐感。静と動はやはりこの手のジャンルのお家芸だが、クラストバンドがそのフォーマットでポスト感を完全に飲み込んでしまうとは結構な驚きである。(ポスト感横溢しているもののあくまでもクラストフォーマットに則っている様な。)個人的にはドラムが回すように勇壮なマーチっぽいリズムを刻んで2本のギターが切ないトレモロを奏でる2曲目の最終部分は白眉。
良い意味で予想と違った内容で驚いた作品。とにかく荒々しく劇的。来日するわけだしこの機会にまだの人は是非どうぞ。オススメです。
2014年にMetal Blade Recordsからリリースされた。
発売は去年だしネオクラストと言えばマイナー界隈では良く目にするジャンルでなんで今更という感じだが、このバンド日本のTokyo Jupiter RecordsとLongLegsLongArmsという二つのレーベルが共同でぶちあげた来る11月に開催されるその名もTJLA Festのヘッドライナーで来日する事が決まっており、慌てふためいて買って来たのが私なのである。完全に後追いも良いところで恐縮です。
さてこのバンドは2008年に結成されてメンバーチェンジがありつつも現在は四人体制でやっているという事。「アイオーンが腐敗の王を暴く」と中々物々しいタイトルでもってどちらかというとデスメタル感さえ漂う。
いざ再生ボタンを押すと結構驚いた。ネオクラストというと私はほとんど素人であるからどうしても最近聴いたKhmerだったり、同郷のAlpinistだったりをなんとなく頭に浮かべていた訳なのだが、それれのバンドとは共通点はありつつも相違点がデカく、そこに圧倒されたのであった。まず曲の尺が極めて長い。インタールード的な曲をのぞけばだいたい8分から11分くらい。ハードコアでこれだけの長さとなると真っ先に曲の速度を著しく落としたスラッジが頭に浮かぶし、(Metallumでもアトモスフェリックスラッジと称されている)なるほど速度を落としたスラッジパートも盛り込んでいる。ただアトモスフェリックという形容詞があるように汚いズルズルとしたスラッジ感というよりはポストロック、ポストハードコアを通過した轟音の中にも寂寥とした荘厳な美しさを感じさせる、そっちの方の要素が強い。そしてそのスラッジパートもあくまでもパートとしてなので全編低速で無声な訳ではない。要するに曲がドラマチックなのだ。展開が複雑という意味である。前述の通りポストハードコア感が強いのだが、しょっちゅう出てくる荒々しさは確かにクラストのもの。激情という言葉が上手く彼らのイメージを補完する訳なのだが、私はその荒々しさの先頭に立つ様なボーカルの恐ろしさにビックリしてしまったのである。掠れまくったそれはブラックメタル感を感じさせつつもそこにとどまらない異様な存在感を放っている訳で、一言で言うならおっかないな、という感じでただただ圧倒されたのだった。
ところがむむむという感じでイマイチ掴みきれなかったこの音源も、2回3回と聴いていくとその本当の姿がやっと見えて来た。それは徹底的に荒廃しつつもどこかしら幻想的な雰囲気のある音風景である。まったく制約があってのアートワークは今や中の音楽と完全に一体となっている様な気がするのだが、印象的なジャケットは良くこのバンドの音楽を表現している。暗くて荒涼としているがどこかしら詩情のある風景だ。何と行ってもこのバンドは演奏が劇的。ドラマチックという言葉がぴったり。同じネオクラストでもLight Bearer方面。(ネオクラストとか全然知らない頃に「Lapsus」を買った。)あくまでもバンドサウンドの形でしかも暗くて重い方に完全に舵を切っているのによくもここまで豊かな曲を作れるものだと思う。それこそポスト感の漂う停滞した様なスラッジパート。クリーンな余韻がたまらないアルペジオ。一点ブラックメタルそこのけのトレモロの嵐感。静と動はやはりこの手のジャンルのお家芸だが、クラストバンドがそのフォーマットでポスト感を完全に飲み込んでしまうとは結構な驚きである。(ポスト感横溢しているもののあくまでもクラストフォーマットに則っている様な。)個人的にはドラムが回すように勇壮なマーチっぽいリズムを刻んで2本のギターが切ないトレモロを奏でる2曲目の最終部分は白眉。
良い意味で予想と違った内容で驚いた作品。とにかく荒々しく劇的。来日するわけだしこの機会にまだの人は是非どうぞ。オススメです。
2015年8月16日日曜日
Alpinist/Lichtlaerm/Minus.Mensch
ドイツのミュンスターのネオクラストバンドの1stアルバムと2ndアルバムをくっつけた編集版。
2011年にSouthern Lord Record Recordingsからリリースされた。
2000枚限定で私が持っているのは999番。ぞろ目でなんか嬉しいです。
バンドは2007年結成。ネオクラストの文脈で語られるバンドで私は完全に後追いですがディストロの紹介で視聴したらかっこ良かったもので購入。
2ndアルバムLichtlaerm(2010)は「明るい騒音」1stアルバムMinus.Mensch(2009)は「マイナス。人間」という感じではっきりとはしていないもののなんとなーく彼らの姿勢というが見える様な気が。このアルバム2枚目が頭の面白い構造(普通は時系列に並べるのかな?と思います)なんですが、スパンが1年という事もあり路線も同じなのでそんなに違和感無く聴けます。
FBのジャンルには重たく低く速く遅く暗いハードコアと書かれており、この説明だけでだいたい好きなヤツだなと分かりますね。
クラストを土台にした呵責の無いハードコアなんだが、同時に滅茶苦茶ドラマティックで爆発寸前の激情っぷりに涙がちょちょぎれるタイプの叙情性を持っている。終始喧しいのにここまで感情込められるのが不思議なくらい。
空間を真っ黒に塗りつぶすタイプのハードコアで徹頭徹尾容赦ないが弦楽器が奏でるメロディが疾走感と相まって非常に気持ちがよい。
ドラムはハードコアっぽくズダズダ突進するタイプだが、結構転がすようにタムを回したりして手数は多め。
ギターが暴れる分低音を一手に担っているのかとにかくベースがごろごろ存在感を出してくる。
ギターはどっしり重たい低音で嵐のように左官屋のように塗り籠めてくる塗り壁タイプで、不協和音っぽい高音だったりアルペジオだったり、遅いパートては単音つま弾いたりでで雰囲気だしてくる。とにかくメロディアスに弾き倒してくるのでボーカル以上にギターが歌っている印象。低音リフからの高音トレモロが泣ける。
ボーカルは激情系な絶叫タイプが主体で終始シャウトしっぱなし。血管切れないのだろうかとこっちが心配になってくる。たまに出てくる低音ボーカルも彩りを添えて大変良い。
スローパーともふんだんに取り込んでいるものの基本は疾走するハードコア。かなり極端なジャンルには間違いないのだが、なぜこんなにも感情豊かなのか。ストイックさ、そして全身全霊さ。一番最後の曲、1stアルバムの「Outro」を聴けば分かるのだが、このイントロの曲の中には荒々しさの中にもポストロックを彷彿とさせる空間的な広がりと、音の厚みが重なって作られるアンサンブルが強く意識されている。ボーカルなしのただのアウトロと侮るなかれの魅力がぎゅっと詰まっていて、ここにこのバンドのすごさをかいま見た。小器用さ、ひけらかしとは無縁のバンドだが、無骨な音楽性をささえる圧倒的な表現力の豊かさがギラリと光る。彼らの言葉は血が通っている故に聞き手に対して説得力があるのだろうと思った。
ある程度聴いていると結構なれてくるのだが、曲の終わり引きずる様なフィードバックノイズでこのビリビリ震える様な重低音を再認識する様な感じでまさに圧倒的な余韻。
2000枚限定でBandcampはあるもののデジタル販売はやっていない様なので気になる人は速めにゲットしておくのが良いかと。
2011年にSouthern Lord Record Recordingsからリリースされた。
2000枚限定で私が持っているのは999番。ぞろ目でなんか嬉しいです。
バンドは2007年結成。ネオクラストの文脈で語られるバンドで私は完全に後追いですがディストロの紹介で視聴したらかっこ良かったもので購入。
2ndアルバムLichtlaerm(2010)は「明るい騒音」1stアルバムMinus.Mensch(2009)は「マイナス。人間」という感じではっきりとはしていないもののなんとなーく彼らの姿勢というが見える様な気が。このアルバム2枚目が頭の面白い構造(普通は時系列に並べるのかな?と思います)なんですが、スパンが1年という事もあり路線も同じなのでそんなに違和感無く聴けます。
FBのジャンルには重たく低く速く遅く暗いハードコアと書かれており、この説明だけでだいたい好きなヤツだなと分かりますね。
クラストを土台にした呵責の無いハードコアなんだが、同時に滅茶苦茶ドラマティックで爆発寸前の激情っぷりに涙がちょちょぎれるタイプの叙情性を持っている。終始喧しいのにここまで感情込められるのが不思議なくらい。
空間を真っ黒に塗りつぶすタイプのハードコアで徹頭徹尾容赦ないが弦楽器が奏でるメロディが疾走感と相まって非常に気持ちがよい。
ドラムはハードコアっぽくズダズダ突進するタイプだが、結構転がすようにタムを回したりして手数は多め。
ギターが暴れる分低音を一手に担っているのかとにかくベースがごろごろ存在感を出してくる。
ギターはどっしり重たい低音で嵐のように左官屋のように塗り籠めてくる塗り壁タイプで、不協和音っぽい高音だったりアルペジオだったり、遅いパートては単音つま弾いたりでで雰囲気だしてくる。とにかくメロディアスに弾き倒してくるのでボーカル以上にギターが歌っている印象。低音リフからの高音トレモロが泣ける。
ボーカルは激情系な絶叫タイプが主体で終始シャウトしっぱなし。血管切れないのだろうかとこっちが心配になってくる。たまに出てくる低音ボーカルも彩りを添えて大変良い。
スローパーともふんだんに取り込んでいるものの基本は疾走するハードコア。かなり極端なジャンルには間違いないのだが、なぜこんなにも感情豊かなのか。ストイックさ、そして全身全霊さ。一番最後の曲、1stアルバムの「Outro」を聴けば分かるのだが、このイントロの曲の中には荒々しさの中にもポストロックを彷彿とさせる空間的な広がりと、音の厚みが重なって作られるアンサンブルが強く意識されている。ボーカルなしのただのアウトロと侮るなかれの魅力がぎゅっと詰まっていて、ここにこのバンドのすごさをかいま見た。小器用さ、ひけらかしとは無縁のバンドだが、無骨な音楽性をささえる圧倒的な表現力の豊かさがギラリと光る。彼らの言葉は血が通っている故に聞き手に対して説得力があるのだろうと思った。
ある程度聴いていると結構なれてくるのだが、曲の終わり引きずる様なフィードバックノイズでこのビリビリ震える様な重低音を再認識する様な感じでまさに圧倒的な余韻。
2000枚限定でBandcampはあるもののデジタル販売はやっていない様なので気になる人は速めにゲットしておくのが良いかと。
2015年5月24日日曜日
End of All/Same Shit But Different
スウェーデンのハードコアバンドの1stアルバム。
2007年にCrime Against Humanity Recordsからリリースされた。
Wolfebrigadeというバンドのメンバーによって結成されたらしいのだが、前身のバンドもこのバンドも詳細はよくわからない。このアルバムを作った時はメンバーは4人。この後2ndアルバムを2008年に、さらに2009年に音源を出して以来しばらく音沙汰がないようだ。オフィシャルサイトも確認できず。活動休止中なのかも。3LAレコードのラスイチお知らせで視聴したら良かったので買ってみた。
ジャンルとしてはクラストになるのだと思う。Last.fmだとネオクラストのタグも付けられている。ただしメタリックなハードコアという感じでブラッケンド感はあまり感じられず。後述するがボーカル(の片方)くらいかな。かなり男臭く熱い感じ。
曲は2分台がほとんど。速さは底までではない感じ。いわゆるD-Beatのズッタズッタした速さと重厚感のあるドラムに、かなり硬質なベースが乗っかり(ベースはボーカルも兼任)、これまた硬質でギラっとした質感のあるメタリックな重いギターが乗っかる(ギター2人で片方がボーカルをとる)スタイル。今でこそConvergeのKurt Ballouだったりの活躍で隆盛を見せているメタリックな質感を持つハードコアバンドが増えて来たけど、こちらは流行以前から一戦で活動して来たいぶし銀な雰囲気を持つバンド。決して派手ではないのだけど、どっしりとしたかっこよさがある。
一つ目はボーカル。これはかなりドスが利いている男らしい声なんだけど、やっぱりメタル系譜のデス声とは明らかに一線を画す。やはりハードコアを感じさせる。ただ激情のような内省的な雰囲気は無くて、外に向けてフラストレーションをまき散らすタイプ。これは熱い。たまに出てくるもう一人の声は若干ブラックメタルを感じさせるわめき声タイプでこれが良い対比になっている。
二つ目はギターの表情豊かさ。基本黒く塗りつぶす様な重たいリフで突っ走るのだが、たまに短くもバラエティに富んだリフやソロパートが飛び出して来て、曲を豊かなもにしている。バックが黙ってボーカルがそろになる静のパートなどでは、フィードバックノイズも効果的に用いている。
三つ目は2つ目の要素もあるのだけど、曲がメロディックなこと。といってもボーカルは奉公しまくりなので、クリーンパートを導入したりはしていない。ギターが歌うようにメロディアスな旋律を奏でるのと、曲全体に強靭ながらも哀愁のあるメロディラインがあってその二つの要素が相まって独特の詩情を醸し出す事に成功している。この飾らないメロディアスさがクラストコアのアングラな荒々しさと見事に調和していて大変格好いい。
イントロに哀愁のあるアコギを入れてくる、そこから突っ走るのような展開はもはやあざといくらいだが、全体的にハードコアの飾らない誠実さがあって、そこがかっこい。起こっているもののやはり邪悪ではないんだよね。
非常にカッコいいっす。2ndアルバムも是非欲しいんだけど3LAでは売り切れているし、デジタル音源も売っていないようだ。残念。
みつけたら買っておくくらいの気持ちで御願いします。
2007年にCrime Against Humanity Recordsからリリースされた。
Wolfebrigadeというバンドのメンバーによって結成されたらしいのだが、前身のバンドもこのバンドも詳細はよくわからない。このアルバムを作った時はメンバーは4人。この後2ndアルバムを2008年に、さらに2009年に音源を出して以来しばらく音沙汰がないようだ。オフィシャルサイトも確認できず。活動休止中なのかも。3LAレコードのラスイチお知らせで視聴したら良かったので買ってみた。
ジャンルとしてはクラストになるのだと思う。Last.fmだとネオクラストのタグも付けられている。ただしメタリックなハードコアという感じでブラッケンド感はあまり感じられず。後述するがボーカル(の片方)くらいかな。かなり男臭く熱い感じ。
曲は2分台がほとんど。速さは底までではない感じ。いわゆるD-Beatのズッタズッタした速さと重厚感のあるドラムに、かなり硬質なベースが乗っかり(ベースはボーカルも兼任)、これまた硬質でギラっとした質感のあるメタリックな重いギターが乗っかる(ギター2人で片方がボーカルをとる)スタイル。今でこそConvergeのKurt Ballouだったりの活躍で隆盛を見せているメタリックな質感を持つハードコアバンドが増えて来たけど、こちらは流行以前から一戦で活動して来たいぶし銀な雰囲気を持つバンド。決して派手ではないのだけど、どっしりとしたかっこよさがある。
一つ目はボーカル。これはかなりドスが利いている男らしい声なんだけど、やっぱりメタル系譜のデス声とは明らかに一線を画す。やはりハードコアを感じさせる。ただ激情のような内省的な雰囲気は無くて、外に向けてフラストレーションをまき散らすタイプ。これは熱い。たまに出てくるもう一人の声は若干ブラックメタルを感じさせるわめき声タイプでこれが良い対比になっている。
二つ目はギターの表情豊かさ。基本黒く塗りつぶす様な重たいリフで突っ走るのだが、たまに短くもバラエティに富んだリフやソロパートが飛び出して来て、曲を豊かなもにしている。バックが黙ってボーカルがそろになる静のパートなどでは、フィードバックノイズも効果的に用いている。
三つ目は2つ目の要素もあるのだけど、曲がメロディックなこと。といってもボーカルは奉公しまくりなので、クリーンパートを導入したりはしていない。ギターが歌うようにメロディアスな旋律を奏でるのと、曲全体に強靭ながらも哀愁のあるメロディラインがあってその二つの要素が相まって独特の詩情を醸し出す事に成功している。この飾らないメロディアスさがクラストコアのアングラな荒々しさと見事に調和していて大変格好いい。
イントロに哀愁のあるアコギを入れてくる、そこから突っ走るのような展開はもはやあざといくらいだが、全体的にハードコアの飾らない誠実さがあって、そこがかっこい。起こっているもののやはり邪悪ではないんだよね。
非常にカッコいいっす。2ndアルバムも是非欲しいんだけど3LAでは売り切れているし、デジタル音源も売っていないようだ。残念。
みつけたら買っておくくらいの気持ちで御願いします。
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