2015年8月16日日曜日

Alpinist/Lichtlaerm/Minus.Mensch

ドイツのミュンスターのネオクラストバンドの1stアルバムと2ndアルバムをくっつけた編集版。
2011年にSouthern Lord Record Recordingsからリリースされた。
2000枚限定で私が持っているのは999番。ぞろ目でなんか嬉しいです。
バンドは2007年結成。ネオクラストの文脈で語られるバンドで私は完全に後追いですがディストロの紹介で視聴したらかっこ良かったもので購入。

2ndアルバムLichtlaerm(2010)は「明るい騒音」1stアルバムMinus.Mensch(2009)は「マイナス。人間」という感じではっきりとはしていないもののなんとなーく彼らの姿勢というが見える様な気が。このアルバム2枚目が頭の面白い構造(普通は時系列に並べるのかな?と思います)なんですが、スパンが1年という事もあり路線も同じなのでそんなに違和感無く聴けます。
FBのジャンルには重たく低く速く遅く暗いハードコアと書かれており、この説明だけでだいたい好きなヤツだなと分かりますね。
クラストを土台にした呵責の無いハードコアなんだが、同時に滅茶苦茶ドラマティックで爆発寸前の激情っぷりに涙がちょちょぎれるタイプの叙情性を持っている。終始喧しいのにここまで感情込められるのが不思議なくらい。
空間を真っ黒に塗りつぶすタイプのハードコアで徹頭徹尾容赦ないが弦楽器が奏でるメロディが疾走感と相まって非常に気持ちがよい。
ドラムはハードコアっぽくズダズダ突進するタイプだが、結構転がすようにタムを回したりして手数は多め。
ギターが暴れる分低音を一手に担っているのかとにかくベースがごろごろ存在感を出してくる。
ギターはどっしり重たい低音で嵐のように左官屋のように塗り籠めてくる塗り壁タイプで、不協和音っぽい高音だったりアルペジオだったり、遅いパートては単音つま弾いたりでで雰囲気だしてくる。とにかくメロディアスに弾き倒してくるのでボーカル以上にギターが歌っている印象。低音リフからの高音トレモロが泣ける。
ボーカルは激情系な絶叫タイプが主体で終始シャウトしっぱなし。血管切れないのだろうかとこっちが心配になってくる。たまに出てくる低音ボーカルも彩りを添えて大変良い。
スローパーともふんだんに取り込んでいるものの基本は疾走するハードコア。かなり極端なジャンルには間違いないのだが、なぜこんなにも感情豊かなのか。ストイックさ、そして全身全霊さ。一番最後の曲、1stアルバムの「Outro」を聴けば分かるのだが、このイントロの曲の中には荒々しさの中にもポストロックを彷彿とさせる空間的な広がりと、音の厚みが重なって作られるアンサンブルが強く意識されている。ボーカルなしのただのアウトロと侮るなかれの魅力がぎゅっと詰まっていて、ここにこのバンドのすごさをかいま見た。小器用さ、ひけらかしとは無縁のバンドだが、無骨な音楽性をささえる圧倒的な表現力の豊かさがギラリと光る。彼らの言葉は血が通っている故に聞き手に対して説得力があるのだろうと思った。

ある程度聴いていると結構なれてくるのだが、曲の終わり引きずる様なフィードバックノイズでこのビリビリ震える様な重低音を再認識する様な感じでまさに圧倒的な余韻。

2000枚限定でBandcampはあるもののデジタル販売はやっていない様なので気になる人は速めにゲットしておくのが良いかと。

0 件のコメント:

コメントを投稿