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2019年4月30日火曜日

DEATHRO TOUR2019 THIRTY-ONE≠ZERO. 『STARDUST MELODY』 RELEASE BASH 1-MAN 2DAYS@下北沢Shlter

私はお昼のライブが結構好きだ。
なんとなく気軽な気持ちで行ける。
というわけでDEATHROのライブへ。
ついこの間まで「デスロー」と読んでしまう(正しくは「デスロ」)ようなにわかである。音源は一個も持ってない。
雨が降ったので自転車NG。
GW時間なのかバスが全然来なくてヤキモキしたが少し押したのでなんとかスタートには間に合った。

DEATHROはもともとAngel O.D.、Cosmic Neuroseというハードコアバンドで活動していたが、2016年にソロとしてキャリアを開始しているそうだ。
お客さんはかなり入っていて、私は前情報がないのでどんな音楽だろうかと思いドキドキしていた。
いよいよライブスタート。

ドラム、ベース、ギターのバックバンドはラフな格好だが、DEATHROさんはバッチリメイクに、上下革で決めてくる。
曲が始まると結構びっくりする。すごくポップだからだ。
早くもなく遅くもないビートで、キラキラしているがわかりやすい(コード感のある)バックに、クリーンのボーカルが乗る。
ハードコア、という感じは微塵もなくAメロ、Bメロ、サビ×2、ギターソロ、(Bメロ、)サビという曲展開。
とにかくメロディアス。
おお、これはポップだ。洗練されている。そして無駄がない。
決して洗練はされていない。しかし垢抜けないのではない、懐かしいのだ。

これは楽曲やPV、見た目など、今の流行とは違う、特定の年代の音楽を意識されているから。具体的には90年台のJ-ROCKということだ。
インタビューを読むと、氷室京介さんやBOØWYやヴィジュアル系バンドの名前が出てくる、なるほど。
個人的にはDEATHROはヴィジュアル系の影響はありつつも、マニアックかつ独特の耽美さというよりは、もっと骨太なロックぽさが強め。
歌が強いんだけど、演奏はただなっているだけで耳に残らない歌謡曲ではない。
面白いなと思ったのはギターで、イントロやギターソロの入りにその曲のサビのラインをほぼそのまま、やや崩して入れている。個人的にはこのやり方が「あ、あの頃!」ってなった。音自体もクリーンに空間系を噛ませてブーストさせて太い、あの感じ。
今やると言葉は悪いんだけどちょっとダサくなってしまう。これはそのものがダサいんじゃなくて今の流行と断絶があるからに過ぎない。
だから変に手法だけ取ればダサいんだけど、DEATHROは全体的に90年台を志向しているから全体的にはすごくしっくりしている。部分的にとってきてリバイバルですよというのじゃない、根本から持ってきて(リスペクトがあるからできることだと思う。)今2019年に新しい音楽を作っている。
ギターのリフはキラキラしていて、反面裏のベースがかなりしっかりしていてリフが格好いい。
ちなみに終演後に気がついたのだが、耳に痛くはまったくないけど結構音は大きかった。

DEATHROはとにかく客を煽っていく。
盛り上げ方がうまくて無理やり乗せるんでない。
「もっと行けるよね」と煽ってくる。決して大きいライブハウスでなくても、すごく大きい会場のようなスケールの大きい煽り方。
観客はDEATHROに引っ張り上げられてどんどんテンションが上っていくような感じだった。
初披露の曲も「シンガロングしてよな」といって笑いを誘うが、実際めちゃくちゃポップなので本当に初回で歌える。すごい。(新曲の「プラスティック(もしくはラスティック)エモーション」という曲はすごく良かった。)

アンコールは丸山さんという女性のピアニストを迎えてのピアノアレンジを挟んで、ラスト2曲で締め。
楽しかった。


情報量が多くてあれこれ考えちゃう。
まずDEATHROさんは時代性を持ったアイドルだなと思った。
時代性というのは大体わかってもらえると思う。90年台のJ-ROCKだ。
でもじゃあ具体的には?ボウイや氷室京介の名前を上げることはできるだろう。でもそれだけじゃないよね。
そう、こういうなにかによく似ている感じ。いざ具体的にその似ている大本を上げるのは実は結構難しい。
なぜかというと「あの頃」は具体的なバンド(やその他なんでもいい)を含めた全体的な雰囲気であることが多いからだ。結構抽象的なんだ。きっとひとりひとり別々の「あの頃」があるはずだ。
みんなの頭、胸のうちにある「あの時(代)」を見事に体現している。
つまりDEATHROは抽象性を汲み取って具体的にこの世界に顕れている。(一つの現象といえますね。)
みんなの思いを具体的にして顕現している、これは偶像、つまりアイドルだなと思ったわけ。

ところがDEATHRO演じているようで演じていない。
スケールの大きいMCも上から目線では全然ないし。
地元県央の日常を歌にしているとのことで、歌詞は地に足ついて現実的だ。(個人的に新曲のもう一つ、歌詞が結構儚かったような気がする。「全部風になって消える」的な。)
こういう部分は現実に立って主張するハードコア由来だろうか。

ライブの雰囲気がとても良い。というのもお客さんが楽しそう。顔見知りも多いのだろう、終演後はみんな口々にライブの感想を言い合ったりしている。
元ハードコアの人ということで、サーフする人もいたし、アンコール最後はフロア前方の密度は相当。でも危険な感じはないし、女性も多かった。
みんな笑顔だ。わかる、初見の私も楽しかったもの。

DEATHROさんが「新しい時代は差別とかがなくなるといい」と言っていてたしかにそうだと思う。
ただ4月30日が5月1日になった途端に世界が変わるわけじゃないから、自分たちが良くしていかないとな、と思いつつ帰宅。

2018年8月11日土曜日

nine inch nails/Bad Witch

アメリカ合衆国のインダストリアル・ロックバンドの9枚目のアルバム。
2018年にThe Null Corporationz/Capital Recordsからリリースされた。
「Not the Actual Events」(2016)、「Add Violence」(2017)に続く三部作のラスト。いつの間にかアルバム扱いになっていた。公式では何故かメッセンジャーバッグが付いたセットが販売されていて、謎の黒い粉なら雰囲気あるけど、自転車とninには全く関連性が感じられず流石にこれは正直誰が買うんだと思った。ちなみに私は買った。(信者だから。メッセンジャーバッグは最高にカッコ良かった。)

今回も相棒はAtticus Ross。近年の数々の映画(余談だけど全く予備知識なく「パトリオット・デイ」という映画を見て音楽がninっぽいなと思ったら果たしてTrentの手によるものだった。)のサウンドトラックも彼とタッグを組んでいる。波長が合うのかな?基本的には二人で作ったのだろう。全部で6曲で30分ちょっと。長さ的にはアルバムでもEPでもいけるけど、そこは音楽の聴き方に非常に敏感な(ネットで売ったり、投げ銭で売ったり、自身が海賊サイトを愛用したりと色々自分でもやっている人)Trentのことなので、CDという過去のフォーマットへの拘りを捨てて、今の音楽の聞かれかたを意識したのだろう。昔は良かったというでもなく、今におもねる訳でもなく、聞き手を意識して出し方を変えていくのは個人的には良いと思う。(ドゥームメタルなど特定のジャンルを除けば)音楽の良し悪しは音源の尺の長さに依存しないはず。もっと聴きたいな、という要望にはそれこそEPで対応してきた訳だし。
復帰作「Hesitation Marks」からの延長線上、つまりミニマルかつ音のレベルの小さいビートをかっちり作っていき、その上に歌を乗せるタイプ。歌とビートどちらが先行しているのかはわからないが、バンドサウンドの使用量の減退もあってか今風の音にアップデートされていると個人的には思っている。ただ中身の歌は昔からずっと変わってない。流石に「Downward Spiral」の頃のような自己破壊志向の耽美さはもはや霧散しているが。(かといってTrentの肉体改造と合わせてninが健全になったとは思わない。全アルバムのタイトルも「ためらい傷」だとか。)いわば表現方法が変遷しているのだ、ninは。
色々調べてみると「以前の作品のように攻撃性を取り戻し」たと評されていることが多いようだ。昨年から会社の上司の強い勧めでデヴィッド・リンチとマーク・フロストの「ツイン・ピークス」にハマった。最新作「The Retuen」ではninが作中で「She's Gone Away」を披露した。前述のEP収録の曲だが、これはこの作品のために書き下ろしたのだという。なんとなく昨今のninというとこの曲のイメージがあったけど、暗くて非常にノイジーだった二つのEPと比べると確かに趣が異なる。流石にEPつながりでバリバリバンドサウンドだった「Broken」とは流石に全然似ていない。(調べたら26年前だ。とはいえ曲をコンパクトにまとめるというのはずっと共通している。)1曲め「Shit Mirror」続く「Ahed of Ourselves」を聞くと確かに攻撃的だなと思う。前者はなんとなく「Hands That Feeds」を連想した。音の使い方とポップさに共通性を見出したのだ。でも3曲め以降はこのアルバムのリメイク(一度既存の曲を全部ボツにして作り直したそうだ)のきっかけになったTrentによるサックス(何気なく吹いたらおもしろくてアイディアが湧いてきたらしい)が入ってきたりして、単純に攻撃的というのではない気もする。割と実験的なアプローチをしていた前作の経験を振り返って見て、ninの基本に立ち返って彼ら流の歌に再構築した、というのが私の印象。この作品をEPではなくてアルバムというフォーマットにしたのもそこらへんが理由なのかなと思う。
嬉しいのはインストが2曲収録されていること。私は「The Fragile」至上主義者なのだが、何と言ってもあのアルバムはインストも格好良い。このアルバムのインストも不穏のベールの向こう側で色々な楽器が唸りを上げていて、あの頃を彷彿とさせる。胸が熱くなる。
先日Croosbeatからninのムック本が出版され、まだ全部読めていないのだけど面白かったのは、Trentはバンドをスタートさせる時から人に聞かせることを意識していたこと。なんとなくマニアックなイメージがあるのだけど実際世界で売れてもいるわけで、そういった意味では今作の”らしさ”、つまり使っている音はアップデートしつつ(ムック本を見るとTrentの外見の変遷も面白い)も、核となる曲というか歌はずっとぶれていないところ、も非常に納得感がある。

2017年11月5日日曜日

V.A./Twin Peaks:Music From The Limited Event Series

アメリカのTVドラマのサウンドトラック。
2017年にRhino Entertainment Company、a Warner Music Group Companyからリリースされた。

今年ハマったものがあってそれがアメリカのTVドラマ「Twin Peaks」。鬼才デヴィッド・リンチがマーク・フロストとタッグを組んで作成したドラマで1990年に放送開始され、その後日本でもブームになった。私はたしか秋本治さんの漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」でその名前が出てきたのを覚えているが、当時ドラマは見たことがなかった。今年25年ぶりに新作「Twin Peaks The Return」が放送されるということで、「へー」くらいに思っていたが私の上司が「Twin Peaks」のファンで「見れるなら絶対見ろ!」ってことなので(「Twin Peaks」はいまんとこwowowでしか見れない状態で私の家はwowowが見れる。)、新シーズン前に放送された旧シリーズを見たらこれがまたすごい面白いくてどっぷりハマったわけ。
新シリーズは面白いことにエンディングの曲が毎回異なる。劇中でロードハウスと呼ばれるバー(正式名称はバンバンバー(Bang Bang Bar))で様々なアーティストがライブを披露する、という体裁でエンディング曲が流れるのだ。(これ子供の頃に例えば自分アニメとかの監督になったら毎回好きな曲流したいな!とか誰でも妄想すると思う。)その曲がいちいち格好いいので個別に買うよりは、と思ってそのエンディング曲を集めたサウンドトラックを購入したわけ。(別に劇中の曲を収録したサントラもある。)

なんといっても目玉は第8話にでてくるnine inch nailsの「She's Gone Away」かな。曲自体はもうバンドの「Not Actual Events」というEPで聴いていたのだが、なんとこの曲はリンチの要望でこのドラマのために描き下ろしたものとは知らなかったな。しかも一回作ったものをリンチが「明るいな〜、こういうのじゃないんだよな〜」ってボツにしたんだって。ninに曲作ってもらったらどんな曲でも「すげー曲っす!もちOKす!!」って普通はなると思うのだけど、さすが監督すげーなと思います。
「Twin Peaks」はとある少女の殺害事件から端を発する、冒頭はわりとかっちりした犯罪捜査者かなと思いきや、回を重ねるごとに怪しい世界に入り込んでいく作品。リンチ監督も御年70歳を超えてくるということでもっとおとなしめの、ぼやーっとした曲が多いのかと思いきやninもそうだけどかなりしっかりとした、多彩な曲が並んでいるのが印象的。びく皆曲もあるけど、明るい曲も多い。やはりアメリカということでカントリー調の曲もそれなりにある。「Twin Peaks」はただ殺人を、ただ不気味さを書いている作品ではなくて、ワシントン州にある架空の小さい町ツイン・ピークスとその子に住む様々な人々の生活の模様を書いている作品である。ロードハウスというのはそんなツイン・ピークスに住む人がやすらぎや、楽しみを求めに来る場所なので当然、架空の登場人物、主人公たちだけでなく街に住む普通の人々が好んで毎日聞きそうな曲が選ばれているのだと思う。恐れる曲もあれば、しっとり聞ける曲もあるが、通して聴いてみるとどれも没入感のある、かなり力のこもった曲ばかり選ばれているように思う。安易に日本のテレビ番組を批判するのもちょっとどうかと思うが、例えば主役を張るアイドルの男の子、女の子が所属する、とにかくポップで名だたるプロデューサーが手がけたよくも悪くも軽い曲、というのとは一線を画す内容でどれも非常に重たく、濃い。毎日がただ良いことの連続で内容に、架空の、存在すらしない人々の気持ちを反映したかのような豊かな感情が、バリエーションの有る楽曲に現れているのだと思う。ドラマを見ていない人がこのアルバムを聞いてどう思うのかは気になるところだけど、ドラマを見ると最後の曲が毎回違う、曲の雰囲気も輪ごとにガラリと変わるというのは「Twin Peaks The Return」の場合は非常にしっくり来る。見た人ならわかるだろうがリンチ監督は尺を贅沢に、普通の監督なら省くような人の動きをゆっくり、じっくり、執拗に時間をかけて画面に映し出す。そこには喜怒哀楽というシンプルな4つの元素に分解できない何かに対する強いこだわりがある。それ故何が言いたいのかわかりにくいと批判されることもあるだろう。ちなみにデヴィッド・リンチは音楽に対して非常にこだわりのある人でたしか自分でも作曲をするはずだ。そんな監督のこだわりが選曲にも表れているなと。
個人的に気に入ったのはどっしりとしたラテンのリズムに半端ない声量と技量がのっかるRebekah Del Rioの「No Stars」。重厚なのに歌いたくなるくらいポップなのがすげー。ひたすらクールなロックンロールZZ Topの「Sharp Dressed Man」。むかし車のCMとかで目にしたZZ TOP初めて聴いた。声がすごくセクシー。アメリカ!のイメージをそのまま曲にしたような爽快さ。

「Twin Peaks」はとても面白いドラマなので是非オススメしたいが、やはり新旧合わせるとそれなりにボリュームがあるので躊躇する人もいるだろう。まずはサントラ聴いて雰囲気を掴んでは、ってのは難しいか。私は本編に好感があるからそれがサントラにも反映されていると思うが、それを抜きにしても良いアルバムだと思うので気になった人は是非どうぞ。

ninが出た8話放送時はやっぱり興奮した!

2016年12月18日日曜日

Jeff Rosenstock/Worry.

アメリカはニューヨーク州ロングアイランドのインディーロックミュージシャンの5thアルバム。
2016年にSideOneDummy Recordsからリリースされた。
Jeff RosenstockはもともとスカパンクバンドThe Arrogant Sons of Bitchesを始めいくつかのバンドで活動するミュージシャンだったが2012年ごろからソロでも活動を始めている。多作な人でソロになってからはなんと毎年1枚のペースでリリースしている。
私はもちろんこの人のことは全く知らなかったのだが、ぺちゃさんが下半期ベストの1位に上げていて私は人の年間ベストを見るのが好きなのでウヒョーとばかりに飛びついたのがこのアルバム。(ぺちゃさんのベストからこのアルバム以外にもいくつか買って聴いている。ありがとうございます。)

ジャンルとしてはパンキッシュなインディーロックで良いのだろうか。だがとにかく勢いがあり(17曲で37分だから平均すると1曲2分ほど)、曲にもバリエーションがある。これだけだとまあ多彩な人なのかなというくらいなのだろうが、どの曲もポップでキャッチーというぶっとい軸で貫かれているためにこれが本当に気持ちの良いロックアルバムになっている。
スカパンクバンドという出自を生かして、ホーンを取り入れたり、ハードコアだったり、メロコアだったり、またアコギを取り入れたフォーク/カントリーだったりと、多様かつどれもしっかりものにしている。共通しているのはベースの強さであり、どの曲でもベースがうねりのある非常に腰の強いプレイを披露しており、勢いがありつつも安定したドラムとともにしっかり曲の背骨となっている。インディーロックというとどうしても文系めいた小難しさやアート性が含まれる(これが大きい魅力の一つになっている)ことも多々あるんだけど、Jeff Rosenstockに関しては「細けえことはいいんだよ!」というべらんめえ口調の江戸っ子顔負けの聴いたら踊りたくなるような本能に訴えかける動物的なロック、つまり一流のロックを演奏している。何と言っても声が良くてハリのある中音で温かみがある。たまたま友達に誘われていった飲み会で全然知らないやつだったけど、酔っぱらうと気が合う。どうも吹いているような気もするけどなんか妙に説得力と愛嬌があって胡散臭くも憎めない友達の友達、みたいな感じ。非常にあっけらかんとしていて外向的、ちょっと戸惑ってしまうんだけど声に感情がこもっているから嘘くさくない。非常にのびのび歌って気持ち良い。本人も別に顔がかっこいいわけでもスタイルがいいわけでもない、30代の男って感じでそこもまた良いのかもしれない。
何と言っても一番の魅力はバリエーションのある楽曲全部に普遍的にあるポップセンス。非常にメロディアスでめまぐるしい37分が過ぎた後、どの曲だかわからないけどなんか口ずさんでいる、そんな感じ。生活感があるというか多分楽しかったり、悲しかったり、普通の生活が想像できる、そんな雰囲気がある。つまり楽しい中にもちょっと哀愁のあるメロディがあってそれが楽しい気持ちの後にジンワリ胸に広がってくる。たまらん。決して大言壮語や自分と縁のない世界の物語ではないんだよな、と感じてしまう。

微妙に偏った音楽ばかり紹介しているブログだけど久しぶりに誰にでもお勧めできる素晴らしいアルバム。音楽好きだって人は是非どうぞ。またメロコア世代、パンクを通った人なら結構このメロディセンスはバッチリ刺さるのではなかろうか。非常にお勧め。是非どうぞ。

2016年6月13日月曜日

RENA/RENA

日本のエモバンドの1stEP。
2016年にBE WATER Recordsよりリリースされた。
バンドメンバーは元bluebeard、元As Meiasの人を中心にaie、元the chef cooks me、元onsaで構成されているとの事。なのだが前述のバンド一つも知らなかったです。バンド名はあの能年玲奈さんからとったとか。私が全く聴いてこなかったジャンルなのだろうが、3LAで強く押されているのを視聴して「ふむふむ(まあ買うほどではないかな)」とスルー。その後なんとなくメロディが残るからそのPVをたまーにみる。そうするとその頻度が段々高くなって来て、よし買うかとなった次第。ちなみに同じ様な経験がたまにあって一番良い出会いになったのがあぶらだこの「冬枯れ花火」。(最初はやっぱなんじゃこれって思ったもんね)

全部で5曲収録されているが最後の曲はアウトロかな?歌が入っているのは4曲。
オーソドックスな4人編成という事でほぼほぼバンドサウンドのみで構成されている(と思う)。速度は中速で音質的にも中音域がブーストされている。コード感のあるツインギターは結構音数が多くて、それでも曲調がゆったりしているから喧しさは皆無で、むしろフレーズがたまに(晴れた日の小川の照り返しくらい)キラキラしていてとにかく心地よい。そこに伸びやかなボーカルが乗る。繊細で少し青臭いくらいの声質がバンドサウンドに良く馴染んでいる。歌詞はすべて日本語で書いてあり、手書きの歌詞カードが詩の世界観を良く表している。ちょっと抽象的だけど出てくる名詞がいつも私たちが日常で使っているもの立ちなので耳にすっと入ってくる。そういった意味ではメロディセンスが抜群でくどいほどのキャッチーさはないものの、何回か聴いていると一緒にボーカルラインを謎くるくらいに歌いたくなってしまう。
全体的にちょっと幻想的。これは多分曲、というよりは音の作り方が非常に凝っているというか、すごいんだろうけど。エモといっても色々な音質がある訳だけど、やっぱりエモーショナルというとスクリームはないにしても、ガシャガシャと主張の強い楽器陣と情念のこもったボーカルと言うイメージ。このRENAに関してもその要素はそうなんだろうけど全体的に聴くとそこまで生々しくないんですよね。これが不思議。ジャケットのアートワークのようにちょっとぼやっとしている。そのぼやが(普段好んで聴きがちな)酩酊とか、悪夢とか、逆に(例えばシューゲイザーのような)朦朧とした、あるいはちょっと作為的な煌めきみたいなのとはちょっと異なって、日差しがある程度強くてちょっとまぶしくて見えにくいな、みたいなそんな感じ。それが非常に良い。

という訳で非常によろしいすね。飾らないといっても実際本当に飾らないというのは特に芸術の分野では難しい(というか無理じゃないか)と思うんですけど、こういった過去の積み重ねを感じさせつつ今日の歌を歌う、というのはたしかに自分の日常にも共通点ある様な気がしてぐっと来るなと思いました。口ずさめる、というのはいいすね。オススメ。
なんといってもPVにもなっているこちらの曲は白眉の出来。

2016年6月12日日曜日

Peter Pan Speedrock/Fiftysomesuperhits

オランドのアイントホーフェン出身の爆走ロックンロールバンドのベスト盤。
2011年にSuburban Recordsからリリースされた。
Peter Pan Speedrockは1997年に結成された3人組のバンドでいままでに9枚のオリジナルアルバムをリリースしている。名前は知っていたけどどんな音楽だっけか?とyoutubeで何の気なしに聞いてみたらあまりの格好良さに即注文した。日本独自に過去の名曲をボーナストラックとして追加した最新作もあったのだが、その切っ掛けになった「Killerspeed」という曲が収録されている事もありこっちを購入した次第。「50曲以上のスーパヒッツ」というタイトル通り2枚組で58曲が収録されている。

その音楽性は明快でひたすら格好よい爆走ロックンロールであり、まさにスピードロックというしかない。もうこっちは興奮してスピードロックなんだよ!という気持ちだしそれでいいだろと思う事この上ないのだが、仕方がないので説明します。
爆走ロックンロールがなにかというと、このバンドの説明にもよくでてくるMotörheadという事になるのだろう。不信心者の私は彼らのアルバムは一つしか持っていないので何を言ってもはったりになってしまう。中音域をブーストしたロックンロールをかなりの速度で突っ走らせるのがこのバンド。私が持っている音楽の中ではとくにZekeと似ているところがあるが(スプリットもリリースしているようだ)、勿論ZekeがPeter Pan Speedrockに影響を受けているわけだ。速度も爆速なZekeに対してこちらの方はそれよりはゆったりとしたスピード。ハードコアパンクの疾走感、つまり勢いをとりこんだロックンロールという説明に落とし込めるかもしれない。男らしい厳つさと楽しさという共通項をほどよくブレンドしている。
いかにも酒やけしたようなしゃがれ声、そして老舗のバーの梁のような、いぶされたような暖かみがあるギターサウンドがかなりブルージィだ。そこにハードコアのようなコシのあるベースとシンプルなセットながら叩きまくるドラムがバネのようなビート(曲によっては本当にサイコビリーの様なあのズンズン来るビートがひたすらかっこ良い。)を持ち込むとスピードロックの完成である。ギターはコード感のある弾き方で刻みまくるメタル的なそれというよりはやはりパンキッシュなイメージで、チョーキングを多用した哀愁のある泣きのメロディもあって、マシンのように最速を目指す無慈悲な音楽とは明らかに一線を画す。(無慈悲なヤツも勿論大好きですが。)ストーナーのような気怠さもほぼほぼ感じられない。ひたすら前を向いている。いわば血の通ったロックンロールであって、聞くものにはその滾りが伝染していく。速度で殺陣に揺らせてくるかと思えば、ブルージィなグルーヴで横によらせて来たりと爆走ロックンロールの中にもスタイルがあってひたすら楽しい。
私があまりこういった音楽を普段聞かない事もあってか相当新鮮で、ひたすらかっこ良い。滅茶苦茶オススメなんで是非聞いていただきたい。次来日したら是非ライブに行きたい。ヒートシーカーベイベーしたい。

2016年1月11日月曜日

GREENMACHiNE/The Archive of Rotten Blues+1 -complete edition-

日本は石川県金沢のハードコアロックバンドの3rdアルバム。
オリジナルは2004年にDiwphalanx Recordsからリリースされた。私が購入したのは再発版でこちらは2015年に同じレーベルから装いも新たに発売された。内容的には1曲追加され、Eternal Elysiumの岡崎さんがリマスタリングを全曲に施している。私はディスクユニオンの店舗で購入したのだが、結構大きい缶バッヂがついてきました。(カッコいい)
GREENMACHiNEは完全に後追いで活動停止後に再発の1st、2ndを購入。3rdを買うかと思っているうちにこちらも再発された感じ。

GREENMACHiNEはハードコアロックだ。なんせオフィシャルがそういっているからそうなのだ。音楽的には確かにロックな感じも強いのだが、スラッジの要素が色濃くあって特に前2作ではときに陰惨とすらいえるくらい(そういえば「D.A.M.N」のオリジナル版のジャケットはとてもスラッジだ。詳しくは画像検索してください。)容赦がなかった。今作に関してはスラッジの要素は勿論あるのだが、よりロック色がつよくなった。スラッジ分が減退した訳ではなくて、それぞれのメリハリがくっきりしたという印象で、ちょっと後述します。
ロック色は音の重厚さはそのままによりソリッドになった。分厚い音波がグルーヴィなうねりになって来て背中を推してくる。ギターの粒子の粗いざらついた音が気持ちよい。ベースは下品なくらいの低音。例えば1曲目の「Black Summer」はイントロだけでも十二分聴かせる。速度は中速くらいなのだろうけど、ドラムの手数も多いし、体感ではもうすこし速め。スラッジを通過している演奏陣はタメのある演奏感でタテノリを生み出していく。しゃがれたボーカルはスラッジ特有の自暴自棄感がはいっていてハードコア/ロックの生き急ぐかんじにぴったり。ラフな雰囲気なんだけど決めるところがしっかりしているので荒々しい中にも整合性があるのだろうと思う。
とにかく10曲目「Hammer and Burner」はそんなGREENMACHiNEのロック的アプローチが結晶化したみたない曲で滅茶苦茶かっこよく、なかでもアウトロに入るところが好きすぎる。イントロが良い曲はいっぱいあるけど、アウトロがかっこいいというのはそんなに無い気がする。なんだろう余韻があるのが一因だとおもうがよくわからない。すごいリピートしていたのだが、よくよく聴いてみると4曲目「Into the Bigsleep(Red Eye Pt.3)」と8曲目「Path Bloody Path」もすごいよい。これはそれぞれ9分、8分という長い尺の曲で(特に前者は)完全にスラッジに舵を取っている。メリハリがきいているというのは一つにこれらの曲でもって、ぶっとい音圧で持って巨大な鉄壁を作り出している様な圧倒的な感じ、壁を前にして途方に暮れる様なあの感じがとにかくたまらない。壁かもしくは崖がわからないが、とにかくその無慈悲さに途方に暮れる様な、そんなイメージ。後者の方はそんな圧倒的な風景の中にもどこかしら悲哀のようなものがあって、哀愁のあるギターのソロやフレーズがとても感情的だ。この曲後半の流れが特にすきだ。

聴いたのが本当にねんまつだったからあれなんだけど、これは2015年ベストにあとからいらさせてほしいくらい。超絶オススメなのでみなさん是非聴いてみてください。
春には復活後初めての音源がリリースされるのだけどとにかく楽しみでならない。

2015年10月12日月曜日

Teenage Time Killers/Greatest Hits Vol.1

アメリカはカリフォルニア州ロサンゼルスのグループの1stアルバム。
2015年にRise Recordsからリリースされた。
いわゆるスーパーグループでその筋で有名なミュージシャンたちが集まってできたプロジェクト。中心人物はMy RuinのギタリストMick MurphyとCorrosion of ConformityのドラマーReed Mullin(私はどちらのバンドも音源を持っていない、恥ずかしながら)。このプロジェクトでは曲によってボーカルを始め他のパートでも参加している人がバラバラ。だから人数も偉い事になる。Dave Grohl、SlipknotのCorey Taylor、EyehategodのMike Ⅸ Williams、Sun O)))のGreg Anderson、Dead KennedysのJello Biafra、他にもBlack FlagやProng、Blink-182だったりとひとりずつ挙げるときりがない位。FBのカバー写真を見ていただければその人数の多さと豪華さに驚くと思う。
Kill Timeで暇つぶしだが、Time Killerで「娯楽」という意味があるようで、とすると10代の娯楽というバンド名は何とも不思議だ。昔からの仲間と遊び心満載で作ったよ、という事かもしれない。しかし中身は大御所の娯楽というにはあまりに素晴らしい出来になっている。
なんせ参加しているメンバーもメタル、ハードコアのサブジャンルからと多岐にわたるので中々形容が難しいが、全体的にはごった煮感のある荒々しくほこりっぽいハードコアロックンロールともいうべき音楽でまとめられている。曲はほぼほぼ疾走感のある中速から高速で、だいたい2分台くらいでコンパクトにまとめられている。ざらっとしたラフな感じが持ち味で、攻撃性や毒気がパンキッシュな感じで表れている。ストーナーらしいほこりっぽさもあり。演奏はぶっとい轟音なので迫力がある。何も考えずに楽しめる音楽。ただ荒々しいものの乾いた陽気さがあって陰惨さや陰鬱さとは無縁なスタイルで耳に優しい。
最大の魅力は曲毎に変わるボーカルでやはりバンドの顔という訳で全20曲が矢継ぎ早で繰り出されるのは楽しい。Jello Biafraの跳ねる様なリズムの怪しさ、Mike Ⅸ Williamsの完全に向こう側の吐き出しスクリーム、Trenton Rogersのなぜだか癖になるしゃがれ声。
ボーカルが多彩な反面、ほぼほぼドラムを叩いているのがReed Mullinだからか意外にもとっ散らかっていないし、メンバーのメインバンドを考えるとエクストリームになりすぎていないから、好き勝手やっているようで実はきちんと芯が通っている。首謀者の2人は人望も厚く、流石の手腕で見事にプロジェクトの舵を取っているのだと思う。

このアルバムにも参加しているDave GrohlのプロジェクトProbotにコンセプトや音楽的な背景が似通っているところがある。くだくだしく説明するより聴いてもらった方が速いと思う。下手なコンピレーションを買うくらいならこのアルバムを買った方が良いかもしれない。豪華な面子という以上に曲が良いので。オススメ。早くも第二弾に期待。
個人的にはMike Ⅸ Williams参加のこの曲がひたすらカッコいい。ガロガロしたベースはNick Oliveri!


2015年9月13日日曜日

八十八ヶ所巡礼/攻撃的国民的音楽

日本は東京のプログレッシブ/サイケデリックロックバンドの5thアルバム。
2014年の8月8日にPsychedelic Progressive Revolutionからリリースされた。
ギター、ベースボーカル、ドラムからなる3人組のロックバンドで2006年に結成。結成9年でアルバムは6枚発表しているが、どうもあまりメディアには露出しないバンドのようだ。タトゥーだらけに女装?したベース、サングラスイケメンギター、ヤクザめいたドラムとキャラはすごい立っているのに面白いスタンス。
私は彼らの1st「八+八」と3rd「○△□」を持っている。
youtubeで「攻撃的国民的音楽」のPVを見たらなんだか癖になってしまって、その曲が入っているこのアルバムを買った次第。(最新アルバムを買うかどうか迷ったのだが。)

のっけから1曲目「赤い衝動-R.I.P-」の歌謡曲めいたメロディアスさに驚く。ただメロディの後ろではギターが唸り、ベースが蠢めく、ドラムはやたらと力強いシンバルのクラッシュを響かせまくっている。戸惑っていると曲の後半3分30秒あたりから曲の印象ががらっと変わり、そこからまた戻って一気に後半になだれ込む。
要するに相当変わったバンドだが、所謂馬鹿テクに彩られた大変技巧的なバンドだという事が分かる。ギターは特に単音がほぼ全編ソロですか?という勢いでキテレツなリフを弾きまくる。ハーモニクスだろうがタッピングだろうが、高速だったりあともうなんか分からないテクニックが次々に出てくる。高音で弾きまくるのだが、耳にいたくないのも私にはとても良いところ。ベースは歌いながらこんなの弾けるの?ってくらいにぐるぐるぐるぐる動き回っている。こちらも運指が激しく、低音のなかでも高低落ち着き無い事この得ない。ドラムは乾いたテンションの高いセッティングをぶっ叩く様な力強さでもって展開の目まぐるしい楽曲の土台を支える。ボーカルは少年めいた甘さのあるものだが、歌詞もあってか舌鋒冴えまくる印象。仏教テイストを感じさせる歌詞は太平の眠りを覚ます様な攻撃的なアジテーションめいていて音楽性に合っている。つまりふざけているようで攻撃的な姿勢が垣間見える。
相当レベルの高い演奏をしているのだろうが、頭というよりは先に体が反応する様な直感的な音楽をやろうとしているのか凝ってはいても敷居は低くて私の様な門外漢でも十二分に楽しめる。捻くれたポップさがあってそれで濃すぎる技巧を上手く曲にまとめている。勿論普通のロックの範疇からは色々はみ出しているのだが、そのはみ出し具合が抜群に面白いのだ。悟りと煩悩の間で踊りまくる様な、そんな音楽性だ。

「八+八」収録の「仏滅トリシュナー」という曲はキラーチューンなんだけど、今聴くと特にボーカルがまだか固い印象。それに比べると曲の作り込みも勿論劇場度が格段にあがっているなあと感心した次第。とても面白い。普段あまり聴かないジャンルなんだけど持ち前のポップセンスで持ってすっと聴けた。全8曲であっという間に聴ける。オススメ。


2014年7月13日日曜日

Earthless meets Heavy Blanket/In A Dutch Haze

アメリカはカリフォルニア州サンディエゴの3人組インストサイケデリックロックバンドEarthlessがHeavy Blanketとコラボしたアルバム。
2014年にRoadburn RecordsとOuter Battery Recordsからリリースされた。
サイケデリックというよりはいたずらが過ぎた悪趣味みたいなジャケットが印象的である。

コラボ相手のHeavy BlanketというのはDinosaur JR.(名前は知っているもののちゃんと聴いたことが無い。高校生でNirvanaとかみんなが聞き出したのだけど、そのときグランジの流れということで軽薄なロックファンでない友人が確か聴いていたと思う。言うまでもなく私は軽薄な音楽愛好家である。)というオルタナティブロックバンドのフロントマンであるJ.Mascisが高校時代の友人と結成した3人組のロックバンドで、曰くサイケデリック・インストルメンタル・ブルース・ジャム・バンドということらしい。2012年に音源をリリースしているが、こちらは未聴である。Earthlessが好きなので買ったというのが正直なところ。Heavy Blanketといっても実際には前述のマスシスさん一人が参加した3人+1人の体制での演奏となっているようだ。

この「In A Dutch Haze」と銘打たれアルバムはライブアルバムで、2012年の4月12日かの有名な(この音源のリリース元の一つでもある)Roadburn Festivalで披露されたライブの音源が収められている。直訳すれば「オランダのもやの中で」というタイトル通りオランダのティルブルフというところがライブの会場だったよう。「Paradise In A Purple Sky」という1曲のみ収録で1曲といってもたっぷり58分34秒という長い尺のサイケデリックロック絵巻が繰り広げられるという寸法である。音質は極めて良好かつクリアで、ライブの生々しさをそのままに非常に聴きやすいバランスで録音、マスタリング、ミックスされている。(偉そうにマスタリング、とか言っているんだけど実際にはどういう作業なんでしょうね。)

Earthlessといえばストーナーの文脈でもよく語られているように、煙たく埃っぽい雰囲気のあるインストロックバンドです。全員が技巧者であるけど、とくにその変幻自在のギターが奏で作り上げる世界観というのは、よくよくサイケデリックという形容詞で言い表されている。ボーカルがいないことをむしろ逆手に取った、かなり抽象的かつ力強い音楽世界を作っているバンドなのだが、そこにもう一人ギタリストが参加したらどうなるか、ということを知っている人には考えていただきたい。そりゃあまあ相当喧しいことになるだろうね、という概ねの予想通りにこの音源かなりすごいことになっている。
軽快で手数が多く良く動くドラムがリズムを作り、うねうね動き回るベースがそこに乗ってビートを作り出している。ここを土台に自由奔放なギターがとにかくあちらへこちらへ弾きまくるというEarthlessのやり方をそのままに、もう一人ギタリストが増える。所謂バンド編成での片方がリズムパートを弾き、もう片方がメロディを弾くというオーソドックスなパターンも取り入れられていて、おお!これは新境地で格好よいぞ、というのも勿論ある。いわばより安定的なコラボの一側面であって、これによってサイケデリックな曲がかなりどっしりとしたものになって迫力が増す。これは格好よい。
しかしこのマスシスさんという人もEarthlessのギタリストIsaiah Mitchellも俺がリズムで、お前がメロね、といって黙って弾いているタイプではないので、放っておくとそれはもう各々弾きまくりだすからこれはたまったものではない。お、おおお、と思っているうちにとにかくもうべらぼうに好き勝手弾きまくる。凄まじい音の応酬であって、音の幅とリフの豊富さたるや尋常ではなく、私レベルだともう何がなんだか分からない。ビロビロビロ弾きまくる一方で、非常に伸びやかなソロ、それからギュインギュインした和音でのロックなリフ、ワウをかけまくった竜巻の様なフレーズと。次何が出るかさっぱり予想がつかない。ビートがしっかりしているから体が自然に動いてしまう気持ちよさがある。これはなるほどサイケデリックでとても幻惑的である。
単音のソロにしてもメタルの速さを競ったそれとは全然趣が異なる。馬鹿テクであるが非常に伸びやかかつ自由で緊張感はあるものの同時にリラックスしている。言って見れば非常にソフトだ。58分すべてががあらかじめ決められているとは思えないから、かなりいんプロ的な要素が入り込むのだろうけど、2人のギタリストの真剣勝負みたいでお互いどんどん高め合ってくる様な印象。とても贅沢な58分である。

というわけでEarthlessが好きな人は文句無しに買って間違いないと思う。
気持ちのよい58分である。長いな!といって気後れすること無く気持ちよく聴ける。
オススメ。

2014年4月6日日曜日

Cloud Nothings/Here and Nowhere Else

アメリカはオハイオ州クリーブランドのインディーロックバンドの3rdアルバム。
2014年にCarpark Recordsからリリースされた。
かのステーィブ・アルビニが2ndアルバムをプロデュースしたりで結構話題のバンドらしいのだが、私はこのアルバム収録の曲で初めて彼らの音楽を聴いた。

インディーロックが一体なんなのかというのはちょっとわからないが、私はあまり聴かないジャンルだ。ちょっと気取った音楽性で斜に構えたお洒落さんがちょっと気怠い感じでローファイな音楽をリバイバルっぽくやる様なイメージ?インディーロックファンが見たら怒り心頭に発すること間違いないが、私の正直な印象はこんなもんで、言い訳する訳ではないが嫌いというのではなくなんとなくあまり聴いてこなかったが、不思議とこのアルバムの収録曲「I'm not Part of Me」を偶然耳にしてみるとおや、これがなかなか格好よいぞ、よっしゃ買ってみるかという訳なのだ。
ジャンルとしてはまあインディーロックなのだろうが、まあちょっと自分の言葉で説明してみようと思う。(wikiをみてもインディーロックの音楽性は全然わからんかったぞ!)
まあメロディを主体としたロックであることは皆さん納得していただけるかと思う。曲のほとんどはミドルテンポで進み、過剰に暴力的だったりノイジーだったり、超長いギターソロなどで特定の楽器が出しゃばることもない。楽器陣の音の作りは一見(本当は緻密に作っているに違いないけどさ)ラフかつローファイな感じ。さすがにアンプ直だ!(ミッシェルガンエレファントだ!)という訳ではないだろうが、生々しい音をなるべく新鮮な状態で耳に届けようというそういう魂胆だろう。格好いいよ。気取っているどころか結構直球勝負じゃねえか。うん、格好いいよ。

ドラムは中音が強調された、飾り気のない音質でもって、それゆえビートが楽しい、というドラムのアイデンティティをまざまざと見せつけるタイプ。
ベースはちょっとガロガロしたこちらも生々しい音で持って、ベースの役割をまずこなすぜという職人気質タイプ。
ギターが面白くて、がちゃがちゃした乾いた音でローファイなんだろうが、とにかくキャラキャラしていてコードを弾くにしてもこんなに気持ちよいのか〜とちょっとため息をつきたくなる様な感じ。ローファイってのはバンドってこういうのかあってのがよくわかるんじゃないかと思った。
そこにボーカルが乗る訳であるが、こいつがなかなかくせ者である。個人的に気に入ったのがこのボーカルである。彼が一番気取ってない。気取ってないどころかこの余裕のない感じはどうだ。焦って突っ走るように性急ではないか。何かに追われる様なボーカルスタイルでほぼ叫ぶ様な、がなり立てる様な必死さがある。ただしあくまでも自分の流儀で持って、例えば安易にシャウトやデス声など飾り立てるような劇的なスタイルに逃げることなく(いうまでもなく私はシャウトやデス声が大好きだということをここに御断りしておく。)、いわば自分の温度とやり方でもってストレートに吐き出した訳であって、これは格好良いねえ。クラスのまじめな奴が急に切れだしたみたいな意外性と真面目さがあってそれはまさに日常にあるちょっとした意外性という感じでよい。
そんな彼らが集まって作ったこのアルバムはいわば誰かの日記を読んでいる様な、地に足の着いた音楽性で持って、日常の悲喜こもごもの延長線上にあるとでもいおうか、なんとなくわかっちゃう様な、そんな感じの親しみやすさに包まれている。
聴いてて単純に気持ちよいのだから、私としては完全やられてしまった感じ。

インディーロック(笑)なんていって馬鹿にしていて本当ごめんなさい、という感じに格好よいアルバムでした。
バンド音楽が好きだ!という方にはたとえメタラーであろうがパンクスであろうがハマるのではないでしょうか。
オススメっす。

2014年3月30日日曜日

Motörhead/Bastards

イギリスはロンドンのロックバンドの11thアルバム。
1993年にZYX Musicからリリースされた。
Motörheadである。1975年に結成されたバンドでコンスタントに活動を継続し、勿論未だ現役。創立者のベーシスト兼ボーカリストのレミー・キルミスターは様々な逸話もあって最早ロック界の生ける伝説になっていて、顔を見ればあ、知っている、となる人も多いだろう。
私も勿論Motörheadのことは知っているが、ぼんやりと人生を過ごしているうちに遂に彼らの音楽については触れることなく今まで来てしまった。Foo Fightersのフロントマンで他にも様々バンドでドラムを叩いているデイブ・グロールのSouthern Lordからでたソロプロジェクト「Probot」のCDを持っていて、その中にデイブとMotörheadのレミーのコラボレーション曲「Shake Your Blood」が入っていて、それでけは聴いたことがあった。

この間メタルに関係するドキュメント映画を取っているサム・ダン氏のドキュメンタリーを見る機会があり、それはメタルの歴史を年代とカテゴリに切り分けて、その時その時活躍したいろんなバンドや関係者にインタビューしていくというものでとても面白かった。でその中にMotörheadのレミーのインタビューがあって、うーんやっぱり格好よいな、と思ったものである。当然一枚くらい買ってみようとなるのだが、何せキャリアが長いバンドだから多数ある音源からどれを買うか迷う。どれにすべいかと思っていると偶々「On Your  Feet or On Your Knees」という曲を耳にして、これは格好よいな!と感動。その曲が収録されているこのアルバム「Bastards」を買ったという訳。

真っ黒いバックにバンド名とアルバムタイトル、スペードのマーク(MotörheadにはAce of Spadesという超有名な曲がある。)を背後にあしらわれたイメージキャラクターであるWar-Pigが中央に鎮座するというシンプルなジャケットが如何にも格好よい。
Motörheadはレミーは不動だが、他のメンバーについては結構変動があるようで、基本はシンプルな3人体制だが、このアルバムを出したときは4人体制だったようで、なるほどギターが2本な分音の厚さや曲の作り方はどっしりしたもの。
WikiによるとMotörheadの音楽性はなかなかどうしてカテゴライズが難しいそうだ。確かに「爆走ロックンロール」みたいに紹介されているような印象があって、実際に聴いてみるとパンッキシュだがパンクではないし、メタルの成分はあるがそれでは何メタルなのだ?という感じでなるほど、たしかにちょっとコレだ!というのは難しい。

ギターはハードロック然とした音作りでギラリとしてちょっと湿り気のある音で艶っぽい。たまに挿入されるギターソロもクラシカルなハードロックの要素があるが、全体的にメタルほどゴテゴテやり過ぎない様なバランス感覚。メタリックなリフにパンキッシュな疾走パートの組み合わせが自然で格好いい。
ベースはソリッドな低音でよく聴いていると結構動き激しい。ギターミュートを使ったメタリックなリフで緩急をつけるが、ベースはシンプルかつ大胆に動き回る印象。ただしこちらもテクニックのひけらかしは皆無のいぶし銀なスタイル。
ドラムは力強く重々しいが、メタルのそれほど低音重視ではなく、徹底的にノリ重視。爆走ロックンロールの由来はドラムとベースの気持ちよさじゃないかと思う。バスンバスン兎に角気持ちよい。ちなみに前述のサム・ダン監督のドキュメンタリーだと確かツーバスを踏むのはMotörheadが一番最初!(このアルバムでは多分ドラマーはその人じゃないんだろうけど。)と紹介されていた。オリジネイター!
ボーカルは言わずと知れたバンドの顔役レミー。何ともいえない年季の入っただみ声で酒焼けなのかわからないが、兎に角独特。吐き出すように歌うそのスタイルは男臭いが、不思議と耳になじむように心地よい。渋く老獪な反面ちょっと年を感じさせないやんちゃな感じもして格好よい。
曲の方は結構その作りに幅があって、スピードが速めで爆走ロックンロールを体現したように突っ走る曲。中速でずっしりしつつもノリとグルーブで体を跳ねさせる様なハードロック調の曲。アコースティックギターを大胆に取り入れたしっとりしたバラード。ジャケットはシンプルながらも内容は結構バラエティに富んでいる。共通しているのは爆音で暴力的な中にもポジティブなエネルギーが横溢していることで、その音楽性たるやテクニカルにして単純明快、その中心には心臓を飛び跳ねさせる様なノリが鎮座している様な作りで、聴いていると元気になってくる。自然とからが動いて頭を振ってしまう。こりゃー気持ちがよいぜ。

というわけで言わずと知れたMotörheadは噂に違わずすばらしく、その巨人っぷりにただただ圧倒された次第。名前は知っているけど聴いたことないや、という人は是非どうぞ。

2014年2月16日日曜日

下山/DECO-凸-

日本のロックバンドの2ndアルバム。
2014年にツクモガミからリリースされました。

それなりにCDやら何やらを買っていて、気がつくと結果的に苦手なジャンルがある訳です。特に嫌いという訳でないけどちょっと苦手意識があるというか。まあいくら暇人でも世界で今リリースされているすべてのジャンルを聞き通すことは難しいでしょうから、ある種仕方のないことなのでしょうが。
この下山というバンドは今は東京で活動しているそうですが、元は大阪で2009年に結成されたバンドのようです。4人組。
色目が派手で奇抜な格好、大阪出身、若さが爆発したかのような勢いがあるアバンギャルドな音楽性、一つ一つの要素は問題ないのですが全部そろうと、「これはある種のバンドだぞ…」と私の中で警戒心がその鎌首をもたげるのでした。
デーモン小暮閣下も「メタルは様式美!」とおっしゃっておりましたから、日和見で保守的な(←こちらの形容詞は私にかかります。)メタルを好む私としてはちょっとこれは(自分の中での勝手な)抵抗があるわけで。この下山というのもその適当なんだか意味があるんだか分からない奇抜なバンド名とともに以前から目にしていたのですが、恐いもの見たさでとあるサイトのインタビューなんかを読んでみると、最後にやはりyoutubeの動画が埋め込んでいる訳で、それはまあやはり恐いもの見たさで視聴してみる訳です。「ああ、やっぱり苦手だな」という安心感とともにそっとブラウザを閉じるはずでした。

カエルをぎゅっとつぶしたような独特の声、軽いものの良く跳ねるドラム。ぶーぶーわめくようなベース。そして明らかに弾き過ぎでノイジーなギター。
あ、これ結構格好いい。大分長くなる訳ですが、私はそうしてこのCDを買ったのでした。

完全に先入観を持っていたものに逆にやられてしまった訳であります。これは恥ずかしい。けど結構楽しい経験でもあります。私は軽薄な音楽愛好者なので結構恥知らずなもんです。

日本のロックバンドはあまり五月蝿くないなあと思っているいかにも洋楽至上主義者な私ですが、このバンドは兎に角ギターが竜巻のようにやかましく、そいつが曲が始まったとたんに走り出して無理矢理曲を引っ張っていくような、そんなイメージ。
躁病になったブラックメタル然としたトレモロさもちょっとあって、どう考えても憂いのあるブラックゲイザーには聴こえない、いかにもやさぐれた感じが我が道を往く謙虚さのように感じられて個人的にはグッドでした。へ
そしてあくまでもメロディラインはポップといって良いほどのキャッチーさがあるところも逆に好感が持てたり。一秒後には何をしているのか予測つかない暴走するカオスさもあってまあよくもまあキメラのように2つの要素をくっつけたものだと感心。

若さだなと一言で片付けるのはちょっともったいないくらいのエネルギーじゃないでしょうか、これは。歌詞の意味不明さは難解ぶっているというよりは、照れくさいのかな?と感じさせるような、歪めたまっすぐさというのでしょうか。上から目線で申し訳ないのですが、それも何か好感が持ててよし。
前にもどれかの記事で書いたけど、俺たちこう思ってますけどをこうストレートに持ってこられるとこちらとしても居住まいを正してそれじゃあ聴かせていただきます、という(私の勝手な)やり取りがあって、なんだか良いものですね。

というわけで私は完全にやられてしまったCD。
格好いいので視聴位したって良いと思うのよ、私は。

2013年12月15日日曜日

Son Lux/Lanterns

アメリカはニューヨークで活動するミュージシャンの3rdアルバム。
2013年にJoyful Noise Recordingsからリリースされた。

Son LuxはRyan Lottのソロプロジェクトのようだ。画像を見ると今風な若者である。1979年生まれだそうな。基本的には彼が楽曲を作成し、ボーカルを始め様々なゲストミュージシャンたちを招いて一つの曲として完成させるスタイルだろうか。
その音楽性は何とも形容しがたく、一つまず言えるとしたらメタルでは全くない。エレクトロニクスが中心になった音楽なのだが、作りは非常に暖かく、恐らく生の楽器もかなり大胆に取り入れているではなかろうか。クレジットを見るとフルートやバイオリンなどはゲストに御願いしているようだし。

思うにメタルというのは先鋭的な分分かりやすい音楽だなあ、と思う。
Son Luxの音楽は難解な音楽では絶対無いのだが、なんとも言葉に説明するのが難しい。
楽曲の中心には歌が据えられているので誰にも聴きやすいと思う。はかなげな曲調だが、心底暗い訳ではない。曲によっては楽しく陽気ですらあるが、能天気ではない。
兎に角間の作り方、曲の展開がうまく、いろいろな音がキラキラ次から次へ出てくる。まるで小さな劇場で前衛的な舞台を見ているような感じがある。奇妙な登場人物が次から次に舞台を通り過ぎていくような感じがある。
バイオリンを始めとする弦楽器、手拍子、妙に重厚なコーラスワーク、ぶるんぶるんしたベース、やたらと手数が多いドラム、軽やかな女性声、妙にしゃがれた男性声、そしてそれらを見事に一つの曲につなぎ止めている作曲才能。ちょっとしたオーケストラと言っても良いじゃないかと思うよ。
Ryan Lottの頭の中は多少メルヘンがかっているらしく、ちょっと現実から遊離した牧歌的な雰囲気がある。楽しげな全体に漂うすこしはかなげな雰囲気がたまらん。

という訳で非常に面白い音楽です。
メタルに疲れちまったよ、という哀愁漂う悲しげメタラーの人は視聴してみたらいいんじゃないの。

↓この曲が良くて買ったんだよね、CDを。

2013年11月10日日曜日

JinnyOops!/Mother Shock!

日本は南大阪(堺市)のロックバンドの2ndミニアルバム。
2011年にThird Stone from the Sunというレーベルからリリースされた。
普段変な音楽ばっかり私だが、たまには王道のロックを聴きたいということで女性3人組のロックバンドのCDを買ってみた。意外に私GOGO!7188とか好きだしね。(ベストアルバムしか持ってないけどね…好きと言い張るね。)

JinnyOops!といっても実はバンドのことはよくわからないんだけど。私の大好きな大阪のバンド・Birushanahのパーカッショニストの佐野さんのTwitterだかを見てたら名前が出てきてたまたまという感じでかったんよね。
オフィシャルサイトを見ると当初はトランペットなども在籍してスカバンドぽかったらしい。1stミニアルバムをリリースしたのだが、メンバーの脱退があって3ピースになって初めてリリースしたのがこの音源だそうです。

だいたい一曲2分台から3分台のロックを奏でるバンドです。
ギターボーカルに、ベース、ドラムというスタイル。
特別早い訳でも、特別遅い訳でもありません。馬鹿テクな訳でもありませんし、デス声やわめき声も出る幕ありませんし、曲の構成もきわめてシンプルです。
歌詞は「貴方と私と私の悩み」について若者のそのまま感じたような飾らないも言葉で綴られています。四文字熟語を並べてみたり、ちょっと若い、青臭い感じです。
ようするにまあ技術的には凝ってはない訳なんだけど、これがまた格好いいんだな。
うまく説明できないんだけど、デザインって言葉は無駄を省くって意味だって職場の人に聴いたことがある。(違ってたら申し訳ないんだが。)このバンドはシンプルなんだけどすげーデザインセンスというよりは、まあ普通に苦労して作ったらこの形でした、という地に足がついた感じがあってそこに好感が持てる訳です。どんな青臭くても、中二病的でも「いや、僕らこう思っているんですよ」と面と向かって口にされると私としては「お、おう」という感じでそらもうヘッドフォンつけて聴くしかないよね。それでだめなら駄目なんだけど、少なくともこっちとしてはまあ正座する訳ではないけど、聴かせてもらいやすはなる訳です。
まあそうやって聴いてみたらとてもかっこうよいですね、というお話でした。
グルーブ(グルーヴ?)観のあるロックでもって、とにかくギターの音が好みですね。リフもシンプルだけどノリが良い。
ベースは結構ギロンギロンしたソリッドなスタイル。ドラムはぱしっぱしっと軽快なスタイル。
前半4つは疾走感のある曲。後半4つはちょっと速度を落とした曲。
あとは短い曲の中でもタメやちょっとした間があってメリハリがあって良し。
コーラスワークも妖艶な感じというよりはやんちゃな感じでこれまたよし。
ポップって言い切ってしまえるメロディアスさと粗野なロックが見事に融合した8曲があっという間でもっと聴きたい。

という訳で普段ひねくれている貴方。じつは普通のロックも聴きたいんだけど思っているんじゃないでしょうか。そんなときはこっそりこのCDを買うといいんじゃないのかな。

2013年10月6日日曜日

Chelsea Wolfe/Pain is Beauty

アメリカはカリフォルニア出身の女性シンガーの4thアルバム。
2013年同じくアメリカのSargent Houseから。私が買ったのはボーナストラックが追加された日本版でこちらはおなじみDaymare Recordingsより。
いつも思うんだけど、陽光燦々たるカリフォルニアに生まれたのに、暗い音楽やり始める人たちってなんなんだろうね。私のイメージだとカリフォルニアは天国なんだけど。鬱病の人とかいないんだろうな、と半ば本気で信じている。(そんなことはない。)

前も書いたと思うんだけど、Leave them all behindでこの人のライブ見たんだけど格好よかったなー。という訳で個人的にはとても楽しみしていたアルバムでした。
前作は全編にわたってアコースティック調だったから、バンドサウンドはちょっと久しぶり。とはいえ今作も轟音ギターがギャーンという感じではない。
ゴシックロックとのことだが、そもそもゴスってのがよくわからない。黒とレザーな感じの外見は分かるのだが、音楽となるとよくわからない。このアルバムを聴いた限りだと、身もふたもない言い方をすれば暗い雰囲気重視の音楽ということになるのだろうか。


全体的にはリバーブというかディレイというか妙にもこーっとしたエコーのかかった声が時に気怠く、時に陰鬱に、まれに楽しそうに歌い上げるというスタイルは変わらない。
ギター、ベース、ドラムは曲の雰囲気を壊さないようにあくまでも歌が中心にくるような演奏スタイル。電子音がかなり効果的に使われていて、曲にもよるが、あの暗く怪しい感じを作り出すのに一役も二役も買っていると思う。

ジャケットを見れば分かると思うんだが、今作はちょっとレトロな匂いもする。80年代だか、70年代だかは知らんのだが(今回好きなアーティストの割に分からんばっかりで申し訳ない。)、妙にぺひぺひしたシーケンサーを使い、てろてろしたひょうきんなリズムを取り入れたりして、インダストリアルというよりは、時代を感じさせる妙にすかすかした感じが曲によっては顕著にあると思う。
すかすかというとイメージが悪いけど、よく考えると最先端を行っている割には(その他大勢の)時代と無縁な感じを常に身に纏ってきた彼女にはとっても合っているのではないかな。勿論狙ってやっている訳で、例えば5曲目なんかはどうしてもレトロ感満載で曲調は陽気といってもいいはずなのに、妙に気持ち悪さがある。素直に乗れないかんじ。

なんといってもChelseaさんの声が魅力的で、別に今作だけでないんだけど不安定に勝手に歌っているようなのに、なんだかこちらに訴えかけるようなメッセージ性があるように思う。浮遊感があるし、ちょっとおかしいな〜、こわいな〜というところもあるんだけど、連続性があって全く関係のない私でも分かるような気がするのです。ひょっとしたら根がまじめなのかもしれない。「俺っていかれてるからさ!」とかって好き勝手やっている微笑ましさがない。まじめに考えすぎたら、ちょっと突き詰めて変なところに来ちゃったって感じ。スタートが日常だから完全ナチュラルボーンアウトローと違って、私のような凡人にも何となくいいたいこと分かる気がする、ってなるのかも。
まあだからこその怖さも当然ある訳なんだけど。
ちなみに歌詞を読むと超暗い。怖い。

という訳で毎日が辛いまじめなあなたにお勧めのアルバム。
苦痛は美なので黙って働けということでしょうか。
Chelsea Wolfeさんはホンマ社畜たちのアイドルやで。
CDいっぱい買ったら握手させんてもらえんやろうか。


2013年6月1日土曜日

Queens of the Stone Age/…Like Clockwork

元Kyussのギタリストだったジョシュを中心に結成されたロックバンドの6thアルバム。
2013年Matadorから発売されました。

元Kyussという説明はもはや不要かも。ジャンル的には煙たいブルージィな音楽性からストーナーロックにくくられるのかもしれませんが、ジョシュさんはここにカテゴライズされるのが好きじゃないらしく、また特に本作を聴いてもうストーナーロックというカテゴリじゃねえな、とおもいました。じゃあ何よ?といわれると非常に困るのですが…まあロックで間違いないでしょう。それも極上のやつです。
このバンド初期はジョシュさん曰く「ロボットロック」で、同じフレーズを反復する麻薬的なロックでありましたが、アルバムを出すにつれて初期のロボットぽさは薄くなり、ジャンルにとらわれないような自由気ままな音楽性にシフトしていきました。
陶酔感はあるのですが、麻薬的というよりはもっと夢見がちな浮遊感とでもいいましょうか。どこかけだるく、時には投げやりな感じすらある乾いたサウンドはこれ自体かなり特徴的。ギター、ベース、ドラムのバンドアンサンブルに加えて、キーボードを始め結構いろんな楽器をじゃんじゃん使っているようです。言わば余り型にとらわれない曲の完成度を重視した楽曲というのでしょうか。ただしギターの音はあくまでも厚く、あくまでもロックバンドです。
ジョシュさんの歌い方も初期に比べるとかなり多彩になってきました。この人男の私でもドキッとするようなセクシーな声ですね。けだるいんだけどすごみがあり、すごみがありつつも聞き手を楽しい気持ちにさせてくれるというまさに魔法の歌声。

どの曲も結構明るくて聴いていると楽しい気持ちになります。ただこのバンドほかのアルバムでもそうでしたが、明るい曲の中にもどこかしら虚無感というか、孤独感、物悲しさが見え隠れしていています。そこが素晴らしい。
特に「I Appear Missing」という曲。タイトルからして意味深だが、これがもう。
はかなく半分夢見ているようなボーカルが光る前半、切ないサビから不穏な間奏を挟み、後半一転悲鳴のようなギターソロ(始まる前の一瞬のタメがもうヤバい。)で昇天。人生のエンドロールかというようなクライマックスで余韻を残しつつ終わりを迎えます。
ひどい。なんて曲を作るんだ。切ねえ。なんという虚しさ。

またゲスト陣も豪華かつ豊富であの人やあの人など知っている名前がたくさん。
http://en.wikipedia.org/wiki/...Like_Clockwork

これはすごい夢です。一大傑作。全人類必聴の。買って聴いてください。

劇(薬のような)曲。
映像も曲も素晴らしい。ただし原曲の半分だけで、ビデオにはない後半が加わるともはや神。

2013年2月3日日曜日

BP./THE NEW BP.

BP.です。
日本のロックバンド。14年だか、15年だかぶりの新音源発表とのことです。
イチマキさんという人がギターとボーカルをやっています。
イチマキさんは私が中学生のころから今も大好きなバンドCOALTAR OF THE DEEPERSでギターとボーカルを担当していらっしゃたことがございました。私が初めて買ったCOTDのアルバムが「No Thank You」でした。イチマキさんが(COTDに)所属していて、BP.の「GIANT」という曲をCOTDが演奏・録音したものが収録されておりましたから、BP.というと結構思い入れのあるバンドです。前の記事のMournfulもそうですけど、ほしいと思った時には廃盤になっているんだもの。そりゃ気になる。
去年過去音源をまとめたCDが出たときはそれはうれしかったものです。内容的にも大満足でしたから、ただの再発じゃなくて活動再開だよー、とくれば当然新音源に期待が膨らむというのが人情というものです。
まあそんな感じで一人でテンションあがったBP.の新音源。これがまたかっこいー。
BP.というと荒々しい演奏に、透明感のあるイチマキさんのボーカルという対比構造が魅力の一つだと思うのですが、この新作でもそれがいかんなく発揮されています。個人的にうれしかったのが、演奏の荒々しさのバランス。何となく単純にすげー激しくなるのかな、と思っていたのですが、杞憂でした。曲全体の完成度というか目指すところを意識した程よい激しさ。過去の音源を踏襲するよう曲中で急に激しくなるギターや、スクリームも入っているのですけど、全体的に変なことになってるわけじゃない。なんていうかメタルバンドみたいになってないんですね。激しい音楽は大好きですけど、それはほかのバンドがうまくやるからさー、というか。ほんとこういうバランスってありそうでないかもしれない。とても気持ちい。でかいギターの音も素晴らしく気持ちいい。イチマキさんのボーカルはちょっと大人っぽくなったですかね。のびやかーで爽やか。
アルバムが早くも楽しみです。

この音源のがなかったわい。


2013年2月2日土曜日

swaraga/Kataka

日本のロックバンドのファーストアルバム。2012年発表。
川上さんという日本のインディーズ界で著名な方を中心に結成されたバンド。
ジャンルはプログレッシブなギターロックでしょうか。 「プログレッシヴ・ロック、ポスト・ロック、マス・ロック、ドリーム・ポップなどに近接しつつ、女性ヴォーカルの美麗な歌メロを全面に押し出した、ジャンル分け不可能な独自の音世界を繰り広げる~」とのことです。
全体的に程よく乾いたクリアな音質でまとめられていて、パスパスよくたたくドラムに、うねうね動くベース、ギターは変幻自在な感じという感じで派手さはないけど機知に富んだ感じでフレーズフレーズに面白みがあります。
ここに女性のボーカルが乗るのですけれども、この声がとてもいいです。ハイトーンで透明感のある澄んだ感じです。幼い感じなのですがちょっと妖艶な感じ。能天気な馬鹿っぽさと張りつめた真剣さがあって同じ曲の中でもその2極端をさっさっとめまぐるしく移動するような、そんなちょっとアンバランスがあるような印象です。
歌詞は日本語と英語両方、曲によって分けられてます。
全10曲でおほーと聴いているとふわっと終わっちゃいます。聞き惚れているんですね。いいアルバムです。