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2014年7月13日日曜日

Earthless meets Heavy Blanket/In A Dutch Haze

アメリカはカリフォルニア州サンディエゴの3人組インストサイケデリックロックバンドEarthlessがHeavy Blanketとコラボしたアルバム。
2014年にRoadburn RecordsとOuter Battery Recordsからリリースされた。
サイケデリックというよりはいたずらが過ぎた悪趣味みたいなジャケットが印象的である。

コラボ相手のHeavy BlanketというのはDinosaur JR.(名前は知っているもののちゃんと聴いたことが無い。高校生でNirvanaとかみんなが聞き出したのだけど、そのときグランジの流れということで軽薄なロックファンでない友人が確か聴いていたと思う。言うまでもなく私は軽薄な音楽愛好家である。)というオルタナティブロックバンドのフロントマンであるJ.Mascisが高校時代の友人と結成した3人組のロックバンドで、曰くサイケデリック・インストルメンタル・ブルース・ジャム・バンドということらしい。2012年に音源をリリースしているが、こちらは未聴である。Earthlessが好きなので買ったというのが正直なところ。Heavy Blanketといっても実際には前述のマスシスさん一人が参加した3人+1人の体制での演奏となっているようだ。

この「In A Dutch Haze」と銘打たれアルバムはライブアルバムで、2012年の4月12日かの有名な(この音源のリリース元の一つでもある)Roadburn Festivalで披露されたライブの音源が収められている。直訳すれば「オランダのもやの中で」というタイトル通りオランダのティルブルフというところがライブの会場だったよう。「Paradise In A Purple Sky」という1曲のみ収録で1曲といってもたっぷり58分34秒という長い尺のサイケデリックロック絵巻が繰り広げられるという寸法である。音質は極めて良好かつクリアで、ライブの生々しさをそのままに非常に聴きやすいバランスで録音、マスタリング、ミックスされている。(偉そうにマスタリング、とか言っているんだけど実際にはどういう作業なんでしょうね。)

Earthlessといえばストーナーの文脈でもよく語られているように、煙たく埃っぽい雰囲気のあるインストロックバンドです。全員が技巧者であるけど、とくにその変幻自在のギターが奏で作り上げる世界観というのは、よくよくサイケデリックという形容詞で言い表されている。ボーカルがいないことをむしろ逆手に取った、かなり抽象的かつ力強い音楽世界を作っているバンドなのだが、そこにもう一人ギタリストが参加したらどうなるか、ということを知っている人には考えていただきたい。そりゃあまあ相当喧しいことになるだろうね、という概ねの予想通りにこの音源かなりすごいことになっている。
軽快で手数が多く良く動くドラムがリズムを作り、うねうね動き回るベースがそこに乗ってビートを作り出している。ここを土台に自由奔放なギターがとにかくあちらへこちらへ弾きまくるというEarthlessのやり方をそのままに、もう一人ギタリストが増える。所謂バンド編成での片方がリズムパートを弾き、もう片方がメロディを弾くというオーソドックスなパターンも取り入れられていて、おお!これは新境地で格好よいぞ、というのも勿論ある。いわばより安定的なコラボの一側面であって、これによってサイケデリックな曲がかなりどっしりとしたものになって迫力が増す。これは格好よい。
しかしこのマスシスさんという人もEarthlessのギタリストIsaiah Mitchellも俺がリズムで、お前がメロね、といって黙って弾いているタイプではないので、放っておくとそれはもう各々弾きまくりだすからこれはたまったものではない。お、おおお、と思っているうちにとにかくもうべらぼうに好き勝手弾きまくる。凄まじい音の応酬であって、音の幅とリフの豊富さたるや尋常ではなく、私レベルだともう何がなんだか分からない。ビロビロビロ弾きまくる一方で、非常に伸びやかなソロ、それからギュインギュインした和音でのロックなリフ、ワウをかけまくった竜巻の様なフレーズと。次何が出るかさっぱり予想がつかない。ビートがしっかりしているから体が自然に動いてしまう気持ちよさがある。これはなるほどサイケデリックでとても幻惑的である。
単音のソロにしてもメタルの速さを競ったそれとは全然趣が異なる。馬鹿テクであるが非常に伸びやかかつ自由で緊張感はあるものの同時にリラックスしている。言って見れば非常にソフトだ。58分すべてががあらかじめ決められているとは思えないから、かなりいんプロ的な要素が入り込むのだろうけど、2人のギタリストの真剣勝負みたいでお互いどんどん高め合ってくる様な印象。とても贅沢な58分である。

というわけでEarthlessが好きな人は文句無しに買って間違いないと思う。
気持ちのよい58分である。長いな!といって気後れすること無く気持ちよく聴ける。
オススメ。

2013年10月19日土曜日

Earthless/From the Ages

アメリカはカリフォルニア州サンディエゴのサイケデリックロックバンドの3rdアルバム。
2013年にTee Pee Recordsからリリースされた。
色の数はそんなに多くないのに鮮やかなデザインがとても目を引く。ジャケットに書かれている動物はよく見るとちょっとずつ変なところがある。
前作が2007年発表だからちょっと間が空いた感じになるのかな。
その間もライブアルバムなどいくつかはリリースがあったようだ。

Earthlessは結構独特なバンドだ。3人組のバンドというのは沢山いるのだろうが、インストでこういう音楽性というのはなかなかないのでは。(私が知らないだけだろうが。)
Rocket from the CryptやOff!(残念ながら聴いたことがないんだが。)などでドラムを叩いているMario Rubalcabaという人、元NebulaのIsaiah Mitchellがギター、Mike Egintonがベースというトリオ。
ジャンルというとサイケデリックロックやあるいはストーナーというふうにカテゴライズされることが多いようだ。

まずドラムが土台を作る。堅実だが手数が多い。やたらと叩きまくるようなひけらかすタイプではない。ドラムだから重いのは勿論だが、重苦しくはない。乾いていてしっかりしている。(ドラムなんで当たり前だが)リズミカルでドラムの音だけで体が動いちゃうそんな叩き方である。
ベースはどぅるどぅるした低音で、ドラム同様やたらと目立つようなタイプじゃない。しかし良ーく聴くとなかなかに動き回っている。這い回っている。当然だが、3人しかいないわけだから、ただコードにそってでろでろ弾いているようではつまらない。後述するが兎に角ギターが暴れまくるバンドだから、不良の兄ちゃんを陰ながら支えるよくできた弟のように俺が家を支えるよ兄ちゃんとばかりに普段は堅実にリフを弾きまくる。まじめに見えるんだけど、よくよく聴いているとなかなかこれはこれでえぐい。ものすごいテクニカルな注文をさらっと弾いてさらにおまけまで付けちゃう、そんな印象。
さて、ギターだ。このバンドはギターが顔である。ボーカルがいないインストバンドだから音の種類的に自然とギターが前に出るのは分かるのだが、こいつが兎に角弾きまくる。曲は大抵10分以上あるのだが、こいつその間弾いて弾いて弾きまくる訳である。そのスタイルはまさに縦横無尽、変幻自在といった様で中音のリフを奏でていたと思ったら、恐ろしいようなギターソロを、おいおいいつまで弾くんだいと心配になるくらい弾き倒す。私は実はギターソロはあまり好きじゃない。嫌いじゃないがあんまり弾きまくられると辟易してしまう。(曲の雰囲気を損なわなければ全然大丈夫だ。)それがどうだ、この気持ちのよさは。めちゃくちゃな陶酔感である。
サイケデリックロック、サイケ、普段はあまり聴かないジャンルだが、このバンドを聴く限りは音が聴いている頭の中で視覚イメージすら持つような色彩豊かな音楽だ。
ただこのバンドで面白いと思うのは、まずテクニック重視でないこと。絢爛ともいえるが、一人のメンバーがテクに走ることが皆無だ。すごいことをさも普通にさらっとやってしまう。だから自然に耳に入ってくる心地よさがある。
もう一つは派手なんだが、結構堅実だ。というのは独特の陶酔感があってまるで別次元につれてかれるような音楽性だが、徐々に盛り上がるその構成がすごいんだ。円を描いてだんだん高度を上げていくような、土台から高い塔をがっしり作り上げるような、そんなまじめな感じがある。冒頭が地味だ、スロースターターだ、というのではない。初めから全開なんだが、それにしたって曲の盛り上げ方が半端ない。リフとソロが渾然一体となってはっきりいってされるがままで何が怒っているのか全然分からんというのに、このノリの良さはなんだ。どんどん高みに登っていって、曲の本当のラストで完成を迎えて気持ちよく放り出されるような気持ちよさがある。
ボーカルがいない分演奏側の感情が伝えにくい。でもCDを最後まで聴くとなんとな〜く分かるような気がする。それは僕らを楽しませようという心意気と、本人たちの楽しさがこちらにも伝わってくるのかもしれない。

最高に格好いいロック。オススメ。