2016年12月18日日曜日

Jeff Rosenstock/Worry.

アメリカはニューヨーク州ロングアイランドのインディーロックミュージシャンの5thアルバム。
2016年にSideOneDummy Recordsからリリースされた。
Jeff RosenstockはもともとスカパンクバンドThe Arrogant Sons of Bitchesを始めいくつかのバンドで活動するミュージシャンだったが2012年ごろからソロでも活動を始めている。多作な人でソロになってからはなんと毎年1枚のペースでリリースしている。
私はもちろんこの人のことは全く知らなかったのだが、ぺちゃさんが下半期ベストの1位に上げていて私は人の年間ベストを見るのが好きなのでウヒョーとばかりに飛びついたのがこのアルバム。(ぺちゃさんのベストからこのアルバム以外にもいくつか買って聴いている。ありがとうございます。)

ジャンルとしてはパンキッシュなインディーロックで良いのだろうか。だがとにかく勢いがあり(17曲で37分だから平均すると1曲2分ほど)、曲にもバリエーションがある。これだけだとまあ多彩な人なのかなというくらいなのだろうが、どの曲もポップでキャッチーというぶっとい軸で貫かれているためにこれが本当に気持ちの良いロックアルバムになっている。
スカパンクバンドという出自を生かして、ホーンを取り入れたり、ハードコアだったり、メロコアだったり、またアコギを取り入れたフォーク/カントリーだったりと、多様かつどれもしっかりものにしている。共通しているのはベースの強さであり、どの曲でもベースがうねりのある非常に腰の強いプレイを披露しており、勢いがありつつも安定したドラムとともにしっかり曲の背骨となっている。インディーロックというとどうしても文系めいた小難しさやアート性が含まれる(これが大きい魅力の一つになっている)ことも多々あるんだけど、Jeff Rosenstockに関しては「細けえことはいいんだよ!」というべらんめえ口調の江戸っ子顔負けの聴いたら踊りたくなるような本能に訴えかける動物的なロック、つまり一流のロックを演奏している。何と言っても声が良くてハリのある中音で温かみがある。たまたま友達に誘われていった飲み会で全然知らないやつだったけど、酔っぱらうと気が合う。どうも吹いているような気もするけどなんか妙に説得力と愛嬌があって胡散臭くも憎めない友達の友達、みたいな感じ。非常にあっけらかんとしていて外向的、ちょっと戸惑ってしまうんだけど声に感情がこもっているから嘘くさくない。非常にのびのび歌って気持ち良い。本人も別に顔がかっこいいわけでもスタイルがいいわけでもない、30代の男って感じでそこもまた良いのかもしれない。
何と言っても一番の魅力はバリエーションのある楽曲全部に普遍的にあるポップセンス。非常にメロディアスでめまぐるしい37分が過ぎた後、どの曲だかわからないけどなんか口ずさんでいる、そんな感じ。生活感があるというか多分楽しかったり、悲しかったり、普通の生活が想像できる、そんな雰囲気がある。つまり楽しい中にもちょっと哀愁のあるメロディがあってそれが楽しい気持ちの後にジンワリ胸に広がってくる。たまらん。決して大言壮語や自分と縁のない世界の物語ではないんだよな、と感じてしまう。

微妙に偏った音楽ばかり紹介しているブログだけど久しぶりに誰にでもお勧めできる素晴らしいアルバム。音楽好きだって人は是非どうぞ。またメロコア世代、パンクを通った人なら結構このメロディセンスはバッチリ刺さるのではなかろうか。非常にお勧め。是非どうぞ。

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