2016年12月11日日曜日

Oathbreaker/Rheia

ベルギーはオースト=フランデレン州ヘントのハードコアバンドの3rdアルバム。
2016年にDeathwish INC.からリリースされた。
2008年に結成されたバンドでボーカルに女性を擁している。今までに2枚のアルバムをリリース済み。
今年の夏にこのアルバム収録曲のMVが公開されるや否や日本のTwitterでも話題になった彼ら。私は慌てて彼らの2ndアルバムを買うくらいのにわかファンで「前から知ってましたけど?」という顔でこのアルバムを買いました。

女性ボーカルのハードコアバンドというとドイツのSvffer、この間来日してたアメリカのDespise You(男女ツイン)、デンマークのGorilla Angrebなんかが思い浮かぶけどこのバンドはそれらのどれとも異なる。あまりに激しくて性を超越しつつある前者ふたつとも、激しいパンクスプリットの中に歌心を混ぜて来るGorilla Angrebともやはり違う。
あえて批判を恐れずにいうとこのOathbreakerはもっと女性であることの強みを活かしたバンドだと思う。ここでいう女性というのは何かというと不安定さに他ならない。Oathbreakerはちょっとどうかしているハードコアバンドだ。世にどうかしているハードコアバンドというのは多いが、なかなかこのバンドに似ているのはない。ほとんどが男性ボーカルというのもある。男性だって不安定になるし、悩みまくったりする。しかしその感情自体、またはその感情を表現としてアウトプットするときに意識的/無意識的に男らしさという強さのバイアスがかかることが多いと思う。女性だってもちろん女性なりのバイアスがかかるのだろうけど、やはり成果物としては女性特有のものになる。OathbreakerのボーカルCaro Tangheは男顔負けに叫びまくるが、クリーンで歌いもする。ウィスパーボイスも使う。不安定に揺れる彼女の声は、正気と狂気のあわいにいる”危うさ”がある。いわば中間色であって、両極端の間で揺れ続けるその不安定さ、そこが魅力だ。ここが女性であることの強み、だと思う。
演奏の方も彼女の声と個性を後押しする様に動く。音で言えば強烈なのはもちろんだが、ボーカルの声を押しつぶすくらいに漆黒に染めらえていない。コード感のあるギターが導く曲は適度な軽さと隙間があるし、速度も劇速ではない。静から動への移行が非常にスムーズなのも特筆すべきで、これは直線上にあってぶれ続ける(女性の)感情を表現している(と思うのだ)。唐突に起こり出す男性とは違う。少しづつおかしくなっていく。そしてまた優しく戻っていく。連続し途切れない波がある。だからちょっと催眠的でもある。激しさをあえて落とすことで”違和感”を作り出している。そう行った意味ではこの上なく不穏な音ではなかろうか。

最高だなと思う。ちょっとどうかしているハードコアで頭幾つか抜きん出ているのでは。話題を読んだリードトラックである1曲め、2曲め、5曲め以外にも良い曲があって今これを聞かないで何を聴くんだ!というくらいおすすめです。

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