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2019年3月24日日曜日

Twolow presents “garlic? Vol.7” @小岩bushbash

皆さんお元気ですか?
私はなかなか忙しくやっております。
悩みのタネは尽きない。
なくなったらこっちが探すからです。
生活が苦しいのはもう慣れるしかねえな、と思う今日このごろ。
なかなかかぶりが酷かったこの日、自分が行ったのは小岩。

FIXED
見るのは2回目、おなじbushbashで。
ストレートかつパワフルなハードコアかと思いきや、ファーストフルリリース後改めて見るとかなり印象が異なる。
ずらりと並んでアンプも異様で音がでかい。
ドラムも位置だけでなく前に前に出てくる印象。
全音音量マックスの迫力だか、聞いてみるとハードコアに留まらない何かを感じる。
単に空間系のエフェクトを噛ませたスローパートがあるからじゃない。もっと他の何かだ。
このギター、ギターがロックじゃない?
ハードコアの枠に収まらなくない?
エネルギッシュに前に出てくるかんじ、でも勢いだけでない、フックがある。
スピーディなリフの中にもう一つアクセントを入れるような印象。
敢えてそれをハードコアに噛ませる姿勢だけど、しかしそれによって確実に類を見ない音楽になっている。
ブルースとまではいかないが、ビンテージな感じ、少し埃ぽい。
確実に違うところもありながら、私の頭に浮かんだのは最近新作をドロップした金沢のGREENMACHiNE。(ちょうど聴いていたってこともあるか。)
そういえば彼らはHardcore Rockを標榜、実践している。
あそこまで泥沼に足を突っ込んだ泥濘サウンドではないが、タメがありながらもそれによって生まれる独自の突進力とグルーヴを展開しているという意味で似てると思う。
そうなるとスローパートも老人の仕事の浮遊感に通じるような…穿ち過ぎ?

ALP$BOYS
始まってすぐ思ったのはこれはファストコアではない。
まず露骨にドラムのリズムがおかしい。
シンバルを多用するフリージャズの要素がある。
粘っこいベースと噛み合って横ノリを生み出している。
なんだこれは。
そして歪ませすぎないギターの反復。
これはEarthlessのサイケデリアか。
ボーカルもハードコアな低音かと思いきやラップも披露。
フリーキーな横ノリで揺らせて、サビはロックの縦ノリで吹っ飛ばす、華麗な空中コンボ。
さながらRage  Against the Machineか。
ロックのフォーマットでアウトプットされているが、その実雑多でマニアックなな元ネタたちが渦巻いてる、鎌首もたげてとぐろ巻いてる。
そんな殺気をフルファストな曲に込めてシメ。
ボーカリストは野球の素振りめいた動作をしたり、ナーバスのときに一人モッシュをしたり、近寄りがたい雰囲気で格好良かった。
音楽的には豊穣なんだけど最終的にハードコアになっているのはこういったアティチュードによるのかもしれない。

sasaya-
最近リリースされた二枚目のアルバムがとても良かったが、やっとこ見ることができる
張り詰めている。
緊張感が。
スリーピースで突き刺すように尖ったギターの音。
必死の形相のボーカルの力の入れよう。
まるで愉快なお芝居を見に来たはずが、それは実は口実であり、実際には非公式の法廷で観客の私たちが丸ごと糾弾されているようですらある。
ただしそれだけではない。
それだけではとても説明がつかない。

音的にはジャンクと自ら称することもあり、なるほどハードコア、パンクの範疇から逸脱したひりついた殺伐さは、シンプルな編成飾らない音作りという楽曲のスタイルとあいまってUnsaneに代表されるノイズロックに大いに通じるところがあると思う。
ただし血塗れの世界を狂気を孕んだ目で、ある意味冷たく俯瞰する彼らとはこのバンドは一線を画している。
冷笑的な、つまり皮肉に富んだユーモアがsassya-にはない。
あくまでも主観的に、世界が血塗れならそこで苦しんでいる姿を表現している。
浮世の生がもはやよ呪いなら「脊髄のラスト」で命を燃やして生きろというメッセージはその呪いが解けないことを指しているから残酷である。

 しかし「きっと今より良くなる」というメッセージよりも私にらよっぽど真実らしく響くのだ。
良かったね、圧倒的に。

Nervous Light of Sunday
ハードコアは、特にニュースクール以降は怖くないとみたいな思い込みがある。
なにも銃声を楽曲のイントロにいれたり、マフィアぽさをアピールする必要は無くて
ライブで見た時おっかないかどうかである。
この日のラインナップでは異質だろうと思うが、異質さを一切隠すことなくハードコアの怖さを披露。
怖くてステージ前に行けないあの感じ。
ガッチリ固めた低音の塊と、耳障りな高音の単音。
それが何かしら人体に作用するらしい。
とにかくミュートでザクザクというより、強制的に抑えつけるようにバツバツ空間を切り取っていくのが気持ち良い。
速いし重たい、タフなんだけど、どこかしら何かに追われるような神経症めいたところがあり、個人的にはそこが好きだ。(いわゆる激情系に通じるところはあると思う。クールすぎない。)
モッシュパート一辺倒のブルータルハードコアというより、ちょっとCave Inみたいに捻った所もある。
あっという間に終わってしまった。
音楽的には全然違うけど、前のsasaya-から繋がっているような気がした。

Twolow
ベーシストのメンバーチェンジ後見るのは初。
メンバーみんなでかい。
まずドラム。
単に音量が大きいのか?
周りが下げてバランス調整してるのかもしれない。
いずれにしてもドラムの存在感よ。
音数は決して多くないが一撃の重たさと思い切りの良さ、「俺はこのリズムで行く!」という潔さがバチバチ来る。
ギタリストはpaleのメンバーでもあるが、こっちでのプレイスタイルは明らかにこのバンドに寄せてきている。
徹底的な引き算の世界。
ミニマルですらあるし、無愛想すぎる。
ベースのシンプルな骨太さがドラムと噛み合い、骨組ができるわけだけど、ギターが二本更に乗っても、体感的には骨組しかない。
リズム、リズム、リズム。
ここまで削ぎ落とすと、ハードコア的なカタルシスはない、どっしり落ち着き、コード感もほぼ消えている。
ところがボーカルにメロディがあって、それ故にTwolowがオルタナティブと称されるのも首肯できる。
日本のHelmet。
メンバーが運営しているレーベル、3LAの性格もあってついつい分かりやすい日本らしさを探してしまうのだが、しかしアメリカだ。
スプリットの相方Sunday Bloody Sundayもそうだけど、アメリカを感じてしまう。

どのバンドも違って、それを違和感なくまとめているのは主催者Twolowのオルタナティブの魔力だからか。
個人的にはALP$BOYSが楽しかった。音源聞いて「なるほどなるほど」ってなるのをいざライブをみると印象全然違って面白い。こういう野ライブの醍醐味だと思う。
あとsassya-はやはりすごかった。
今回は会場でぽちぽち感想の元ネタを書いてみた。bushbashは良いライブハウスだな〜。

2019年2月6日水曜日

sassya-/脊髄

東京のスリーピースハードコア・パンクバンドの2ndアルバム。
事前に公開されたMV「だっせえパンクバンド」がとても良く、楽しみに購入。
全9曲27分とコンパクトにまとまったアルバムを通して聴いてみると、しかしかなり印象が違う。
唸るギター、勢いのままに突っ走る様はまさにハードコア。
しかし何か違う。何か非常に重苦しい。暗い。陰鬱だ。これはおかしい。陰鬱を吹き飛ばすような爽快なバンドではなかったか?

アルバムの紹介で引き合いに出されるのがFUGAZIだ。
程よく音を抜いたジャギジャギしたギター、勢いがあるが決して飛ばしすぎないスピード。調整された速度の中でしっかり染み込んでくる歌詞、つまり主張。
ぶっきらぼうで飾らない。タフではあるがただうっぷんを晴らすバンドとは違う。
たしかにsassya-はこの延長線上にあるバンドだと思う。
極端に言えば「お前らが悪い」と主張する攻撃性から、「お前らというのは私達ではないのか?」と自問自答するハードコア。
ダサい(パンク)バンドにはなりたくない。俺たちは本当にそうでないといえるのだろうか?というのはまさしくこの系譜に属する内省的なアティテュードを表している。
だがFUGAZIはここまで陰鬱だったろうか?
sassya-のこのアルバムはなんか苦しい。勢いですらその背後に息継ぎなしで泳ぎ続けるような息苦しさがある。一種の異常なテンション、つまり緊張感(と弛緩)が張り詰めている。

ある音源を何回か繰り返し聴いていると急に気がつくことがある。
今回もなんだろうな?と気になりつつ聴いていて思いついた。
ノイズロックだ。
ギターの音に代表されるノイジーさはもちろんハードコア由来でもあるのだろうが、もう片親はノイズロックではあるまいか。
ノイズロックはその身に狂気をはらんでいる。
ノイズロックの楽しさというのは抜き身で、素っ裸でその危うい内奥をさらけ出す感覚だと思う。
だから彼らは人数は少なく、そしてうるさくはあっても、複雑なリフや必要以上に重低音にこだわらない。
あくまでも周りにあるものでその狂気を表現しようと試みるのであり、そうすることで他にはないすごみが生じる。
アメリカの狂気を体現し、皮肉な視線でそれを語るUNSANEとまではいはかないが、それでもここにあるのは勢いだけで突っ走るストレートさの範疇にはとどまらない、もっとドロリとした何かを感じる。それは狂気じゃないにしても、ただお気楽な歌に丸めて飲み込めるような何かではない。もっとささくれだったなにかだ。

ノイズロックと捉えると音の尖り方、抜き身の緊張感、そして一見それらと相反する微妙な歌心も理解できる。
特にメロディについてはオルタナティブ由来かなと思い、たしかにそうだが実はもっと深いノイズ「ロック」がルーツだとすると納得感がある。
なんとなく日本のRedsheerに通じるところがあると思ったのだが、ハードコアの枠にとどまらない陰鬱さに共通点が、表現の技法に差が出ていて面白い。

単にハードコアとノイズロックのクロスオーバーというのではない。
両者の間の絶妙な綱渡りだ。奈落の上で揺れる危ういバランスの美しさ。
後半にかけて真っ逆さま落ちるように盛り上がっていく。

どこまで行ってもsassya-は正気の音楽だ。
ここが前述のRedsheerとの決定的な差なのだと思う。(Redsheerは歌詞が非公開なので断言できないが。)
血まみれのバラバラ死体も、大鎌を構えた死神もいない、大量殺戮もない、事件すらない。あるのはダラダラ続いていく毎日。これは白線の内側の物語なのだ。(8曲目「T」の歌詞を読んでほしい。)踏みとどまった、死ななかった人の正気の世界だ。人生の大半が苦しいのだから、曲を作ればそれは陰鬱としている。
ノイズロックだけどニヒルじゃない。ハードコアの前向きさが後ろ髪を引っ張って、結果的にはっきりと迷いが露骨に出た曲になっている。日々の懊悩が重苦しくのしかかるが、私はよくよく迷う人間だから、こういう音楽が好きなのだ。
ラストの脊髄のクライマックス、
「いつだってそうだ
 生活の狭間で
 唯、立ち止まり
 途方に暮れる
 跳んだつもり
 それでも日々が
 止め処なく
 押し寄せる
 続いていく
 だから」
とてもとても良い歌詞だ。
そしてこの後に続く一言が。
もうこのアルバム自体がこの一言のためにあると言っても過言ではない。
脊髄は↓で聴くことができる。

2017年10月15日日曜日

UNSANE/Sterilize

アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨークのノイズロックバンドの8thアルバム。
2017年にSouthern Lord Recordsからリリースされた。
メンバーチェンジや活動休止などもありつつ1988年から一貫してノイズロックを鳴らし続けるバンドUNSANE。中心となるのは唯一のオリジナルメンバーでボーカルとギターを務めるChris Spencer。前作「Wreck」から5年ぶりの新作。オリジナルアルバムのカバーアートは常に血まみれで、今作でもそれは健在。

UNSANEを聴いてて思うのは彼らが演奏するノイズ・ロックというのは文字通り「うるさいロック」であって、ここでいうノイズと言うのはハーシュノイズに代表されるノイズミュージックとは一線を画す。ジャンルとしてのノイズと言うのは常にメイン、オーバーグラウンドに対するアンダーグラウンド、カウンターであって、それをロックやハードコアや、メタルなどに要素の一つとして取り込むやり方も今では珍しくない。今年リリースされた作品だけ見てもFull of Hell、本邦のENDONなどはノイズの影響を受けたうるさい(ロック)バンドだが、本質的なノイズ・ロックとは異なる。UNSANEの場合はそういった意味でのノイズは一切用いない。核となるのは骨太なロックで、芯が太く、ぶれない。ガッツリ硬質な音はオルタナティブ・ロック、メタルにとても良く似ている。例えばHelmetなんかには結構共通したものがあると思がもっとプリミティブだ。ノイズというのはブレみたいなものだから、かっちりしたそういったロックにノイズと言う形容詞をつけるのは面白いが、つまりは極端にうるさいのがUNSANE。
ガシャガシャした質感が残りつつも重量感のあるギター。それと対をなすカッチカチにハードに固めたベース。突っ走り勝ちになる危うさを溜めのある連撃で引き締めるドラム。そして飾りっ気がないが、真に迫ったシャウト主体のボーカル。曲速はミドルでだいたい3分程度。余計なものは一切なく、淡々とロックを演奏していく。ロックから派生したハードコア、メタルは先代の衣鉢を注ぎながら、着々と武器も増やして武装してきているが、UNSANEに関しては流石に音に関しては重たくそしてクリアだが、その他は基本的に装飾が殆ど無い。最小限のメンバーでいわば徒手空拳で勝負を挑んでくる。特にこの音源を聞いて思うのは、ある種のルーズさ。UNSANEより力強く、凶暴そうな音楽はほかにもあるが、UNSANEを聴いているとなんとも言えない居心地の悪さを感じるものだ。まずは不穏さが一つ。油をよくさした工業機械に囲まれているような、居心地の悪さ。そしてもう一つはシニカルなユーモアである。張り詰めているところは異常に張り詰めているのだが、どうも薄ら笑いのような酷薄さ、皮肉さ、空虚さがその背後にあってそれが熱量のある曲を同時に薄ら寒いものにしている。ここらへんはもうすぐ30年を戦い続けるベテランゆえの力配分の妙なのだろうか。
個人的には5曲目「Lung」から7曲目「Distance」までの中盤がたまらない。特に「Distance」はコーラスのところも良いが曲の最後になかなかつかみにくい感情がむき出しになっているようで震える。

ある意味ではノイズ+ロックの本命というか。オルタナティブ世代がかつての栄光の本質が死ぬどころか強靭に生き残り続けることに感涙の涙を流してもよし。最新鋭のサブカルとしてのノイズ世代が、ぶっというるささにぶん殴られて恍惚とした血の味を口の中に感じるのもよし。無慈悲な音に目がない人はぜひどうぞ。

2016年2月11日木曜日

UXO/UXO

アメリカのノイズロックバンドの1stアルバム。
2016年にReptillian Recordsからリリースされた。私はオフィシャルサイトでデジタル版を購入。
デビュー作と行っても新人ではなくて名だたる2人がタッグを組んで結成されたスーパーバンド。その2人はToday is the DayのSteve AustinとUnsaneのChris Spencer。あとの2人もIronbos、Livverというバンドのメンバーとのこと。Today is the Dayに関しては私はアルバムを何枚か持っているが1992年からSteve Austinを中心として活動し続けるノイズロックバンド。かつてはMastodonのドラマーBrann Dailorもかつて在籍した事がある。SteveはまたConvergeの「When Forever Comes Crashing」などもプロデュースしたことのある影響力のある人。Unsaneは1988年から活動するノイズロックバンドで私は目下の最新作「Wreck」(2012)しか聴いた事が無いのだが、乾いた激音の中にも強靭な狂気を感じる凄まじい音を鳴らしている。その両者がタッグを組んだという事でこれはもう完全にどうかしている音楽になるに決まっている。

両者の出自がガッチリハマって結果出される音はノイズロックである。ノイズといっても変に高尚的なものではなく、音の輪郭がビリビリと震えている事が音源からも感じ取れるほど凄まじくデカい音で鳴らされるロックである。ほぼほぼバンドアンサンブルのみによって構成される音はひたすらノイジーで、自称するように確かにメタルというよりはハードコア的な音色である。1枚しか持っていないのであれなのだが、個人的にはToday is the DayよりはUnsaneっぽいなと思う。まずは音の異常な図太さだけで昇天できる事請け合い。豊かな中音域は暖かみがあって生命力に満ちている。全体的に砂漠のように乾いているのも印象的だ。Today is the Dayは様々な音をならして来たバンドだが、日本ではカオティックハードコアの文脈で語られる事もあって、ハードコアの荒々しさにSteveの完全にどうかしている神経症質なこだわりが反映されている、いわばねっとりと濃いバンドなのだが、その底意地の悪い漆黒の闇というのはUXOでは控えめである。たしかUnsaneのレユーでも書いた覚えがあるのだが、UXOにも共通して一見して開かれている様なのにその目は完全に坐っているのだ。アルコールに酩酊しているのか、人生に絶望しているのか判別不能だが、完全にどうかしている、そんな感じがノイジーな音の向こう側に透けて見える。それは一泊おいた後に気づく怪談の様な趣がある”怖さ”であると思う。黒魔術の怖さというよりは隣人の異常な一面をふと見てしまった様な、そんなリアルな質感を持った黒さである。
彼らがノイズ”ロック”なのにはハードコアでもメタルでもない歌心があるからだと思う。Today is the DayにもUnsaneにもそれらは確固たる形で存在したが、それらがいっそう荒々しく素直に表現されているのがUXOだという気がする。一言でいうとUXOの出す音には感染性みたいなのがあって、どうかしているはずなのに心を揺さぶってくる、高揚させてくる。UXOの音楽は気持ちよいのである。その乾いたストレートさが矢のようにまっすぐこちらを貫いてくる訳だ。

という訳でこれ滅茶カッコいい。デジタルで買ったがフィジカルで欲しいと思っています。ジャケットもすごくカッコいいし。Today is the Dayの去年の「Animal Mother」もすごかったけど、発売して間もないこちらの方が再生回数が多い様な気がする。全7曲というのもその理由かもしれない。だがなにより曲が素晴らしい。この気持ちよさはなんだろう。(レビュー書いといてわかんねねえなという感じで恐縮だが。)
めちゃくちゃオススメなので好き者の皆さんは是非是非!!!

2015年10月13日火曜日

Twolow/Glutamic Acid

日本は(恐らく)東京のヘヴィロックバンドの1stアルバムにして初音源。
2015年にDiskUnion配下のレーベルSecreta Tradesからリリースされた。
2014年に結成された3ピースのバンドでドラムはHellish Lifeなどで活躍する塚本さん、
ベースはポストハードコアバンドDetytusの亀井さん(偉そうに書いているが両方ともに聴いた事無いです。)、ギター/ボーカルはLongLegsLongArms Records(妖怪手長足長からとったのだと思う。お洒落。)というレーベルのオーナーの水谷さんというシーンでは名の知れた方々が結成したバンド。
不思議なバンド名Twolowは2+ロウ、つまり「二郎」。「ラーメン二郎」のことらしい。つくづく思うんだけどTwitterを見るとバンドマンとその周辺の人たちはラーメン好きな人が多くない?私も勿論ラーメン好きだけど、所謂二郎系のラーメンはたべたことない。ゆっくり食べているとすごい怒られるんだよね?私はとにかく食べるのが遅いので怖くてとても食べに行けない…話がそれたけどそんな中毒者が集って出来たのがこのバンドなんだな、タイトルを翻訳すると「グルタミン酸」でこれはいわゆる旨み調味料(にはいっている成分)のこと。二郎系ラーメンはこれをどばどばいれるそうだ。(調べたら二郎系ってすごい沢山あるんだな、全部がこうってわけじゃないんだろうけど。)

バンド名とタイトルにはそんな面白い由来があるんだけど音の方は待った無しの緊張感にあふれた殺気のある仕上がり。ジャケットのバンドロゴは実際に轍で出来たオブジェを撮影したものらしいが、結果的に良く中身を表現している。つまり無骨で重たく、シンプルで飾らない、まさにむき出しの荒々しい音楽。
ミドルテンポで歌が中心にある。かといって過剰にメロディアスな訳ではない。弦楽隊が出す音はほぼ低音に偏重しているので全体的に閉塞感のある暗めの雰囲気。ドラムは重々しくも回転していく様なリズムは破裂する様なタムのともあってシンプルなのに気持ちよい。ベースはガロンガロンした硬質な音でこれが転がるように良く動く。ギターはやや広がりのある重い音。リフはスラッシーっぽさもあるが、重々しくも間断なく弾いていくのはポストハードコア感もあり。曲間で荒廃した感のあるパートを挟んだりもして個人的に好印象。ただしあくまでもシンプルに。ボーカルは悪い雰囲気のあるやけっぱち感のある吐き捨てタイプ。
(冒頭のイントロはのぞいて)ノイズやバンド編成以外の音を入れる事、また曲をむやみに引き延ばす事(9分弱の曲が1曲あるが密度は濃い。)などの小細工は一切なし。三人で出す音を飾らずに表現している。どちらかというと内省的な雰囲気なのだが割と外に広がっていく様な間口の広さがあるので、閉塞感あって鬱々とした圧迫感はなし。もすこし前向きといったらアレだけど、進歩的な姿勢を感じる。ストイックさ。
ネットを見渡すと90年代のオルタナティブロック、グランジ、ノイズロック、モダンへヴィネスなどのジャンルが引き合いに出されている。バンド名になるとToday is the Day、TAD、Helmetなど(後半二つは音源持っていない、特にTADは初めて知った)。個人的にはなんとなくAlice in Chainsにもちょっとだけ似ているかな?と思った。面白いのは前述の様々な音楽的なバックグラウンドを感じさせつつも、それらを飲み込んで自分たちなりの新しさを追求しているところ。周りを見回してもなかなか現行のこれっぽいというのはない。ジャンル的にも何かでくくるのはちょっと難しい。(私の知識の問題もあると思うけど。)

ヘヴィロックというとニューメタルの日本なりの呼び方だったと思うけど、ちょっとそのさすところが変わるとなるほどこのバンドにはしっくり来る。90年代ドンピシャ!な方は絶対感じるところがあると思う。骨太なロックを聴きたい人は是非どうぞ。オススメ。

2015年6月28日日曜日

KEN mode/Success

カナダはマニトバ州ウィニペグのハードコアバンドの6thアルバム。
2015年にSeason of Mistからリリースされた。
名前だけは知っていたが聴いた事無かったバンドだが、悩んでいる男性をモチーフにした妙にカラフルなジャケットに惹かれて買ってみた。
KEN modeは1999年に結成されたバンドでいまは3人体制。バンド名のKENというのはKill Everyone Nowの略出そうな。今すぐみんなぶち殺せ!なモードってことらしい。まあそんな気分になる事もあるよね。

ジャンルを大まかに述べるとハードコアってことになるのだろう。一昔前ならカオティックハードコアと称されたかもしれない(まだ使っているのかな?カオティックハードコア)。Convergeのような速度に特化した様な攻撃性というよりは、スラッジからの影響をうけたどっしりとした演奏をベースに、2秒先にはどうなっているか分からないような一筋縄ではいかない歪んだ曲構造、そんなカオティックさである。
私は聴いてみてノイズロックっぽいなと思った。ボーカルの歌い方があるかもしれないが、基本じゃぎじゃぎしたギターはしかしともすると耳をつんざく様な高音のノイズやズルズルした泥濘リフを奏で始めるし、UnsaneやRusted Shutのような曲そのものというよりその背後にある”完全にどうかしている気配”を何となく感じ取ったのである。
ドラムはシンバルも多用した喧しいスタイルで、リズムキープに加えてやや変則的な叩き方がカッコいい。恐らく手数が多いのだろうと思うけど、そこも叩くのか〜というオカズがメタル的でない乾いた音だと鼻につかないので気持ちよい。
ベースはうねりまくる様な気持ち悪いもので、とくに速度の遅いスラッジパート(例えば1曲目なんかはそうだと思う)ではその気色悪さがよく目立つ。他のパートが暴れている時でもミニマルに支える屋台骨ではあるのだが、底意地の悪さがなんとなく這う様なリフに現れていて非常に良い。
ギターはじゃかじゃかした歯切れの良い音が基本形なのだが、いつの間にか高音リフを畳み掛けて来たり、喧しいソロを披露したり、ノイズを垂れ流して来たりとかなり自由に振る舞うタイプ。カッティングを多用したリフはメタル的でもハードコア的でもなくてかなりカッコいい!コード感のあるメロウなリフも良い。カオティック感を演出するに十分なバリエーションある存在だと思う。
ボーカルはちょっと鼻にかかった声はそれでも妙に通りが良く、少なからず頭のいかれたアジテーターがメガホン片手に大衆に怒りをぶちまけているさまがある。堂に入っているのにコイツ酔っているのか?と思わせる不安定感も雰囲気ばっちり。
ノイズ成分もそうだが、女性のボーカルを取り入れたり、ストリングスを部分的に導入したりと結構どん欲に世界観を追求していくタイプでその音楽性は奇々怪々である。やはりノイズロック特有の整然としている割には”どこかおかしい感”が緊張感のように漂っている。ノイズロックを通過したハードコア。疾走感もありながらも、スラッジパートも大胆に取り込んだ音楽性。文句無しにカッコいいそれらのアイテムをまとめあげて、なんとなく不穏な音楽に仕上げるこのセンスが売りのバンドかも。喧しい、けどなんとなくあまのじゃくのところがあって、そこが曲のところどころに垣間見えて面白い。

軽い気持ちで買ってみたがこれはカッコいい。
4曲目の様なストレートな曲もめちゃ良いが、やはり6曲目7曲目のような一筋縄でいかないハードコア感もたまらない。オススメ。

2014年10月19日日曜日

Today is the Day/Animal Mother

アメリカはテネシー州ナッシュビルの(FBみるとホームタウンはフロリダ州のオーランドになっているが)ノイズコアバンドの10thアルバム。
2014年にSunn o)))の Greg Andersonの運営するSouthern Lordからリリースされた。私が買ったのはボーナストラックが1曲追加された日本盤でこちらはいつも通りというかなんというかDaymare Recordingsから。

Today is the Dayは1992年に結成された比較的歴史のあるバンドで、かつては現Mastodonのメンバーが在籍していたりと 知っている人を多いのではなかろうか。実質フロントマンSteve Austin(同名のレスラーがいるらしいが勿論別人。)という人のプロジェクトである。Austinはレーベル(今は休業中かも。)もやっていて、たしかConvergeの「When Forever Comes Crashing」をプロデュースしていたハズ。バンド自体はメンバーチェンジが結構激しく、今のメンバーは3人(最近はだいたい3人編成が多いようだ 。)だが、Austin以外は2013年加入との事。
私は学生の頃たしかカオティックハードコアの文脈で知って、名盤と誉れ高い6thアルバム「Sadness Will Prevail」とライブ版「Live till You Die」がセットになった3枚組のセットを買ったのが出会いである。人生この1曲を選べと言われれば、前述のアルバムのタイトル曲「Sadness Will Prevail」を挙げるかもしれない(滅茶苦茶美しく悲しい曲なので皆さん聴いていただきたい。)位は好きである。一個前のアルバムが出たのがこの前の様な気がするが、調べてみると2011年だから時の経つのは速いものだ。
歴史が長い割にはあまり話題には上ってこない(今回日本盤出たのは結構すごいかも。)バンドの様な気がするんだが、何とも形容しがたい音楽性と所謂メタル文脈とは違う露悪性の所為かもしれない。 ノイズコアと称される音楽性だが、分解して聴いてみるとグラインドコアっぽくもあり、スラッジメタルっぽくもあり、メロディアスなロックであったりもする。全部が中途半端ではなく、Austinの頭の中の音楽を表現するために色々形を柔軟にかえている様な印象。その音楽性は悪夢的でとても取っ付きやすいとは言えない。とにかく嫌悪に満ち満ちており、それはこういった界隈では珍しくないのだろうが、例えてみれば他のバンドが観客とともに嫌悪を叫ぶなら、Today is the DayはとにかくAustinの嫌悪をひたすら リスナーが聴かされる様な孤高さがあって、なんとなく気安くお前の気持ち分かるぜって訳にはいかないのである。私の様なそれが好きな人にはたまらないのだが。

さて今作は10枚目であるがその権勢全く衰える事なく、今回も憎悪と厭世観にまみれた凄まじい音楽になっております。
全体的な音質はややもこもここもった感じがして閉塞感、アングラ感が出ている。
このバンドの常としてドラムが結構救いになっていて、手数が多くて比較的抜けの乾いた音質での良い連打は小気味よい。バスドラは結構えぐいが。
ベースは曖昧模糊とした唸りあげるものでギター音とシンクロするように良く動く。
Austinの手によるギターの音は流石というか結構音色的にも多彩である。乾きまくった固いハードコア音質のもの、メタルぜんとした若干湿気のある押しつぶす様な重たい音。アコースティックなものなどなど。このバンドの特色の一つでもある重たい音とぺなぺなした高音を織り交ぜたリフがなんとも嫌らしい。
さらに特徴的なのはボーカルスタイルで、しゃがれた声で吐き出すように歌い上げるもの、ドスの利いた低音シャウト、そして気の狂った猫の叫び声のような高音である。特に高音は精神がガリガリ削られる様な独特なものなのだが、慣れてくるとこれが不思議と癖になるから不思議だ。
全体的にはAustinの恨み節といった感じで時代を経る毎に衰えるどころが、偏屈にでもなったのか今回ますます盛んであり、リスナーはひたすたAustinおじさんの恨み言を聴かされる事になる訳である。一つ一つの音楽的な要素はそれぞれを突き詰めたエクストリームメタル界のバンドに比べれば抜きん出ている訳ではないが、兎に角Austinの混じりっけ皆無のぶち切れっぷりのスパイスがノイズロック、アートロックとさえ呼ばれるその音楽を結果的に悪夢的なものにしているから驚きである。そして屋台骨となるのが器用とも評価すべきそのソングライティング能力ではなかろうか。逆に凶暴過ぎても成り立たないとても希有な音楽性だと思う。ノリのある疾走感のある曲、一転速度を落とした低音の塊の様なスラッジ曲、前作の「Remember to Forget」を思わせる持ち前の暗いメロディアスさを堪能できる静かなアコースティック曲、バリエーションのある曲が絶えず蠢き続け得る悪夢のように一つの連なりになって全体的には違和感なくまとまっている。以前に比べると昨今はアートっぽい前衛さはいささか減退し、その分よりバンドサウンドでの表現の幅が広がっている印象。偏執狂っぽさは変わらないが。

日本盤はMelvinsの「Zodiac」の大分変質した様なカバーが収録されていてこれはとても格好いい。
思い入れのバンドのニューアルバム となると期待と不安が入り交じるところだが、今作は個人的にはもうちょっと暗いメロディアスさを押し出した楽曲がもう少し欲しかったところではあるが全体的には非常に楽しく聴ける。なんか嬉しい。というか10枚目なのに全くぶれていないところに喜びを抱くとともにSteve Austinって人はやっぱちょっとやべーなと再確認。
という訳で人の恨み節を聴くのが大好きという貴方には文句無しでお勧めできる一枚。快哉を叫びたいくらい。イエー、Today is the Day!
まあそんな感じなんでこの記事を読んだ貴方、まあちょっとまずは聴いていただきたい。

2014年2月16日日曜日

下山/DECO-凸-

日本のロックバンドの2ndアルバム。
2014年にツクモガミからリリースされました。

それなりにCDやら何やらを買っていて、気がつくと結果的に苦手なジャンルがある訳です。特に嫌いという訳でないけどちょっと苦手意識があるというか。まあいくら暇人でも世界で今リリースされているすべてのジャンルを聞き通すことは難しいでしょうから、ある種仕方のないことなのでしょうが。
この下山というバンドは今は東京で活動しているそうですが、元は大阪で2009年に結成されたバンドのようです。4人組。
色目が派手で奇抜な格好、大阪出身、若さが爆発したかのような勢いがあるアバンギャルドな音楽性、一つ一つの要素は問題ないのですが全部そろうと、「これはある種のバンドだぞ…」と私の中で警戒心がその鎌首をもたげるのでした。
デーモン小暮閣下も「メタルは様式美!」とおっしゃっておりましたから、日和見で保守的な(←こちらの形容詞は私にかかります。)メタルを好む私としてはちょっとこれは(自分の中での勝手な)抵抗があるわけで。この下山というのもその適当なんだか意味があるんだか分からない奇抜なバンド名とともに以前から目にしていたのですが、恐いもの見たさでとあるサイトのインタビューなんかを読んでみると、最後にやはりyoutubeの動画が埋め込んでいる訳で、それはまあやはり恐いもの見たさで視聴してみる訳です。「ああ、やっぱり苦手だな」という安心感とともにそっとブラウザを閉じるはずでした。

カエルをぎゅっとつぶしたような独特の声、軽いものの良く跳ねるドラム。ぶーぶーわめくようなベース。そして明らかに弾き過ぎでノイジーなギター。
あ、これ結構格好いい。大分長くなる訳ですが、私はそうしてこのCDを買ったのでした。

完全に先入観を持っていたものに逆にやられてしまった訳であります。これは恥ずかしい。けど結構楽しい経験でもあります。私は軽薄な音楽愛好者なので結構恥知らずなもんです。

日本のロックバンドはあまり五月蝿くないなあと思っているいかにも洋楽至上主義者な私ですが、このバンドは兎に角ギターが竜巻のようにやかましく、そいつが曲が始まったとたんに走り出して無理矢理曲を引っ張っていくような、そんなイメージ。
躁病になったブラックメタル然としたトレモロさもちょっとあって、どう考えても憂いのあるブラックゲイザーには聴こえない、いかにもやさぐれた感じが我が道を往く謙虚さのように感じられて個人的にはグッドでした。へ
そしてあくまでもメロディラインはポップといって良いほどのキャッチーさがあるところも逆に好感が持てたり。一秒後には何をしているのか予測つかない暴走するカオスさもあってまあよくもまあキメラのように2つの要素をくっつけたものだと感心。

若さだなと一言で片付けるのはちょっともったいないくらいのエネルギーじゃないでしょうか、これは。歌詞の意味不明さは難解ぶっているというよりは、照れくさいのかな?と感じさせるような、歪めたまっすぐさというのでしょうか。上から目線で申し訳ないのですが、それも何か好感が持ててよし。
前にもどれかの記事で書いたけど、俺たちこう思ってますけどをこうストレートに持ってこられるとこちらとしても居住まいを正してそれじゃあ聴かせていただきます、という(私の勝手な)やり取りがあって、なんだか良いものですね。

というわけで私は完全にやられてしまったCD。
格好いいので視聴位したって良いと思うのよ、私は。

2013年2月9日土曜日

Unsane/Wreck

アメリカはニューヨークのノイズロックバンドの2012年発表7thアルバム。
アートワークが生々しく恐ろしい。
1988年結成、中断を挟みつつ長いこと活動しジャンクの帝王と呼ばれてるらしいです。
バンド名はおそらくinsaneのもじりでしょうか。
その名の通りいかれている音楽性なわけですが、デスメタルやブラックメタルのそれとは趣を異にしております。後者の演出する狂気というのは、通常過激さを追求するあまりおおむね現実世界から逸脱していることが多いのですが、このバンドの狂気は日常の延長線上にあるようです。朝起きて、仕事に行って、帰って酒を飲んで寝るという生活のサイクル、これをずーっとくりかえしていたらいつの間にか狂気の世界に含みこんでいたような生々しさがあります。

ギター、ベース、ドラムスリーピースで全体的に乾いた音。がしゃがしゃじゃきじゃきしたギター、太く硬いベース、ぬけの良いドラム。がなり声のボーカルは結構特徴的で高めですね。
何かが飛びぬけているわけじゃないはずなんですよ。もちろん音が重くてでかくてノイジーなんですけど。曲がばかっぱやいわけでも、劇的に速いわけでも遅いわけもないです。 テクニックのひけらかしもなし。デス声もないです。小細工なし!なんですけど曲として聞くとやっぱりこれはどっか正気じゃねえぞ、という感じがするんです。なんですかね、酒場で酔っぱらいのおっさんと夢中になってしゃべって、ふっとおっさんの目を見たらどうにもこうにも普通じゃない。アルコールのせいも思えない。自分がおかしいのかなとも思えるけど、かといってじゃあ話をやめようとしたらこのおっさんに殺されるんじゃねえかと不安になるような。そんな音楽です。
こりゃーかっこいいです。

なかでも戦慄が走るくらい怖-くてかっこいい曲を。
Flipperというバンドのカバーとのこと。