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2019年3月24日日曜日

Twolow presents “garlic? Vol.7” @小岩bushbash

皆さんお元気ですか?
私はなかなか忙しくやっております。
悩みのタネは尽きない。
なくなったらこっちが探すからです。
生活が苦しいのはもう慣れるしかねえな、と思う今日このごろ。
なかなかかぶりが酷かったこの日、自分が行ったのは小岩。

FIXED
見るのは2回目、おなじbushbashで。
ストレートかつパワフルなハードコアかと思いきや、ファーストフルリリース後改めて見るとかなり印象が異なる。
ずらりと並んでアンプも異様で音がでかい。
ドラムも位置だけでなく前に前に出てくる印象。
全音音量マックスの迫力だか、聞いてみるとハードコアに留まらない何かを感じる。
単に空間系のエフェクトを噛ませたスローパートがあるからじゃない。もっと他の何かだ。
このギター、ギターがロックじゃない?
ハードコアの枠に収まらなくない?
エネルギッシュに前に出てくるかんじ、でも勢いだけでない、フックがある。
スピーディなリフの中にもう一つアクセントを入れるような印象。
敢えてそれをハードコアに噛ませる姿勢だけど、しかしそれによって確実に類を見ない音楽になっている。
ブルースとまではいかないが、ビンテージな感じ、少し埃ぽい。
確実に違うところもありながら、私の頭に浮かんだのは最近新作をドロップした金沢のGREENMACHiNE。(ちょうど聴いていたってこともあるか。)
そういえば彼らはHardcore Rockを標榜、実践している。
あそこまで泥沼に足を突っ込んだ泥濘サウンドではないが、タメがありながらもそれによって生まれる独自の突進力とグルーヴを展開しているという意味で似てると思う。
そうなるとスローパートも老人の仕事の浮遊感に通じるような…穿ち過ぎ?

ALP$BOYS
始まってすぐ思ったのはこれはファストコアではない。
まず露骨にドラムのリズムがおかしい。
シンバルを多用するフリージャズの要素がある。
粘っこいベースと噛み合って横ノリを生み出している。
なんだこれは。
そして歪ませすぎないギターの反復。
これはEarthlessのサイケデリアか。
ボーカルもハードコアな低音かと思いきやラップも披露。
フリーキーな横ノリで揺らせて、サビはロックの縦ノリで吹っ飛ばす、華麗な空中コンボ。
さながらRage  Against the Machineか。
ロックのフォーマットでアウトプットされているが、その実雑多でマニアックなな元ネタたちが渦巻いてる、鎌首もたげてとぐろ巻いてる。
そんな殺気をフルファストな曲に込めてシメ。
ボーカリストは野球の素振りめいた動作をしたり、ナーバスのときに一人モッシュをしたり、近寄りがたい雰囲気で格好良かった。
音楽的には豊穣なんだけど最終的にハードコアになっているのはこういったアティチュードによるのかもしれない。

sasaya-
最近リリースされた二枚目のアルバムがとても良かったが、やっとこ見ることができる
張り詰めている。
緊張感が。
スリーピースで突き刺すように尖ったギターの音。
必死の形相のボーカルの力の入れよう。
まるで愉快なお芝居を見に来たはずが、それは実は口実であり、実際には非公式の法廷で観客の私たちが丸ごと糾弾されているようですらある。
ただしそれだけではない。
それだけではとても説明がつかない。

音的にはジャンクと自ら称することもあり、なるほどハードコア、パンクの範疇から逸脱したひりついた殺伐さは、シンプルな編成飾らない音作りという楽曲のスタイルとあいまってUnsaneに代表されるノイズロックに大いに通じるところがあると思う。
ただし血塗れの世界を狂気を孕んだ目で、ある意味冷たく俯瞰する彼らとはこのバンドは一線を画している。
冷笑的な、つまり皮肉に富んだユーモアがsassya-にはない。
あくまでも主観的に、世界が血塗れならそこで苦しんでいる姿を表現している。
浮世の生がもはやよ呪いなら「脊髄のラスト」で命を燃やして生きろというメッセージはその呪いが解けないことを指しているから残酷である。

 しかし「きっと今より良くなる」というメッセージよりも私にらよっぽど真実らしく響くのだ。
良かったね、圧倒的に。

Nervous Light of Sunday
ハードコアは、特にニュースクール以降は怖くないとみたいな思い込みがある。
なにも銃声を楽曲のイントロにいれたり、マフィアぽさをアピールする必要は無くて
ライブで見た時おっかないかどうかである。
この日のラインナップでは異質だろうと思うが、異質さを一切隠すことなくハードコアの怖さを披露。
怖くてステージ前に行けないあの感じ。
ガッチリ固めた低音の塊と、耳障りな高音の単音。
それが何かしら人体に作用するらしい。
とにかくミュートでザクザクというより、強制的に抑えつけるようにバツバツ空間を切り取っていくのが気持ち良い。
速いし重たい、タフなんだけど、どこかしら何かに追われるような神経症めいたところがあり、個人的にはそこが好きだ。(いわゆる激情系に通じるところはあると思う。クールすぎない。)
モッシュパート一辺倒のブルータルハードコアというより、ちょっとCave Inみたいに捻った所もある。
あっという間に終わってしまった。
音楽的には全然違うけど、前のsasaya-から繋がっているような気がした。

Twolow
ベーシストのメンバーチェンジ後見るのは初。
メンバーみんなでかい。
まずドラム。
単に音量が大きいのか?
周りが下げてバランス調整してるのかもしれない。
いずれにしてもドラムの存在感よ。
音数は決して多くないが一撃の重たさと思い切りの良さ、「俺はこのリズムで行く!」という潔さがバチバチ来る。
ギタリストはpaleのメンバーでもあるが、こっちでのプレイスタイルは明らかにこのバンドに寄せてきている。
徹底的な引き算の世界。
ミニマルですらあるし、無愛想すぎる。
ベースのシンプルな骨太さがドラムと噛み合い、骨組ができるわけだけど、ギターが二本更に乗っても、体感的には骨組しかない。
リズム、リズム、リズム。
ここまで削ぎ落とすと、ハードコア的なカタルシスはない、どっしり落ち着き、コード感もほぼ消えている。
ところがボーカルにメロディがあって、それ故にTwolowがオルタナティブと称されるのも首肯できる。
日本のHelmet。
メンバーが運営しているレーベル、3LAの性格もあってついつい分かりやすい日本らしさを探してしまうのだが、しかしアメリカだ。
スプリットの相方Sunday Bloody Sundayもそうだけど、アメリカを感じてしまう。

どのバンドも違って、それを違和感なくまとめているのは主催者Twolowのオルタナティブの魔力だからか。
個人的にはALP$BOYSが楽しかった。音源聞いて「なるほどなるほど」ってなるのをいざライブをみると印象全然違って面白い。こういう野ライブの醍醐味だと思う。
あとsassya-はやはりすごかった。
今回は会場でぽちぽち感想の元ネタを書いてみた。bushbashは良いライブハウスだな〜。

2018年4月21日土曜日

PUTV Tour2018 SEX PRISONER Japan Tour@小岩Bushbash

幸いなことに私の上長は自身が音楽をやっていることもあって、ジャンルは違えど私の音楽趣味に理解を持っていてくれる。
私「今日ライブ見に行きます。(ので早く帰りたい…)」
上長「なんてバンド?」
私「セックスプリズナーです。」
上長「え?」
私「セックスプリズナーです。」
上長「それはいかがわしいな」
私「真面目なやつです」
みたいなやり取りがあって会社を出た。
そう、アメリカ合衆国アリゾナ州ツーソンのパワーバイオレンスバンドSEX PRISONERが来日しているのだ。私は来日ツアー二日目の公演を見るべく小岩にむかった。
私には珍しくオンタイムで小岩に到着。5つの日本のバンドがSEX PRISONERを迎え撃つ。

leech
一番手は千葉県船橋シティのパワーバイオレンスバンド、leech。5人組で専任ボーカルにギターが2本。ボーカルの人がガッツリハードなスタイルで異彩を放っている。
甲高いボーカルが終始シャウトをかまし、高速と低速を痙攣的に往復するさまは正しくパワーバイオレンスだ。このバンドは低速に特徴があって、スラッジ的というかそれを一歩通り越してスワンプ的だ。アメリカ南部の泥濘というか、ねっとりした腐敗したブルーズ臭が漂う。ハードコアのリフをただ低速に引き伸ばしたというよりは、妙に停滞したグルーブを打ち出していくる。このモッタリ感が非常にかっこいい。うわ〜ダメになる〜という感じ。もちろんフィードバックノイズも多めで不穏な感じ。低速が印象的なのでそこからの高速もよくよく映えてくる。

Thirty Joy
続いては東京のパワーバイオレンス/ファストコアバンド。ELMOとのスプリット音源を持っている。こちらはギターが1人に専任ボーカルの4人組。
めちゃくちゃ早いので「なんてバイオレンス…」と圧倒されるのだが、よくよく聞いてみると(今あらためて音源を聞いても思うんだけど)、楽器の音はモダンなハードコアとはちょっと違ってまだ生の音がいくらか残されているガシャガシャしたもの。リフもミュート用いて溜めを作っていくタフなものではなく、音の雰囲気もあってか80年代風のハードコアを高速でプレイしているような趣。ボーカルは高音だがやや喉にちょっと引っ掛けて叫び出すようにちょっとしゃがれている。なるほどたしかにファストコアだ。音はでかいし、攻撃性に満ち満ちているがどこかカラッとした感じがある。持っている人にしかわからなくて恐縮なのだがELMOとのスプリット3曲め(曲名がわからない音源なのだ)の曲に象徴されるようにリフがパンキッシュ(オールドスクール感)でキャッチーだ。

Fight it Out
ぼんやりしていたらいかつい見た目の人がセッティングしている。あれ?Fight It Outだ。ツアーに帯同しているからてっきりトリ前かと思っていた。そんな寝ぼけた頭をふっ飛ばしに来たのが横浜のパワーバイオレンスバンド。ギターが2人、ボーカルは専任。
Fight It Outはとにかく怖い。ピットができるのだが客の暴れ方が半端なくそれに合わせてピットも広がる。非常に暴力的だ。すでに何か会場にぴりっとした雰囲気が漂う。私はいつも後ろに下がろうかな…と思ってしまう。(この日はときすでに遅しだった。)
隠しようもなくモダンにアップデートされたパワーバイオレンスを演奏するバンドだが、この日思ったのはドラムがすごい。パワーバイオレンスは短い曲の中で速度がコロコロ変わる音楽だ。ドラムも速度だけでなくフレーズ(ドラムの場合はリフというのだろうか?)も目まぐるしく変わっていく。私は楽器の上手下手はからきしわからないのだが、FIOの場合はこのドラムが圧倒的に空間を支配している。ガッチリとしたリズムがフロアに残酷に今のリズムを叩きつけていく。この明快さ!(明快と言っても実際にやるのはすごく難しい。)
それから暴れるなら、盛り上げるならまず自分からを地で行くのがこのバンド。いかついボーカリストがフロアに降りて縱橫に暴れて、観客もそれに触発されて盛り上がる。怖くて、そして格好いい。

ELMO
続いては東京のパワーバイオレンスバンド。昨年末にリリースしたEP「Draw Morbid Brutality」は自分の中では空前のヘヴィローテンションで2曲め「Depth of Despair」はリリースから今まで際限なく聞きまくっているため、この日どうしても見たかった。ギター1人に専任ボーカルの4人組。
極端にノイズを強調したギターとベースが流行とは一線を画す凶暴なハードコアを鳴らしていく。高速パートは疾走感もあって気持ちが良いのだが、ノイズまみれの低速パートが長すぎる。高速パートの勢いを一時停止するどころか完全に息の根を止めるような執拗さでフロアを地獄に叩き込んでくる。前回、前々回見たときもそうだったがとにかくボーカルの剣呑さが常軌を逸していて、この人はラップもやっているそうなのだが、ライブが進行していくとどんどんボルテージが上がっていてこの日も相当恐ろしかった。目が据わっていて観客に怒鳴りまくっている。FIOは健全に暴れるという感じだが、(ちょっと語弊があるかもだが)ELMOの場合は絶対的にバンドと観客の間に溝があってその孤独に病んでいる感じが恐ろしくかっこいい。ノイズが全身を這っていくのに合わせて鳥肌立った。すごかった。

FIXED
続いてはFIXED。最近結成されたバンドでOSRUM、endzeweck、FRIENDSHIPのメンバーらからなるバンド。専任ボーカルいれて4人!アンプもドラムセットも(おそらく)完全に持ち込み。アンプは山積みだし、ドラムセットもなんだが一個一個がでかい。(裏にライブハウスのドラムセットがあることもあって)全体的に前に張り出して迫力がある。ちなみに出している音も超デカイ。
パワーバイオレンスではもちろんなくてどっしりとしつつも非常に柔軟なハードコアだった。ボーカルは終始シャウトしていて、ギタリストもシンガロングというかもう一人のボーカルのようにかなりの頻度で叫んでくる。速度はたしかに速いのだが、とにかく曲がとても豊かでギターはとくにただただ速度を追求して刻んでいくような弾き方ではなく低音から高温まで満遍なく使っていく。ベースも運指があってスライドも多用したりで速度を落として獲得したふくよかさがヘヴィで格好良かった。個人的には休符をすごくうまく使っていて、曲間でもまた一から合わせていくような出足の気持ちよさというのがなんかも体感できてよかったな〜。止める、というのは止めること自体の楽しさとそこから、ガッチリアンサンブルで合わせて始める、という楽しさがあるなと。
曲の複雑さとかっちりさ、再度ボーカルの使い方というところで、出ている音はぜんぜん違うがなんとなく柏シティのkamomekamomeを思い出してしまった。
物販を見ると音源はまだみたい?

SEX PRISONER
いよいよトリ!アリゾナ州ツーソンからのパワーバイオレンスバンド。専任ボーカルいれて4人組。メンバーが非常にリラックスしたムードで淡々とセッティングしていく。ささっとライブがスタート!これが非常に楽しかった!格好良かった!!のだけど思っていたのと違ってかなり驚いた。
まずパワーバイオレンスって非常にいかつい音楽である。前述のFight It Out、ELMOは出している音は似ていないがそんなジャンルを印象的に象徴していた。つまりヒリヒリしていておっかない。内面に湛えられた目に見えない怒りがもはや現実になって観客に獰猛に襲いかかるような、そんな雰囲気がある。そしてそれこそがパワーバイオレンスという恐ろしげな単語で表現される音楽だろう!と個人的には思っていた。SEX PRISONERに関しても音源を聞いてもやはりそうだな…こええな…と思っていた。ところがライブを見るとちょっと違う。確かに曲はばかみたいに速い、音は分厚い、おっかない、しかしなんというかもっと非常にカラッとしている。雰囲気で言えばそれこそThirty Joyの表現する80年台からのハードコアを正当に継承している感じだ。重たく速いが、あくまでも透明に澄んでいるような。爽快感と言っても良いかもしれない。ゆるいわけではもちろんなくて多分この日一番かっちりしていた。(すごい練習いているか、もしくはライブをやりまくっているか、どちらかだろうと思う。)ハードコアはラフが信条なんて戯言吹き飛ばす勢いでアンサンブルが噛み合い、それでいて荒々しさが露も失われず、そして音もでかすぎるというのではなく非常に良い塩梅に調整されていた。
曲がわかりやすい、乗りやすいというこもない。たしかにキャッチーではあった。というのもこのバンド高速低速の両極端も強いが、実は最大の持ち味は中速ではなかろうか?というのは中速と高速の合間にとどまることが多く(比較的、時間的にはやはり短いのだが)、その中速リフこそがハードコアらしい溜めのあるリフが縦ノリ横ノリのグルーヴを産んでいく。これが気持ち良い。ただ低速と高速が目まぐるしすぎるほどに矢継ぎ早だ。FIOは高速と低速にそれなりに時間を割くことで観客に現状を理解する時間を与えるが、SEX PRISONERの場合はそれすらきっぱり削ぎ落としている。曲も圧倒的に短い。極限までにハードコアを削ぎ落とし、それでも明確なハードコアとして存在しているのだから尋常ではない。いわばハードコアの核や真髄を彼らは鍛錬の果についに見出してそれを提示しているのかもしれない。そんな戯言も現実味をちらりと帯びてしまうほどに堂々としたハードコアだった。
そしてやはりカラッとしている。怒りはもちろんあるだろうが、それは完全にもう飲み込んで別の何かになっている。繰り返して言うが腑抜けた音楽では全然ない。おっかないのである。でも同時に非常に楽しい。本当もう私ずっと笑っていたと思う。本当に。
いかつい見た目のボーカリストの方は獰猛でしかし非常にしなやかであった。走るような格好で飛び上がるジャンプは格好良かったし。楽しそうにフロアでステップを踏むこともしばしば。(twitterでハードコアのライブでステップに対して疑問を呈する発言を見たが、そんなのどこ吹く風でかっこよかった。本当自由だった。)
ショートチューンを幾つも披露し、そしてあっという間にライブが終わってしまった。私はもう事前に考えていたことがことごとく違って本当痛快だった。「あっはっはっっは」って笑ってしまいたいくらいであった。すごかったな〜〜〜〜〜〜。

もう完全にいい気持ちで(私はこの日お酒は一滴も飲んでいない)、物販でSEX PRISONERの長袖T-シャツを買う。ボーカリストの方と握手して(日本にきてくれてありがとう!と言えました。)帰宅。楽しかった!自分の狭量な偏見がふっとばされたのがとにかく気持ちよかった。
(あと小岩はやはり遠くていつまでたっても家にたどり着かず絶望した。)