2019年4月30日火曜日

DEATHRO TOUR2019 THIRTY-ONE≠ZERO. 『STARDUST MELODY』 RELEASE BASH 1-MAN 2DAYS@下北沢Shlter

私はお昼のライブが結構好きだ。
なんとなく気軽な気持ちで行ける。
というわけでDEATHROのライブへ。
ついこの間まで「デスロー」と読んでしまう(正しくは「デスロ」)ようなにわかである。音源は一個も持ってない。
雨が降ったので自転車NG。
GW時間なのかバスが全然来なくてヤキモキしたが少し押したのでなんとかスタートには間に合った。

DEATHROはもともとAngel O.D.、Cosmic Neuroseというハードコアバンドで活動していたが、2016年にソロとしてキャリアを開始しているそうだ。
お客さんはかなり入っていて、私は前情報がないのでどんな音楽だろうかと思いドキドキしていた。
いよいよライブスタート。

ドラム、ベース、ギターのバックバンドはラフな格好だが、DEATHROさんはバッチリメイクに、上下革で決めてくる。
曲が始まると結構びっくりする。すごくポップだからだ。
早くもなく遅くもないビートで、キラキラしているがわかりやすい(コード感のある)バックに、クリーンのボーカルが乗る。
ハードコア、という感じは微塵もなくAメロ、Bメロ、サビ×2、ギターソロ、(Bメロ、)サビという曲展開。
とにかくメロディアス。
おお、これはポップだ。洗練されている。そして無駄がない。
決して洗練はされていない。しかし垢抜けないのではない、懐かしいのだ。

これは楽曲やPV、見た目など、今の流行とは違う、特定の年代の音楽を意識されているから。具体的には90年台のJ-ROCKということだ。
インタビューを読むと、氷室京介さんやBOØWYやヴィジュアル系バンドの名前が出てくる、なるほど。
個人的にはDEATHROはヴィジュアル系の影響はありつつも、マニアックかつ独特の耽美さというよりは、もっと骨太なロックぽさが強め。
歌が強いんだけど、演奏はただなっているだけで耳に残らない歌謡曲ではない。
面白いなと思ったのはギターで、イントロやギターソロの入りにその曲のサビのラインをほぼそのまま、やや崩して入れている。個人的にはこのやり方が「あ、あの頃!」ってなった。音自体もクリーンに空間系を噛ませてブーストさせて太い、あの感じ。
今やると言葉は悪いんだけどちょっとダサくなってしまう。これはそのものがダサいんじゃなくて今の流行と断絶があるからに過ぎない。
だから変に手法だけ取ればダサいんだけど、DEATHROは全体的に90年台を志向しているから全体的にはすごくしっくりしている。部分的にとってきてリバイバルですよというのじゃない、根本から持ってきて(リスペクトがあるからできることだと思う。)今2019年に新しい音楽を作っている。
ギターのリフはキラキラしていて、反面裏のベースがかなりしっかりしていてリフが格好いい。
ちなみに終演後に気がついたのだが、耳に痛くはまったくないけど結構音は大きかった。

DEATHROはとにかく客を煽っていく。
盛り上げ方がうまくて無理やり乗せるんでない。
「もっと行けるよね」と煽ってくる。決して大きいライブハウスでなくても、すごく大きい会場のようなスケールの大きい煽り方。
観客はDEATHROに引っ張り上げられてどんどんテンションが上っていくような感じだった。
初披露の曲も「シンガロングしてよな」といって笑いを誘うが、実際めちゃくちゃポップなので本当に初回で歌える。すごい。(新曲の「プラスティック(もしくはラスティック)エモーション」という曲はすごく良かった。)

アンコールは丸山さんという女性のピアニストを迎えてのピアノアレンジを挟んで、ラスト2曲で締め。
楽しかった。


情報量が多くてあれこれ考えちゃう。
まずDEATHROさんは時代性を持ったアイドルだなと思った。
時代性というのは大体わかってもらえると思う。90年台のJ-ROCKだ。
でもじゃあ具体的には?ボウイや氷室京介の名前を上げることはできるだろう。でもそれだけじゃないよね。
そう、こういうなにかによく似ている感じ。いざ具体的にその似ている大本を上げるのは実は結構難しい。
なぜかというと「あの頃」は具体的なバンド(やその他なんでもいい)を含めた全体的な雰囲気であることが多いからだ。結構抽象的なんだ。きっとひとりひとり別々の「あの頃」があるはずだ。
みんなの頭、胸のうちにある「あの時(代)」を見事に体現している。
つまりDEATHROは抽象性を汲み取って具体的にこの世界に顕れている。(一つの現象といえますね。)
みんなの思いを具体的にして顕現している、これは偶像、つまりアイドルだなと思ったわけ。

ところがDEATHRO演じているようで演じていない。
スケールの大きいMCも上から目線では全然ないし。
地元県央の日常を歌にしているとのことで、歌詞は地に足ついて現実的だ。(個人的に新曲のもう一つ、歌詞が結構儚かったような気がする。「全部風になって消える」的な。)
こういう部分は現実に立って主張するハードコア由来だろうか。

ライブの雰囲気がとても良い。というのもお客さんが楽しそう。顔見知りも多いのだろう、終演後はみんな口々にライブの感想を言い合ったりしている。
元ハードコアの人ということで、サーフする人もいたし、アンコール最後はフロア前方の密度は相当。でも危険な感じはないし、女性も多かった。
みんな笑顔だ。わかる、初見の私も楽しかったもの。

DEATHROさんが「新しい時代は差別とかがなくなるといい」と言っていてたしかにそうだと思う。
ただ4月30日が5月1日になった途端に世界が変わるわけじゃないから、自分たちが良くしていかないとな、と思いつつ帰宅。

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