2016年3月12日土曜日

The Black Queen/Fever Daydream

アメリカはカリフォルニア州ロサンゼルスのエレクトロ/オルタナティブバンドの1stアルバム。
2016年に恐らく自主リリースされた。
The Black Queenはマスコア/カオティックハードコアバンドThe Dillinger Escape PlanのボーカリストGreg Puciatoを中心に結成されたバンド。オフィシャルのバイオを見ると2011年に同バンドやNine Inch Nailsのテクニカル担当を勤めるSteven Alexanderと曲を作り始めたとの事。その後Telefon Tel AvivのメンバーでNine Inch NailsやPuciferと働いた事もあるJoshua Eustisが参加し、バンドの活動が加速。今回目出たくアルバム発表の運びとなったそうな。ゴリマッチョなGreg(TDEP加入直後はほっそかったと思うんだけど)は前からNine Inch Nailsのファンということをいっていたと思うし(加入後のアルバムで歌い方がTrentっぽいなーとNINファンの私は嬉しかった思い出が)、PortisheadのTシャツをMax CavarleraらとのスーパーバンドKiller Be Killedのアーティスト写真で着ていた様な気がするから、今回このような音のプロジェクトと行っても実はそんなに意外でもないでした。という事で購入。

ギターの音も入っているし完全にという訳でもないのだろうが、それでもほぼエレクトロに舵を切ったサウンド。レビューでも書かれているが全体的に懐古的というかノスタルジックな電子音で構成されているように感じる。私はそちら方面全く詳しくないので、例えば何年代のディスコサウンド!のように具体的に指摘できないのだが…例えば意図的なレトロ/チープさとも明らかに一線を画すわけで、例えるならば昔一世風靡をしたサウンドがその後あたらな流行に押され消えてしまった、ところがそのサウンドが今もそのまま進化したとしたら…そんな音である。つまり原題で通じるほどに重厚だし、往時そのままの音でももちろん無い。ただ所謂流行とは結構無縁の独自の道を突き進む音である。
シャウトからメロディアスなクリーンパートまでこなす万能ボーカリストGregもこのバンドではシャウトを完全に封印、息づかいまで伝わっているしっとりとした艶のあるボーカルでウィスパーから伸びやかでねっとりとした全く違った局面でもその才能を遺憾なく発揮している。歌うまいと思うけど私はそこら辺の判断がちゃんと出来る訳ではないのだが、やっぱり魅力的な声だなーと思います。
単にGregのサイドプロジェクトに収まらないこのバンドはバックをガッチリ固める。ダンサブルかつムーディで妖しい魅力にあふれている。レトロなシンセ音も、例えば飛び道具的に使う流行のバンドとは全く異なる。曲の細部まですべてコントロールされているので、一見時代とかけ離れたその独特な音もごくごく自然に聴こえるからさすがの一言。全体的には暗い雰囲気だが、例えばトリップホップのような模糊とした要素はほぼ皆無で全編かなりソリッドに作られている。分かりやすいリズムは確かにノスタルジック。脇を固める細かい音は、例えばNINを思わせるちょっとしたインダストリアル性、それから忍び寄る様なシンセ音や単音の奇抜なおとはウィッチハウスを通過し、飲み込んだ様な変遷を感じさせる。

正直どんなもんかな?という気持ちも無くはなかったのだけど、聴いてみたらこの作り込みに嬉しい驚き。これはカッコいいですよ。Greg(TDEP)のファンは勿論、インダストリアル野郎も結構自然に受け入れられるのではないでしょうか。オススメ。

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