2014年12月20日土曜日

Goatwhore/Constricting Rage of the Merciless

アメリカはルイジアナ州ニューオーリンズのブラッケンドデスメタルバンドの6thアルバム。
2014年にMetal Blade Recordsからリリースされた。

名前は知っていたが聴いた事が無かったバンド。某ブログの記事を拝見して購入。一つはとても好意的な書き方だったのと、もう一つはギターを担当するメンバーが元Acid Bathだった(と書かれていた)こと。Acid Bathは90年代に活動していたスラッジメタルバンドで2枚のオリジナルアルバムを世に送り出した後解散している。私Acid Bath大好きなんだよね。(な割りにメンバーのその後を終えていないのは恥ずかしい限りだが。)「Toubabo-Koomi」という曲で知って今も良く聴きます。というわけで期待大な感じで聴いてみるとこれがとても格好いいのだった。

ジャンルで言えばブラッケンドなデスメタルということになる。メンバーの写真でも手にトゲトゲのついたアレ(正式名称なんて言うんでしょうか。)をつけていたり、黒を基調としたアートワークも黒魔術めいた雰囲気がある。後述するがボーカリストの歌唱法もブラックメタルからの影響が色濃く表れている。なんだがあくまでもブラックメタルをエッセンスにしてかなりオリジナリティのある音楽を作り出している。
ごった煮グラインドというのはどこで見た言葉だったか失念したが、一聴してまずごった煮グラインドという言葉が思い浮かんだ。デスメタルが基調だから重さとスピード感のある楽曲なんだがギターリフは時にはモーターヘッドを思わせるパンクいロックを思わせるスラッシーなものも出てくるし、トレモロは引くし、ハードコアを彷彿とさせる勢いのあるリフが顔を出すと思ったら、所々ちょっと煙たいストーナーな雰囲気も(ニューオーリンズという土地柄もあるのだと思います!)というなんでもありの寄せ鍋スタイル。

ボーカルはわめきタイプが主体となって所々かなりドスの利いた低音デス声を織り交ぜてくるタイプ。わめくほうはブラックメタル由来かなあと思ったけど、吐き出す様な感じはどちらかというとスラッシュメタル?結構迫力があるので一部のブラックメタルの様な悲壮感は無いし、何でもありの演奏に良く合っていると思う。デス声一本だと色彩豊かな演奏がちょっと霞んでしまうのかもしれないので良いバランスではなかろうか。
ごった煮感のあるバンドなのでギターはとにかく手札の数が多く、ころころ手を替え品を替えという感じで様々なリフが出てくる。だいたい基本と鳴るのはスラッシーなリフとプリミティブなそれから大分ブーストさせた様な重たいトレモロリフだろうか。凝りすぎないストレートさがあってソロも含めて弾きまくっている割には耳にすっと入って来て気持ちよい。
ベースはブオーンと唸る様は結構パンキッシュじゃなかろうか。ギターが縦横無尽に暴れる分ベースは所々低音を一手に担って屋台骨かついい感じに目立っている。
ドラムは良く叩く元気なスタイル。曲調が低速から高速まで幅広いんだけどどの速度でも柔軟に叩き分けている。バスドラでドドドってオカズを入れる様な叩き方がかっこいい。

ハイブリッドな音楽性は全体を混沌とさせるのではなく、むしろかなり残虐な音楽性の中にも良い意味でのラフさを生んでそれがちょっとしたユーモア?みたいになっている印象。かなり異様で希有なバンドなのだろうが、聴き心地は意外にポジティブというか楽しい気持ちにさせてくれる。期待通りに格好いいアルバム。これはすごい。オススメ。

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