2014年12月13日土曜日

Cold World/How the Gods Chill

アメリカはペンシルベニア州ウィルクスバリのハードコアバンドの2ndアルバム。
2014年にDeathwish Inc.からリリースされた。
たまたまyoutubeで動画をみて気に入った購入。
ボーカル、ギター2人、ベース、ドラムという5人組で2005年以前に結成されたようだ。2012年に来日した事もあるみたい。

音楽的にはストレートなハードコア。
ソリッドかつメタリックなギターがスラッシーかつストレートなリフを思い切り良く刻んでいくスタイル。ベースはひたすら重く、ややギャラギャラしたギターを支える低音担当。ギターもそうだが、ブーンと唸る余韻がとてもかっこいい。バスドラムは重々しいが、乾いて鳴りのよいスネアのはじける様な響きが心地よい。音の重さも速度もやり過ぎず程よいバランス感覚。分かりやすいビートダウンなどには迎合せず、渋いハードコアを鳴らしている。ボーカルはのどに引っ掛ける様なやや掠れた前のめりに畳み掛けるハードコアスタイルと、掠れを押さえたやや伸びやかにシャウトする声の使い分け。特に後者はやんちゃな感じもしつつ華やかさもあってちょっとだけメロいサビで本領発揮。
無骨な曲作りの中にもちょっとした叙情性があって、それがアルペジオやサビでのメロディに反映されていて戦車の様な重々しくかつ爽快なハードコアにひと味加える感じでかっこいい。
さらにこのバンドの特徴として大きいのが、Hip-Hopの要素を取り込んでいる事。
ラウドな音楽にHip-Hopの要素を取り込むという手法(主にメタリックな演奏陣をそのままにラップという要素くっつけるというやり方で。)自体は今となっては珍しくない。私は丁度ニューメタル世代だったのでそこら辺の印象があるが、昨今ハードコア界隈でのHip-Hopへの接近が形になって目立って来たのかなと思う。
メタルの演奏だと凝りすぎるところがあって、ラップという畑の違う異色の要素を取り入れるとガチャガチャしすぎてしまう懸念があるが(だからあまり技巧自慢にはならないニューメタル分野とは相性が良かったのかも。)、ハードコアはもっと直感的だ。刻む様なメタルの要素を取り入れた分厚いリフトは相性が良い気がする。ガツンガツンとストップアンドゴーを繰り返すハードコアスタイルはリズミカルでラップの乗りが良い。ドスの利きすぎないハードコアボーカルはラップとも良く調和している。
それっぽいイントロとアウトロもそうだが、メンバーがHip-Hopが好きで単にラッパーを客演として呼びつけているというよりは、自分たちなりにその要素をハードコアにのせようとしている意思が垣間見えて面白い。地のハードコアは流石自分たちの出自というかルーツってことでいっさい手加減無し。ニューメタルにはあったお手軽な軽薄さは感じられない。

爽快なハードコアが好きな人は是非どうぞ。まだちょっと荒削りの部分もあるので次のアルバムがそういった意味でも楽しみなバンド。


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