2014年12月6日土曜日

Zomby/With Love

イギリスはイングランド、ロンドンのテクノアーティストの4thアルバム。
2014年に4ADからリリースされた。
私は全く名前も知らなかったのだが、以前に感想を書いた日本のノイズバンドEndonのインタビューでボーカルの那倉さんが「嫉妬した」と紹介していたものが気になって買った次第。(ちなみに那倉さんは超強面だけどインタビューだと普通に受け答えしています。当たり前だけど。)

Zombyというアーティストはアノニマスの仮面を被ったりとあまりセルフイメージが露出しないようにしているらしい。(ググると普通に顔も出てくるけど積極的には出たくない、というスタンスとのこと。)結構謎か多い人みたい。
このアルバムは2枚組全33曲というかなりボリューミィなアルバムである。ほぼボーカルパートは無いので中々とらえどころの無い音楽性だが、まあここは一つ思った事を書いていきます。
まずジャンルはダブステップという事になっているが、はっきり言って想像とは違うダブステップだった。重量感のあるやや輪郭の曖昧なビート音は確かにダブステップだが、流行のスタイルとは一線を画す独自なもの。一言で言うともっとテクノっぽいな、という印象。ダブステップは機械で作っているから本当の意味では違うのだろうが、ちょっとファジーなところがあるんだけど、Zombyの音楽はもっとソリッドだ。まず音が鋭い。そして少ない。たしかにやり方はダブなのだろうが、音のパーツは音色がちょっとダブのそれとは異なる。ビート中心の音楽で前述の通りビートはダブいが、例えば跳ねる様なスネアなどの連打はやっぱりドラムンベースを彷彿とさせる。そして何よりミニマルである。基本ドラムとベースで構成されたループの上に、これまたループするうわモノが乗っかる。背後に流れるドローンめいた音が風に揺れるカーテンのように、よおく聴いていると次第にその形を変えていくのに気づく様な案配である。ダブ・ソリッド・ダブのサンドイッチ構造や〜と言わんばかりの中々のバランス感覚。完成された音は押さえつつも流行に迎合しないハードコアなものになっている。全体的な雰囲気は暗く沈み込んでいく様な陰鬱さがあって、所謂フロア向きで踊れるタイプの音ではない。(大音量でクラブで聴いたら格好いいのだろうが。)那倉さんも言っているがトリップホップに通じるものがある。悪ぶっているけど結構伝統に対してリスペクトがあるんじゃないの?という感じ。
曲は1分から2分台が多く33曲がテンポよく進む。印象的なのは曲の終わりがかなり唐突にぶったギっているものが何曲かある。これは一体どういう意図なのかわからん。お、と思ってリズムを取り出すとぶちっと終わってしまうのである。中々どうして捻くれた奴である。

ここで印象的な本人のインタビューが読める。人を食っているのか煙に巻いているのか、はたまた本当に性格が悪いのか判然としないのかやはり中々捻くれた兄さんのようである。
通して聴くとちょっと長いな…と思ったりもするがぼんやり聴いているとおお!っと思わせたりして中々どうしてなアルバム。仕事中に聴くと良い事を発見した。結構好きです。気になった人はどうぞ。

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