2018年9月9日日曜日

Transient + Bastard Noizet/Sources of Human Satisfaction

アメリカ合衆国はオレゴン州ポートランドのグラインドコアバンドのBastard Noiseとのコラボレーションアルバム。2018年にSix Weeks Recordsからリリースされた。
Transientは2008年に結成されたグラインドコアバンド。一方のBastard Noiseは言わずと知れたMan is the Bastardのメンバーによるノイズグループ。

このアルバムは二つのバンドのコラボレーションだが、TransientのグラインドコアをベースにBastard Noiseがノイズを追加しているという趣。主体はグラインドコアなのでそこまで実験的ではなくて聴きやすい感じ。この手のコラボだとパッと思いつくのはFull of HellとMerzbowのコラボレーション。こちらも主体はFull of Hellのパワーバイオレンスでそこにノイズを追加するというやり方だった。メタルやハードコアなどのいわゆるバンドサウンドに比べるとノイズは抽象的だ。それらの暴力性を倍加するビデオゲームでいうバフみたいな使われ方をするのもなんとなく納得できる。ノイズとは魔法だ。
グラインドコアといってもいろいろな種類がある。このTransientに関していえばデスメタリックな成分は少なめで、音の作り方や自然体で装飾性のあまりない楽曲はハードコアに近い。よく回転するドラムに低音は出ているものの程よく抜けが良いギターが乗っかる。ハードコア色は強めだが、パワーバイオレンスというには音は重たく、また速度の両極端をいったりきたりもしない。曲も短いながらも自暴自棄なファストコアというよりは、よくよく聞くときちんとリフが練られていてメリハリがついたグラインドコアだということがわかる。ミュートの使い方がメタリックなのだが、音の作り方が巧みであまり重々しく聞こえない。ここら辺は好みかもしれないが、私は好きだ。もともとハードコアからスタートしたしたグラインドコアというジャンルのピュアな血統に属するバンドと言えるかもしれない。
Bastard NoiseももともとメンバーがやっていたMan is the Bastardは(ハードコアのサブジャンルである)パワーバイオレンスの始祖と呼ばれる(パワーバイオレンスという言葉を生み出したのがEric Woodというこのバンドのメンバーだった)こともあって親和性は抜群。乾いて明快な楽曲に存在感のあるノイズが乗る。過激なバンド名だが単にハーシュノイズを撒き散らしているわけではなく、Transientの音が最大限生かされるように配慮している。ガチガチのハーシュノイズは冒頭において、いざグラインドコアが開始されれば音域が被らないように、高音域の不吉な運命を告げるトランペットかサイレンのようなノイズを鳴らしたり、フィードバックノイズのような焼けこげたようにチリチリするノイズを出したりして、メタルではなかなか表現し得ない不穏さを演出している。存在感のある音がぶつかった結果よくわからん、という変な抽象性に逃げるのではなく、ちゃんとコラボレーションとして化学反応することを考えている。もはや円熟の極みという感じだろうか。
ハードコアを感じるのは19分のリアルな質感であり、(デス)メタリックな重厚な物語感も良いが、あくまでも地に足についた反骨精神が清々しい。

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