2016年7月30日土曜日

Indian/Slights and Abuse/The Sycophant

アメリカはイリノイ州シカゴのスラッジ/ドゥームメタルバンドの編集版。
2008年にSeventh Rule Recordsからリリースされた。
2007年にリリースされたEP「Slights and Abuse」と2008年にリリースされたEP「The Sycophant」をくっつけて再発したもの。
このIndianというバンドは2ndアルバムの「Guiltless」、多分山崎さんのブログで良いよと紹介されていたのを切っ掛けに買ったのが出会い。その後の3rdアルバム「From All Purity」はねっとりとしたスラッジにハーシュノイズをぶちまけた、ヘイトにまみれたスラッジをぶちかまし、私の心臓にぐっさり突き刺さった。非常に残念な事にその後バンドは解散。ボーカルはブラックメタルバンドLord Mantisに加入したらしい。ちなみに前のLord Mantisのボーカルが、ブラックメタルバンドのCobaltに加入している。どういった順序なのか分からないが。Lord Mantisは聴いた事ないけど新しい音源出たら買ってみようと思っている。
さて少し話を戻すととにかく私はIndianというバンドが好きなので未だ持っていない音源1stアルバム「The Unquiet Sky」とこの音源をレーベルに注文した訳。結構時間がかかって(音沙汰ないもんでこりゃレーベルがつぶれたのかと思った)届くとなんと、なんとこの「Slights and Abuse/The Sycophant」が2枚!きっとレーベルの人が梱包の時に間違ってしまったのだろう。まあ仕方ないな〜と思って1stの方はデジタルで買おうと思っている。

さて音源の方に話を戻そう。アートワークはいかにもスラッジな雰囲気満点の、お世辞にもが緑が高いとは言えないがとにかく力のある生々しいもの。五芒星をモチーフにした魔術的な要素もあって、なんとなくアメリカの南部あたりの田舎の汚くて強要もないシリアルキラーな雰囲気(ちょっと酷い言い方で南部生まれのアメリカの方には申し訳ない)という感じ。中身の方も気取ったところのない、錆びた鉄鉈のような音楽です。
3rd「From All Purity」(そういえばアートワークは禍々しくもやや洗練されていたね)では、憎悪の感情をスラッジ+ノイズという方向性で結実させていた印象だけど、二つ前の音源であるこちらでは未だその境地に至っていない。
ただより生々しい音でやや埃っぽさも残るそれは何となくオルタナティブなにおいも嗅ぎ取れる。重さもそこまでではないからまだ音楽らしさというのは残されている。
ただ私はこの後の音源を聴いている事もあってそう感じ取れるのだろうけど、この後の躍進を感じさせる彼らの魅力の原型は見て取れる。フィードバックを始めノイズを大胆に曲に取り入れる事は既に始めている。特に15分に及ぶ大曲「Fatal Lack」(致命的欠如)は大胆に間を取り入れる事で逆に陰惨を増す事に成功している。じりじりと余韻を残しながら増える筒のビルフィードバックノイズ、そこに思い出したように打ち込まれるドラムが気持ちよい。呪詛めいたボーカルも微妙にエコーがかかって凄まじい。Indianの魅力はその鬱屈した精神と攻撃性であって、それはこの音源を聴くとよくわかる。もうそういった機械もないのだろうが、ライブでこれらの曲を演奏したら相当その魅力は増すのではなかろうか。
思うにこのバンドは演奏もさることながらボーカルの力が本当にその魅力に寄与するところ大きいと思う。スラッジと言えばEyehategodのMikeを始め、様々な個性的なボーカリストがいる。デス声に限らない(むしろまれな方か)吐き捨て型のだみ声、酔いどれ多様案不安定なわめき声、共通してどれも厭世観に満ちたいかにもアウトローな雰囲気に満ちているが、このIndianのしゃがれ声というのは結構他に類を見ない。低音という訳でなくむしろ甲高いくらいなのだが、この禍々しさというのは中々のもの。ひねこびた病んだ老木の根っこの様な、精神を患った魔女の呻きのようなそんな”ヤバさ”がある。

やっぱりIndianは抜群にかっこ良い。こんな音楽を作り出す演奏するバンドがもう解散しているのは大変悲しい事だ。しかし音源は残る訳でそういった私たちはこれを聴く事が出来る。今調べたらレーベルもBandcampを始めたみたい。(この音源買おうと思った時見つけられなかっただけど元からあったのかも)という訳で気軽にこんな音楽が楽しめてしまいますよ。是非どうぞ。

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