2015年2月8日日曜日

Cursed/Ⅰ

カナダのクラストパンクバンドの1stアルバム。タイトルはシンプルにone。
2003年にDeathwish Inc.からリリースされた。
2001年に結成されたバンド自体は2008年に既に解散してしまっているが(wikiによるとどうもツアー最終日に盗難にあった事が原因らしい。なんと残念な…)、わりと色んなメディアで目にする事が多くて気になるもんで買ってみた次第。(Full of Hellがアートワークにアルバムのジャケットの一部を使ったりしてたのが個人的には気になった。)だから知っている人はとっくに聴いているバンドだとは思うんだ。

ギターとベースはこの手のジャンルには定番のざらついた音なんだが、若干湿り気があってややこもっている印象。ここが独特の閉塞感のある雰囲気を作り出すのに一役買っているのかも。耳に刺さる様な高音やフィードバックノイズなども結構飛び出してくる。特に終盤の10曲目とかは刻んでくる+ためる様なリフや弾いた後にキャーンとさせるリフを使ったりして結構メタリック。しかしそれでいてあくまでも勢いを殺さない姿勢はやはりハードコアか。
ドラムは結構手数が多くて、乾いた大人タンタンと響くタイプ。ここに注目しているとストレートな楽曲の中でも結構頻繁に速度やリズムが変わっている事が分かる。
何と言ってもボーカルが良い。酒焼けなんだかタバコのすいすぎなんだか、それとも単に生まれつきなんだか知らないが強烈にガラガラ擦れまくったしゃがれ声は、野太さは別の次元の”近付き難さ”があってそれがカッコいいのだ。滑舌もあまりよくないし、ベロベロに酔っぱらっているくせに目が完全に坐った危ない奴、なんだかそんな印象だ。(ちなみに解散後はBurning Loveでボーカルを取っている。だから私は彼の声を聴くのは実は初めてでなかったみたい。)
基本は粗野で野蛮なハードコアを演奏するのだが、完全なインスト曲があったり、イントロがやたらと贅沢に時間を取ったり、不安感をあおるSEをいれたりして中々一筋縄では行かないバンド。間の取り方も贅沢に取ったりして確かにスラッジっぽい雰囲気もアリ。ストレートが信条のハードコアにしてはかなり内省的なくらい雰囲気に覆われており、個人的には特にそこが好み。スラッジパートもそんな放心した様な感情を良く表現していると思う。

という訳で昨今クラストパンクも自分の中では盛り上がっている印象なんだけど、2003年リリースの今作は流行の波とはちょっと隔たってしまっているのだけど、それ故に時勢に迎合しないハードコアな音質になっている。昨今この手のジャンルが気に入っている人は是非どうぞ。オススメ。

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