2015年2月8日日曜日

Breach/It's Me God

スウェーデン北部のノールボッテン県ルレオのポストハードコアバンドの2ndアルバム。
1997年にBurning Heart Recordsからリリースされた。
Breachは1993年に結成され4枚のアルバムとその他の音源を発表し2001年に解散している。英語のwikiによるとメタルに影響されたハードコアでクラストパンク、ポストロックにブラックメタルとスラッシュメタルを混ぜた様な音楽スタイルで他のこの手のバンドよりラフで五月蝿いと書いてある。なかなか分かりやすい説明なので引用させていただいた。最終的なラインナップにはドラムが2人クレジットされていたりして、攻撃的かつ中々エクスペリメンタルなにおいを感じ取れる。
私が買ったのは完全にたまたまで、まずもう思い出せないがこの印象的なジャケットを以前ネット上で目にした事がある。で、ある日全然関係ない動画をyoutubeでみていたら右横のオススメにこのジャケットが表示されていたので、見た事あるなってだけで何の気無しい見てみたらこれが滅茶格好いいではないか。即買った訳である。因に私が買ったのはiTunesのデジタル音源。マテリアルは残念ながら見つけられなかった。ジャケットがカッコいいから是非CDかLPが欲しい!

「俺だ、神だよ」と名付けられたこの不遜なアルバムについて説明しよう。
ポストロック、ポストメタルと頭にポストを付けるとその音楽性は激しさはそのままにある種のアート性を獲得し始めているように個人的には感じられるのだが、このバンドはポストハードコアであるものの、ざらついたハードコア感がまったく削ぎ落とされていない。だが確かに封筒のハードコアにしては演奏が長いし、全く鼻につかないが演奏は結構凝っている。まさにいいとこ取りのバンドというのが持ち味。なんせ始めは全くポスト感が感じられないくらいストレートなハードコアだと思ったからね。

ギターは低音にフォーカスしたからっからに乾いたざらついた音で、初期ハードコアの粗さにメタリックな質感を追加したもの。97年の音質と侮るなかれな重たさを持っている。
ベースはこちらも乾いた音でギロギロいう音で、硬質な音でゴロゴロせめて来る。割と伸びやかに演奏し、タメを意識したうねりのある曲調ではややぶっきらぼうなドラムと奔放に演奏するギターの丁度中間でどっしり支えるような印象。
ドラムも音的には乾いていて緊張した感のある破裂音が気持ちよい。決して技巧的ではないが疾走パートの連打感と、不穏なパートのつんのめる様なリズム感を切り替えて来たりで面白い。
ボーカルは掠れた声でわめき散らす完全なハードコアスタイルで終始シャウトの潔く男らしいもの。格段太い訳ではないのだが五月蝿い演奏に負けないくらい声を張り上げている。
何が”ポスト”なのかというとまぜボーカルの入らない演奏パートがハードコアバンドに比べると圧倒的に長い。不穏なアルペジオだったり、スラッジパートであったり、フィードバックノイズを利用したタメの時間だったり、そういった要素を追加し、つなぎ目を奇麗にしたのがこのバンドの音楽スタイル。要するにポスト感の対になるハードコア感の生々しさが絶対的に失われていないからだ。冗長なパートは一切無いし、ボーカルの入らないパートは兎に角全員で嵐を作っている様なカオスを波乱だ轟音の応酬何だが、その中にちらりと見えるメロディーの片鱗がこう、ぐっとくる。
曲の前後に不穏なドローン音やノイズを入れたりと曲の音作りにはバンドアンサンブル意外の音も積極的に取り入れており、それが彼らなりの”ポスト感”をに一役買っているのかも。

というわけでスゲエバンドがいたんだな〜、と思わずにやけてしまうくらいに格好いいわ。他のアルバムも買ってみる予定だし、兎に角ちょっとでも興味のある方はすぐ買った方が良いんじゃないのかな、と思うくらいオススメです。



ちなみにこのバンドの解散後何人かのメンバーが始めたのが知っている人もイルカもだが、あのかぶり物をしたわけわからないブラックメタルバンドTerra Tenebrosaであるとのこと。私はそんな事情わからず一時期彼らの1stアルバムを買って聴いていたから面白いものだ。聞き返してみるとやはり格好いいから、こちらの2ndアルバムも買ってみる予定。


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