2014年7月20日日曜日

Trap Them/Blissfucker

アメリカはニューハンプシャー州セイラムで結成され、マサチューセッツ州ボストン、それからワシントン州シアトルを拠点に活動するクラスト/ハードコアパンクバンドの4thアルバム。
2014年にProsthetic Recordsからリリースされた。
まず「Blissfucker」というストレートにパンクなタイトルが良い。ジャケットのアートワークは初め猪かな?と思ったが、手元に届いたCDをみるとガサガサしたビニールで包まれた人間の頭部を同じくビニール手袋に包まれた両手が触ろうとしているところのようだ。何とも不吉だ。
レコーディングとミックスは売れっ子Kurt Ballouで彼のスタジオで録音されている。マスタリングはこれまたちょくちょく名前を見るハードコアパンクバンドWorld Burns to Death(これ本当どうでも良い与太話なのだが、かなり昔World Burns to DeathのCD「Totalitarian Sodomy」欲しいんだけどバンド名分からなくて「黄色いジャケットに人がいっぱいいるパンクのCDくれ」とディスクユニオンで頼んだら、苦心の末World Burns to DeathのCDを探し出してくれた店員さんが言ったよね「う〜ん、黄色くは無いですね…」。という訳で私はディスクユニオンとそこで働く店員さんが大好きなんだ。)のJack Controlさん。前作から3年ぶりのリリースでベーシストとドラマーが交代しているようだ。

ジャンルとしてはクラストだと思う。Wikiにはグラインドコアと書いてあるが、なるほどかなり勢いのあるブラストビートを用いた楽曲は確かにグラインドコアかも。しかし中々一筋縄ではいかない音楽性で地金は間違いなくハードコア。ざらついたギターは最近流行の兆しを見せているのかは分からんが、ちゃんとした由来は北欧のデスメタルなのか?ざらついたその音質は中々な重量感がある暴力的なものである。そして特徴的なのが速さに特化したバンドでありながら、短い曲でも2分ある。普通の人なら短え!というところだがこのジャンルであれば短い曲は余裕で30秒きったりするので、好きな人には分かっていただけるのでは。だいたいすべての曲を平均すると3分ちょっと位じゃないかな。長いのは7分、6分台の曲もある。というのもスラッジの要素を大胆に取り入れていて、緩急のパートを織り交ぜつつかなり贅沢な時間配分で楽曲を作り上げているバンドなんだな。かといって密度が濃いから11曲でも間延びした感じが皆無で、がっちり引き締まっている印象。
ドラムがすごいのは言うまでもなく、変幻自在に叩き分けまくる。中でもぼすんぼすん言うタム?の乱打が気持ちよい。ここ速くなりますよ〜と宣言するかの様な決め所がカッチリハマっていて聴いていて気持ちよいことこの上ない。一撃が重いのでスラッジパートでも映えること。
この手の界隈のバンドと同じく、弦楽器のノイジー成分には気を使っているらしく、ざらついた音が半分ノイズになって空間を埋めるように伸びていく様は中々どうして良い。暗いリフもそうだが、疾走するパートの音の厚さと数(BPMみたいな、ようするに瞬間あたりの密度が濃い)はハードコア由来で単純に聴いていると熱いものがこみ上げてくる。
緩急の中間に当たるパートのリフはかなりグルーヴィで自然に体が動く。そこから速いパートに流れる様はまさに滝のごとく激しく勝つ滑らかで自然に頭も振れちゃう感じ。
終始絶叫系のボーカルも呵責なしで○。このバンドではボーカルは選任。

暗いハードコアながらも緩急つけたノリが良いツボを押さえているので、圧迫感ありつつも開放感あって素晴らしいですね。後半のトンネルの様なスラッジ密度が増す展開も堂に入っていて良い感じ。
この手のジャンルが好きな人は間違いなく買って損は無いかというクオリティ。

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