2014年7月13日日曜日

Vallenfyre/Splinters

イギリスはイングランドハリファクスのデスメタルバンドの2ndアルバム。
2014年にCentury Media Recordsからリリースされた。

2010年に結成されたバンドだが、新人という訳ではない。
同じくイギリスで活動するベテランドゥーム/ゴシックメタルバンドParadise LostとMy Dying Brideのメンバーらによって結成されたバンドで、いわばスーパーバンドといった類いのサイドプロジェクトらしい。恥ずかしながら私は前述の2つのバンドは名前は知っているものの音源は一個ももっていない。代表曲すら知らないと言って有様で、このバンドに関してはネットで彼らのMVを見てそれが格好よかったので購入したのであった。

ザラっとした質感の黒と白のみのアルバムのアートワークを見れば分かるのだが、このバンドはデスメタルバンドである。それも所謂オールドスクールよりな。結構特徴的な音質なのだが、楽曲的には一見それと分かる様な派手さは無い。むしろドゥームメタルの要素を強めに打ち出したその楽曲は地味とすら言えるかもしれない。しかし堂に入った呵責の無いその音楽性、好きな人にはたまらないだろうと思う。
ドムドムした重々しいドラム。じめっとした触感のベース。ギターはザリザリした音質で粗くかつ密度が高い独特の音質。あれ?と思う。今風とまではいかないが、最近ちょっと熱いジャンルである例えばSouthern Lordからリリースされている様なクラストハードコアを思わせる音質である。真性デスメタルの重いながらもクリアかつシャープな音質とは明らかに一線を画すこいつは一体と思うと、なんとプロデューサーはあのKurt Ballou(とバンドのメンバーも)でした。言わずと知れたConvergeのギタリストじゃないですか、やだー。という訳でそういわれると確かに納得の出来。荒涼としすぎて音の輪郭がぼやけるこの感じ、確かに確かに。かの有名なKurtのスタジオGod City Studioでレコーディングされているようですよ。
面白いのが音質はハードコアのにおいがするものの、楽曲のスタイルとしてはメタルの軸からぶれていないところ。耳障りなノイズなどは今風だけど、足はしっかりとデスメタルの土壌についている印象。むしろハードコアの音質でより荒々しくなったデスメタル。低い低いデス声は勿論メロディアスさとは無縁の絶望的なスタイル。一目を引くギターソロも無し。圧殺する様な遅いドゥームスタイルで引き回す。ドゥームならではの贅沢に間を意識した楽曲は窒息しそうな緊張感がある。疾走パートもすごみのあるブルドーザースタイルで閉塞感を保ちつつ、曲に凹凸を加えていて良し。不協和音めいたリフを分厚い低音で押っ被せて塗りつぶす様な展開がたまらない。さすがベテランというか曲の展開が堂に入っていて安心して聴けるクオリティ。ちょっと畑の違うプロデューサーの鵜でもあるのだろうが、絶妙なぶれみたいなのが随所に挿入されていて、それが新機軸というか、楽曲を最終的に型にはまった安定しすぎるものにしないところが魅力的。オールドスクールの轍をしっかり踏襲しつつ、オリジナリティを演出する様は中々どうしてどん欲で良いじゃない。

特徴的なスパイスを取り入れつつ、自分たちのオールドスクールな音楽性をぶらさないそのバランスがとても良いバンド。
オールドスクール大好きな人はどうぞ。ハードコア野郎も是非是非どうぞ。

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