2017年1月15日日曜日

Harley Flanagan/Cro-Mags

アメリカはニューヨーク州ニューヨークのアーティストによるソロ1stアルバム。
2016年に171-A Records/MVD Audioからリリースされた。私が買ったCDには日本語の帯がついている。ライナーとかはなし、帯だけ。
ハーレイ・フラナガンはニューヨークのハードコアバンドCro-Magsの創始メンバーだっった。NYHC、つまりニューヨーク・ハードコアというジャンルでは伝説的なバンドだそうだ。過激な音楽性はもとより色々と話題性のあるバンドで興味のある人は調べて見ると良いかもしれない。ハーレイ・フラナガンは創始者だが今は袂を分かって活動している。ただこのソロアルバムのタイトルは「Cro-Mags」である。相当曰くがあるだろうな、ということがわかる。
アートワークは汚くペイントされた地下鉄の窓からナイフを持った腕が見えている不穏なもの。かつてニューヨークの地下鉄は危険地帯だったときいたことがある。興味深いのは写真は地下鉄の中から取られていて、ナイフを持った男は地下鉄内に侵入しようとしている。「お前が安全だと思っている場所もそうじゃないぜ」という危ない意図を感じた。

調べてもらえればわかるがハーレイ・フラナガンはマッチョな男性だ。めちゃくちゃ強面だ。格闘技の師範もやっている。どうも相当危ないこともやっているし、それを隠そうとしない人だ。もちろん彼の演奏する音楽もそんな危険に満ちている。
ハードコアはメタルと何が違うか?これは深い問いだ。深いというか多分本当にハードコアという生き方をしている人、またはメタルという生き方をしている人にしか答えられないんではと思う。門外漢の私が最近思うのはハードコアはリアルであることがとても重要だ。ハードコアの闘争というのは(例外はもちろんあるのだろうが)リアルで起こっているものでなくてはならないのではなかろうか。メタル・ハードコアでは恐ろしそうな、強そうな音楽を演奏するバンドが多いが、ハーレイ・フラナガンは究極的な握った拳(時にはナイフを握っているのだが)の恐ろしさ、根源的な暴力に裏打ちされた音楽をやっている。
ジャンルとしてはハードコアだろう。ピュアなハードコアだ。自信がベーシストということもあって異常に歪ませた硬質なベースがガロンガロンリフを引っ張っていく。つんのめるようにリズムを刻んでいくドラム。程よくスラッシーでワウを噛ませたソロも披露するがあくまでもハードコアであること、を命題にしたギター。そしてハーレイのボーカル。ハードコア特有の野太い吐き捨て型のボーカルは排他的なマッチョイズムとして敬遠されがちな”強さ”を隠すことなく披露している。やや滑舌が悪く、時に荒々しい(粗い)が、彼は上手い歌を目指しているわけではない。自分の闘争、それを支えた力、そしてこの先の闘争からも逃げるつもりはないぜ、という意思表明に他ならない。そういった意味ではアメリカン・インディアンのウォーペイントのようだ。

強烈なオールドスクール・ハードコアを楽しみたい人は是非どうぞ。善悪考慮なしの(というか悪い方は確実にあるのかね。)純粋な力の危うさを感じることができるかと。私は結構色々な話を聞くと影響されるけど、そういったこと関係なしにただ純粋に音楽として聞ける人の感想も聞いてみたいところ。

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