2016年5月21日土曜日

Sylvester Staline/$.$. Gonna Spread hard Drugs to Your Stupid Kids With the Royalties Generated By This CD

フランスのパワーバイオレンスバンドの1stアルバム。
2005年にフランスのBones Brigade Recordsからリリースされた。
元々F.U.B.A.R.とのスプリット音源が大好きでその他の7inchも持っていたりしたのだが、持っていなかったこの音源をBandcampで買える事に気づき購入した次第。
「ロッキー」「ランボー」シリーズなどであまりに有名なハリウッド俳優シルベスター・スタローンと悪名高いソ連の独裁者ヨシフ・スターリンをくっつけるというふざけたバンド名。「SSはこのCDのロイヤリティでハードドラッグをおまえらの馬鹿なガキに広めてやるぜ」というタイトル(そんなロイヤリティが出るほど売れたのかは疑問が残るが。)。曲名にしても「彼女がたった13歳だったなんてしらなかったんだよ、すまねえ」「マジのビッチはボッチ(いうまでもなくあのBotchのことだろう)を聴かねえ」「エモはハードコアのR&B」「俺はクソ警官をはねるために飲酒運転をするぜ」「防弾ビキニ」などなど悪ふざけを通り越した酷いセンス(褒めてます、褒めているのかな…)でこの不謹慎さはかのノイズグラインドバンドAxCxを彷彿とさせる。

音楽の方も相当酷い、の思いきやかなりかっこ良くて私は好きなんだけど。
音楽的にはパワーバイオレンスといっても(だいたいお察しの通り)真面目なそれらとは明らかに一線を画す内容。例えばグラインドコアばりの疾走と、一点淀んだスラッジパートを行き来する、みたいな格好良さや様式、美学、凝った展開なんかは一切なし。ひたすらつっぱしる。同じくパワーバイオレンスバンドのCharles Bronsonに似ているところもある、と思う。ハードコアパンクをもの凄いスピードで演奏する、というスタイルで。だからリフ一つとって見るとかなりパンキッシュでキャッチー。コード進行なのか分からないが、明るくてかなりメロディアス。ただこれを非常に速いスピードでやるもんだからせわしない事この上ない。喧しい。全部で33曲、だいたい1分かそこら。ラストは「クソなげ〜」というタイトルで9分。
ボーカルはとにかくわめきまくるタイプなのだが、基本「わーわーわー」(文字にすると非常にほんわかしてしまうのだが)と叫んでいるようにしか聴こえないし、曲によってはなんともかんともへろへろで、録音の仕方もあるのかもだけどなんとなく「こいつもっとやる気出しなさいよ…」とい言いたくなる様な脱力感がある。これが結構癖になる訳です。ちなみ弁護する訳でないのだが、前述のその他の音源に関しては改心したのだがテクニックを習得したのか知らないが、ボーカルにはかなりの迫力が出て良い感じです。
なんか駄目だししているみたいになってしまったが、アルバムが進んでくるに従ってやる気が出て来たのかボーカルにも気合いが入りだして、どぎついユーモア(なんともふざけたSEもちょいちょい挟んでくる訳です)に隠れがちだが元々演奏はかなりしっかり、かつかっこ良いので不思議な高揚感で持って乗らされてしまう上質なパワーバイオレンス。

昨今はどうも活動していないようで残念な限り。怒る人もいるだろうけど基本的には悪ふざけという感じで、ひょっとしたら照れ屋なのかもよ。勿論音楽的にはふざけているけどカッコいいという、ずるかっこ良さの典型なのでこの手のパワーバイオレンスが好きな人は是非どうぞ!私は結構大好きですね。元気になれるよ。

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