2015年12月26日土曜日

Endzweck/Tender is the Night

日本は東京のハードコアバンドの8thアルバム。
2015年にメンバーが運営するCosmic Noteからリリースされた。
タイトルはフィッツジェラルドの同名の小説(邦題は「夜はやさし」)からとられた。
ハードコアというと私は激音を求めてカオティックハードコアを少し聴いたくらい。ピュアなハードコアといっても学生の時にかろうじてShai HuludやPoison the Wellをほんの少し聴いた程度。(これらのバンドがピュアなのかはわからないのだが。)その時にEndzweckというバンド名は知ったものの買うには至らなかった。
今回バンド8作目が6年ぶりにリリースされたタイミングで購入してみた。私が買ったのはCDフォーマット。

全10曲、まさに駆け抜ける20分38秒。
ほぼほぼ2分台の曲で中速以上の速度で突っ走る。非常にストレートな構成で、ざっくりしたイントロはメタリックさを感じさせるものの、ボーカルが入ればほぼほぼ弾き倒すように突き進んでいく。スラッジパートや変化球は一切なしの豪速球。ボーカルは叫びっぱなしで、クリーンパートは皆無。別に分かりやすいメロディがある訳でもないし、ポスト感のある尺の長いインストパートがある訳でもない。(タイトル曲はインストナンバーだが美しいが1分20秒で終わる。)ピアノやストリングスなど、バンドアンサンブル以外の楽器もなし。まさに徹頭徹尾ハードコアなのだが非常に抒情的である。
緊張感のある演奏(まるで真っ白い山肌が倒壊していく雪崩の様な)とテンションの高いボーカルがエモーショナルな空気を作り出しているのは間違いない。たまに入る(決してあざとくない)コーラスパートは胸が熱くなる。中音域で畳み掛けたり、コード感のある弾き方を披露するギターも一役買っているだろうけど、それらの要素を入れたからといってもすべてのバンドがこういう音楽を出せる訳ではないから面白い。
結成18年目だから青臭いというのは無いのだが、すれたベテランめいた達観したアイロニーだったりは皆無だ。常に外に向けて開けていく様なポジティブな音楽性という感じ。
全編英語の歌詞だが歌詞カードには読みやすいフォントですべて記載されている。やはりハードコアだなと思う。ハードコアというフォーマットで吐き出されたメッセージなのだ。

ちなみにオフィシャルサイトでかなり長めのインタビューが読めるのだが、これが大変面白い。結成18年という歴史のあるバンドで、各メンバーがどうやってバンドを続けているのかという事がかなり詳細に書いてあってとても面白かった。ボーカルの上杉さんはスタートアップでプログラマとして日に(きっと休日も働く事もあるのだろうと思う)最低12時間は働きながらもバンドを両立しているそうで、毎日会社と家を往復するだけでヒイヒイいっている私からすると大変な事である。
「働かされてるんじゃなくて、意思を持って働いている。それでも時間作りながらバンドやってるから、みんなもうちょっとバンドやったらいいのになって思う。」
すごいなと思った。本当働いていて思うのだが、精神論ではなくてやる意思のある人はどんな環境でもやるのだな〜。素直に尊敬してしまう。他にもお子さんが出来たメンバーのエピソードもあって地に足の着いたバンドだなと。いわば生活密着型のハードコアであって、だからこんなにも説得力があって沁みるのだなと。

勇気づけられる様な10曲でした。すごく好きです。五月蝿いのに優しい。超オススメ。

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