2015年10月19日月曜日

Dr.Breaker/Meede Cossaello

日本は出雲の国(島根)のハードコアパンクバンドの2ndアルバム。
2015年に広島のBlood Sucker Recordsからリリースされた。
たまたま動画でこのアルバム収録の楽曲を目にしたのが切っ掛けで購入してみた。9年前に1stアルバムがリリース。メンバーチェンジを経ての久方ぶりの音源との事。
変わったタイトルは帯によると「破壊と創世」という意味との事。
ハードコアパンクに和楽器と和音階を大胆に取り入れた神楽ハードコアと称される独特のスタイルを構築したバンド。バンドメンバーはギター、ベース、ドラムという通常のバンドスタイルに篠笛(日本由来の横笛)、締太鼓、破壊屋太鼓(カスタマイズした和太鼓だろうか)、チャッパ(金属製の打楽器)、チントン太鼓を加えたもの。
スラッジメタルにメタルパーカッションと和音階を取り入れた同じく日本は大阪のBirushanahが大好きな私としては俄然興味が出てくるバンドである。
前述の通り、太鼓を始めとする打楽器の布陣が分厚いため、音楽的にもハードコアを基調としながらももの凄くパーカッシブ、つまり直感的で肉感的な独特の音楽にし上がっている。

熱い心情を日本語歌詞に込めて吐き捨てるように歌うストレートなハードコアスピリット。反戦!と声高に歌い、常に現状以上の前身を鼓舞する様な歌詞はひたすら熱い。その熱く硬質さに篠笛が軽やかに、間断なく前向きなメロディをのせると、なんと不思議一気に祭り囃子感が出てくる。あれれ?と思うと和太鼓のリズムがどんどんどんどんと響いてくる。これは…楽しい!もはや卑怯じゃない?って位日本人ならたぎってくる。あの、子供の頃の近所の神社の夏祭りなんだもん。これは踊れる。ハードコアで男臭いコーラスワークも”熱さ”を倍加させていく。汗を振り飛ばしながらそれでも踊らずにはいられない祭り囃子ハードコア。
打楽器にしても、ドラムの洗練されたソリッドな音色に加え、和太鼓の熱く暖かみのあるおおらかな低音、チャッパとチントン太鼓の細かくキンキンした跳ね回る様な高音と音の種類が圧倒的に豊富である。様々な音が複雑にしかしお互いに邪魔する事無く、曲間にぎゅっと詰まっている。そこに伸びやかなベースが乗る。リズムに調子が出てくる。ギターの音は粒子が粗いパンクな音で厚みはあるものの、繊細で暖かみのある和楽器の音を殺さない程度にとどめられている。疾走感のあるフレーズから、こまくちぎった様なパーカッシブなリフまで引き分けがキッチリしている。そんな無骨な屋台骨(相当がっしりしている。まさに丁寧に組まれた櫓のように。)に、篠笛が乗ってくる。これが結構すごくてですね。まずお祭り感というのがすごい。この音を聞いただけでワクワクして来てしまう。かと思えば例えば6曲目のイントロなどは、独特の音の豊かさ(残響とはべつにふくよかさがある)、そしてすこし物悲しい様なソロが披露されている。楽しさ、そして物悲しさのなかにも強さとそして日本人の心を打つ郷愁というのがあってそれが、耳から入って胸に響いてくるようだ。歌から叫びの中間を行く様なボーカルも血が通っているし、熱いんだけど、それとは別枠でメロディを奏でるこの篠笛が常に攻撃的な曲にもう一つの次元を付与している。楽器の首里の豊富さを見れば通常プログレッシブになりそうなところ、直感的なところはそのままに豊かにしている実に点は見事としか。

踊れるハードコアというのは聴いた事無いフレーズではないけど、日本人が踊れるハードコアというと初めて聴いた。とにかく楽しい、そして熱い!日本人の胸を打つ祭り囃子ハードコア。こりゃーカッコいい。とってもオススメなので是非どうぞ!

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