2015年10月4日日曜日

Jay Rock/90059

アメリカはカリフォルニア州ロサンゼルスのラッパーの2ndアルバム。
2015年にTop Dawg Entertainmentからリリースされた。
なんかヒップホップが聴きたいなと思っていたところ、前にブログで紹介した事のあるKendrick LamarとScHoolboy Qと(あとAb-Soulという人がいるが彼に関しては未聴)Black Hippyというヒップホップグループを結成しているJay Rockの新しいアルバムが出るという事で買ってみた。
デジタルとCDで値段が変わらないのでCDの方を買ってみた。つや消し黒に手のひら、指紋の部分がガシガシ消されているというもので、こうなると「90059」というタイトルも一体どんな意味があるのか気になってくるところ。インナーは入っているものの残念ながら歌詞は掲載されていない。前述のBlack Hippyのメンバーの他にBusta Rhymesや女性シンガーのSZAといった面々が参加している。(どうやら同じレーベルメイトらしい。)

Black Hippyのメンバー2人のアルバムと同じく悪さを演出しつつ、音楽的には例えば生粋のギャングスタっぽいものとは一線を画すアーティスティックなヒップホップを披露している。
トラックはあくまでも音数の少ないものでアンビエントというほどでもないが落ち着きのある音像。あくまでもラップを主体にしたもの。(恐らく)サンプリング以外でも音をのせているのではないだろうか、と思うのだが。さて良いヒップホップというのはラップ無しのバックトラックがとにかくカッコいいよ、とヒップホップ好きの友人が言っていたものだ。このアルバムに関してもとにかくトラックが良い。トラックと言ってもドラムとベースと上物2〜3個位なもんだがそれで十分良い。引き算の美学である。思うにバランスが良い。ドラムにしたって音が重すぎる訳ではないし、手数も少ない。しかし跳ねる様なリズムがあってこれが気持ちよい。思うにベースがしっかりしているとラッパーもうねりのあるラップをのせやすいのだろう。浮遊感のあるシンセや人の声、つま弾かれるアコースティックギターなどうわものもオーガニックな雰囲気でしっくり来る。
ラップに関しては流石のスキルでかなり個性的なLamarやScHlbooy Qに比べると良い意味で尖っていない声質で中音〜低音域で広がりのある落ち着きのあるもの。まくしたてるようにラップする様は結構耳にすっと入ってくるものの、良く聴いてみると相当早口。(ラップを早口というと本当にヒップホップ好きな人からは怒られそうなんだけど…)
最近の流行なのかわざと酔っぱらった様な変な声のラップも披露。中々様になっているけど個人的にはこの人は地声がカッコいいからそこまでしなくても…と思ってしまったり。
Hippyの面々とマイクリレーをする「Vice City」は気の置けない仲間とという事もあってかそれぞれがのびのびとかつ火花を散らす様なスキルの応酬でカッコいい。やっぱりそれぞれ個性があるのでそれが1曲にぎゅっと濃縮されているのは贅沢でかつ滅茶面白い。

というわけでKendrick Lamarが好きな人はかって損は無いのであろうか。
落ち着きのありつつも悪さが垣間見えるバランスの良いヒップホップの優れたアルバムだと思います。

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