2015年1月11日日曜日

Tetola93/Tetola93

日本の激情ハードコアバンドのディスコグラフィー盤。
2014年にMeatcube LabelとZegema Beach Recordsというレーベルから共同でリリースされた。
アナログレコードでリリースされてたのだが、結構売り切れ状態で(探せばまだあるんだろうけど)私はマテリアルを見つけられずiTunesで購入。(ジャケットが格好いいのでアナログ欲しいなあ。)
Tetola93は日本は栃木県、足利市で活動していたバンドで残念ながら2012年に解散してしまっている。本作は解散後にリリースが決まったというアツい由来のあるまさに決定的なディスコグラフィー盤のようです。
こちらも各所で2014年ベストに挙げられていたので購入。

(歌詞カードは無いし、兎に角速いんで恐らくですが)日本語詩で歌う激情系ハードコア(「改竄された習性」などの曲名を見れば彼らの音楽的な方向性の一端が伺えると思います。)なのだが、かなりねじれた音楽性を持っている。カオティックと形容するのがばっちり来る、恐ろしく速い演奏を比較的短い曲の中に神経症的に詰め込んだ音楽性。速いのだけれどグラインドやパワーバイオレンスとは明らかに一線を画した、あくまでももの凄く速い激情系ハードコア。
あまりの目まぐるしさにちょっと同じく日本のハードコアバンドPastafastaが思い浮かんだが、こっちはもっとシリアスで奇天烈なユーモア成分はほぼ皆無。(Pastafastaの音楽性も大好きですよ、念のため。)
ギターは乾いた音で重さはそこまである訳ではない音の作り方。完全ハードコアでそれを高速で弾き倒すもんだから劇的にカオティック。
ベースは下品なくらいガロガロいうスタイルで無慈悲。
ドラムは速い+シンバル叩きまくりで五月蝿い事この上無し。
ボーカルは激情系らしく、ぐわーっと感情を込めて叫ぶスタイルなんだけど、地声が甲高く独特の不安定さがあって情緒不安定感満載で感情込め込めすぎておっそろしい。美しいメロディもちょっとした危なさが生じていてとてもカッコいい。
激情系と言っても気持ち悪いSEを入れてくる大層こじれたスタイルで、真面目過ぎて考えすぎた結果若干狂気をはらんでしまった切れっぷりがこのバンドの持ち味かも。激烈な音楽性の中にも結構な振れ幅があって一筋縄でいかないあたりが面白く、かつ格好いい。
例えば9曲目とかは曲の速度も相まってかなりエモい雰囲気のあるストレートなハードコアをやっているんだけど、乾いたギターが他の楽器人が無い中でじゃらじゃら弾かれる様はもはやあざとい問いって良いくらいきゅんきゅん来るわ。これは卑怯。
13曲目はなんだか恐ろしいSEが全編引用されていてこれ絶対にどこかで聴いた事あるな、と思って調べてみたらスタローン主演の「ランボー」(1作目。私は1作目が一番すき。)のラストのスタローンの台詞でした。帰還兵の悲哀が詰まりに詰まったこの台詞を持ってくるあたり、青臭いかもしれないがなにかしらバンドの主張したい事がおぼろげながらも見える様な気がして胸熱。
激情系なんで青臭い感情を込めてくる音楽性なのだけど、その感情がもうぐるぐる回りすぎて怨念のようになっている。青臭い焦燥も含めて曲にしてみたら清濁合わせ飲んだ混沌ができました、というような。その混沌を飾らすにバンドアンサンブルを通して形にした曲、聴いているこちらも居住まいを正す様なそんな真剣さ、ヤバさの中にも作り手の真摯さが垣間見える至って真面目なアルバムだと思いました。

ということで解散が惜しまれるようなクオリティ。デジタルでもかえますし、気になった人は是非どうぞ。こちらもオススメですぜ。

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