2018年11月11日日曜日

Jesus Piece/Only Self

アメリカ合衆国はペンシルベニア州フィラデルフィアのハードコアバンドの1stアルバム。
2018年にSouthern Lordからリリースされた。Southern LorddといえばSunn O)))のイメージが強いけど結構ハードコアもリリースしており、最近だとXibalbaとか何気にGriefの編集盤とか。
Jesus Pieceは2015年には音源をリリース。ツインギターに選任ボーカルの5人組。ボーカリストのAaron Heardは最近オルタナティブ/シューゲイザーバンドNothingにベーシストとして加入している。

初めての音源がかなりなのあるレーベルからリリースされたり、来日が決まったり、しかもその来日にはハードコアのライブ動画では知らない人はいないであろうhate5sixが帯同したりと、なにやら非常に注目度の高いバンド。
色々見てみると「次世代ブルータル」と称されることが多い。そんなことを言えるのはやはりシーンに一家言あるような方達だろうから、そんな玄人も唸らせる、新しい流れも伝統をきっちりと抑えたバンドなのだろう。どうしても個人的には次世代ブルータルというとCode Orangeが頭に浮かんでくる。なるほど音的には結構似ている。ここでいうブルータルというのはミュートを多用したモッシュパートを曲の中心に据えてくる、ということを言うのではと思う。となると確かにこの二つバンドはほぼモッシュパートがメイン、のような曲作りをしている。ただし前述のXibalbaのようなデスメタルからの影響は希薄。ミュートのリフもあくまでもメタルハードコアに移行されて以降の伝統を用いている、といった濃度。(そういった意味では地下臭はあまりしない。アクが強いがさっぱりしたサウンドと言える。)アクセントしてメインとなる低音に対する高音を効果的に用いる、ノイズをうまく使うという共通点もあるが、聞いた感じ結構印象は異なるなとも思う。
徹底的にソリッドなCode Orangeに比較するとこちらの方が音がややこもっている。その分生々しい威力に満ちている。低音に凝りすぎて一部金属みたいになっているが、表面がざらついていて好みによるが私は好きだ。勢いのある曲に圧倒されるがよく効くとシンプルにまとめる精神で、下手するとオールドスクールな感じすらあるような気がするパートもある。

基本的には脳筋ハードコアなのだが、最後の2曲だけは妙にしっとりとしたドゥーム・アトモスフィアに満ちていて、ダークアンビエント〜ノイズ〜ポスト的なスラッジと言う感じで異彩を放っている。広がりのある音像は明らかに奥行きがあり、ブルータルつまりゼロ距離を理想とする接近戦の音楽とは一線を画す。最後に何気に自分たちの知性をひけらかすと言うよりは、Convergeの「Jane Doe」におけるラストの「Jane Doe」を思わせる(個人的にはConvergeがアルバムのラストに入れて来がちな大曲は大好きなんだ。)やり方だなと思う。Code Orangeもはっきりとメロディを持ち込んだ楽曲をアルバムに入れてくるなど、異なったアプローチを大胆に導入する手法をとっており、なるほどなーと思う次第。二つ以上の異なった要素を楽曲に混ぜると言うより、アルバムに混ぜ込むと言うやり方ね。

リリース日が近いこと、注目度が高いと言うことでなんとなくVeinとセットで次世代と言うイメージ。それぞれブルータルながら目指している音が異なるのも良い。

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