2017年8月13日日曜日

Disembodied/Psalms of Sheol

アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリスのハードコアバンドの編集版。
2009年にPrime Directive Recordsからリリースされた。
Disembodiedは1995年に結成され二枚のフルアルバムといくつかのEPやスプリットをリリースし、1999年には解散。その後再結成をしたようだが現状はやはり解散状態のようだ。メンバーは二つの異なるバンドに分かれて活動している。
「黄泉詩篇」と題されたこの音源はアルバムには未収録の音源をあつめたもの。気になっているバンドだったのだが、直近手に入りやすい(どうもその他の音源はプレミア化しているようだ)のがこちらだったので手っ取り早く新品で買って見た。Disembodiedはこの音源で初めて聞く。

大胆に黒魔術をあしらったアートワークからわかるように音的にも大胆にメタルの要素を持ち込んだハードコア。いわゆるメタリック・ハードコア、ニュースクール・ハードコアに属する音でザクザク刻む音に吐き捨て型のボーカルが乗っかるハードコア。ハードコア生まれの強面なリズム感にメタル譲りの黒く重たい要素がいい具合に組み合わさっている。このバンドはハードコアというにはかなり陰鬱で、オールドスクール・ハードコアの気持ちの良い明快さがほぼ皆無なのが面白い。ミドルテンポを主体に重苦しい雰囲気で進行し、ここぞって時にさらに速度を落としたりする。ダミ声ではなく結構艶のある声は吐き捨てシャウト以外にも、ダウナーな雰囲気のつぶやきからクリーンボーカルでのメロディのある節回しなどもこなすが、隆盛を極めたメタルコアスタイルのゴリゴリ演奏から一点甘ったるいメロディアスなサビを乗せるきらびやかな手法とは無縁なのが良い。曲はだいたい3分から4分くらいで冗長なパートには一切時間を割かない。単刀直入なのはいかにもハードコア的であって、変な飛び道具を使わず重量感がありつつも輪郭がやや潰れたギターの音は個人的にとても好みだ。ソリッド過ぎないのが良い。音的にもほぼほぼ低音のミュートを多用したリフに特化しており、つんのめるようなリフはスピード感をあえて殺すことでハードコア的なグルーブが生まれている。陰鬱な世界観ながらもあくまでも体を動かすハードコアとして成り立っている。

ラストはMetallicaのカバーを披露している。
こりゃかっこいい。メタリックさと黒い雰囲気で持って表現の幅をグッと広げているが、その実徹頭徹尾どこまで言ってもハードコアなのだ。個人的には電子音を使わないのにインダストリアルな雰囲気も感じられる「Scratch」が非常に好み。見つけたら是非どうぞ。

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