2016年11月19日土曜日

Neurosis/Fires Within Fires

アメリカはカリフォルニア州オークランドのポストメタルバンドの11thアルバム。
2016年に自分たちのレーベルNeurot Recorddingsからリリースされた。
1985年に結成された当初は速いハードコアを演奏していたが3枚目のアルバムあたりからその音楽性をスローかつヘヴィなものに変容させ、ハードコアを基調としながらドゥームメタルとは異なったアプローチでスローな音楽を構築し、ヘヴィなバンドアンサンブルに民族的な要素を持ち込み、さらに激しさだけでなくアンビエントなパートを大胆に取り入れたその音楽は後続のバンドに多大な影響を与えた。いわばメジャーストリームに対するアンダーグラウンドな音楽におけるカリスマ的存在で、結成から30年以上たった今でもコンスタントに音源をリリースし続けている。私はTVKのかの名作テレビ番組「ビデオ星人」でNeurosisのライブ映像を見たのが初めての出会いで、当時中学生だった自分の範疇の外にあるその音楽性にやや気持ちが悪くすらなった。Neurosisはなんか知らんがヤバい…そんなトラウマ的なわだかまりを抱え続け、それから初めてNurosis音源を買ったのは大学生の頃だったろうか。熱心なファンというわけではないが、いくつかの音源を聴いたことがある。

前作「Honor Found In Decay」は2012年発表だったから4年ぶりの新作ということになる。個人的には前作は正直なところ悪い!とは言わないがやっぱり買ってから何周か聴いたっきりあまり聞き返さない音源であった。良さを発見するまで聴き込めていないというのも大いにあるだろうが、聞き返そうかなと思う前に「Times of Grace」や「The Sun That Never Sets」の方を聞いてしまうのだ。
今作もだから「どうかな〜」という好きなバンドだけに何かしら怖い様な、そんな気持ちで購入した。
全5曲で40分だから彼らの音源の中では割とコンパクトにまとまっている方ではなかろうか。プロデューサーはSteve Albiniでこれは最近の作品からの続投。
やや分離が悪くモコっとした音質は「Times of Grace」にちょっと似ているかなと思った。おっかなびっくり聞いていると、あれこれは正直悪くない(上から目線で嫌な言い方なんだけど)、むしろかなり良いのでは…と思っている。前作と比べてどこが違うのかというのをだら〜っと書いていくと…
前作は長い尺の中で淡々と進む感じでやや抑揚にかけていたが、一方今作では静と動のパートのメリハリがくっきりついている。持ち味復活という感じ。
さらにそのメリハリの中の動のパートの攻撃性が増している。Neurosisといえば見るからにおっかない面体のおじさん3人がそれぞれに怒号を張り上げるトリプルボーカルスタイルが魅力の一つだが、今作ではオラオラオラ〜とばかりに良く叫んでいる。複数人がボーカルをとるので声質にも差異があって良い。演奏は正直前述の超名作アルバムに比べるとあのアグレッションは経年でやや枯れたものになっているが、前作に比べると音の数は増えているのではないだろうか。メリハリを活かしたドゥーミィなリフを巧みな技術で綺麗に伸ばしてくる様なスタイルとハードコア的にグルグル弾きまくるスタイルを良い配分で混ぜてきている。個人的にはやはり後者の演奏に魅力を感じるし、盛り上がっているところにさらにワウをかけてきて混沌が増してくると、いよいよ楽しくなってくる。このごった煮感が良い。
それからNeurosisの静のパートは結構好きだ。激しさの爆発の前の待機時間以上に魅力がある。それはこれからの激動の予兆を孕む緊張した時間であることも魅力の一つだと思う。今作ではここで結構メロディアスに歌ってきて、さらにハーモニー、コーラスを入れてきて結構力を入れている。もともと激しいけどただがなるだけでなく歌心があるバンドだと思うので、ここに力を入れてくれるのは嬉しい。最終曲「Reach」は結構それが顕著で「Stones From Sky」を思わせる。

期待と不安でおっかなびっくり再生すると冒頭の「Bending Light」でおおおおお?と引っ張られてあとは巨大な乾燥機で放り込まれた様に轟音にもみくちゃにされる。終盤は激しい中にも物悲しさを出してきて、ただならぬ経験からくる風格を感じさせる。自らの魅力と原点を再認識したかの様などっしりとした佇まいで大御所らしからぬ攻撃性も出してきた。とてもかっこいいと思う。正直昨今のはどうかな…と思っている人がどれくらいいるのか知らないが(みんな全然良いよ、と思っているかもしれないな)、今作は往年のNeurosisを彷彿とさせる内容なので是非効いてみてほしい。もちろんおすすめ。

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