2016年8月14日日曜日

Interment/Scent of The Buried

スウェーデンはアヴェスタ・ボーレング・ストックホルム(読み方違うかも…)の面々が集うデスメタルバンドの2ndアルバム。
2016年にPulverised Recordsからリリースされた。
1988年にBeyondとして結成され、それからバンド名の変更、幾多のメンバーチェンジ、休止期間を挟み2002年から本格的に再起動。2010年にやっとのことで1stフルアルバム「Into the Crypt of Blasphemy」をリリース。それから6年ぶりの新作がこちら。私は前作がかなりのお気に入りだったので購入。今回はデジタル版。
Intermentというバンド名を飾る名詞は「埋葬」という意味だが、今回のアルバムは「埋葬された死者のかほり」というなんとも情緒に溢れ芳醇かつグッドなスメルが漂ってきそうなタイトル。

デスメタルとウオツカを愛し自らのジャンルを「Swedish Old School Death Metal」と称するあたりその音楽性は割と想像できると思う。完全に流行とは距離を置いた昔ながらのおどろおどろしいデスメタルを演奏するバンドで、デスメタルの持つ滴る血でむせ返る様な邪悪さをそっくりそのまま現地から流通とインターネットにのせて世界各地にお届けしている。
基本的には前作からの延長線上。
弦楽隊のぶわぶわした音像が特徴的で、モダンなソリッドかつ鋭敏な音とは明らかに一線を画す。叩きのめした様な粒の粗さが適度な間隔を空けて詰まっており、その境界はあいまいに撓んでいる。勢いはありつつも曲はほぼ中速で作られており、ドゥーミィとは言わないものの間を贅沢に使っている印象で、リフによっては弛緩しきったような音が伸びテイク様は気持ち値がよい。音の輪郭はメロディアスかつ不安定なギターソロに代表される、力強さを表現する下品な低音と相対する高音が狂気をはらんでいて良い。
ギター同様もこもこしたベースと、それらと対照的にソリッドなドラムがともすると不定形に拡散しがちな曲をびしっとまとめている。ドラムは技巧自慢する訳ではないのだが、堅実かつ直情的に欲たたき実際の曲の速度より迫力が増している。
メタルというとカッチリとした様式美的な側面も強いが、このバンドは決めるところは決めつつルーズというかラフな雰囲気があってそれがたんとも退廃的でかっこ良い。語弊があるかもしれないが下品というか、だらしないというかそういった腐敗臭がする感じ。完璧を目指し人間らしさを失っていくのとは違い、血の通った生々しさが全体を覆い、デスメタル特有の「シック」さを非常に巧妙に演出している。それは流れる血のリアルさにほかならない。勿論音楽だから実際流血がある訳ではないが、聞き手の頭には凄絶かつ凄艶な真っ赤な光景が浮かんでくる訳。

デスメタルだ。世に色んなデスメタルはあれども、何と言ってもデスメタルはこうでないとなと思わせるこの底力。疲れた男が場末のバーのカウンターにどっかり坐り頼む強い酒のようだ。「これだけで良い、デスメタルは」と言わんばかりの格好良さ。明確な世界観がありながら想像力を刺激してくる。非常にカッコいいのでとてもオススメ。

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