2014年11月3日月曜日

Arca/Xen

ベネズエラ出身イギリスはロンドン在住の弱冠24歳のアーティストによる1stアルバム。
2014年にMute Recordsからリリースされた。私が買ったのはボーナストラックが1曲追加された日本盤。
1stアルバムだが、どうもそれ以前のミックステープやKanye WestやFKA Twigs(両方とも気になっているけどまだ聴いてない。)の(共同)プロデューサーとして名を馳せているひとらしいからどうも「待望の」という感じのフルアルバムらしい。日本盤のリリースもそんな状況を反映しているだろう。
幼なじみの映像作家Jesse Kanda(日系人の神田さんなのかは不明。)とガッチリタッグを組んで音楽+映像というフィールドで近代アートの分野でも活躍する中々どうして話題の人らしい。
実際を見てもらえればわかるだろうが、エレクトロい音楽に乗せて像が融解した様な気持ち悪い映像を流すという手法で、テクノ巨人Aphex TwinとChris Cunninghamのコンビの再来かと言われたりもしているようだ。
今作もPVもそうだが、インナーの画像もやたらと光沢のあってつるっとした”生き物”たちがその一部を大きく歪められていたり、極度に強調されたりといわば奇形的なアプローチで表現されたアートワークで埋められている。

さて音の方はというと電子音で構成されたテクノということで間違いないのだろうが、なかなかどのジャンルというのは(私が詳しくないのもあるだろうが)きっちり判別しにくい。ダブ、ノイズ、アンビエントそこら辺のジャンルのハイブリッドという感じ。流行ものを良いとこ取りしたというとあんまりだが、聴いた印象はとにかく良くまとめられているし、アルバム全体での統一感もある。音の印象も最近流行の「ぶーぶーぴょろぴょろ」(本当ウンザリ)なんて軽薄きわまりない音からは明確に隔たりがある。
空間的な広がりを意識した音の使い方はアンビエントを彷彿とさせるが、ビートは太い。そのビートもちょっと楽しく踊れるような類いの音とは一線を画している。ベース音はぶわぶわしているもののアシッドというよりはウィッチハウス以降な感じの湿り気のある艶やかかつ若干の意図的なチープさを感じさせるもの。効果音的な音の使い方が巧みで、良く聴いていると1回しか出てこない様なエフェクト音も含めてすごい豊富だ。波の音や人の声と思わしき音のサンプリング等々。うわものの音も生音なのかはわからないが、ストリングスや乾いた古風な弦楽器など多岐にわたる。音の種類は結構豊富なのにとにかく間の取り方が贅沢で最終的にはやっぱりどことなく空白を意識した曲作りをしている。言葉にするとかなり難しいような印象だが、1曲1曲は比較的短く長くて3分台でわりとさっさと進む。なんというか曲後とのテーマは明確(それがなにかはわからないのだが)で、それが百面相みたいな感じで色んな曲が詰まっている感じ。1曲が難解という訳ではないので意外に聴きやすい。

Xenというタイトルも「セン」と読むのかと思ったら「ゼン」だそうな。日本盤の解説でも指摘されていた「禅」との関わりがあるのかどうかは分からないが、なにしろ一筋縄では行かない音楽である事は確かだ。個人的にはとらえどころがないけど、かといってはったりにも感じられない音楽性は結構気に入りました。視聴してみて気に入ったらどぞ。

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