2014年4月20日日曜日

Kongh/Sole Creation

スウェーデンのNässjö(読めない…)のドゥームメタル/スラッジメタルバンドの3rdアルバム。
2013年にポーランドのAgonia Recordsからリリースされた。
以前紹介した2ndアルバム「Shadows of the Shapeless」(今読み返してみるとあんまり短いレビューで残念な気持ちになるな。)は中々格好よく特に1曲目の「Unholy Water」という曲は結構ヘヴィローテーションで未だにちょくちょく聴いている。
という訳で見逃していた最新のアルバムも買ってみた次第。
オフィシャルサイトを見るとメンバーとしてクレジットされているのは3人なのだが、このアルバムのブックレットを見てみるとギター/ボーカルとドラムの2人しか記載されていない。ベースレスで制作し、その後新メンバーが加入されたのかもしれない。ちなみにWikiによるとベースはライブメンバーと書いてあるが、オフィシャルにはベーシストは他の2人と同じように記載されている。

前作はとにかく砂と石塊で作った壁のような荒々しく重々しいブルドーザードゥームメタルで聴く人を圧殺するようなスタイルである意味ストレートな作風だったが、今作では前作の流れを踏襲しつつスタイルを結構変えてきているようだ。
重々しい音の作りはそのままに、曲を静と動という両極端を強調する構成から、静と動のその中間を意識したスタイルを取り入れている。静と動の両極端をとる方式は確かにぱっと見メリハリがあるのだが、終始それだとワンパターンで飽きが来てしまう。そう考えると結構スタイルの変化を恐れず、大胆に新しい要素を取り入れていこうというメンタリティがあるようだ。
あわせてボーカリゼーションも変更があって、元々この人は結構ブラックメタルの要素もありそうな押しつぶした様なわめき声主体で曲を進めて、たまに妙に張りのある粘っこいクリーンボーカルを入れるようなスタイルを取っていたが、今作ではそのクリーンパートの比率をかなり増やしてきている。といってもメタルコアバンドの様な急にクリーンかつキャッチーなサビを入れる様なスタイルではない。地声が良くてちょっとブルースを感じさせる渋い声で(ちょっとオジーに似ている様な…)ドゥームメタルの持つ陰鬱かつ不気味なボーカルスタイル。曲調も相まってちょっとサイケデリックな雰囲気が増したと思う。またデスっぽい低音も効果的に取り入れて、3つの音域で多彩に楽しめる。
3曲目は結構歌い上げているのだが、勇ましくも陰鬱で良い。ギターソロのフレーズもそうなのだが、ちょっとオールドなロックっぽい要素があってそれを圧殺ドゥームに違和感なく融合させる技量は特筆すべき。何かしら昔よかったものが今はのろわれてしまった様な禍々しい感じがあって、その退廃性を音楽に落とし込めている。
とにかくうねるのあるギターリフがめちゃ格好よい。一変してためる様なフレーズから絞り出す様なイーヴィルなボーカルスタイル。音の数も種類も結構豊富。前作からの持ち味でもある、ギターを「キャーン」とならすフレーズを結構随所に入れてくるのだが、これが結構メリハリになっていて私は好きだ。
ドラムは乾いた中音でどたんパタンと適度な重さで曲作りの変更ととても良くあっていると思う。たまに入るツーバスの連打がすばらしい。ドゥームメタルを基調としつつも、そこにとらわれないラジカルな印象。

派手さはないが確実にステップアップしている印象で、もうちょっと注目されても良いのではないかな、と思う。
良いアルバム。オススメ。

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