2013年4月23日火曜日

Chelsea Wolfe/Prayer for the Unborn


カリフォルニア出身のゴシックなシンガーソングライターChelsea Wolfeさんの2013年発表EP。
イギリスのSouthern Recordsから。(Southern RecordsのLatitudesというシリーズものの一品。)
amazonがなかなか発送してくれないので、 レーベルから買いました。レコードとCD一緒に買ったんだけど、前者が700枚中566番(赤盤)、後者が500中457番でした。ジャケットのデザインはSunn o)))のスティーブンさんだそうな。
Chelsea Wolfeさんは2ndアルバム「Apokalypsis」を聴いてどハマりし、昨年開催された轟音イベントLeave them all behindも実は一番みたかったのが彼女なのでした。ライブもそれはそれは心に染み入る素晴らしいものなのでした。
彼女の音楽は変わっていてなかなか一言で表現するのが難しいのですが、なんといってもあの独特の歌唱方法が個人的にはたまらない。おどろおどろしい反面とても優しい、基本的にさびしげなのにちょっとだけあったかいような不思議な感情の相克を感じさせるような魅力的なものです。

この音源はまたちょっと変わっていて、全5曲すべてがRudimentary Peniというバンドのカバーです。 Rudimentary Peniは1980年から活動しているイギリスのパンクバンドらしいのですが、私はこの音源を手に取るまでそのバンド名すら知りませんでした。
ちなみに妙な味わいのあるアートワークはRudimentary Peniのメンバー Nick Blinkoさんが描いたそうです。(NickさんはRudimentary Peniのアートワークも書いているそうです。調べてみるとかなーり不気味です。)
音源を聴いてみる限りはハードコアパンクといってもかなりアバンギャルドな作風なようで、一筋縄でいかないところにChelsea Wolfeさんに通じるものがあるかもしれません。

さてこの音源の話ですが、今作もChelsea Wolfe節全開です。バックはバンドアンサンブルなのですが、なんともゴシックな感じです。適度にフォークっぽくあまりごてごて装飾されてはいないです。乾いていてじゃぎじゃぎしたストレートな音なのですが、なぜか全体的に怖い感じに仕上がっているのがさすがという感じ。そして作品を作品足らしめているのがやはりChelseaさんのボーカルで全体的にリバーブのかかった妖しい感じに仕上がっているのですが、今回はより呪詛っぽくて恐ろしいです。この人は「うえ~~」とか「ふあ~~~」とか「ぅあ~~」といった独特の伸びのある叫び声(叫びってほど叫んではいないんですけど、語彙がなくてなんて表現が正しいのかわからんです。)が得意だと思っているのですが、これがこえーことこの上ない。ささやかくように歌うパートもなんだか不吉な予言を聴いているようでちっとも落ち着かない。そこに荒い息継ぎや、幽かな息遣いが入っていて全体的になんかのテープに意図せず入った気持ち悪い幽霊の声を聴いているようです。もはや稲川淳二さんの怪談の世界です。
5曲で12分くらいしかないのですが、とてつもなく濃い12分間ですね。前作「Unknown Rooms」が結構柔らかい感じに仕上がっていたので完全に不意を突かれた感じで、やはりChelsea Wolfeさんは黒かっこいいなあ、と再確認した次第でした。
おすすめです。限定盤なので好きものは速く手に入れるように。

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