2013年4月7日日曜日

Locrian & Christoph Heemann/Locrian & Christoph Heemann


メタリックな地獄絵巻ドローン/ノイズバンドLocrianとドイツの音楽家Christoph Heemannさんのコラボ作品。2012年Handmade Birds Recordsから。
Locrianは何枚かCD持っていて好きなんだけど、Christoph Heemannさんは知らなかった。
どうやらH.N.A.Sというバンドをやっている実験音楽家でジムオルークさんをはじめとするアーティストたちと積極的に共作しているという方らしい。
Locrianはアメリカのドローンバンドで最近は元ISISのアーロン夫妻のMamifferとコラボして日本版が出ているので知っている人も多いのではなかろうか。

そんな2組のコラボなので音の方もまあろくでもないことになっている。
全4曲で曲の長さが11分から15分くらい。全体的に濃い煙のヴェールに包まれたようなどんよりとしたドローン作品に仕上がっている。
Locrianの特徴的な冷たく滑るようなスペーシーなキーボードに音の輪郭が溶解したようなギター?が反復され、不穏な細かいピアノ音(これがまた不気味だ)が重なる、じりじりと焦らされるように聴いているとこらまたLocrianお得意の妙に引き延ばされたような気味の悪い絶叫が落ちてくる。
私はこのLocrianが得意とする絶叫が大好きだ。これには高低差があって、例えるならば上から下にすごいスピードで落ちていく男が発している断末魔がスローモーションで無理やり引き伸ばされたようだ。音が落ちているように聴こえるということは、こちらは宙に浮いているわけだ。どっちつかずの状態で、どっちが上か下かもわからないような状態でほっとかれている。ぼんやりとしている。ロックやメタルのような指向性がなくて、全体的にぼんやりとしている。だから怖い。これから絶対嫌なことが起こりますよ、と何となく含められて、その破綻をただただ待っているような不安さがある。この種の音楽を聴くときはシークバーを後ろに倒してその破綻を探してはいけない。恐怖映画と同じで怖いところだけ見ても全然面白くないし、また曲によっては最後までついにその破綻が提示されないことがままあるからだ。宙ぶらりんの怖さである、不定の恐ろしさである。

聞き手を選ぶ音楽には間違いないが、好きな人にはたまらないだろう。
Locrianファンは勝手損はないと思います。

youtubeになかった…
↓ここで一曲視聴できますので、ぜひ。
http://stereogum.com/1157091/locrian-christoph-heemann-hecatomb-stereogum-premiere/mp3s/

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