イギリスはイングランド、レスターのパワーバイオレンス/ファストコアバンドの1stアルバム。
2018年にAbusive Noise Tapesをはじめ複数のレーベルからリリースされた。私はBandcampで購入。
SNSはやっているもののあまり情報を描かないタイプのバンドで、おそらく2014年以前に結成されている。(FBの登録日とDemoのリリース年から。)今はドラム、ベース、ギター、ボーカルの4人組。今までいくつかの音源をリリースしており、中にはSpazzのトリビュートも含む。
今時パワーバイオレンスも珍しくないわけで、色々なバンドがそれぞれ個性を出そうと奮闘している。一リスナーとしてはそんな切磋琢磨が本当嬉しいわけだけだ。このNothing Cleanもそんな波の中で生まれた比較的若いバンドなのだろう。これがびっくりするくらい素直なパワーバイオレンスなのだ。特徴がないというわけではない、もちろん。ただことさらわかりやすい要素を入れていない。最近はブラストに乗っける速いパート、それと対応する遅いスラッジパートを入れて短い曲の中にメリハリのある展開を込めるのが流行なのかもしれない。このバンドは遅い方にはあまり力を入れていない。もちろんテンポチェンジはかなり頻繁にやるし、遅いパートもあるのだけど、ただこれはもう地獄だぜ〜苦しいぜ〜というわかりやすさ、がないのである。スタート一直線走り出したらもうあとは止まらないような、そんな気迫がある。100%ケツに火がついていて、止まったら死ぬ、そんな気迫すら感じる。音的にはきっちりとクリアでメタリックな音にアップデートされている。だから音楽的にはもちろんパワーバイオレンスもそうだし、ガチガチに音をアップデートしたファストコアにも聞こえる。Capitalist Casualtiesのような凝ったリフを劇速で演奏する、というのとはまた違ってかなり速さにパラメータを全振りしているような趣があって、その代わりに失うものがあっても気にしないスタイル。全ては速さ。全ては勢い。そうなると持てないものは捨てていくしかねえな。そんな覚悟だ。なんて言ったって41曲だ。それをぴったり24分00秒に込めたのだ。
何かを追求するなら全部を持っていくことはできない。なるほどこの楽曲は確かに抑揚はないかもしれない。展開だって乏しいかもしれない。同じパワーバイオレンスだってもっと豊かな表現をするバンドはたくさんいるだろう。ただそんなものは糞食らえだ。ファストコアってなんだ。速い音楽だ。速いハードコアだ。ファストコアはやべえ。しかりだ。しかしはじめっからやばかったわけではない。速くて異常だったからやばくなったのであって、Nothing Cleanというバンドはやばい音源をやる、のではなくファストコアをやる、がその出発点になっている感じがする。ピュアな動機であり、なるほど結果的にはやばいのだが、そこには形式だけに囚われない(つまりいかにも頭のおかしそうなハーシュノイズを入れたり、病的なモチーフをジャケットに引用したりということをしない)本質的な原動力がある。
私のようにただただ流行りだからだという理由でパワーバイオレンスに興味を持っている人間というのはよくよく軸がないのでブレがちだが、その軸をぶっ飛ばしにかかってくるのがこの音源。いやー格好いい。妙に反省しちゃってファストコアってこういうものでした、ってなってしまう。ぜひどうぞ。(ちょうど24分で書けたのでここまで。)
2018年10月28日日曜日
2018年7月30日月曜日
Heresy/Face Up to It! 30th Anniversary Edition
イギリスはイングランド、ノッティンガムのハードコアバンドの1stアルバム。
バンドは1985年に結成され1989年には解散。wikiによるとグラインドコアの始祖の一つと書かれている。
このアルバムは1988年にIn Your Face Recordsからリリースされた。2018年に発売から30周年ということでリマスターを施してBoss Tuneage/Break the
Connection Recordsから再発。
私は恥ずかしながらオリジナルを聴いたことがなく、丁度良い機会と思い購入。
巷の声を聴くとリマスターによってかなり音質の変化が見られるようだ。
決して歴史は長くないハードコアというジャンルでさらにファストコアの草分け的な存在で、正直歴史的価値はあるだろうが…と舐めてかかっていたのだが、聴いてみると驚いた。何に?その音楽的な表現力の芳醇さにだ。
ファストコアは激烈な音楽性だ。尖れば尖るほど(制限が多くなるので)音楽性は多様性を失っていく。(ピュアになっていくから好きな人にはたまらない。一方で興味がない人には全部同じく聞こえる。)Heresyの独特さは曲の長さを見ればわかる。1分ない曲もあるけど大体2分にわずかに届かないくらい。普通の人は「短いでしょ」と思うだろうが、この手のジャンルを好きな人ならむしろ長いと思うはず。長さには理由があって曲展開が複雑で多岐にわたる。つまり1曲の中でよくよく展開が寝られており、構成が凝っている。ファストコアというよりは、よくよく構成が練りこまれたハードコアという趣。決してハイスピードで最初から最後まで突っ走って終わりではない。とはいえもちろん超絶技巧なソロがあるわけでも、もったいぶった静寂パートがあるわけでも、多様な楽器を演奏しているわけでもない。あくまでもハードコアの肉体的なダイナミズムを損なわず、バンドアンサンブルだけで表現力の限界に挑戦している。わかりやすいのはテンポチェンジによる曲のメリハリだが、もちろんそれだけで3分弱とアルバム1枚をもたせているわけでもない。ボーカルも伸びやかにクリーンから、つんのめるようなまくしたてるようなシャウトまで幅広く、それが概ね曲の早さに合わせて披露されている。速いパート、中速パートそれぞれかなり贅沢に時間が取られていて、曲の中でそれらがはっきり判別できるように区切られている。楽器の上手い下手はわからないが、ドラムはとにかく複雑なのに非常に安定していると思う。どうしてもギターの方に目がいってしまうが、ベースもかなり個性的ではなかろうか。要するにどの楽器隊も(ボーカルも含めて)非常に芸達者で、ギターは流石にハードコアだななんて油断しているとしっかりとミュートで刻んできてたりする。
ほぼほぼメロディアスさはないが、ギターのリフが非常にキャッチーなのでダイナミックなリズム感もあってとても聞きやすい。そしてつくづく速度というのは相対的なものだと思う。緩急のメリハリのつけ方がとてもうまく(ここら辺は各パートに今のこの手のジャンルのバンドよりも多めの時間を使っているせいもあると思う)、中速からの突然のスピードアップは本当に体感では劇速。
結構曲によってはユースクルーっぽいなと思ってしまった。調べてみるとユースクルーは1980年台中盤から始まった動きらしい。時代的にはあってくるけど情報の流通も今とは異なるから、気のせいかもしれない。しかし聴けば聴くほど色々な要素が拾えて面白い音源だと思う。
数多のバンドがこの芳醇な混沌から何かを拾い上げて、その武器を尖らせていった。
面白いのは概ね流れ的にはここから各バンドが引き算でシーンを作っていったことだ。メタル的なアプローチなら足し算になるのではと思う。この違いに音楽の背景にある考え方の違いが現れているようで面白い。
明確なジャンルとしてのファストコア、パワーバイオレンスがこのバンドのあとに続くだろう。
まさしくハードコアのサブジャンルの地母神的な音源だなとその影響力に身震いしたのだった。
まだ聴いてない人はまたとない機会なので是非どうぞ。
バンドは1985年に結成され1989年には解散。wikiによるとグラインドコアの始祖の一つと書かれている。
このアルバムは1988年にIn Your Face Recordsからリリースされた。2018年に発売から30周年ということでリマスターを施してBoss Tuneage/Break the
Connection Recordsから再発。
私は恥ずかしながらオリジナルを聴いたことがなく、丁度良い機会と思い購入。
巷の声を聴くとリマスターによってかなり音質の変化が見られるようだ。
決して歴史は長くないハードコアというジャンルでさらにファストコアの草分け的な存在で、正直歴史的価値はあるだろうが…と舐めてかかっていたのだが、聴いてみると驚いた。何に?その音楽的な表現力の芳醇さにだ。
ファストコアは激烈な音楽性だ。尖れば尖るほど(制限が多くなるので)音楽性は多様性を失っていく。(ピュアになっていくから好きな人にはたまらない。一方で興味がない人には全部同じく聞こえる。)Heresyの独特さは曲の長さを見ればわかる。1分ない曲もあるけど大体2分にわずかに届かないくらい。普通の人は「短いでしょ」と思うだろうが、この手のジャンルを好きな人ならむしろ長いと思うはず。長さには理由があって曲展開が複雑で多岐にわたる。つまり1曲の中でよくよく展開が寝られており、構成が凝っている。ファストコアというよりは、よくよく構成が練りこまれたハードコアという趣。決してハイスピードで最初から最後まで突っ走って終わりではない。とはいえもちろん超絶技巧なソロがあるわけでも、もったいぶった静寂パートがあるわけでも、多様な楽器を演奏しているわけでもない。あくまでもハードコアの肉体的なダイナミズムを損なわず、バンドアンサンブルだけで表現力の限界に挑戦している。わかりやすいのはテンポチェンジによる曲のメリハリだが、もちろんそれだけで3分弱とアルバム1枚をもたせているわけでもない。ボーカルも伸びやかにクリーンから、つんのめるようなまくしたてるようなシャウトまで幅広く、それが概ね曲の早さに合わせて披露されている。速いパート、中速パートそれぞれかなり贅沢に時間が取られていて、曲の中でそれらがはっきり判別できるように区切られている。楽器の上手い下手はわからないが、ドラムはとにかく複雑なのに非常に安定していると思う。どうしてもギターの方に目がいってしまうが、ベースもかなり個性的ではなかろうか。要するにどの楽器隊も(ボーカルも含めて)非常に芸達者で、ギターは流石にハードコアだななんて油断しているとしっかりとミュートで刻んできてたりする。
ほぼほぼメロディアスさはないが、ギターのリフが非常にキャッチーなのでダイナミックなリズム感もあってとても聞きやすい。そしてつくづく速度というのは相対的なものだと思う。緩急のメリハリのつけ方がとてもうまく(ここら辺は各パートに今のこの手のジャンルのバンドよりも多めの時間を使っているせいもあると思う)、中速からの突然のスピードアップは本当に体感では劇速。
結構曲によってはユースクルーっぽいなと思ってしまった。調べてみるとユースクルーは1980年台中盤から始まった動きらしい。時代的にはあってくるけど情報の流通も今とは異なるから、気のせいかもしれない。しかし聴けば聴くほど色々な要素が拾えて面白い音源だと思う。
数多のバンドがこの芳醇な混沌から何かを拾い上げて、その武器を尖らせていった。
面白いのは概ね流れ的にはここから各バンドが引き算でシーンを作っていったことだ。メタル的なアプローチなら足し算になるのではと思う。この違いに音楽の背景にある考え方の違いが現れているようで面白い。
明確なジャンルとしてのファストコア、パワーバイオレンスがこのバンドのあとに続くだろう。
まさしくハードコアのサブジャンルの地母神的な音源だなとその影響力に身震いしたのだった。
まだ聴いてない人はまたとない機会なので是非どうぞ。
2018年6月17日日曜日
Capitalist Casualties/Subdivisons In Ruin
アメリカ合衆国はカリフォルニア州のファストコア/パワーバイオレンスバンドの2ndアルバム。1999年にSix Weeksからリリースされた。1986年に結成されたこの手のジャンルでは知らない人はいないバンド。残念ながら今年ボーカリストのShawn Elliotが亡くなってしまった。私はHellnationとのスプリットしか持っていなかったのだが、最近Fast Zineパワーバイオレンス特集(非常に面白いので是非どうぞ。)を読んでちゃんと聞かないと!と思っておっとり刀で購入したのがこちら。(このアルバムは新品で買える。)
20曲を17分で駆け抜ける正しくパワーバイオレンスなアルバム。
リリースから20年近く経っているわけで当然昨今のパワーバイオレンスとは結構趣が異なり面白かった。当たり前だがこちらがオリジナル。ここからいろんな音楽が広がっていったのだ。
基本的に全編突っ走るタイプ。今風の速いパートと遅いパートを曲の中に同居させることはしない。またドラムもブラストを叩くわけではなくて抜けの良いタムをスタスタスタ刻んでいくタイプ。ギターの音もそこまで重量感があるわけではなく、またメタリックな音質、さらにはザクザク刻んでいくようなリフもほとんど使わない。あくまでも疾走感が意識されており、ハードコアをできうる限りの速度でプレイしたような感じ。まさにファストコア。(パワーバイオレンスという単語は最近よく聞くけど、逆にファストコアとあまり聞かないような気がする。)
初めは思ったよりパンキッシュだな、と思ったんだけど、よく聞くとただただ速度至上主義で既存のシンプルな曲を早回しでやっているのではないとわかる。一番わかりやすいのはリフの凝りよう。これ例えばスリーコードをばーばーばーとただストロークするようなものではなくて、どの曲も緩急をつけたリフがきちんと用意されている。ただただ低音弦を弾くのではなくてちゃんと高音も使っていて、これがちゃんと拍にきっちり収まるように演奏している。ドラムはなるほどブラストは叩かないにしても曲の中で頻繁にテンポを変えている。パンキッシュなツービートやマーチっぽいフレーズなど結構多彩。私の耳の問題かもしれないけどあまりシンバル系は多用しないみたい。
パワーバイレオンスというと字面からしてはちゃめちゃなことをしそうで、まあ実際そうだったりするけどCapitalist Casualtiesに関しては基本は結構かっちりしていると思う。きっちり練習量あってのはちゃめちゃぶりというか、なので単に奇をてらっているのではなくて、ハードコアの特異な進化系として説得力があり、結果魅了される人が続いたのかなと。この初期衝動にあふれたパワーバイオレンスの魅力はというとやはり性急さだろうか。今のバンドはとにかく速度という意味では激烈だけれどとにかく堂々としている。Capitalistは「ぼやぼやしているとヤバイ、なんだかじっとしていられない」というちょっと病的な焦燥感があってヒリヒリしていて、結構別の意味で危ない。これはボーカルの腕によるところも大きいと思う。ハードコアにおける「カオティック」であったり「病的さ」であったりは表現であってそのまま垂れ流すものではないから、やはりきっちりとした基礎がものを言うのではなかろうか。
17曲、20曲あたりは遅いパートが入っていてパワーバイオレンスの当時のこれから(つまり今の姿)の萌芽が感じられて面白い。
パワーバイレオンスは結構流行り廃りというか進化があって(すべてのジャンルでそうなのだと思うけど。)Capitalist Casualtiesを聞いておけばこのジャンルのすべてがわかる、というのではないかもしれないが、このジャンルが好きな人はもちろん聞いておいた方が良いだろう。2014年に来日した際に見にいっておけばよかったな。
基本的に全編突っ走るタイプ。今風の速いパートと遅いパートを曲の中に同居させることはしない。またドラムもブラストを叩くわけではなくて抜けの良いタムをスタスタスタ刻んでいくタイプ。ギターの音もそこまで重量感があるわけではなく、またメタリックな音質、さらにはザクザク刻んでいくようなリフもほとんど使わない。あくまでも疾走感が意識されており、ハードコアをできうる限りの速度でプレイしたような感じ。まさにファストコア。(パワーバイオレンスという単語は最近よく聞くけど、逆にファストコアとあまり聞かないような気がする。)
初めは思ったよりパンキッシュだな、と思ったんだけど、よく聞くとただただ速度至上主義で既存のシンプルな曲を早回しでやっているのではないとわかる。一番わかりやすいのはリフの凝りよう。これ例えばスリーコードをばーばーばーとただストロークするようなものではなくて、どの曲も緩急をつけたリフがきちんと用意されている。ただただ低音弦を弾くのではなくてちゃんと高音も使っていて、これがちゃんと拍にきっちり収まるように演奏している。ドラムはなるほどブラストは叩かないにしても曲の中で頻繁にテンポを変えている。パンキッシュなツービートやマーチっぽいフレーズなど結構多彩。私の耳の問題かもしれないけどあまりシンバル系は多用しないみたい。
パワーバイレオンスというと字面からしてはちゃめちゃなことをしそうで、まあ実際そうだったりするけどCapitalist Casualtiesに関しては基本は結構かっちりしていると思う。きっちり練習量あってのはちゃめちゃぶりというか、なので単に奇をてらっているのではなくて、ハードコアの特異な進化系として説得力があり、結果魅了される人が続いたのかなと。この初期衝動にあふれたパワーバイオレンスの魅力はというとやはり性急さだろうか。今のバンドはとにかく速度という意味では激烈だけれどとにかく堂々としている。Capitalistは「ぼやぼやしているとヤバイ、なんだかじっとしていられない」というちょっと病的な焦燥感があってヒリヒリしていて、結構別の意味で危ない。これはボーカルの腕によるところも大きいと思う。ハードコアにおける「カオティック」であったり「病的さ」であったりは表現であってそのまま垂れ流すものではないから、やはりきっちりとした基礎がものを言うのではなかろうか。
17曲、20曲あたりは遅いパートが入っていてパワーバイオレンスの当時のこれから(つまり今の姿)の萌芽が感じられて面白い。
パワーバイレオンスは結構流行り廃りというか進化があって(すべてのジャンルでそうなのだと思うけど。)Capitalist Casualtiesを聞いておけばこのジャンルのすべてがわかる、というのではないかもしれないが、このジャンルが好きな人はもちろん聞いておいた方が良いだろう。2014年に来日した際に見にいっておけばよかったな。
2017年9月24日日曜日
Coke Bust/Confined
アメリカの首都コロンビア特別区(District of ColumbiaでD.C.)ワシントンのハードコアバンドの2ndアルバム。2013年にGrave Mistake Recordsからリリースされた。その後スプリット2枚とライブアルバム1枚をくっつけた「Confined/Anthology」という同じジャケット(手に取ったわけではないのでひょっとして違うかも)の編集盤もリリースされているが、私はBandcampで購入した9曲入りの「Confined」。たしかユニオンの中古LPのところでよく見るな〜と思って買ってみた次第。とにかくジャケットがかっこいい。メンバーの一人はMagurudergrindのメンバーらしい。ストレートエッジのバンドである。どうもCoke Bustというのはちょっとふざけたバンド名らしい。(なんだろうコーラの胸???スラングでしょうね。twitterで教えていただいたのですがコカインで逮捕される、という意味だそうです。)
全9曲を9分4秒でやってのけるわけだからフルアルバムったって、普通のアルバムを聞く間に4周くらいできるコスパの良いアルバム。(最近の人はとにかく損をしたくないらしくコスパの良さを重視するよな。)とにかく激烈な音を出しているので「ウヒョーこれはパワーバイオレンス…!」と思ってしまうのだが、じっくり聞いてみるとちょっと違うかもな、というのが私の印象。
ノイジーなフィードバックにまみれたハードコアで(このアルバムでは)1分20秒より長い曲は存在せず、露骨な速度のチェンジが短い曲中で何回もある。ここまではOK。このバンドあんまりスラッシーではない。ミュートを挟んだメタリックなリフは使わないという意味で。もちろん使わないわけではないのだが、疾走するパートでは特に伝統的なハードコアの流れをくむジャージャーと休止を利かせない弾きまくるリフを使ってくる。下手すれば単調に聞こえるわけだけど、単にアップダウンで弾くのではなく抑揚は聞いているし、コード進行がよく練られているからか非常にかっこよく、かつキャッチーである。
昨今のパワーバイオレンスというと速度のチェンジ、というか低速パートに落とし込むいわゆるブレイクダウンが大胆に取り入れられており、洗練されたそれより音も汚く、ラフなアトモスフィアを感じさせるそれは遅いハードコア、つまりスラッジコアからの影響を強く感じさせる事が多い。一方速いパートはとにかく速いので、同じ曲の中で両極端を行ったり来たりするという醍醐味があるわけなのだ。しかしこのCoke Bustはそのスラッジ的な成分はあまり感じられない。遅いパートはあるのだが地獄のように遅く、引きずるようなそれではない。むしろ中速くらいで一点突っ走ったリフがちょうどよくグルーヴィにうねりだすイメージ。速度を落としても結構音の数は多い。踊れる(つまり暴れる)ハードコアというハードコア的なノリの良さはありつつ、現行のパワーバイオレンスとは微妙に一線を画す攻め方、曲の作り方である。
そう考えると前述の速いパートのリフもそうだが、パワーバイオレンスというか往年のハードコアを激速で演奏しているのがこのCoke Bustなのでは、という感じがしてきた。たしかに高速に対応する低速パートがあるわけだけど、そこもうまく自分たちなりの色を出していてちょっと他のパワーバイオレンスとは結果違うなと。ファストコアのモダンなアップデートみたいな感じだろうか。
パワーバイオレンスじゃない!ってわけではなくてよく聞くと結構面白いことやっているなあという感じで、人々がパワーバイオレンスに求める爽快な暴力性はきちんと備わっている。速いパートでも遅いパートでもスラッシーではない、リフのかっこよさがあるので大変聞きやすい。気になってい人は是非どうぞ。
全9曲を9分4秒でやってのけるわけだからフルアルバムったって、普通のアルバムを聞く間に4周くらいできるコスパの良いアルバム。(最近の人はとにかく損をしたくないらしくコスパの良さを重視するよな。)とにかく激烈な音を出しているので「ウヒョーこれはパワーバイオレンス…!」と思ってしまうのだが、じっくり聞いてみるとちょっと違うかもな、というのが私の印象。
ノイジーなフィードバックにまみれたハードコアで(このアルバムでは)1分20秒より長い曲は存在せず、露骨な速度のチェンジが短い曲中で何回もある。ここまではOK。このバンドあんまりスラッシーではない。ミュートを挟んだメタリックなリフは使わないという意味で。もちろん使わないわけではないのだが、疾走するパートでは特に伝統的なハードコアの流れをくむジャージャーと休止を利かせない弾きまくるリフを使ってくる。下手すれば単調に聞こえるわけだけど、単にアップダウンで弾くのではなく抑揚は聞いているし、コード進行がよく練られているからか非常にかっこよく、かつキャッチーである。
昨今のパワーバイオレンスというと速度のチェンジ、というか低速パートに落とし込むいわゆるブレイクダウンが大胆に取り入れられており、洗練されたそれより音も汚く、ラフなアトモスフィアを感じさせるそれは遅いハードコア、つまりスラッジコアからの影響を強く感じさせる事が多い。一方速いパートはとにかく速いので、同じ曲の中で両極端を行ったり来たりするという醍醐味があるわけなのだ。しかしこのCoke Bustはそのスラッジ的な成分はあまり感じられない。遅いパートはあるのだが地獄のように遅く、引きずるようなそれではない。むしろ中速くらいで一点突っ走ったリフがちょうどよくグルーヴィにうねりだすイメージ。速度を落としても結構音の数は多い。踊れる(つまり暴れる)ハードコアというハードコア的なノリの良さはありつつ、現行のパワーバイオレンスとは微妙に一線を画す攻め方、曲の作り方である。
そう考えると前述の速いパートのリフもそうだが、パワーバイオレンスというか往年のハードコアを激速で演奏しているのがこのCoke Bustなのでは、という感じがしてきた。たしかに高速に対応する低速パートがあるわけだけど、そこもうまく自分たちなりの色を出していてちょっと他のパワーバイオレンスとは結果違うなと。ファストコアのモダンなアップデートみたいな感じだろうか。
パワーバイオレンスじゃない!ってわけではなくてよく聞くと結構面白いことやっているなあという感じで、人々がパワーバイオレンスに求める爽快な暴力性はきちんと備わっている。速いパートでも遅いパートでもスラッシーではない、リフのかっこよさがあるので大変聞きやすい。気になってい人は是非どうぞ。
2014年4月6日日曜日
Left for Dead/Devoid of Everything
カナダはハミルトンのハードコアバンドのディスコグラフィー盤。
ジャケットが何ともお洒落!
2013年にA389 Recordingsからリリースされた。
私自身は全くこのバンドのことを知らなかったのだが、最近紹介したSeven Sisters of SleepやFull of Hellがとても良かったので、リリース元であるレーベルA389 Recordings所属のバンドをチェックしている中で見つけた。
1
996年から1998年というかなり短い活動期間にも関わらず伝説的なバンドのようで、バンド解散後メンバーはCursedやBurning Loveなどなどのバンドで活動しているようだ。
ジャンルとしてはハードコアなのだろうが、ほぼ全編暴力的な速度で突っ走るバンド。曲の速度は速いし、楽器陣の演奏はかなり重ためだが、グラインドコアの様なメタリックさは希薄でファストコアやパワーバイオレンスに近い。例えばニュースクールハードコアのようなメロディアスも皆無で、ひたすらがなり立てるタイプ。
ドラムは低いバスドラと対照的に比較的軽いタムがタスタス連打されるパンキッシュなスタイルでビートが気持ちよい。
ギターが面白くて基本はハードコアの雪崩のように弾きまくるスタイルなのだが、要所要所で繰り出されるリフが格好よい。メタリックというよりはハードコア由来なのだが、妙に耳に残るキャッチーかつグルーヴィなリフが印象に残る。フィードバックノイズも多めなのは個人的に好印象。たまに現れるちょっとスラッジっぽいパートもギターの音自体が結構重めなので迫力があって良い。ギターが2本いるので、重たい音に突き刺さる様なノイジーな高音をかぶせてきたりして意外に技巧派なんじゃないかとも思う。
そしてボーカル。これは吐き捨てるようなハードコアスタイルで終始叫びっぱなしのブチ切れたスタイルで、こちらもギター同様単語を吐き出した後の伸びがとにかく格好よい。適度にしゃがれていて、迫力満点!ハードコアスタイルのボーカルはデス声に迫力で劣ると思っている方がいたら是非聴いていただきたい。メタルのボーカルではなかなかこのやけっぱち感は出せないのではなかろうか。
曲はすべて1分台かそれ以下でぼんやり聴いているとあっという間に次の次の曲にいっている。スタイルはラフかつシンプルだが、曲は短いながらも展開が面白くて結構詰め込んでいる印象。ちょっとカオティックハードコアのような雰囲気もある。
「すべての欠落」というタイトル通り破滅的な音楽で、地獄に向かって一直線に急降下していく様な、崩壊寸前の危うさの様な緊張感が全体に漂っていて、殺気が半端無い。焦燥と怒りがそのままバンドアンサンブルにのって飛び出した様な凄まじい音楽で聴いていると、なんかこう熱いものがこみ上げてくるようだ。
という訳で滅茶苦茶格好よいハードコア。
劇的にオススメですよ〜。
ジャケットが何ともお洒落!
2013年にA389 Recordingsからリリースされた。
私自身は全くこのバンドのことを知らなかったのだが、最近紹介したSeven Sisters of SleepやFull of Hellがとても良かったので、リリース元であるレーベルA389 Recordings所属のバンドをチェックしている中で見つけた。
1
996年から1998年というかなり短い活動期間にも関わらず伝説的なバンドのようで、バンド解散後メンバーはCursedやBurning Loveなどなどのバンドで活動しているようだ。
ジャンルとしてはハードコアなのだろうが、ほぼ全編暴力的な速度で突っ走るバンド。曲の速度は速いし、楽器陣の演奏はかなり重ためだが、グラインドコアの様なメタリックさは希薄でファストコアやパワーバイオレンスに近い。例えばニュースクールハードコアのようなメロディアスも皆無で、ひたすらがなり立てるタイプ。
ドラムは低いバスドラと対照的に比較的軽いタムがタスタス連打されるパンキッシュなスタイルでビートが気持ちよい。
ギターが面白くて基本はハードコアの雪崩のように弾きまくるスタイルなのだが、要所要所で繰り出されるリフが格好よい。メタリックというよりはハードコア由来なのだが、妙に耳に残るキャッチーかつグルーヴィなリフが印象に残る。フィードバックノイズも多めなのは個人的に好印象。たまに現れるちょっとスラッジっぽいパートもギターの音自体が結構重めなので迫力があって良い。ギターが2本いるので、重たい音に突き刺さる様なノイジーな高音をかぶせてきたりして意外に技巧派なんじゃないかとも思う。
そしてボーカル。これは吐き捨てるようなハードコアスタイルで終始叫びっぱなしのブチ切れたスタイルで、こちらもギター同様単語を吐き出した後の伸びがとにかく格好よい。適度にしゃがれていて、迫力満点!ハードコアスタイルのボーカルはデス声に迫力で劣ると思っている方がいたら是非聴いていただきたい。メタルのボーカルではなかなかこのやけっぱち感は出せないのではなかろうか。
曲はすべて1分台かそれ以下でぼんやり聴いているとあっという間に次の次の曲にいっている。スタイルはラフかつシンプルだが、曲は短いながらも展開が面白くて結構詰め込んでいる印象。ちょっとカオティックハードコアのような雰囲気もある。
「すべての欠落」というタイトル通り破滅的な音楽で、地獄に向かって一直線に急降下していく様な、崩壊寸前の危うさの様な緊張感が全体に漂っていて、殺気が半端無い。焦燥と怒りがそのままバンドアンサンブルにのって飛び出した様な凄まじい音楽で聴いていると、なんかこう熱いものがこみ上げてくるようだ。
という訳で滅茶苦茶格好よいハードコア。
劇的にオススメですよ〜。
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