2018年1月20日土曜日

Wolfgang Japantour/A Mutable World

日本は北海道札幌の殺幌発青春メタルポップバンドの2ndアルバム。
2017年にCrew For Life Recordsからリリースされた。
2003年か2004年に結成されたバンドで今は3人組のようだ。ベース兼ボーカルが女性。オフィシャルサイトもないようなのであまり情報がない。新作リリースのタイミングでジャケットが印象的だったので心に留めて過去作をyoutubeで聞いたら良かったので購入。

まず何と言っても隠そうともしないコラージュ感あふれるジャケットが良い。CDの盤面やインナーの裏側など結構世界観が違うアートワークが施されていて、何となくこのバンドの方向性が垣間見える。
再生してみるとCoaltar of the DeepersのイチマキさんがやっているBP.に似ているなと。特徴的なボーカルの声質が似ているというのがまずあるのだけど、楽器がガシャガシャうるさいバックの演奏に、女性ボーカルが割りと絶妙なメロディアス具合で歌う、というスタイルが共通している。ただこちらのほうが自称することもあってかなりメタリックで激しい。音はそれなりに厚みがあってうるさいがシューゲイザーのような耽美的な陶酔感は少なめで、あくまでもソリッドに突っ走るハードコアスタイル。曲は短めで9曲を18分で駆け抜けるから1曲あたり大体2分。軽めのスネアが特徴的なドラムも手数が多くて速いし、ギターはとにかくよく動く。メロディアスなハードコアだがブリッジミュートを主体に極限まで軽くしたような速めのリフに、ただボーカルがひたすらメロディアスな歌を乗っけるメロコアスタイルとは一線を画す音楽性で、絶妙なメロディアス具合といったのはこのボーカルとギターの歌い具合がとても良い塩梅に曲の中で戦い合っている感じ。女性ボーカルの憂いのあるメロディラインと思ったら、ギターが叙情的なソロを奏でて、よくよく聴くとそれ以外の部分でも、いろいろなパートがぐいぐい主張していて、それがやかましいのだけど不思議に噛み合っていて、賑やかで暖かい独特の音楽になっている。
バンドサウンドってただバンドで音を出せばそれになるってわけじゃなくて、こうやってバンドの中で音の相克と掛け算があって、わざわざパートごとに集まってやる音を出す意味というのがひしひしと感じられて、こういうのだよな〜と思ってしまう。(私バンドやってないから実際のところはわからないんだけど。)
かなり濃いことをやっているのだが、全体的に晴れ上がった青空のようにさっぱりしているのはやっぱりボーカルの力によることが多いのだろうか。あとはたまに挟まれるギターソロも爽やかで良い。決意と達観を巻き込んだような歌詞も特徴的でアルバムのタイトルは「無常の世界」という意味だそうな。
メンバーの人はKnuckle Headというハードコアバンドでも活動しているようなのだが(聞いたことなし)、ハードコアを通過した上でメロディを獲得しにいったのがこのバンドだとすると、安易に音の軽いメロコアに行くのではなくて音はむしろ混沌として、そこにメロディを溶け込ませるというのは非常にややこしく、こだわりがあって良いなと思う。

700枚限定とのことで油断するときっとなくなってしまうと思うので気になっている人は是非どうぞ。早速ライブが見たいバンド。

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