2015年11月8日日曜日

Yacøpsæ/GÄSTEZIMMER

ドイツはハンブルグのパワーバイオレンスバンドのMCD。
2015年に同郷のPower It Up Recordsからリリースされた。
Yacøpsæは1990年に結成された3人組のバンドで、1stアルバムのタイトルが「パンク糞食らえ、これはパワースピードバイオレンスだ!!!」という素晴らしいバンド。その音楽性は徹底的に苛烈なのだが、The Cureのカバーをしたり、「Pop-Punk Alienation」というカバーアルバムではNirvanaやEverclearのほぼほぼ原曲に忠実なカバーを披露したりとなかなかマイペースというか、面白いバンドである。私は彼らの膨大な音源をたまーに買う程度だがとにかく元気が出るので大好きだ。とにかく曲が短くて一つの音源に沢山入っているので、シャッフルで聴いているとYacøpsæ率が非常に高いのが私のipodなのだ。
そんなバンドが結成25周年を記念したのがこの音源。全部32曲なのだが扱いとしてはMCDになっている。まあ16分しかないからね。だいたい1曲30秒ないです!最高だ。タイトルは日本語に訳すと「ゲストルーム」。(ちなみにジャケットはぼろぼろに壊れきった廃墟の建物でこれが俺たちのゲストルームだ!といわんばかりのユーモアセンスが良い。)どういう事かというと全32曲すべてゲストボーカルを迎えて歌ってもらっているのだ。その面子が豪華絢爛で最近新作がTwitterでも絶賛されているSvffer、この間来日した大御所Capitalist Casualties、イタリアのグラインドコアCripple Bastardsなどなどなどなどと本当にそうそうたるもの。ドイツだけでなくアメリカ、イタリア、インドネシアと色んな国のバンドマンたちがゲストで参加している。(ブックレットには丁寧に彼らの思いが綴られている。)この手のジャンル好きな人ならこの面子が集まって一つの音源が出来ている事に驚きを隠せないのではなかろうか。

でやる事と言ったら全く容赦ないショートカットチューンの32連続である。
ぎゃりぎゃりした低音を強調したギター。伸びやかで唸る様なこれも低音のベース。終始ブラストしまくるドラムといういつものYacøpsæがまさに嵐の様な演奏を披露。演奏面で言うと音質もあってかやっぱり結構メタリックに聴こえる。(ただアティチュードは完全にハードコアのもの。)素直に終始突っ走る曲、曲間にスラッジパートを取り入れた曲、終始ドゥーミィなノイズを聴かせる鈍足な曲などなど短い中にもまず様々な曲のバリエーションを見る事が出来る。バンド結成して25年が経っているというが日和ったところは一切なし。このバンドに限って言えば音源と技術が向上している分進化しかしていないんじゃないかなと思える。すげえ事だ。
そこに多彩なボーカルが乗る。まず男と女(女性ボーカルかなり多い。)があるからそれだけでも聴いていて楽しいし、デス声、ハードコア声、金切り声、シャウト、妙に伸びのある歌声と色々なものがまるでおもちゃ箱やーってくらいに矢継ぎ早に飛び出してくる訳でこれが楽しく無い訳が無い。
個人的にはYacøpsæは明るいバンドだと思っている。例えば超名曲「Frost」のように度を超した激しさの中に暗い憂いを持っている事曲も沢山あるし、一般の人が聴いても決して明るいとは思わないだろうが、ハードコア特有の気持ちの良さとい明快さがあってそれが無邪気でカッコいいのだ。怒りや悲しみだってそのストレートさに胸が空く様な気持ちになるわけでこっちが元気の無い時だってすっと入ってくるエクストリームな音楽。今回はその気持ちよさが友情とリスペクトとユーモアでもって倍加されている様な印象がある。初っ端から童謡からはじまるんだもの。彼らがふざけているとしたら全力でふざけているのであって、それが聞き手には楽しいのである。笑われてるのではなく、私たちを笑わせているのである。

Yacøpsæはとにかく音源の料が莫大なのでバリエーション豊富という意味で初めてYacøpsæを聴く人には意外に良いんじゃないかなと。(後はいくつか出ているベスト盤かな?)とにかくストレートに胸に突き刺さるハードコア。同じ様な取り組みでこの間紹介したTeenage Time Killersの音源があったんだけどあれを振り切ったのがこっちという印象。とにかく度を超しているのにそれがきちんと成立していて、しかも滅茶かっかいいのがすごい。オフィシャルサイトによると限定1000枚らしいので是非どうぞ。この手のジャンルが好きなら絶対勝手損はしないと思いますよ〜。短さもあってか私はすごく沢山聴いています。超オススメ。
視聴が見つからなかったので名曲Frostで。

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