2013年8月17日土曜日

Jucifer/за волгой для нас земли нет


アメリカはジョージア州アトランタ(といってもツアーにばかり出ていてあまり家にいないみたい。)のバンドの2013年発表の6thアルバム。
Mutants of the Monsterという聞き慣れないレーベルからリリース。
購入するとデジタル音源とアルバムの説明が書かれた(と思われる)pdfがダウンロードできる。CDは後日発送。記事書いてる今まさに届いた!


JuciferはG.Amber Valentine(ギターボーカル)とEdgar Livengood(ドラム)から(2人は夫婦だそうな)なるバンドで、激重いスラッジメタルにAmberの何とも多彩な声が乗っかるとても希有なバンドで、私は結構なファンである。
この手の変わったバンドというとやたら「ヘヴィメタルを基調に様々な音楽性を取り入れた」などと説明されることが多いけど、このバンドJuciferは本当にそんな言葉がぴったり。基本はスラッジなのだが、暗ーいフォークぽかったり、妙にオシャレなオルタナティブだったり、かなーり面白い。というのも曲の豊かさに加えて、叫び声からささやくようなロリータ声までこなすAmberの才があってこそだと思う。
一番多彩な「I  name you destroyer」やフランス革命に題材をとった「L’autrichienne」は超名盤なので皆さん是非手に取っていただきたい。

さて今作はどうもまたコンセプトアルバムの用で、どうもロシア語のようだ。英訳すると「There Is No Land Beyond the Volga」となるそうな。むむむ…もうちょっと調べると第二次世界大戦のロシアの英雄的な狙撃手ワシリー・ザイツェフの言「There Was No Land Beyond the Volga」というのがあった。恐らくここからとっているのではなかろうか。VolgaとはVolgagradで今のスターリングラードのことらしい。(ここら辺違ったら教えてください。)

音の方はどうかというとなかなかの地獄絵図になっております。
前作Throned in Blood(確かジェロ・ビアフラのAlternate Tentaclesからリリースされたと思う。)は怒りに満ちたグラインドコアが怒濤のように展開され大いに驚いたけど、今作も同じようなアグレッションに満ちている。
とはいえ指向性がかなーりドゥームに舵を取られていて、今までの彼らのやり方を踏襲しつつ今作が一番ドゥームなのでは。ドゥームといってもいろいろあるが、今作はかなり先進的かつ容赦ない印象。リフはあるんだけどブラックホールに吸い込まれているように仮借なく引き延ばされ、でかすぎるギターの音量はその輪郭が半ば崩壊しかかっているようだ。かなりノイジーであって、ぎゅらぎゅらいってる訳です。私はギターのノイズが大好き!人によっては完全によけいな音、それこそ単にノイズなのだろうが私にとってはご褒美です。フィードバック音が暴走半ばで飛び交いまくってもう拷問なんだか天国なんだか分からん始末。ただしドラムがしっかりとビートを刻むので、思ったより取っ付きにくくない。きちんとしたロックになっていてグッドだ。Juciferの良さはマニアックな癖に独特のメロディアスさや聞きやすさがあるところだと個人的には思っている。
そこにAmberの絞り出すような叫び声が乗っかってくる訳だが、今作では曲によっては怒り一辺倒ではなくてクリーンボイスをかぶせてきてそのコントラストがたまらん!!!クリーンといっても分かりやすいメロディーをなぞる訳ではないのがさすが。何とも哀愁のある悲しげな旋律なのである。

全部で16曲、7分くらいの長めの尺の曲も多い。かなり濃密。かなり陰惨。呵責のない暗い音楽。
13ドルで買えるのでみんな買え!というくらいに素晴らしいアルバムです。


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