2017年7月23日日曜日

SUPER STRUCTURE presents "NO STRENGTH TO SUFFER vol.5" -TRAGIC FILM「Violent Works」 Release Show-@西荻窪Pit Bar

アメリカ合衆国はネバダ州リノのハードコアバンドFall Silentが14年ぶりに復活。
EPもリリースしてその流れで来日するという。
私は完全に後追いで「Drunken Violence」をなんとなーく買って見たら大変かっこよかったのでその後来日のニュースが出たからには行かねばなるまいと足を運んだ次第。
都内を中心に結構ぎっちり色々なバンドと共演していたのだが、私的には金曜日に西荻窪に足を運ぶことに。たまたま日程の折り合いがつかなかったので行けるのがこの日だけだったのだが、初めていくPitBarはとても小さいライブハウス。西横浜のEl Puenteよりは大きいかなくらい。19時開場で20時前につくとすでにライブハウスは満杯状態。
この日は特別にPitBarのキャパが2万人まで増えたらしい。メンツもあってかとにかくハードコアな方が多い。ガタイが良くおしゃれ。こういうところにうっかり紛れ込むといつ「テメー、ポーザーだな」とバレてボコボコにされるのではと内心とてもビクビクしている。バーの女の子のシャツがExtortionだった。ライブハウスで働いている女の子、可愛い子、多くないですか?気のせい?

Super Structure
一番手は企画の主催者Super Structure!バンド名のSuper Structureはもちろん本日トリを務めるFall Silentの2ndアルバムからとったもの。ちなみに企画名は1stから取っている。ある意味Fall Silentに対する日本からのアンサーなバンドなわけで、メンバーの方々は一体どういった気持ちで今日のステージに立つのかと思うとすごくワクワクしてくる。のっけから緊張感がバチバチだったが始まった瞬間に圧倒的な加速力で最高速を迎え、フロアが地獄の様相に。New SchoolなFall Silentに対して圧倒的にパワーバイオレンスなSuper Structureなので音の表層は違うのだが、Fall Silentの持つブルータルさを拡大解釈したかのような音楽性に、狭くかつ密集したフロアで腕をぶん回すもの、足を振り上げるもの、人の上に乗っかるもの、タックルするものと、さながら与太者の大博覧会。暴風域から後ろにいたものの押したり引いたりでまっすぐ立っていられない状態。メンバーのやる気が見ている側に見事に伝染していく素晴らしいライブだった。なんせやっぱり曲が良い。最後にやった高音が血液とアドレナリンを爆発させるキラーチューンもそうだけど、体が思わず動いちゃうような扇情的な暴力性がかっこいい。何としても音源が欲しい。

Saigan Terror
続いては高円寺のスラッシュコアバンドSaigan Terror。相変わらずギタリストの方のMCが面白い。この日はお酒を飲んでないんだよな〜とぼやいておりました。
曲の方が劇タイトなハードコア。何回か見たことあるんだけどいつも勢いにやられてしまう。この日はちゃんと聴くぞ!という気持ちで臨む。ボーカルの人のいかついステージアクションとどすの利いた声(ベーシストの方のボーカルもやばい)は(トータルでは)紛れもなくハードコアだが、演奏陣は非常に正確できっちりしている。刻みまくるギターにまず目がいっちゃうけど、よくよく聞いてみるとドラムのバリエーションが非常に多彩である。荒々しく突っ走る時はシンプルに(シンプルといっても絶対簡単ではないはず)ツービート、速度をやや落として8ビートでスラッシーのギターリフと絡みつくように、それからブラストビートでこちらはボーカルの咆哮と相まって暴力が爆発するような迫力。アティテュードはハードコアなんだけど、メタルから大胆に取り入れた表現力をハードコアの威力を殺すことなく融合させていてスゲえなと思った。Fall Silentも刻みまくるハードコアだから、この日とてもぴったりだったと思う。かっこよかった。こちらのバンドもですね、音源が欲しいんですね。

Tragic Film
下調べもしなかったので完全に初めて見て聴くバンド。この日はこのバンドのディスコグラフィーのリリースパーティでもあるわけだから主役。バンドの佇まいからするとエモーショナルなハードコアかな…と勝手に思っていたら全然違った。完全にパワーバイオレンスだった。それも非常にロウかつハードコアな感じ。1曲めが始まった瞬間くらいにボーカルの方がフロアに矢のように飛び出していき、しばらくすると真っ白いタンクトップがなぜかビリビリに、そんな感じのバンド。メタリック感はほぼゼロで次々落ちる雷のように乱打されるドラムに、ざらついたギターがコード感のあるハードコアなリフを重ねていく。伝統的なパワーバイオレンスかと思いきや、リフに結構メロディックなコード進行があってそこが面白い。結構日本的なハードコア感な匂いがする。何と言ってもボーカルの人のキャラクターがすごくて叫びっぱなしなのだが、エモーショナルすぎてマイクと離れているのかよく聞こえなかったり、バテて?次の曲になかなか行けなかったり、感情がこもりすぎたMCに野次を入れられたりと。楽曲は激しいのになんとなくあったかい雰囲気になっていた。

Fall Silent
トリはお待ちかねFall Silent。期待感こもるフロアはぎゅうぎゅう。メンバーは全員ガタイがよく刺青もびっちり。確か復活に伴いベースの人が変わっているらしい。ベースの人は一人だけ他のメンバーより若そうだったけど、転換の時からマイクに叫んだりして陽気な人っぽかった。だいたい立ち居振る舞いで人となりがちょっとはわかるものだけど、Fall Silentに関してはみんな良さそうな人でいい感じにリラックスしている感じ。ステッカーをお客さんに配ったりもしてました。
始まってみると一気にフロアがうわっと盛り上がって前に押し寄せる。この瞬間というのがライブの醍醐味の一つかも、期待感と実際がぶつかり合って何かが脳内に溢れてくる。刻みまくるギターは紛れもなくFall Silent。Fall Silentは色々な魅力に溢れたバンドだけど、唯一無二の才だと思うのはボーカルの声質。やんちゃっぽい高い声なのだけど、この独特な声がブルータルな演奏陣と対比をなしていて曲を独創的なものにしていると思う。歳をとるとあの艶やかな声がいくらか失われているのでは…とちょっと不安に思ったけど、果たして艶のある声は健在。ライブなのでもっと暴れていて、振り絞るように絶叫する声の、喉に負担がかかりすぎるように伸びるところがかっこよすぎた。個人的に大好きな2ndからの「One More Question」もやってくれてテンションマックス。後半のパート脳と体を揺さぶってくるモッシュパートだと思う。曲にやられている、そんな感じがライブでは物理的な感じでさらによかった。刻み込むリフはメタル的というよりも、ドラムの延長線上にあって曲(時間)をハードコア的に区切るリズミカルなものだということを実感。つまり暴れるためにはうってつけ。
フロアは地獄の様相で狭いフロアを人がごちゃごちゃごちゃごちゃ、拳と足が振り上げられ、狭い天井をこするように人が頭上を行き来する。恐ろしいのだが、みんな笑顔だった。これは本当すごい。マジでみんな笑顔。どんだけ愛されているバンドなのだろう。「Looking In」はみんなでシンガロング。他の曲もそう。最後にやった「The Ruler」という曲もみんなすごく歌っていたのだけど、これEPに入っている曲でみんなよく聞いているな〜と思った。ちなみにSuper Structureのメンバーの方々もフロアにいて、特にギタリストの方は本当すごい良い笑顔でした。
モッシュピットがすごいからすごいライブ、じゃなくて、ステージングが良いからフロアが盛り上がるんだよな、と。そういうライブだった。終演後も「やばい」とか「最高」とか聞こえてきて本当に良いライブだった。メンバーの人柄なのか音楽的にもフロア的にもブルータルだったが、陽性のエネルギーに満ちたライブだったと思う。

音楽的にもすごかったけど、ライブという意味で非常に良い時間と空間を堪能できた。あの狭い空間にエネルギーがバリバリ帯電しているような感じ。
Fall Silentはさすがのかっこよさ。何と言っても飄々とすらしているような佇まいがかっこよかった。日本に来てくれてありがとうという気持ち。

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