2016年4月23日土曜日

Graves at Sea/The Curse That Is

アメリカはオレゴン州ポートランドのドゥームメタルバンドの1stアルバム。
2016年にRelapse Recordsからリリースされた。
なんとなく視聴して気に入ったのでデジタル版を購入。
1stアルバムだがバンドの結成自体は2002年。途中休止をはさみつつEPやスプリットをリリースしつつ待望のという感じでフルアルバムがリリースされたようだ。現在は4人編成だが、結構メンバーの変遷があったようで一時期はNoothgrushのNukaga Chiyoさんもドラムで在籍していたとのこと。

アルバムの方は全8曲で76分という、どう考えてもドゥームな内容になっている。
パワーで押し切るモダンな圧殺ドゥームというよりはクラシックなドゥームメタルに敬意を払ったオールドスクールな音が土台になっていると思う。影響を受けたバンドにBlack Sabbathを挙げている。
重々しいが金属質でどことなく埃っぽい質感のある音で、とにかく伸びのあるギターリフが曲を引っ張っていく。裏で這うようにもっこりした音質で厚みをくわえていくベース。音の数より一撃一撃を意識したタメのあるドラム。そしてかなり特徴的なボーカル。かなり掠れた様な質感で、なんなら女性の金切り声ぽい甲高いわめき声をメインに中音〜低音まで結構幅広い。
アートワークからもうっすら感じさせるのだが、暴力性第一位というよりは魔術めいた怪しさが光るバンドでとくに甲高いボーカルと反復的かつ複雑性でもって呪術的な雰囲気から同じドゥームメタルバンドのYobに似ているな、という印象。ともにサイケデリックな要素が多分にある。ただしこちらの方がYobに比べてまだこちらの世界にとどまっている印象の分取っ付きやすいのではなかろうか。Yobが高みに登り上げて悟りを開いていく様なイメージなら、こちらは降下して次第に地獄に迫っていく様な感じ。長い尺もあって中々の拷問具合だが、ストリングスやアコースティックギターを大胆に導入していたりして中々飽きさせない作り。全体的に黒一色に染まりきらない灰色といった風景でもって、想像力をかき立ててくる。フィードバックノイズもこういった風景にはよく似合う。

決して取っ付きやすい音楽性ではないが、ドゥーム好きならすっと受け入れられるのではなかろうか。Yob好きな人は是非どうぞ。

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