2015年6月21日日曜日

Su19b/The World Doomed to Violence

日本は東京のパワーバイオレンスバンドの1stアルバム。
2015年にY Recordsからリリースされた。
バンドにとっと始めたのフルアルバムなんだが、結成は1997年という歴史を持つバンド。私は初めてこの音源で耳にする。
「暴力に運命付けられた世界」というタイトル。モノクロのジャケットには法王、医者、暴徒鎮圧隊、兵士たちという権力者とその先兵たちがゾンビ化している絵が描かれている。骸骨の手が人の瞼をアイスピックで貫いている、それらのアートワークからおぼろげながらこのバンドの方向性が見えてくるように感じる。つまりパンクである。パンクといっても広義の意味を持つ単語になってしまっているけど、ここでは反体制で厭世観やフラストレーションを、そのまま攻撃性に転嫁した様な音楽を演るバンド、という意味。

パワーバイオレンスというととにかくハードコアパンクの精神でもってグラインドコアを独自に噛み砕いた超速いショートカットチューンを矢継ぎ早に演奏していく、という印象があるのだが、恐らくハードコアパンクと同じで単に音楽性にとどまらずそのメッセージだったり、背景だったり精神的なものを表現した単語でもあるのだろう。
再生ボタンをおすと地鳴りの様なノイズに彩られたイントロでこのアルバムの幕が開ける。アルバムのタイトルにもなっているこのナンバーは7分もある。ドローンめいたノイズ二あふれたギター登場し2分も半ばになるとグルグル唸る様なうめき声が登場してくる。超鈍足スタイルのスラッジスタイル。ひたすら重く苦しいまさにドゥームな世界観だ。聞き手はここで居住まいをたださないといけない。5分すぎるとギターが美しくも不穏なアルペジオを奏で始める。デスメタルそこのけのボーカルは黙らない。ガリガリしたギターがカットインしてくる、あれ加速している?と気づくと曲はもう止まらなくなっている。
アルバムの1曲目というのはそのアルバムの印象を強烈に左右する力を持っている。とするとこのアルバムの1曲目の出来は素晴らしい。Su19bはこういうバンドだというのがすぐ分かる。
ボーカルは胃の腑の奥から吐き出す様なグロウル。ギターは重たい芯の音とその周りを囲むジリジリしたノイズがグラデーションを描いて一体となっている。ベースは割れる寸前まで低音を強調した音で、こちらもギターと同様輪郭が曖昧になる位模糊としている。ドラムに関しても黒く低くその音像が設定されているものの、ボコボコしたスネアの連打は悪夢の様な曲の中に秩序めいたリズムを作り出し、一種の清涼感を演出している。またスラッジパートのキンキンしたシンバルの反復は反響が空虚で滅茶カッコいい。
どうにもこのバンドというのは極端から極端へ突き抜けたバンドで半端が無い。ドタドタしたドラムを筆頭に疾走するパート、手ひどく叩きのめされた様なひたすらスラッジーなパート。面白いのは同じ曲の中でも両極端をかなり頻繁に行ったり来たりするのだ、演奏が速くてもボーカルはぐええええええと叫んでいるなと思ったらスラッジパート。放心した様なノイズがいつの間にか突っ走ってたりする。緊張感で窒息しそう。なんとなくガチ過ぎて軽い気持ちでは聴けない。個人的には9曲目「Negative Legacy」でその緊張感がマックス爆発寸前でもうやばい。いっそ爆発してくれーーと聴いている方が爆発しそうになる。これは楽しい。

ひさしぶりに真っ黒なアルバム。
容赦ねえ〜という音楽が好きな人は是非どうぞ!

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