2015年4月26日日曜日

Gore Tech/Futurphobia

イギリスはマンチェスター出身のテクノアーティストによる2ndアルバム。
2015年にAd Noiseamからリリースされた。
Gore Techは出身はマンチェスターだが現在はドイツのベルリンで活動しているようだ。本名George Flettはオフィシャルサイトによるとサイバーパンク小説(!)と、日本のアニメーション(Manga Videosと書いてある)がお気に入りのアーティストで、Googleで調べてみるとなんと「Tragedy」や「Sleep」のキャップを被っている。Anaal Nathrakhのタンクトップも着ている。やっている音楽は電子音で構成されているが、趣味趣向はクラストハードコアやドゥームメタルなど中々多岐に渡るようだ。
日本のMurder Channelから1stアルバムがリリースされているが、私は今作で初めてGore Techの音楽に触れた。Twitterで言及されていたので発売前から気になっていたのだ。そのままデジタルで購入。デジタルだと発売と同時に聴けるのが良いな。結論から言うとアナログフォーマット(LPはオレンジで格好いいんだよね)が欲しくなってしまうような素晴らしい出来だった。

レーベルを見ても分かる通りブレイクコアの流れを汲む激しめのテクノという事は間違いないのだが、昨今の潮流を取り込みつつ自分なりの解釈を加えたスタイルで例えばDead Faderにはかなり似通ったところがあると思う。要するに細かくビートを刻む伝統のブレイクコアスタイルというよりは、ぶっと歪んだビートを中心にその周囲を手数の多いドラムがガッチリ固め、ベースはブリブリでメロディはほぼ無い。その硬質なドラムビートはインダストリアルを思わせる金属質なもので、極度に歪んだベースはダブ(ステップ)からの影響をもろに感じさせる。展開はあるものの基本はミニマルであって、うわモノはフレーズというよりは音のコラージュの様な無骨なもの。「昇竜拳!」のサンプリングなんかも入っている。ビートに乗って矢継ぎ早に目まぐるしく配置されているネタはその加速度もあって硬質な中にも悪夢的な幻想感を付与している。さらにハーシュなノイズをふんだんに使った耳に優しくないスタイルでその過激な暴力性はたしかにメタルに通じるものがある。(実際に歪んだメタリックなギターリフを大胆に取り込んだ曲もある。)
非常に面白いのは上記の様な攻撃性、ハードさを持った音楽でありながら非常に”踊れる”音楽である事。ぶっといビートが冗談のように跳ね回る(これはやはりブレイクコアの影響じゃないだろうか。)、その重さとリズム感のバランスが素晴らしい。ガムガムしたビートは一撃一撃で金属の板で頭をぶっ叩かれるような勢いがある。ぐわんぐわんとした残響を意識した様な音使いも素晴らしい。
またそっち一辺倒ではなく重さの空隙を埋めるようなパスパスタシタシする細かいリズムがなんとも小気味よい。回り込む様なタム回し(ポロロっとした例の奴)やダブいボーカルのサンプリングなどは確かに伝統的なブレイクコアを感じさせる。「未来恐怖症」というタイトルだが十分にハイブリッド且つフューチャーな内容になっていると思う。ビートのかっこよさを追求したまさに極北の様な尖りまくった音楽。

というわけでこれ本当すごいカッコいいアルバムなんで激(劇)音好きな人は是非どうぞ。メタル好きの人でもガッチリハマると思うっす。オススメ。
とにかくこの曲のキラーチューンぶりが半端無い。イントロだけで白米何杯もいける。

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