2018年8月5日日曜日

カメラを止めるな!

2017年に制作され、2018年に公開された日本映画。
監督は上田慎一郎。調べてみると監督・俳優養成学校が作った映画らしい。公開当初は上映劇場は少なかったが、人気に火がついて大手の映画館でもかかるようになった。
新聞の映画表に載っていたのを読んで面白そうかな、くらいの気持ちで忘れていたが、気付いたら話題作になっていた。すでにチケットは取れなくなっていたので(この間「人間機械」を見に行った劇場(渋谷のユーロスペース)でやっていたのだが、いろんな人がこの映画のチケットを求めてはもうないです、と言われていた。)大手で掛かりだしてから見に行きました。
内容は非常に面白かったので、まだ見てない人は見て欲しい。映画が好きな人はもちろんだし、会社で働いている社会人の皆さんには大いに感じるものがあると思う。私に言えるのはそれだけである。

すでに見た人用に感想を書いた。見ていない人は読まない方が良い。大したことは書いてないが、この映画に関してはすでに広く言われているように、なるべくみる前には映画の情報を持っていない方が良い。




前述の通り、非常に面白かった。大いに笑ったし、それゆえに面白かったのだが、それだけじゃない。思うにやたら「泣ける」「笑える」映画が良いとされるがそれは単にわかりやすいというだけで、人の感動というのはもっと多様であると思う。
なんで面白かったのかというと、一つは前半の長回しの違和感がきちんと回収される後半が快感だった。もう一つ、個人的にはこちらの要素の方が心に残ったのだけど、これは私たちの映画だと思ったからだ。私はもちろん映画監督ではないし、映画・映像業界で働いてもいない。いまだにうろんで胡散臭いIT業界の隅っこで働いている、仕事のできない、よくいる類の人間である。映画の中で監督がいう「速くて、安くて、質はそこそこ」を自でいく世界で働いている。IT業界だけでないかもしれないが、成功者というのは結構神格化されがち。彼らのぼんやりとした指示が上から下に伝わり、そして私たちが呼ばれる。大抵ケツが決まっている中、寄せ集めのチームでやたらと高い目標に向かって行進していく。そもそも指示が曖昧であるし、中間管理職は横文字ばかり使うが実質仕事は下に丸投げ。一癖も二癖もあるエンジニア、デザイナーに文句を言われながらなんとか注文をつけて、成果物を作っていく。そうするとまあいろんな事が起きていく。仕様は変わる。上の指示が変わる。エンジニアは臍を曲げる。上司は頼りにならないが、ケツは叩いてくる。親会社の営業担当も吹いてくるわりにこちらに丸投げ。もちろん全部他人が悪いわけではなくて、自分だってデザイナーには「良い感じによろしく」といったような適当な指示しか出せず、ガントチャートのここのタスクの締め切りは遅れがち。嫌になるような毎日。この映画の生放送、ワンカット、というのはそのような仕事をデフォルメしたよくある地獄の極端な例である。そこにはやけグソ気味の、常に今しかないというあの感じがある。とりあえず今なんとかしよう、やり過ごそうという、あの状況である。口だけ達者で仕事と責任は押し付ける若手プロデューサー、理屈っぽい若手俳優、「よろしくです」の一言でいい感じにあしらってくるアイドル俳優、動きは自体は悪くないし真面目なのに伝え方が下手くそな中堅俳優、どいつもこいつも「いるいる」「あるある」のオンパレードだ。そこには中年男性の悲哀がある。時間があれば、金があれば、確かにもっと良いものができるのかもしれない。でも俺たちに求められているのはそうじゃない。上は「常に最高なものを!」という。「不可能な状況を可能にしてこそ仕事!」うるせーうるせー。俺たちはいつもづくない手札でやりくりするしかない。温厚で人が良い監督が、プロデューサにたまりかねていう一言、最高だったよね。そしてすぐに撤回してしまう情けなさ、すごいわかったよね。ありふれた、慌ただしい、辛いけどまだ死ぬほどではない、そんな現場でなんとかできた歪な仕事。ところどころ凹んでいかにも不恰好だけど、妙に愛おしい。そこにすごい感動したのだ。
私も何か人を感動させる仕事をしたいなあ!としみじみ思った。

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