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2019年5月12日日曜日

Mateus Asato -LIVE in JAPAN 2019-@下北沢Garden

twitter好きなのは色んな人のおすすめ(音楽、食べ物、絵画、映画、漫画…)を知ることができるからだ。
音楽は自分で掘るのが一番、でも私は人のおすすめを聞くのが好きだ。何故かと言うと興味が広がるからだ。自分の感覚ではスルーしてしまう音楽も、特に興味のある人(友人、知り合い、好きなバンドマン)が勧めているものはその人達なりのフィルータを通して新しい可能性になる。

私の会社の上司は大概頭がおかしいのだが、自身演奏することもあって音楽が好きである。そんな上司がおすすめするのがこのMateus Asatoだった。若干25歳のギタリスト、活動の場はtwitterやyoutubeなど。確実に新しい世代のミュージシャンなのだろう。面白いのは音源がほぼ皆無(コンピレーションに1曲のみ提供したものが流通しているのみ)なのにギターメイカーから彼のシグネイチャーモデルが発売されていること。

私は中学生の頃Sex Machinegunsにハマっていた。初めて買った洋楽のCDはBuckcherryではなくて確かJohn Sykesだったと思う。とはいえほぼほぼテクニカル系の音楽は聞かないできた。一回Nunoの来日を見に行ったことがあるけど、高音がきつい上にこれでもかというくらい弾きまくる(大抵のファンは喜ぶんだろうが、私は「Crave」などどちらかというとNunoのソングライティングの方に惹かれていたのです。)ので途中でちょっとうーむとなってしまった。

たしかに普段聞き慣れないジャンルではある、しかしメタルコアとクラシック音楽、そして日本のフォーク(長渕剛、吉田拓郎など)をこよなく愛する上司が押すくらいなら間違いないだろうということでライブへ。(平日にライブのために会社を抜け出すのは困難を極めるが、上司が一緒だととても安心だということを皆さんはご存知だろうか。)

下北沢のライブハウスには何回か行ったことがあるが、Gardenは初めて。
きれいで私がいつも行くようなライブハウスに比べると大きめ。
客はかなりはいっていて、男性がとても多め。見るからに学生、スーツ姿のサラリーマン、年配の方、バンドマンっぽい雰囲気の人、いろいろなカテゴリが参集していたがなんとなくみんなギターを弾きそう、という雰囲気が共通していて面白い。

やや押してライブがスタート。
以前の来日(上司は2回ともいったらしい)はマテウス本人のみだったが、今回はドラム、ベースとギターのマテウスの三人でバンド編成。(いずれもバカテク。)
この日のマテウスは終始リラックスした感じ。
どうなるもんだろう?という感じだったが始まってみるとこれがとても良かった!
まずは彼の表現力に驚かされる。とてもメロディアスでエモーショナルだ。こんな表現はどんな音楽にも当てはまるから意味がないが、まずこう描いておく。
通常の曲というのはテーマ(サビ)があってそれの前にいくつかの提携のメロディが配置されている。これはポップスもそうだが、メタルだろうがハードコアでもほぼ同じやり方が踏襲されている。ところがマテウスはそうではない。もちろんテーマはあるのだろうが、もっともっと自由に弾く。

(明確に継ぎ目がわからないのでなんとも言えないが)おそらく1曲はかなり長いと思う。例えば5個以下のリフとメインとなるメロディを作ってそれを回していく、というのではない。全部が連続していて、そして同じようなフレーズはあまり出てこない。
相当プログレッシブかというとそんな気がしない。相当テクニカルではある。しかし大仰な感じはまったくない。フレーズ自体が複雑でもリズムがシンプルでこまめに変えていかないからだと思う。

ギターの音色は弱めの歪み、リバーブなどの空間系をほんのちょっとかけるのみでごまかしの聞かないロウ(粗いではなく生々しい)なやつ。
音の粒がとにかくきれいで、雑味が入らない、音量が揃っているというよりは完全にアタックの強弱でコントロールされている、音はのっぺりしていなく、スライドやチョーキングで意図的に揺らされている。粘り気があり、ゆらぎがある。例えるならこうだ。ある晴れた日にお天気雨が降り、窓についた雨粒が流れるのを眺めているような。細かく、小気味の良い音が鈴なりになっている。

ピック弾きと指弾きを流れるように切り替え、単音、コード、カッティング、速弾き、スライド、チョーキング、ハーモニクスを駆使して曲を組み上げていく。(技術的な描写力のなさが歯がゆい。)どれにも固執することがなく、ただ必要だからそこにあるというテクニックだ。それでいて高等技術の博覧会的な要素はまったくない。全ては良い曲のため。

ボーカルが担当していたメロディラインをギターが担当する、または轟音ギターで重々しくもシンプルなメロディを補填するといったポストロック感はなし。
曲によってはかなりロックであり、ロック・ミュージックのギター解釈。それが結果的に典型的なロックの枠を出ている、といった趣。
音はきれいだがBGMとして耳から耳に素通りしていく小奇麗なそれではない。かなり実験的でそして挑戦的だ。

聴いてて思ったのは音楽は数学だ。
私も楽譜はみたことがあるが、オタマジャクシの種類に頓着したことがない。実際には4分音符、8分音符、休符と様々な種類があり、どんな音が鳴るかを示している。
一定の時間という概念、小節で切り取った時間を更に音符が分割していく。
マテウスはここが匠で、小節を自由自在に切り刻んでいく。たとえば小終わりの方でつじつまを合わせるみたいなのはない。音の数が増えたり減ったり、縦横無尽である。これによってメタルののっぺりした速弾きとは異なり、音にうねりが生まれてくる。
マシンみたいに正確ってなぜか芸術の分野ではむしろ侮蔑的に使われることがあるが、確実にそんなことはない。技巧が表現力を表現力が感動を生むのだ。

マテウスは常に良い顔でギターを弾く。よく白目をむいている。気持ち良いのかもしれない。終始楽しげで、そんな彼の人柄がよくよくにじみ出たライブだった。

ちなみに上司は痛く感動し、性的興奮すら覚えたと言っていた。やはりギターを弾く人間は頭がオカシイなと思った。

2019年4月30日火曜日

DEATHRO TOUR2019 THIRTY-ONE≠ZERO. 『STARDUST MELODY』 RELEASE BASH 1-MAN 2DAYS@下北沢Shlter

私はお昼のライブが結構好きだ。
なんとなく気軽な気持ちで行ける。
というわけでDEATHROのライブへ。
ついこの間まで「デスロー」と読んでしまう(正しくは「デスロ」)ようなにわかである。音源は一個も持ってない。
雨が降ったので自転車NG。
GW時間なのかバスが全然来なくてヤキモキしたが少し押したのでなんとかスタートには間に合った。

DEATHROはもともとAngel O.D.、Cosmic Neuroseというハードコアバンドで活動していたが、2016年にソロとしてキャリアを開始しているそうだ。
お客さんはかなり入っていて、私は前情報がないのでどんな音楽だろうかと思いドキドキしていた。
いよいよライブスタート。

ドラム、ベース、ギターのバックバンドはラフな格好だが、DEATHROさんはバッチリメイクに、上下革で決めてくる。
曲が始まると結構びっくりする。すごくポップだからだ。
早くもなく遅くもないビートで、キラキラしているがわかりやすい(コード感のある)バックに、クリーンのボーカルが乗る。
ハードコア、という感じは微塵もなくAメロ、Bメロ、サビ×2、ギターソロ、(Bメロ、)サビという曲展開。
とにかくメロディアス。
おお、これはポップだ。洗練されている。そして無駄がない。
決して洗練はされていない。しかし垢抜けないのではない、懐かしいのだ。

これは楽曲やPV、見た目など、今の流行とは違う、特定の年代の音楽を意識されているから。具体的には90年台のJ-ROCKということだ。
インタビューを読むと、氷室京介さんやBOØWYやヴィジュアル系バンドの名前が出てくる、なるほど。
個人的にはDEATHROはヴィジュアル系の影響はありつつも、マニアックかつ独特の耽美さというよりは、もっと骨太なロックぽさが強め。
歌が強いんだけど、演奏はただなっているだけで耳に残らない歌謡曲ではない。
面白いなと思ったのはギターで、イントロやギターソロの入りにその曲のサビのラインをほぼそのまま、やや崩して入れている。個人的にはこのやり方が「あ、あの頃!」ってなった。音自体もクリーンに空間系を噛ませてブーストさせて太い、あの感じ。
今やると言葉は悪いんだけどちょっとダサくなってしまう。これはそのものがダサいんじゃなくて今の流行と断絶があるからに過ぎない。
だから変に手法だけ取ればダサいんだけど、DEATHROは全体的に90年台を志向しているから全体的にはすごくしっくりしている。部分的にとってきてリバイバルですよというのじゃない、根本から持ってきて(リスペクトがあるからできることだと思う。)今2019年に新しい音楽を作っている。
ギターのリフはキラキラしていて、反面裏のベースがかなりしっかりしていてリフが格好いい。
ちなみに終演後に気がついたのだが、耳に痛くはまったくないけど結構音は大きかった。

DEATHROはとにかく客を煽っていく。
盛り上げ方がうまくて無理やり乗せるんでない。
「もっと行けるよね」と煽ってくる。決して大きいライブハウスでなくても、すごく大きい会場のようなスケールの大きい煽り方。
観客はDEATHROに引っ張り上げられてどんどんテンションが上っていくような感じだった。
初披露の曲も「シンガロングしてよな」といって笑いを誘うが、実際めちゃくちゃポップなので本当に初回で歌える。すごい。(新曲の「プラスティック(もしくはラスティック)エモーション」という曲はすごく良かった。)

アンコールは丸山さんという女性のピアニストを迎えてのピアノアレンジを挟んで、ラスト2曲で締め。
楽しかった。


情報量が多くてあれこれ考えちゃう。
まずDEATHROさんは時代性を持ったアイドルだなと思った。
時代性というのは大体わかってもらえると思う。90年台のJ-ROCKだ。
でもじゃあ具体的には?ボウイや氷室京介の名前を上げることはできるだろう。でもそれだけじゃないよね。
そう、こういうなにかによく似ている感じ。いざ具体的にその似ている大本を上げるのは実は結構難しい。
なぜかというと「あの頃」は具体的なバンド(やその他なんでもいい)を含めた全体的な雰囲気であることが多いからだ。結構抽象的なんだ。きっとひとりひとり別々の「あの頃」があるはずだ。
みんなの頭、胸のうちにある「あの時(代)」を見事に体現している。
つまりDEATHROは抽象性を汲み取って具体的にこの世界に顕れている。(一つの現象といえますね。)
みんなの思いを具体的にして顕現している、これは偶像、つまりアイドルだなと思ったわけ。

ところがDEATHRO演じているようで演じていない。
スケールの大きいMCも上から目線では全然ないし。
地元県央の日常を歌にしているとのことで、歌詞は地に足ついて現実的だ。(個人的に新曲のもう一つ、歌詞が結構儚かったような気がする。「全部風になって消える」的な。)
こういう部分は現実に立って主張するハードコア由来だろうか。

ライブの雰囲気がとても良い。というのもお客さんが楽しそう。顔見知りも多いのだろう、終演後はみんな口々にライブの感想を言い合ったりしている。
元ハードコアの人ということで、サーフする人もいたし、アンコール最後はフロア前方の密度は相当。でも危険な感じはないし、女性も多かった。
みんな笑顔だ。わかる、初見の私も楽しかったもの。

DEATHROさんが「新しい時代は差別とかがなくなるといい」と言っていてたしかにそうだと思う。
ただ4月30日が5月1日になった途端に世界が変わるわけじゃないから、自分たちが良くしていかないとな、と思いつつ帰宅。

2019年3月10日日曜日

Extreme The DOJO vol.32@渋谷Club Quattro

ライブの開演前または転換中って何をします?
顔なじみの友達と喋ったり、またはtwitterをみたり。
ぜんぜん違うね、できる男はslackをやる。
渋谷Quatroは地上5階にあるため電波が通じないは言い訳にならず、月初に無理言って会社を出た私に会社から鬼のような連絡が来、いつもなら期待と不安が入り混じった緊張感で開演を待つところ、数値が合わないという連絡が来て半端ない冷や汗に包まれていたのがこの日の私だった。(本当にデキる男はきちんと仕事を終わらせてライブに来ます。)
そんな私の動揺を打ち砕いたのが、

Melt Banana
日本のNapalm Deathともスプリットを出しているはず。
見るのは初めてだが2人編成担っているので驚いた。ベースとドラムは事前に用意したもの(おそらく打ち込みだろうか)を使う。Man VS Manの関係性から生まれるオーガニックな阿吽の呼吸、というのが使えないのでまじできっちりマシーンに合わせに行かないといけないわけだ。
Melt Bananaは大きな音楽的な特徴がいくつかあって、その中の一つが変な音を出す。もっというとギターが変な音を出す。
およそグラインドコア界隈ではギターの音はダウンチューニングやエフェクターなどを積極的に用いて低音に偏重した音を出すわけなのだが、このバンドは違う。例えばギターの音を逆に切って軽くする、というのとも違う。
多彩なエフェクターを用いてギターの音色自体を本来のものから大きく変えてしまうのだ。こういう使い方はないわけではないけど、ほとんど飛び道具的なものになる事が多いけど、Melt Bananaは違う。そのサウンドがバンドの核の一つになっている。
この日もチープな光線銃のような音、速度を変えたり、ループさせて重ねたりと、ギタリストのagataさんが八面六臂の大活躍。
かといって前衛ジャズのような実験性は皆無で、バンドサウンド時代はグラインドコアそのもの。
一つは打ち込みによって繰り出されるベースが非常に強固なこと。ドラムは結構打ち込み由来の音の遊びはあったと思うが、ベースがかなりガッチリ、はっきりした輪郭で明確な(ただし起伏、フックがある)リフを描いていた。
そこにさらにボーカリストの操るコントローラで制御されるノイズがフリー(キー)に乗っかってくる。また違う混沌がここにある。
Melt Bananaってkawaiiコアだと思うのだ。それはボーカリストのyakoさんの見目が麗しいからでは断じてない。彼女の歌い方はやはりエクストリーム音楽の(またはハードコア)の流儀とは違って重たく、汚くない。
激しくも遊び心のある演奏と相まって独特の世界観を作り出しているのだが、それがまさにおもちゃ箱をひっくり返したような混沌、ハードコアにあるはずのないワンダーランドでそれがkawaiiのだ。
日本のサブカルチャーってやたら(アニメ/コミック主体の)オタク性と直結されるけど、なにも目がでかい美少女だけじゃなくてこういうのもあるよなって思う。
出音一発で完全に持ってかれた。仕事のこととかもう遥か彼方。どうでも良くなった。これだからライブって好きだ。Melt Bananaも最高にかっこよかった。

Misery Index
初っ端からアクセル全開のイベントだが、一切踏みっぱなしを緩めることなく2つ目のバンド。
出だしの口上であっという間にフロアの耳目と脳をガッチリ掴んでくる様からフロントマンの二人はとにかく華がある。ベーシストはそのスクリームもさることながら見た目も端正。小汚いギター兼任ボーカルとは好対照。
とにかくドラムが圧巻で正確無比かつパワフル。人間慣れるものだからエクストリーム音楽って実はエクストリームじゃないところがすごく重要かと思うのだが、そんなものはFuck Off!とばかりに常にツーバスを踏む。
そこに刻み主体のリフを載せてくるさまはアメリカ製のすべてをなぎ倒して進む重戦車であり、高速でありながら土を噛み、障害を押しつぶしながら乗り越えるその走破性に完膚なきまでに蹂躙されるのは気持ちが良いことだ。
こりゃ完全にデスメタルだ…と思ってあんぐり口開けてみていたわけなんだけど、音に慣れてくるとこのバンドの持ち味が見えてくる。それは荒廃でまじで戦車の通った後はぺんぺん草すら生えねえ、ってくらい荒廃している。メタルはリフの音楽だとすると正統派やはりそこに凝ってくるわけで、それはそれは絢爛なリフが生まれてくる。これはデスメタルでもそうだと思う。漆黒で塗りつぶすにしてもその黒というのは実は非常に豊かな表現で構築されている。
Misery Indexはそんな華美さがあまりない。ひたすらゴリゴリすりつぶしに来る。Dying Fetusのようにブルータリティの中にヘヴィグルーヴを持ち込むバンドもいて、確かに似ているところはあるもののこちらはグルーヴよりスピードに振った感じはある。
つまりグラインドコアの要素があって、そのストイックさが背骨を貫いている。だから武骨。ギターソロも短い。ぶっきらぼう。
ところが端々に、本当に端々に叙情的なアプローチがあるかなきか、そんな残り香があってこれが良いアクセントになっている。
ベーシストの方はHis Hero is GoneのT-シャツを着ていて、流石にクラスト感はないが刻み一辺倒でないリフなどに確実のハードコアの要素はあると思う。冷酷な殺人マシーンとかした殺し屋がたまに人間味を取り戻すみたいな感じがあって面白い。

Eyehatergod
いよいよ。前回の来日から時間が立っていること、ボーカリストのMikeが体を壊していたことなどもあり、この日お目当てはEyehatergodの人が多かったんだろう。シャツを着ている人も割合で言えば全バンドで一番ではなかろうか。
会場を覆う緊張感はこの日随一でビリビリしたあの時あの時間、期待感でステージを見上げているのは本当贅沢な時間だ。
メンバーが登場し、弦楽隊の二人は背を向けた状態でアンプに密着し、フィードバックノイズを出して無言で観客を煽っていく。普通の人なら騒音だろうが、ここには変態しかいないのでどんどんボルテージが上がっていく。
ギタリストのJimmy Bowerがおもむろに前を向き、ギターからシールドを外して指先で弄ぶとまた違ったノイズが発生する。湧く観客。もう、もう勘弁してくれー速くしてくれーーってところで曲がスタート。
ドゥーム、スラッジ、危険なアートワーク、どんなやばい世界が展開されるのかとワクワクしていたら、想像していたのと違ってびっくりした。思ったより殺伐としていない。こんな言い方はあれだが、楽しい。ノリが明らかに違うんだ。今までの縦ノリと違って横乗りというか、もっと余裕を持って体全体がぐるぐる回され揺らされる。
ギターはその巨体に似つかわしくなくかなり繊細なタッチでプレイする印象。もっと豪腕かと思いきや指使いはソフト。それでよく聴いてみると音の数も決して多いわけではないし、複雑なことをしているわけではない。特に最新作に収録のアルバムはBlack Sabbathというよりもっとブルージィな側面がライブだと強調されるような気がした。
なんと行ってもドラムだろう。とにかく溜めがある。さすがに一拍遅れるというわけではないが、2打目以降に独特のディレイがあって(これは毎回このリズムで打っているからも立っているわけではない)、それが多分この独特なグルーヴを出しているのだろう。ジャズで言えばスウィングなのだろうが、そこはEyehategodなのでグルーヴィでありながら、陽気にダンス!という雰囲気ではなくむしろ終始怠い感じで進行していく。
ベースはかっちりまとまっていてリフも明快。これは結構ハードコア的だろうと思う。スラッジというと遅いハードコアというイメージ。このバンドは結構それぞれのプレイヤーが微妙に異なる畑の流儀で演奏し、アンサンブルが組み上がると彼らの独自性溢れる音楽になっているような気がする。
音の数の少なさ、そして個々の音の伸びがグルーヴと合わさり、強烈な(低)音圧で体がブワッと浮かされるのだが浮遊感はまったくなく、時に重苦しいのはやはりボーカル、そして全編を覆う野卑でやかましく不穏なフィードバックノイズのせいだろう。
一時は危ぶまれたMike Williamsは小柄ながら存在感ありすぎる。この社会にフィットしないアウトローの風格が、斜に構えたような動きに出ていて最高に格好良い。喋り方も節々にダルさを隠そうともせず「Thank you kids」(「ありがとガキども」)といったり、頭をかきむしるようなアクション。適当にスタンドにマイクのケーブルを巻き付ける動作。指一本で鼻をかんだりと。とにかく堂々としている。とにかく格好いい!そして怖い。
しゃがれ声が喚くボーカルでいくら演奏が楽しくても基本的にはEyehategodは下に向かっている態度のバンドだとわかるだろう。
あっという間に終わってしまった。本当賞味の話あと倍やってもらっても全然大歓迎だった。

Napalm Death
最後はいよいよNapalm Death。気持ち的に目当てはEyehategodだったし、予想を遥かに上回るステージを目の当たりにして、失礼な話もう今日のもとはとったな〜くらいの気持ちだったのだが、これがとんでもなかった。
全身全霊のグラインドコアだ。掛け値なしのハードコア・パンクだった。ライブを見ているとたまに本当に鳥肌立って持っていかれることがあるけど、この日のNapalm Deathがそれだった。
まずドラムが凄まじいのは当たり前。でもMisery Indexとは少し違う。とにかくプレイが多彩すぎる。それをこともなげに短い1曲の中でコロコロ変えていく。音はこちらのほうが生っぽく個人的にはこれくらいが好み。とにかく気持ちが良い。
そしてギター。(MItch Harrisはツアーには帯同しないのでJohn Cookeが担当)グラインドコアって速度が命のジャンルでもあるから、リフがある程度似通っていたり、突進力のみが重視されても個人的には大丈夫。ただNapalm Deathはリフが恐ろしくキャッチーだ。短い曲の中でワンフレーズ聴いたらそれが耳に残って、知らない曲でも全然乗れる。別に複雑というわけでも、リフそれ自体がメロディアスでもないのだが、とにかく格好良くて耳に残る。これがドラムのフレーズの上にかっちり乗っかっている。
そして私が一番魅了されたのがボーカル。全力。とにかく全力。短パンに身を包んだBarneyはステージを動き回るような独特の動きをするんだけど、私にはそれが真鍮に何かをチャージしているようにも見えた。そうした高まったテンションとエネルギーを叫びとして放出するのだ。速い楽曲で叫び続ければ多少は声が追いつかないのだが、Barneyはそれがほとんど乱れない。すげえ。そして全力で叫ぶ。
速いってごまかしが効かないから地が出ると思う。Napalm Deathは楽曲は激烈なんだけどとにかく真面目でストイック。
私は正直バンドが曲名をコールするのってちょっと照れくさいなと思っていたのだが、Barneyがやるとめちゃくちゃ格好いい。Barneyはプレイする前にそれがどういう曲で何を歌っているのかを説明してくれる。私は英語がわからないのを恥じたね。でも少しは分かるところがあった。中でも印象的なのは今日のT-シャツの売上は日本の恵まれない子供に寄付するよ、ということだった。ハードコアがDIYで有言実行なら、Napalm Deathこそハードコア・パンクバンドだろと思ったわけです。(終演後に物販でビールを売り、これはホームレスの方がへのチャリティだということだった。)
弛緩しているのではなく、笑いがあるステージで見ているこちらも笑顔になった。
Napalm Deathは今もグラインドコアというジャンルの限界に挑戦し続けているのだなと
言うまでもなくグラインドコアというジャンルのオリジネイターであり、地上波のテレビに出演したり、度々来日もしているがまさか目のあたりにするとこんなにすごいとは。
Eyehategodももちろん凄まじかったし魅了されたけど、心底感動したのはNapalm Deathだった。


ライブ行くようになったのが最近なものでExtreme The Dojoは結構憧れのイベントなんだけど復活して、行けてよかった。何がすごいってメンツもすごいんだけどどのバンドもうるさいバンドッテ共通点はあっても、微妙にジャンルは異なっていてこの組み合わせだと思う。
EyehategodのT-シャツは終演後はもう全部なかった。フラッグと迷ったけどNapalm Deathの方を買って帰った。

2018年12月16日日曜日

BLOODAXE TOUR -JESUS PIECE JAPAN 2018-

年の瀬にJesus Pieceが来るという。なんせデモとプロモ音源しかリリースしていない状態で非常に話題になったバンドだ。満を持しての1stフル「Only Self」もまさにブルータルで良かった。または種々様々なハードコアバンドのライブ動画を発信しているHate5sixも帯同するという。ミーハーなもんでこれは!とばかりに向かったのは渋谷Garret。結構新しいライブハウスなんじゃなかろうか。かなりきれいで音も良い。最近のライブハウスはステージが横に広いような気がする。これだと単純に劇的になって良いよね。
先週の激務でまさかの昼寝で寝坊してしまい、一番手Blindsideに間に合わず…。

Coffins
東京オールドスクールデスメタルバンド。
MCでも言っていたが今回のラインナップでは異質なバンドで、流れでみるとやはり異彩を放っていた。モダンなハードコアがミュートでザクザク刻んでいくとすると、デスメタルは余韻を引きずるスタイル。重たい一撃がグワングワンする残響を残していく。これが速いバンドならまた話は違うだろうが、Coffinsは相当にDoomなので割合的に一音一音の比重(インパクト)がでかい。デスメタルのリフに極悪ハードコアを見出す動きもあり、結果ハードコアバンドとは別のアプローチでフロアにアクセスするイメージ。
個人的には来年から録音に入るという新曲群がとにかく良かった。キャッチーというと語弊があるかもしれないが、元々Coffinsはドゥームな割には曲の中で変化があるバンドだったと思う。ゆったり(もったり)その姿を変えていく、というスタイルが新曲ではかなり激烈になっていてその強引な感じがまた格好いいのだ。テンポチェンジも露骨でテンション上がってしまう感じ。
「Raw Stench Death Metal」と刻まれたパーカが新作で物販に並んでいてライブ良かったのでこれは!と思っていたのだが、終演後には売り切れていた。みんな考えることは同じみたい。

NUMB
続いては1995年から活動しているNUMB。とても有名だしいろんな場所でライブをやっているが見るのは初めて。
この日どのバンドも素晴らしかったが、一番衝撃を受けたのはNUMBだったと思う。色々なバンドが自分たちをライブバンドと称する。特にこのジャンルではライブがすべて、と言い切るバンドもいたと思う。たしかに音源で聞くのとライブで体感するのはぜんぜん違う。(そもそも使っている感覚が5倍(味覚はなかなか使わないが)になるからライブのほうがすごいのは仕方がない。)でもNUMBみてライブバンドってこういうバンドかと思った。まずは圧倒的なショウ感。これは演劇的という意味ではなくて、全部がつながっているということ。曲の合間にチューニングがてらMCというのではない。曲名をコールするMCが全部計算されていて流れるように曲に移行する。劇的にスムーズでこちらはライブ中にスマホ見ている暇なんてないんだよね。(そもそもライブ中に見ないと思うけど。)途切れないライブで集中させる。でも威圧的な感じが全く、本当にまったくなくてむしろ笑顔が多い。これは衝撃的だった。
曲はモダンにアップデートされているけど、随所にオールドスクールを感じさせるもの。音の作りも数もいい感じに引かれている感じ。ラフ、というのとはちがう。おそらくライブの運びもそうだけど、相当考え研究しているのだろうなと思った。重鎮というのは老獪で力が抜けているなんてとんでもない。むしろ知見をたゆまずアップデートすることなんだなあと感動したけど、ライブ中は何も考えずにただただ楽しかった。

Loyal to the Grave
続いても大変有名なバンド。(1998年結成。Bolodaxeの仕掛け人でもあります。)やはり見たことがなくて楽しみだった。
音楽的にはNUMBと共通項がかなりあるけど、よくよく聴いてみると違いがわかって面白い。まず音の数が多い。また音も重たい。ようするもっとヘヴィだ。こちらもルーツは様々だと思うけど、出音としては明確にニュースクールといった趣。それも硬派なやつ。メロディ性は皆無でほぼほぼグルーヴで引っ張っていくタイプ。ただモッシュに特化したモダンなブルータルさとはまた違う。落とす、というからには高さ(つまり速さ)が必要なわけで、ニュースクールは技術でもってそれらを演出する。ミリタントもそうだけど、ただ単に落とすためのその他ではなくて、落とし所以外も格好いいという。言うのは簡単だけれどそれを実行するのは難しい。それを難なくやってのけるのがこのバンド。とはいえミリタントほど装飾性がない。ドラムの音の抜き方に何かしら格好良さの秘密がありそうな…。
とにかくボーカルの方のMCが良かった。ハードコアはとにかくタフだけど殺伐としているかというと、少なくともライブの雰囲気は違うと思う。暴れるにしてもポジティブなモチベーションがあってそれを体現しているかのような語りがとにかく良かった。

PALM
このラインナップで見るとCoffinsほどではないが結構浮いているなと思ったのがこのPALM。マイクの取り合い合戦も確か始めてみたのがこのバンドだったので恐ろしいハードコアだぜ…と思っていたし、実際そうなのだが、いわゆるUSスタイルのハードコアとは結構趣が異なる。わかりやすいのはドラムで結構バチバチ存在感のあるブラストを入れてくる。突進力は確かに、だからといってトータルでグラインドコアかというとそうではない。ギターに関してもミュートで刻んでくるというよりはデスメタルっぽいトレモロを噛ましてきたり、短いソロを弾いたりもする。ただ音の肉抜きがされていて重苦しいメタルには聞こえない。いわば絶妙なバランス感覚でハードコアの綱渡りをしているようなイメージで、これがまたフロアを沸かせる。いい意味でのごった煮感は今はあまり聞かなくなった「カオティック」を彷彿とさせる。
何回か見たライブではユーモアに富んだMCが印象的だったがこの日は少なめ。ベーシストの外国の方がビザの関係で不在、というくらいの簡潔さ。あとはもうほぼほぼ演奏に振り切っていた。ボーカリストはマイクで体を叩くのだがその「ッゴ」という音がよく考えるとなんとも猟奇的。演奏もあって何するかわからんぞって雰囲気でもやっぱりこの日明らかに尖っていた。

Jesus Piece
いよいよ最後はモダン・ブルータル・ハードコアの雄、合衆国はフィラデルフィア州からやってきた5人組。
出音一発で思った「遅え〜」。地獄は速いのかと聞かれたら遅いんじゃなかろうかと思うのだが、この日はまさに地獄。浮かれているフロアに鉄槌を下すがごとおく容赦がない。フロアに居るみなさんも一発でこれは尋常じゃないな、と思ったのではないでしょうか。ギターがベースかってくらい音が重たい。そして遅い。叩きつけるというかもう押さえつけるくらい。これが良い。豪腕でズンとくるから、押さえつけられた反動でこっちは跳ねるじゃん?というわけで結果的にフロアも更に湧くのだ。わけがわからないがこんな感じ。(まともな人間はハードコアなんて聞かないそうだ。)
これ前編モッシュパートじゃんというくらいのえげつなさだが、耳と体がなれてくるとしかしよく練られた曲に込められた技工がわかってくる。2本いるギターで役割分担があって、片方はもうズンズン刻んでくるのだが、間を縫ってもう一本がかなりですメタリックなリフを奏でたりしている。踊らせるにしてもテンポチェンジはもちろん、結構拍子も変えてきて、3拍子は思った以上にハードコアに合うな!なんて地獄のようなフロアで思ったりもした。ボーカリストもデスメタルバンド顔負けの低音咆哮を見せる。長身でシャツを脱いだ体はとにかくしなやか。音の方もそうで、ハードだけど有機的なしなやかさがある。意外にライブで見るとガッチガチに固めたハードコア、という印象でもなかった。
フルアルバム「Only Self」はもちろん素晴らしいのだけど個人的に一番好きなのはデモの「Lost Control」。まさかと思っていたけど果たしてやってくれてテンション上がった!!横から上から人がどんどん飛んでくるのでじっくりなんて見れたもんではないのだが、これがまさに触覚を使ったライブなのだ。

この日は一番手からフロアが沸きに沸き、それこそ一番手からけが人が出たりもした。hate5sixに日本のハードコアを見せてやろうという気概があってか、演者もそうだしそれに答えるようにオーディエンスも非常に高いテンションで盛り上がっていたと思う。
Jesus Pieceのメンバーは根っからの音楽好きなのだろう。どのバンドでもほぼ最前に陣取り、誰よりもモッシュしていた。特にフロントマンのアーロンはCoffinsのときにすごく楽しそうだった。(Jesus Pieceもはじめはデスメタルやりたいねって集まったらしい。)
良いライブってどんなライブかというとフロアに居る人が笑顔のライブだと思うし、そういう意味では非常に素晴らしいライブでした。
Jesus Pieceはこれからツアーが本番なので迷っている人はこの機会に是非どうぞ。


それとこれは日記なんだけど、やはり私は耳栓が合わないみたい。現在のライブハウスでは耳栓の着用が推奨されている。安いやつを買ってみて好きじゃなかったので、ライブ用のちょっと良いやつを買ってつけてみた。音はちゃんと聞こえる(どの楽器ももバランスよく音を減らしてくれる)のだけど、どうしても迫力が足りない。早々にテンション上がって外してしまった。ある程度つけてれば慣れるんだろうかね〜。

2018年9月30日日曜日

TJxLA FEST 2018 Day2@Zirco Tokyo

日本のレーベルTokyo Jupiter RecordsとLongLgesLongArms Recordsが共同で主催するその名もTJxLA FESTが2回目の開催ということで行ってきた。めあてはスペインのネオクラストバンドKhmerで、音源もさることながら前回見た来日公演でけっこうな衝撃を受けたのでこれはもう一度見ないと、と思ったのだ。2日間の開催で迷ったのだが、私は2日目にいくことした。
会場のZirco Tokyoは初めて行くライブハウス。多分まだできて間もないのではないかな、きれいでした。歌舞伎町のど真ん中くらいにある地下二階。分煙で喫煙所が別れているのが嬉しい。エントランス、フロア、バーカウンターの順につながっている結構広いライブハウスでフロアは決して広いわけではないけど、横に長くて何より特徴的なのはステージが広い!経営者としてはチケット代を稼ぐために客を入れたいわけだから必然的にフロアが広くなるのはわかるんだけど、ここは結構ステージに場所を使っている面白い。結果いろいろな演者が立ててライブハウスのラインナップも豊かになるってわけだ(と思う)。面白いなあ。音も相当に良かったと思う。自動で動くカーテンがステージに付いていて、転換のときはこれを閉じるシステム。

Pale
一番手は日本は東京のブラッケンド・ハードコアのPale。一発目の出音が素晴らしくて圧倒されたしこのイベント間違いないなと確信した。そのくらいの迫力がある。
ギター1本に専任ボーカルの4人組。ギタリストは日本では珍しい?長髪にヒゲぼーぼーの浮世離れスタイル。(ちゃんと清潔な感じ。)
速度の早いハードコアにこれでもかというくらいトレモロをかぶせるTheブラッケンド・スタイル。一時期一部の界隈では隆盛を極めたが、それ故今ではここまでストレートに鳴らしてくるバンドは珍しいかもしれない。何が良いって音が良いのである。一連のブラッケンド・ブームの火付け役であるAlcestはその後の正しくシューゲイザーの美麗な音作りに接近していったが(最新作ではまた違う報告に舵をとっているらしい)、個人的にはそうじゃないという気持ちもあって。というのももはやそうしたらブラック(メタル)じゃないじゃん。私が聞きたいのとはちょっと違う。ところがこのPaleに関してはそんな美麗さとは全く違うベクトルのトレモロを鳴らしているわけだ。それでは小汚いプリミティブかと言われるとそれともちょっと違う。まるでMortiferaの1st(AlcestのNeigeが在籍していた頃)のようなガリガリとした音なのだ。このザキザキささくれだった音がたまらない。有刺鉄線でできているようでこれが高速で回転するとこちらの気持ちがザリザリ削られていくようでたまらなく快感である。このマゾヒスティックな快感は確かにブラック・メタルの耽美差につながる。ハードコアデコレをやるというのは更に倒錯していて良い。そう考えるとボーカリストの動きもなんとなくDeafheavenのボーカルに通じるものがあるように思えてくる。ラスト近くにやった曲は高速で刻んでいくスタイル(シューゲイザーmeetsスラッシュメタルな感じ)はどことなく往年の(今はちょっとスタイルが違うので)Coaltar
of the Deepersを彷彿とさせた。とても良かった!理想の1番手だったと思う。


Klonns
続いては東京のハードコアバンドKlonns。主催の3LAからリリースされたコンピレーション「ろくろ」収録のインタビューでは明確にブラッケン度とのつながりを否定していた。実際聞くと確かに違うんだよな、ということがわかる(ただしノイジーなトレモロなど似ている要素が少しあるのも否定出来ないと思う。)んだけど、この日見てさらに完全にハードコアバンドだなと再確認した。
曲やパートによってほぼハーシュノイズとかしているギターに印象を持っていかれがちだけど、ベースがD-beatか2ビートが基本のローファイなハードコアなんだ。ローファイっていうとあれだがオールドスクールと言っても良い。ボーカルがリバーブかけているのも前衛的に誤解しがちだけど、歌唱法を聞いてほしい。ほぼメロディがなくて単発でシャウトをうるさい演奏にかぶせるスタイルだ。(ただしライブ後半は結構ボーカルの頻度が多くなっていたような気がする。)叫びであって歌じゃない。これがなにかというとD系のクラスト・コアかなと。たまに挟まれる短くつんざくようなギターソロも個人的にはそちら方面の影響色濃いような気がした。もちろん当時のそれからはかなり表現方法を独自にアップデートしているわけだけど、抑えるべきところはきっちり抑えている。もちろんなにかがあってその本質をどこと捉えるのか、というのは人によって異なるわけだから個人の印象になってしまうのだが。
抑えめの楽器隊とよく動くボーカリストの対比も良い。以前スタジオライブのときはステージとフロアの境がなくて怖かった。この日もそんな緊張感があってよかった。


老人の仕事
続いては東京をベースに活動するトリオ編成のストーナー/ドゥームロックバンドの老人の仕事。音源は持っているのだがぜひともライブを見たかった。この間のkillieのライブが恐ろしく良かったからだ。
ドラム、ベース、ギターのトリオ編成。全員狙撃手が原っぱに隠れる際の迷彩であるギリースーツらしきものに身を包んでいる。はじめ老人というバンド名なのでボロを着ているのかと思ったら、もっと森の精的な意味合いがありそうだ。オーガニックな感じだ。つまり葉っぱだ。葉っぱの妖精なんだ。(深い意味はない。)照明は当然緑一色で、メンバー三人が三角を結んで向かい合っているのは神秘性を演出するというよりはフリーな楽曲で合わせるところを合わせるためだと思った。
ステージに持ち込んだ小さい鐘の音がなって演奏が始まると、ブリブリ分厚いが温かみのある埃っぽいヴィンテージ・サウンドが桃源郷に導く長尺ストーナー絵巻だ。同じ煙たさで行ってもどんよりとこもった邪悪なドゥームというよりは煙に巻かれて高みに立ち上る無双の中を明晰が打つような密教的な音楽。反復的だがそこにのみ固執するというよりは、確たるテーマを反復しつつ、それを足がかりに自由に広がっていくような奥行きのあるサウンドで、何かというとこれはSleepだ。もうもうたる音楽に巻かれているとal
cisnerosのけだるいボーカルが聞こえてきそう。サイケデリックなのだが、酩酊的なのはそうだが、たとえばEarthlessのように弾きまくるというよりは音程よくのばし、そしてアンサンブルで合わせるところは合わせる。これが例えばめちゃでかい音とかじゃない。あくまでもアンサンブルでかっちり頭を合わせていくというオーガニックなもので、この強弱のバランスが酩酊状態をいい感じに持続させてくれる。まさに夢見心地。気持ち良い。グリーンなんだ。緑なのだ。人間にはこれが必要なのだ。リラックスしろ。ぼんや~りしているとメンバーがカーテンを締めて終了!もっと見たい。少なくとも倍の時間でも良い!もはや中毒。またライブに行きます。


thisquietarmy
続いてはカナダの一人ユニット。持っているのはギター1本なんだが、足元ののスイッチ類の量がえげつない。足元のペダル、スイッチをじっと見るからシューゲイザーなのだが、このユニットの彼はもはや見るだけじゃなくてあっちを押したり、つまんで回したりと、むしろこっちがメインのようだった。大量のエフェクターでギターの音を加工し、それを多重録音でどんどん重ねていく。使っているのはルーパーだろうか?あくまでも短い録音タイムを反復させて重ねていく。手法的にはシーケンサーを使ってつくるテクノっぽいのではなかろうか。(私はカオシレーターしか持っていないからあっているかわからないけど。)
ただ音の方はテクノとは程遠い、分厚くまた輪郭のはっきりしないものだ。(おそらく)歪ませた上で空間系のエフェクターを何重にもかけているようで、出ている音はヘヴィ・アンビエント(こんな矛盾した言葉もないな)やヘヴィ・ドローンといった趣でもったりと重たく厚みがある。どれも滲んだように音の輪郭が合間でそれらが半ば融解して一つになり、巨大な音像を生み出している。トレモロが儚いメロディを奏でているのが音の隙間に垣間見えるような気がするが、それも木のせいなのかもしれない。ただ不安定に振動するノイズの間に聞こえた空耳だったのかもしれない。面白いのは曲によってはマシーンドラムによるビートが入ること。これも重たく遅く、見るからに機械製といった趣でそういった意味では同郷のヘヴィ・ドローンユニットNadjaに通じるとことがあると思う。ただ向こうは多重録音をここまで駆使するわけではないので、音の数という点では差異がある。
プロジェクターを使ってモノクロの景色を映し出す中でこの轟音を聞いていると、深海で巨大な生き物がゆっくりと反転しながら泳いでいくさまを見ているようでもあった。


of decay and sublime
日本は大阪のVampilliaのギタリストの方の別のバンド。こちらは洒脱なポストロックという感じのイメージ。物販を見ると音源の装丁やTシャツのデザインなどが非常に洗練されていて世界観をきちんと構築していることがわかる。大体白を基調に統一されていたようだ。
ブラックメタルからの強い影響はありつつも、それらを用いて最終的にはポストロックの形でアウトプットしているなと言う印象。ギタリストが三人いるのが特徴で、きちんと役割分担されている。一人はアルペジオ担当、もうひとりは和音担当(ただこの人はもっと細かい技を駆使していたように思う。)、そして最後の一人がトレモロ担当。最後のトレモロがこのバンドの肝であるメロディを担当している。これでもかというくらいトレモロを弾きまくる。一番手Paleはプリミティブなブラックメタルの病的さを受け継いでいたけど、こちらは技法はそのままにすでに聖別されて浄化済みでむしろ神々しさすら感じるレベル。スライドから滑るようにメロディを奏でるトレモロの美しいこと。楽曲に緩急があって一辺倒でくどくなりがちなマンネリからしっかり脱却していた印象。イヤモニをおそらくつけていたのは、とにかく正確さを至上としているアティチュードの表れだったのかなと。音楽的にはオランダの一人ブラック/シューゲイザーのHypomanieに似ているところがあると思う。あえてトレモロの存在感を絞ることで儚さを演出する辺りに共通点があるかなと。こちらのほうがもっと外へ外へ広がっていくという音像で明るく、そしてポストロックの成分が強めだけど。あとドラムがかなり強靭だった。三拍子の曲が多かったかな?(自信ない)

sans visage
続いては日本は東京のエモ/エモバイオレンスバンド。
見るのも聞くのも初めての3人組。いわゆる激情スタイルのハードコアなのだろうが、完全に西欧スタイルで新鮮。おおよそエモからスタートした音楽は日本でけっこう独自の進化を遂げているのではと思うのだが、このバンドに関しては割と正統派なエモ/エモバイオレンスをやっているのでは?という気がした。日本のバンドが次々と暗黒方面に落ち込んで行き、見た目や音楽にもその方面の差異が現れてそれは島国ジャパンの良い意味でガラパゴスという感じで大好きなのだが、こういう素直で正統派な表現方法もやはり良い。メンバーはたぶんかなり、とても若そうだが、そのてらいのない真っ直ぐさとエモという音楽/文化ががっちりタッグを組んでフックのないストレートな音楽が波になって私を襲う=泣きである。これはくる。ただ別に冷房の効いた部屋でおっさんが甲子園を見ている気持ちとは違う。年齢不問の主張がバシバシくるのだ。別に彼らが老人だって良いんだ。単純に良い音楽なんだ。大人が偉そうに青くて素晴らしい音楽だなんていう上から目線で言うヤツじゃないんだ。
正当といってもオリジナリティはあって、例えばメンバーが終演後City of Caterpillarのシャツを着ていたが確かに生音を残した生々しいイメージ(像)という音的には非常に通ったところがあるものの、あの反復的に繰り返していく病的な、生で見ていると思わず固唾を飲んでしまうような緊張感はなく、その代わりエモバイオレンスのバイオレンス、つまりもう感情が爆発してしまうあのパートが全編続いているような、そんな感じなのだ。曲はおそらく短く、矢継ぎ早(途中で弦が切れて中座するところはあったけど)に曲を演奏していく。速い、重たくはないがそれゆえ生々しい。


Khmer
続いてはスペインはマドリードのネオクラストバンドKhmer。
2年前の来日ライブは衝撃的だった。非常にポジティブだったからだ。観客の多くが笑顔で楽しそうだった。概ねライブで人は楽しそうだけど、こうもポジティブな雰囲気だったのは後にも先にもKhmerだけだ。もちろんフロントマンMarioの立ち居振る舞いの影響が多いのだろうが、それだけではないはずだ。機会があればもう一度ライブが見たかった。というわけで本日のお目当てである。今日はあの謎を説いてやろうという気がまえでなるべく前の方に。
前回ベーシストはオライアさんだったが今回は欠場で、かわりに坊主にヒゲのいかついメンバーがベースを担当。この人はもとIctus。でギタリストとドラマーも元Ictus。なので今回ボーカリストのMario以外は全員Ictusのメンバーということになる。Ictusといえばスペインから全世界にネオクラストを発信した伝説的なバンドだ。今回そういった意味でも貴重なライブになった。見終わってみるといい意味で前回のライブの印象が裏切られる形になった。まず音が出た瞬間に思ったのはKhmerってこんなにヘヴィなバンドだっけ?ということ。メンバーが全員Ictusというのもあったかもしれないが、そういえば目下の新作「Larga Sombra」でも典型的なブラッケンドから身軽に脱却して新しい世界観を提示していたのだった。あの新曲群をライブで見るとこうも強靭なのか。速さを維持しつつリフは結構めまぐるしい。例えばビートダウン的な要素は皆無で、由来はあくまでもクラスト。濃密でありながらかなり無愛想かつ贅沢(リフレインや過剰な装飾性には目を向けない)に突っ走っていく。メロディアスなトレモロはキャッチーでエモーショナルだが、それゆえコマーシャル的で画一的でもある。とっとと次の挑戦をする姿勢はパンクだと思った。
Marioは相変わらず長身を生かした(多分ステージ上では実際より大きく見えていたんじゃなかろうか。)しなやかなステージングとそしてあの笑顔!見ているこちらまで楽しくなってくる。ただ今回近くで見てわかったがMarioだった常に笑顔でステージ上に立っているわけではない。叫んでいるときはめちゃくちゃ張り詰めている。当たり前だが真剣だ。今回はステージからフロアにも降りてくるMario。暴力的ではなかったがそれでも非常にラディカルだ。曲だけ聞けば「とにかくこの場だけをみんなで楽しもう」的なバンドではないことはすぐわかる。攻撃的で時には陰鬱なハードコアだ。彼らは別に悲しいふりもしない、怒っているふりもしない(曲を消えば怒りも悲しみもしっかり含まれているが、ステージ上ではそれを過剰に装飾しない、つまり演技しない。)、ただ伝えてくる。それが自然で多分ありのままの彼らがすっと目と耳から入ってくる。
非常に謙虚なMCもとても良かった。ただ楽しいじゃなくて本当締めるところバッチバチにしまっていて結構個人的にはビリビリ震えた。すごかった。


Rosetta
続いてはこの日のとり。アメリカ合衆国はペンシルベニア州のポスト・メタルバンド。
白状してしまうと1st「The Galilean Satellites」しか持っていない。2枚組の同時がけ推奨の厄介なやつである。
ギタリスト2人に、選任ボーカルがいる5人組。最近は追っかけてなかったので、もっと頭でっかちなバンドで例えばシンセ担当のメンバーがいるのかな?とか複雑な展開のアートっぽい曲なのかな?と思っていたのだが、始まって見ると全然肉体的な音楽やっていてびっくりした。(1stも聞き返すと別に頭でっかちでは全然なかったのでした。)バンドアンサンブル以外の音はボーカリストがタブレット(?)から出すくらいでそれも味付け程度。基本はかっちり重厚なメタルサウンド。ポストとついてもロックとはかなり違(これはバンドによって異なるだろうが)って、Rosettaに関していえば全編これクライマックスというくらいギュッと凝縮した曲をプレイするバンドのようだ。もっとこう静かに始まって徐々に組み立てていくのかと思っていたので結構びっくりした。音は大きいが刺々しいでかい音というよりは轟音を柔らかいわたで包んだような独特なもので、シューゲイザーとはまた異なる。これに浸っているととても気持ちが良い。そうこうしているとボーカリストの咆哮が入ってくる。こっちはこっちで声が入るときは基本全部叫んでいる。例えばアルペジオから轟音パート、のようなわかりやすい展開というよりはゆっくり曲が鳴り続けてその姿を変えていくようなイメージか。とにかくうるさいの独特の恍惚感があって確かに、ポスト・メタルというジャンルをしっかりに脳に刻んでくる。ボーカリストの方は細身だが、格闘技の経験者のようなゆっくりしているが非常にしなやかな動きで妙に雰囲気があってかっこいい。煽り方も非常に良かった。
終演後アンコールの拍手が鳴り止まなかったのだが、締められたカーテンからボーカリストの方がひょっと顔を出して「ごめん今日はここまで、またすぐにくるよ」(たぶん)とのことでした。

Tokyo Jupiterと3LAはかなりカラーの違うレーベルで、こうやってそれぞれが選出したバンドが顔を並べてイベントをやるとその違いが浮き彫りになっていて非常に面白かった。ひとえに轟音といっても結構違いがあるし、ポスト感の解釈も結構千差万別かなと。個人的にはブラッケンドという一つのムーブメントに対して色々なバンドがそれに参画し、それを構成しつつも、今この時にそれぞれの付き合い方が微妙に変わってきているのが面白かった。

2018年9月17日月曜日

killie単独公演@下北沢ERA

秋になるとセンチメンタルになる人がいるらしい。私はというと苦手な夏が緩やかに倒れていくような秋の気配がたまらなく好きだからむしろ笑顔になってしまう。一回下がり、そしてまた上がった気温も断末魔めいて悪い気がしない。そんな気分で下北沢へ向かう。killieのライブがあるからだ。昼と夜の二部構成で私は昼の方のチケットを購入した。確か早々にチケットはソールドアウトしていたはずだ。調べるとチケットを買ったのは6月でその時は9月が来るなんで想像ができなかった。そして今はもう9月の後半戦だ。光陰矢の如し、というよりは暗殺者のすり足で時は忍び寄る。そして私たちの命を奪っていくのである。時間が私たちを殺すなら私たちは常に死んでいっているのだから、別に秋だからって感傷的にならなくても良いではないか。特にできることもないんだし。呼吸のことを考えても埒もない、いわんや死ぬことをというわけだ。

12時20分ごろに会場に着くと13時開演を前にすでにそれなりに人が入っている。物販は一つ上の5階でということで見にいくと妙に充実している。音源は既存のもののみだったが、アパレルなどが充実しており、私はHis Hero is GoneをもじったT-シャツとメンバーが大胆に移ったお洒落なT-シャツを購入した。
下に降りるとすでに黒山の人だかりである。これはまずったなーと思ったが時すでに遅しでフロアの真ん中あたりの列に。緊張感がたまらなくてなんども時計で時間を確認してしまう。ほぼ13時きっかりにメンバーが登場してライブがスタート。

私は最近killieを知ったにわかリスナーでライブも数えるほどしか見ていないが、この日のkillieはいつもとちょっと違った。killieといえばライブハウスの照明を全部落として自前の蛍光灯を足元に置いただけでライブを行う。本日はまずその蛍光灯にバリエーションがあった。都合6本で2本がいつもの白色、2本が鮮やかなブルー、2本がショッキングピンクだ。さらにはプロジェクターを用いてメンバー越しにライブハウスのステージ後ろの壁に映像を投影。これはニュースキャスターが喋っている映像というらしいものから、ゲーム(ディグダグらしくものは少なくとも)、さらには雰囲気のある(おそらく)映画から抜粋したもの。どうもそれなりにショッキングな映像もあったらしいが良い感じに不鮮明なのとメンバーばかり見ていたので私は気がつかなかった。

ほぼ最近リリースされた編集版を忠実に再現したセットリストだと思う。まさしく自分も含めてだが、客層は何かしらの忸怩たる思いを人生に抱えてそうな男性が多くなんとなく大人しめなのかなと思ったいたが割と冒頭の「先入観を考える」で私を含め多くの人間のタガが外れたようである。勢いで前の方に行って頭を振っていた。
City of Caterpillarを見たときに思ったのはkillieに似ていると。今回killieを見て思ったのはやっぱり似ている。一つは緊張感で、これはもう一つの要素の演奏方法から生じているところもあると思う。確かにkillieの曲は激しいパートもあって盛り上がるが、そうではないパートもかなりある。ポスト感のある美麗なアンビエントパートというには不穏だし今日思ったのは演奏が異常にかっちりしている。これで耽美さがないポスト・ハードコア的なパートに力を割いていく。このミニマルさの中に何かしら積み上げられていくのだ。リズムがはっきりしているからこの反復はむしろ気持ちがよく、そうこうしている間に蓄積された像が完成し、そしてハードコアパートでこれをぶち壊すような勢いがある。なんとも背徳的な曲構成であると思う。今日生で聴いて改めて思ったおは前述の通り演奏の巧さと、そしてメンバー陣の音の被らなさである。技術の向上による恩恵でひたすら低音一辺倒を志向するモダンでブルータルなハードコア界隈でkillieはメンバーそれぞれで音の受け持つ範囲がきちんと決まってそしてそれらが綺麗に分離している。分厚いけどギターの音がソリッドであることはすぐにわかると思う。低音から高音まで出揃っていて全てがごまかしがきかないくらいソリッドだ。ギター2本の掛け合いも何回もあったけどどれも素晴らしく、付かず離れずでときにはすれ違ったり、被って行ったりでそれが正鵠を射て釘を使わずに組み立てていく日本の伝統建築のようにかっちり噛み合っていく、見たこともない聖堂が組み上がっていく。それをぶち壊すような劇速パートはまさに神も仏も拒否する世界で(キリストは復活する!!!皮肉な物言いだ。)そんなことやられた日にはビリビリ震えるしかない。もしくは阿呆のように頭を振るかだ。
全てのパートが必然だ、全てのパートが必要なのだ。散漫なごまかしなど一切ないのだ。どれが欠けても曲が違うものになってしまう。そんな雰囲気がある。「地下室には何かあるはずだ」とはkillieのメンバーの言だが、そこには瞬間があるのだ。常に流れていく時間の中では(早回しや戻しが容易にできてしまう音源とは違って)常に瞬間しかない。その瞬間が全体を構成して、それはもう一つも欠けては別ものになってしまうし、そしてもう過ぎ去ったら取り戻すことができないのだ。
ラストアンコール「お前は労力」で〆。あっという間の1時間であった。

ライブ後に情報量の多さやその圧倒的な質感に一旦整理させてくれ、となる状態がたまにあって、この日はそう。汗だくで一旦どうにかして頭と体を冷やさなければと、這々の体で下北沢のまちに歩き出した。
そのあとカレーを食べて、すごいレコード屋さんに寄って帰りました。
ビールを2缶、記憶が消える前にこの感動をせめて書き留め(ようとす)る。
今頃夜の部がやっているだろうな。

2018年9月16日日曜日

REDSHEER Presents Gray World Vol.7@高円寺二万電圧

9月はいろんなライブがあるぞ、楽しみだなあなんて思ったのに全然ライブハウスにいっていないハイプ野郎こと私はその思い腰を上げて高円寺二万電圧に向かった。いろんなライブが被っていたが別にへそ曲がりなわけではない。純粋にREDSHEERが観たかったのだ。

ele-phant
一番手はele-phant。2012年に結成された(今は)三人組のバンド。なんとこの日が解散ライブとのこと。ドラムとベース、それから選任ボーカルという変則的なバンド。ステージ前面フロアから見て左に構えるドラムセットが迫力がある。ギターレスだがことさら低音を強調するわけでもない。かといってベーシストが持つのは多弦(5本以上という意味で
)ベースではなくリッケンバッカースタイルの通常の4弦ベース。これでギター以上に豊かなメロディを奏でるのだ。アルペジオ、それから2本以上の弦を同時に鳴らしてコードも行けるし、ソロも大丈夫。リフは多様で音の種類も非常に豊富である。音だけ聞いたら普通にギターだななんて思ってしまう。ただし例えば高音のチョーキングのようなものはなかったような気がする。一風変わった演奏をするバンドなのだが、音の方がドゥームを基調としたサイケデリックロックといった趣。変則的なのは形だけで音の方は変態的というワードに逃げを打つ臆病さは微塵もなく、むしろ堂々としたロックンロールだ。日本語で綴られる歌詞がビンテージなドゥーム・リフが奏でるメロディライン上に曲線を描いていく。ことさら遅いというわけではないが、よくよく聴いていると地の鳴りが動いてその姿を変えていくのがわかる。生きた楽曲という感じでサイケデリックであるが、出しているのは轟音でしかもソリッドだ。思い切りの良いドラムが格好いい。記憶の忘れていくその過程を曲にするというコンセプトはなかなかないだろう。だって誰も知らない音ということになるからね。忘れていく過程だから。すでに忘れた、ではないところに美学を感じる。最後の最後に見れてよかった。この体験は忘れないようにしたい。

kowloon ghost syndicate
続いては東京のハードコアバンド。kowloon ghost syndicate。まず名前がカッコ良い。バンドのメンバーの方のインタビューなど、音より先にその他の情報が入ってきていて非常に気になっていたバンド。なかなか見る機会がなかったので個人的には非常に楽しみだった。ギタリスト二人に選任ボーカルの五人組。いわゆる激情というスタイルなのかなと思っていたのだが、実際に見て聴いて見ると結構それらとは異なる。
まず音がでかい。5人全員がフルボリュームで鳴らしているかのような轟音で耳がやられる。計算されたバランスなのだろうが、楽器陣がぶつかり合うので曲の判別はやや難しい。(これは私のいた位置も大いに関係あると思う。ライブハウスの音響はその他のバンドの演奏を聴けば問題ないことがわかる。)歌詞は日本語でなかなか聞き取れないが、ストリートにおけるタフさを強調するようなものではないだろう。確かに速度と音の数を落とすアンビエントなパートもあるし、つぶやくように歌詞を読むパートもあるのだが、それらは非常に短い。要するに冗長なパートが一切ない。一瞬でも早く飛び立ちたい、そんな性急な感じがある。懊悩や正義感がなるほど出発点なのかもしれないが、募る焦燥感が曲からナイーブさをほとんど拭い去ってしまっている感じがあって、それが病的で、むしろそれが激情というかエモバイオレンスとしては正しいのではと思ってしまう。肉体的なところは非常に肉体的でたまに入る低音ミュートのサウンドが混沌とした楽曲の中で異彩を放っていて格好良かった。大抵なんだこれ!ってわからなくなるのは良いものであるから、また見たい。

REDSHEER
トリは企画主REDSHEER。見るのはだいぶ久しぶりになってしまった。東京を拠点に活動する3人組のハードコアバンドである。個人的には激情という文脈で判断していたし、ある部分は確かにそうなのだろうが、独特な音を鳴らしているバンドで私はとても好きだ。
REDSHEERは忙しいバンドだ。やかましいバンドだが音の数が多いわけではない。速度も中速がメインだ。ただそれぞれの楽器陣が詰め込むアイディアが半端ない。1曲あたりのリフの種類の多さがわかりやすいが、構成も練られていてここが聞き所というところはその他の2つまたは声を入れて3つの楽器はぶつからないように抑制されている。逆に言えばそれぞれ個性があって、特に私はドラムのプレイがすごく好きだ。別にブラストを入れるわけではないが、実際の高さ的な意味で低くセッティングされたドラムから叩き出されるやや変則的なフレーズがたまらない。三者三様の個性のぶつかり合い、せめぎ合いがあってその切磋琢磨の間隙でなっている曲がREDSHEERの曲なんだという趣すらある。
この日思ったのは、REDSHEERはわかりやすさのないバンドだ。別に難解なわけではないが、わかりやすい必殺フレーズを(多分というか絶対)あえて使わない。激情のスタイルなら綺麗なアルペジオ(このバンドのアルペジオはなんか以上に反復的で病的である)や静寂と轟音のドラマティックな展開、浮遊感などだろうがそんなのは一切なし。殺伐としているが、かといってブラストを打つわけでも、陰惨さを過剰に演出するためのスラッジパートを入れるわけでもない。掴みやすいとっかかりがない。そういった意味でわかりやすくないのだけれど、そういうとっかかりを排除した楽曲は私はこのバンドにしかない、病的な円を感じてしまう。音が丸いというわけではなくてむしろ尖りすぎるほどに尖っているのだが、どこかに到達するような直線的なイメージではなく、病的な円を描いて沈み込んでいくような負の感情があって良いのだ。恨みつらみ逆恨み、なるほどそんな感情は含まれているのかもしれないがもっと多様だ。もっといろんな感情が溶け込んでいて、それが何か言い表すことができないのだけど、聞くたびに「それなんだよ!」と勝手にわかった気になってしまう。音楽性は違うけどToday is the Dayに通じるものがあるな!!と妙な納得感。この日もすごく良かった。

自転車漕いで帰宅。

2018年8月18日土曜日

Sonic Mania2018@幕張メッセ

誰にでも特別なバンドやミュージシャンがいるものだ。新旧とかジャンルとかは一切関係ない。ただ自分にとって格別な思い入れのあるバンドが。私にとってはnine inch nailsがそれだ。中学生の頃に「The Fragile」を手に取ってからずっとそうだ。

仕事がまたもや忙しくなっていた。私たちがトラブルに遭うのではない。トラブルが私たちを見つけるのだ。仕事が阿呆ほどあって、つまりそれは概ね悪いことであるが、さらにいいことと悪いことがあった。悪いのはQueens of the Stoneageのライブに行けなかったこと。良いことはこんな状態を見越してチケットを買わなかったが、結果的には買っても行けなかったから良い判断だった。炎上中の案件を会議室にこもって対応中に別の案件をやってのけるという図太さを見せつつある私は、8月17日しかつめらしい顔で何かをすごく私にいっている会社の違う部署の人に「大丈夫ですんで」と呟いて会社を立ち去った。(経験のある人ならわかるだろうが全く大丈夫ではない。私を見つめる上司の顔には独特の哀愁がある。)向かうは幕張メッセである。nine inch nailsが私を待っている。Trent Reznorは比較的よくいう。曰く「Nothing can stop me now」

いわゆるフェスに来たのは高校2年生以来ぶりだろうか。そういえばSummer Sonicだった。Marilyn MansonをヘッドライナーにSlipknotも帯同する。日本からはMad Capsule Marketsが堂々と向かい打つ。今思うと隔世の感があるラインナップだ。元気だったから朝一からスタジアムに行って最後までいた。
あれから20年くらい。着いた時点で既にしんどい。22時過ぎ。体が重たい。(会社のPCが入っているリュックを背負っているから。)そしてフェス慣れした元気そうな人々がなんとなくしんどい。普段は小さいライブハウスにばかり行っているから異なるレベルで人が多いのもしんどい。金には常に苦しまされているが、優れた解決方法でもある。私はプラチナチケットなるものを購入してなるべく列に並ぶという行為を排除することにしていた。物販でninのグッズを購入し、実際の重量以上にクソ重たい社会性(会社のPC)をクロークに預けて、とりあえずビールを飲み、軽くご飯を食べる。マウンテンステージという4つあるステージで一番大きいものに向かう。コーネリアスというバンドがやっている。申し訳ないが耳に入ってはくるもののあまり印象がない。ninのことを考えていたから。プラチナチケットだと専用のエリアがあるが、正面から外れている。私は普通のエリアの比較的前の方に陣取った。コーネリアスがはけ、転換が始まる。薄汚い巨大な布状のものが下げられ、いくつもの照明がステージの脇にセットされる。私の興奮は静かに確実に高まっていた。労働で濁った目でステージを見上げる。腫れたように重たい脳で祈るように思う。どこか別の場所に連れて行ってくれ。転換が完了し、大量のスモークが噴射された。いよいよだった。スモークの向こうには別世界がある。

nine inch nails
三部作の1本目Not Actual Eventsから「Branches/Bones」を冒頭に持って来て巨大な地響きのような衝撃を巻き起こし、浮いた観客の体を間髪を容れずに「Wish」「Less Than」「March of the Pigs」で強烈に揺さぶる。隙間なく埋まったステージ前方はここの力が好き勝手に暴れて分子のようにそれぞれがいろんな方向からシェイクされる様相。こりゃやべえな、と笑いがとまらない浮かれた頭のなかに意味のない風のような思考が流れていく。とすると「Piggy」でトーンダウン。基本的に観客はみんなすごく歌う。
そこからは最近の作品からを中心にした曲を続けて披露。いいね、すごくいいね。私はninには単純な暴力性を求めてはいないのだ。激しい曲は素晴らしいが、そうでない曲だって全く同じに素晴らしい。Trentの声をききながら思った。人間が砂のように分子でできているなら一旦崩して再構築できれば良いのに。気持ち良い音が耳からだけでなく全身から入ってそんな原子を揺らしているような感じがして来た。「死と破壊」なんて形容されることもあったけど、nine inch nailsはそんな感じでもない。もっ違う何かだ。なんだか勝手に荒んでた心が、全く違う衝撃で揺らされてめちゃくちゃ感動した。
中盤で「Closer」が披露される。冷静になって思うとやっぱり最近のninはすごい。結構この頃とは曲のつくりが異なる。ロックを電子音で補強したり、一部を入れ替えたりしていた初期に比べると、今は電子音で曲を作ってそこにロック的なアプローチを作り上げている。出来上がった音楽は有機的だが、底流と表層という意味でも多層的な構造になっている。あくまでも歌が中心になっているからすっと受け入れちゃうけど、こうやって新旧の曲を織り交ぜて、そして今の体で再現するライブを体験すると曲の違いが明確に意識される。「Copy of A」もすごく盛り上がる。曲はシンプルといっていいほど音を削ぎ落としたデジタル的な音像だが、リズムが明確だしとても肉体的だ。明るいとは言えない曲だが、実は過去作からすると風通しはとんでもなく良いし抜群に気持ち良い。鬱屈してないわけではないのだが、それを飲み込んで全身する動きがあるよな、とつくづく思う、最近のTrentには。敬愛するDavid Bowieのカバー(Trentがストーカー役でPVに出ている曲)を披露。その後The Fragile大好きマンなので「Even Deeper」で私が発火。こんなの余裕で歌えるぜ!音が持ったりしていてこれはこれでやはり最高。ケタケタ笑っていると次は「Gave Up」じゃん。高校生の頃この歌詞を事業中にノートに書き付けていた私に死角はない。全部歌える。(My Steady Sysmatic Diclineって一番かっこいい英語じゃんって思ってた。今でもそう。)この曲は音源もいいけど、ライブでも後半また別の良さがある。その後「The Hands That Feeds」から「Head Like a Hole」、そしてラスト「Hurt」でしめ。
どの楽器も非常にバランスが良く、曲によってはギターに関しては本当に抑えられているというかロック的なダイナミズムが潔くカットされている。電子音に関しても例えば異常な存在感があるノイズ、とかでもなく全体の統制が意識されている。ただし「Hurt」のギターの音、それから最後の最後のドラム(ここが好きすぎる)などでは音の少ない分存在感がある。相対的な音作りがされているように感じた。
言われているように音は小さめだった。確かに個人的にはもっともっと大きい音で出して欲しかったな、という気持ちもある。だが曲の良さは全く減じられていなかった。オーディエンスのリアクションにもTrentは満足だったらしい(MCは結構してました。)し、またすぐ来て欲しいな。
お客さんは外国の方も非常に多く、私のように人生に忸怩たる思いを抱えていそうな中年男性もふんだんにいたが女性も非常に多かった。

演奏中に日付が変わっていたが、昨日もそしてもう今日も終了だ。私の目的は果たされた。情報量と思い入れが強すぎて完全にハングアップしている。この後は続けてマウンテンステージでMy Bloody Valentineだったが離脱。服がびちゃびちゃだったのでクロークで荷物をうけとり(プラチナだと出し入れ何回でもOK、利用自体も無料)、着替える。飲み物を買ってSpace RainbowまでThudercatを見に。

Thundercat
途中からだし、かなり放心状態だったので全然ちゃんと見れてない。6弦ベースを抱えたフロントマン(Thundercatさん)と鍵盤、ドラムの編成。かなりフリーキーな歌ありなジャズ。超絶技巧で歌があれば結構ダンサブルに聞けちゃうのだが、途中の掛け合いではかなりエグいことに。特にドラムはもはや手数が多くて拍子が把握できない。これはもうジャズを通り越して踊れないのではと心配になる程。私はドラムの連打は超好きなのですごく気持ちよきけた。ベースはいわゆるベースの音ではなくてほぼギター。リズムからメロディから全部自分でやっちゃう多才ぶりで、オルガンみたいに丸っこい音であっちいったりこっちいったりする。詳しくなので印象だけど曲によっては音の感じからもフュージョンっぽいなと思う。技巧を売りにすごくてもどうしてもハードルが高くなってしまうこともあると思うのだけど、Thundercatの場合はここでまるやかな歌が入るので印象が全然違う。格式高いジャズというよりももっと愛嬌のあるやつで、ベースだけでなくこちらの方も丸っこい。音源買ってないけどちゃんと聞いてみよう。

Flying Lotus
そのままSpace rainbowに居座り、次のFLYLOに。事前に3Dメガネが配られる。どうも視覚効果をかなり使うらしい。そう言えば初監督作品がしばらく前から日本でも公開されている。その名も「KUSO」。これは否が応でも期待値が上がらざるを得ない。
「 3Dグラスをつけろ!」というアナウンスがあってからライブがスタート。ステージ中央にセットされたShit(いうまでもなくKUSOのことだ)を模した卓でおそらく音と映像をコントロールしているのだろう。暗くてよく見えなかったが、ドラゴンボールのサイヤ人の戦闘服を着ていたようだ。(ちなみにThundecatも同じで、確かに「Gokuu」とかすごくいっていた。「俺はドラゴンボールが好きなんだ!」ともたしか。)
とにかくサイケデリックな視覚効果に目が奪われる。風邪をひいて熱を出した時に見る抽象的な悪夢のようだ。幾何学模様が姿をぐにゃぐにゃ変えていく。球体関節人形が出てくる。妙に日本的な動物たちがその姿を変えていく。クラゲのような生物。人間のスケルトン、などなど。さすが映画も取る人物だなー、こりゃ見るドラッグだーと感動しているのだが、ふと気が付いた。音がやばい。音量もでかかったが、問題はそこじゃない。映像は非常にアバンギャルドだし、恍惚感を催すが音はバリバリにソリッドだ。わかりやすい酩酊感は全然ないぞ?ハーシュノイズも少なめ(1曲あった)だし、ドローン的な音づかいはほぼ皆無。全編ほぼバッキバッキの金属質なビートで曲を作っていく。リズムが明確だし、非常にリアルだ。この目がさめるような鋭い音でトリップ感を演出するなんて一体何事だろうか。澁澤龍彦さんが幻想文学は朦朧とした文体で書いたらダメよといっていたのを何と無く思い出した。FLYLOはソリッドな音を使って全くの異空間を深夜の幕張に現出させた。
Kendrick Lammarネタで客席を大いに沸かせつつ、Twin Peaksのメインテーマから間断なく攻殻機動隊イノセンスネタを挟んでくる。マニアックさとか日本びいきというより単にてらいなく好きなものを取り込んでいるという感じで面白かった。

電気グルーヴもみようと思っていたが疲労感と虚脱感が半端なかったので帰宅。プラチナチケットは入場、物販、クロークが別列(ほぼ並んでいない)で使えるので快適だった。
フェスといえばご飯なので色々食べるぞ!と思ったけど結果的にほとんど食べてなかった…。フェスの雰囲気は楽しいけど、やっぱりある程度小さいライブハウスの方が自分にはあっているような気もした。人とくればまたちがうのだろう。
とにかくNINを見ることができて私は完全に満足である。ありがとうございました。

2018年7月15日日曜日

【HANK WOOD AND THE HAMMERHEADS Rock 'n' Roll Salvation(ロックンロールの救世) Japan Tour 2018】@新宿Antiknock

猛暑の真夏、炎天下の三連休初日はこのライブに行くことに決めた。新作が素晴らしかったStruggle for Prideをもう一度見たかったし、韓国のSLANTも気になっていた。HANK WOOD AND THE HAMMERHEADSは今まであまり通ってきたことのない感じのバンドだな、というくらいの気持ちで。

The SLOWMOTIONS
一番手は東京のハードコア・パンクバンドThe SLOWMOTIONS。調べてみると結構長いこと活動しているバンドのようだ。メンバーチェンジとともに音楽性にも変化があったみたいでyoutubeで視聴した音楽と結構違って驚いた。今はドラム、ベース、ギターにボーカルの4人組。シンプルで荒々しいハードコア・パンクだ。低音でゴリゴリくるタイプではなくて、メロディのある歌を歌うタイプの。しっかりとしたドラムの上で、かなり縦横無尽にベースが暴れ、さらにその上に生音をしっかりと残した厚みと色気のあるギターが乗る。こういう音の作り方だと私は今までジャパニーズ・スタイルのハードコアばっかり聞いてきたけど、The SLOWMOTIONS含めてこの日のバンドはそれとは明確に異なっていた。もっとパンクの初期衝動という感じ。重さや速さがないけど、その分メロディと時間を使った贅沢な表現力がある。よく動くベースに、哀愁のあるソロを弾くギター、そして叫びながらもメロディのあるボーカルがなんといってもよかった。歌詞は日本語で力強いが押し付けがましくはない。短い坊主頭のボーカリストは強面で迫力があり、ビールをゴクゴク飲む。

ORdER
続いては名古屋のバンド、ORdER。がっちり強面ドラム、上背のあるベースはちょっとヤンキーっぽい。ギタリストはモヒカン。ボーカリストは目の周りを黒く塗って吸血鬼みたい。スタイルはバラバラなのにみんなキャラが立ってて不思議な統一感があるのが面白い。曲が始まってみるとこれがよかった。ハードコアというよりパンクで、それも初期衝動に満ちたもの。こういう時に音楽的な語彙が貧弱なので困るのだが、初期パンクにあるひねくれた反抗心を装飾性(音と見た目)で表現した、とでも言おうか。weirdで肉体的でありながら精神世界に片足突っ込んだポストパンクの香りもする。音楽的にはあぶらだこの初期(ADK盤の頃)を彷彿とさせる。ストレートなんだけどフックのある感じ。k曲はシンプルな方だと思うが、これに強靭なドラム(楽器の上手下手はわからないのだけどこのバンドのドラムはすごかった。)が加わるとすごい。単純に楽しい。体が縦に横に動き出す。客席もかなり盛り上がっていた。お祭りめいたリズムがあると思う。音的には低音というよりは高音によっていて、ノイズコアっぽい雰囲気も少しあり。ベースはガチガチに硬質な音だったけど、この人がノイズを出していたような気がするんだよな。音を同時に二つ出せるものなのだろうか。格好良かった。

SKIZOPHRENIA
続いては岡山県は津山のハードコアバンド。ボーカルの人はこんな猛暑の日なのに革ジャンをバッチリ着込んでいる。最後まで脱がなかった。つまりどうかしている人なわけで、格好良くないわけがなかった。今日はパンクの日だな!と鈍い私でも気付き始めたのだけど、ここまでの3バンドでも全然個性が違っているから面白い。SKIZOPHRENIAは曲構成的には今日一番シンプルなバンドだった思う。そして一番勢いがあった。パンクとは初期衝動だ!と言わんばかりに矢継ぎ早に曲を演奏していく。そしてドラマー。ドラムは顔で叩くんだと言わんばかりのパワフルかつエモーショナルプレイ。
速い、でもファストコアとかじゃないんだよ、パンクなんだよ。パンクってなんだって、とても私なんかは言えないけどSKIZOPHRENIA含めてこの日のバンドはどれも攻撃性のために削られがちな雑味のような感情が混じり合って、なんとも言えないエモーションを爆発させていた。言葉にできないなんとも言えない悲しい気持ち、誰にぶつけて良いのかわからない怒り、そして即効性のある高揚感と楽しさ、そんな感情を洗練せずにそのままぶつける乱暴なミキサーがパンクなんじゃないのか。そんなことを思った。

SLANT
続いて韓国はソウルのSLANT。少し前にSNSで話題になったこともあり、見たかったバンドの一つ。事前になんとか音源をデジタルで購入しており、また前述のyoutubeの印象からかなりゴリゴリしたモダンなハードコアと思っていたのだが、実際眼前で見てみるとかなり印象も違って驚いた。より生々しい。強烈にダウンチューニングして重低音に特化しているわけではない。ギターの音はかなりソリッドで元の雰囲気が残っているほど。(音源を改めて聞き返してみるとやはりかなり印象が違って面白い。)
このバンドもベビーフェイスの(The Dillinger Escape PlanのGregにちょっと似ている。)ドラマーが強い。途中スティックを飛ばしちゃったり、曲の冒頭で間違えたりして曲が止まってしまう場面もあったけど、軌道に乗ればバッチリ曲を支配していた。やはり皇室のベース、ギターはかなり1曲の中でリフのバリエーションがありメタル的なミュートを使ったリフはほどんと使わない。ジャギジャギしていてときにFugaziを感じさせする。出てくる音はとにかく荒々しいが、全体的にきっちりしておりかなりの練習量を感じた。あくまでもロウであることにこだわる初期ハードコアだ。音がソリッドなのでとにかくボーカルが映える。全編叫びっぱなしで、逆巻く感情を怒りにとぎすまして吐き出すようで恐ろしい。この日一番攻撃的だったのではなかろうか。ハードコア・パンクだからどのバンドも怒りが重要なファクターだが、教唆物をそぎ落とし、ストレートに表現するという意味で一番怒っていたし、どんな国どんな場所でも芯のぶれないタフさを感じてこちらも勇気が出た。格好良かった。

STRUGGLE FOR PRIDE
そして短くない休止の期間を経て新作をリリースしたSTRUGGLE FOR PRIDE。再始動後、新作リリース前に小岩Bushbashで彼らを見たことがあるのだけど、ぎゅうぎゅう詰めで見れたというよりはたまに覗けた、聴けた、という感じだったのでそういった意味でも今日はリベンジ。ギターはもはやノイズ発生機と化し、弦を弾かなくてもひどいノイズを発している。ビリビリする空気の中でテンションが上がる。おそらくこの日のラインナップの中で一番浮いているバンドだろうと思っていた。なるほどいわゆるハードコア・パンクの音とは一線を画すようなノイズの衝撃である。
それでも曲が始まればリフはそれと判別できる。アンサンブル全体でノイズに突き進むという形ではないということに気がつく。ドラムはソリッドで力強いがフリーキーではない。しっかりとリズムを刻んでいく。ベースもパワーがあるがあくまでもソリッドな音だ。そしてボーカル。極端に音量を下げた、という表現がされるボーカルである。確かにこの手のバンドにしては音量は小さいだろう。でも全く聞こえないというわけではない。というか私のいた位置もあるかもしれないが、結構聞こえる!!ボーカルはたまにマイクを通さずに叫んでいる。演奏全体がメッセージなんだと思う、きっと。SFPの音源には歌詞カードはないけど、メッセージ性がないわけではない。むしろ結構個人的とも言えるメッセージはわかりやすく込められていると思う。ノイズに接近しているが、抽象的で芸術的なノイズに接近しているわけではない。あくまでもハードコア・パンクとしての一表現としてノイズを選んだだけだ。ノイズの重たい幕に隠れるようなことはしない。最新アルバムでは多彩なゲストを招いた彼らだが、この日はメンバーだけでの真剣勝負。思っていたよりずっとパンクバンドだった。この日幼い女の子が転換の時からドラムセットのところにいて(銃を撃つときに使うような防音ヘッドセットをしている)、なんとライブが始まっても彼女が楽しそうにシンバルを叩いていた。メンバーのたまに見せる笑顔もよかった。彼らは日常に根ざしたパンクパンドだった。

HANK WOOD AND THE HAMMERHEADS
続いてはこの日トリ。アメリカ合衆国はニューヨーク州ニューヨークシティのハードコアバンド。この日他のバンドは全て、ドラム、ギター、ベース、ボーカルという4人組だったが、HANK WOOD AND THE HAMMERHEADSはこれにキーボード奏者を加えた5人組。
ガレージパンクとは聞いていたがこれほどととは、というくらい生音を残した楽器陣。そこに明らかにガレージのテンションではないボーカルが乗るというミスマッチ。いわばハードコアで発狂したブーストガレージみたいになっており、キーボードが良い雰囲気のリフを奏でる、楽器陣がぶち壊す、みたいなイントロの曲が何個かあってもはやずるくて毎回笑ってしまう。演奏に関していえばハードコア的というよりはもっと芳醇で表現力に幅があるロックンロール的なもの。性急なジャパコアとは異なり、チョーキングもエモーショナルなガレージスタイル。単音リフ、カッティングなどなど曲自体は短いのにこれでもかというくらいアイディアとリフを打ち込んでいく。ギタリストは佇まいもあって華があるが、ベースも負けてはいない。こちらも短い小節の中に可能な限りの動きを詰め込んでくるようだ。キャンキャンやかましいサウンドに痙攣的なボーカルが乗る。一見フリーキーでアヴァンギャルドな印象だが、なかなかどうしてアンサンブルがまとまると、性急でありながらも堂々としてコシのあるのロックンロールになるのだ。早回しでロックンロール・ショウを見ているようだ。どうかしている。楽しくないわけがない。客席はわちゃわちゃである。みんなでステージに押し寄せて、体をぶつけ合うのだ。
クールだが実はホットなギタリストと、明らかに多動的なボーカルのキャラクターが立っていて特にボーカルは動きが独特(芝居がかっているが洗練されていない、コミカルだけど不思議と格好良く思えてくる)だし、何かに追われているようなシャウトとも歌とも取れる歌い方が最高である。ステージにはバケツが据えられており、中には(多分)水が入っている。暑くなったメンバーがバケツの水を頭にかけたり、タオルをひたして汗を拭いたりしている。客席も半端ない暴動具合だったがステージの方も負けてない。どんどんテンションが上がってくる。一体感というのだろうか、ステージと客席の相乗効果でライブにおける理想の状態に近づいていくような感覚がある。徐々に上がっていくこの感じ。The Dillinger Escape Planのラストライブみたいな高揚感。楽しかった。


SLANTの物販でPhoto Zineが売られていたので購入した。一体どういう内容だろうか。どんなメッセージが込められているのだろうか。きっと文字が多いのだろうな。と思って家に帰って見てみるとお酒を飲んでいる、または酔いつぶれているパンクスたち(メンバー含む)の写真集だった。意表を突かれたけど意外な一面を見るようでとても面白かった。
あとはやはりHANK WOOD AND THE HAMMERHEADSのT-シャツとディスコグラフィーのCDを購入した。ディスコグラフィーは歌詞やインタビューが載っており、彼らのことを知るにはうってつけだと思う。紙の封筒というフォーマットも独自性があって楽しい。
なんとなくいったイベントでほとんどのバンドが初見だったが、非常に楽しかった。どのバンドも良かったが、やはりHANK WOOD AND THE HAMMERHEADSはちょっと頭いくつか分飛びぬけているので、迷ってい人はこれからのツアーぜひどうぞ。

2018年4月30日月曜日

SWARRRM「こわれはじめる」レコ発@新大久保アースダム

SWARRRMの最新作「こわれはじめる」は文句なしの内容だが、文句なしに問題作だろう。私は未だに感想をかけずにいる。態度を留保しているのは卑怯だからちょっと引け目があるのだがレコ発ライブに。この日出演するバンドは7つ。全部日本のバンド。主催しているのは「こわれはじめる」のリリース元のレーベル3LAだから、激情がテーマになってくるのはもちろんだけど微妙にゆらぎがあったと思う。
新大久保の街は連休の中日ということでいつも似まして若い女の子が多く、天気に恵まれた陽気もあって浮かれている印象だった。そんな中臭い地下室に引き込まれていく私。

NoLA
一番手はNoLA。最近ギタリストが1人脱退し4人編成になったがステージは相変わらずパワフルだった。叩きつけるような低速が醍醐味の一つだ。もはやハードコアのブレイクダウンみたいに曲によってはなるのだが、たとえばこの間見たFight It Outとは似ているけどちょっと印象が異なる。多分ドラムの叩き方が違うからだと思った。NoLAのドラムは圧倒的にメタルな感じ。一撃が強くてかっちりして思い。こともなげに豪腕フレーズを弾いているかと思いきや、滑るように展開していくさまはなんとなくCoffinsを彷彿とさせた。だから低音を低速でぶん回してもまたハードコアと微妙に違った暴力性が生まれていた。最後に演奏した曲はやはりブルージィな南部の香りが漂うスラッジ色が強めで格好良かった。スラッジといえばEyehategodが思い浮かぶが、個人的にはやはりどこかしら自暴自棄な感じがするところに惹かれる。NoLAも若いながらもそんな雰囲気が漂っていて良い。このバンドも盛り上げるならまずは自分たちからを地で行くバンドで一番手ながら客席に突っ込むボーカリスト。大いに場を盛り上げた。

明日の叙景
続いては次世代の激情を担うバンドとして注目されている明日の叙景。なんとなく今までちゃんと聞かずに来てしまったので(コンピレーションに収録されている曲のみ聞いたことがある)、この日見るのが楽しみだった。
攻撃的な音像ながらもよくよく練られた演奏力と構成力で勝負をするタイプのバンドでボーカルを除くメンバーはあまり動かずに演奏する。なるほど前評判通りブラックメタルの要素を取り込んだ激情というのは当たっていると思う。でも思っていたほどトレモロのはてしない応酬という感じではなかった。むしろ単音、トレモロ、頻度を落としたコード弾きとかなりバリエーションがあった。そういった複雑さをはらんだ楽曲というこもあってブラックメタルというよりはやはり激情という印象が強い。儚さを伴う胸を打つような美しさ、のようなものを追求しようという音の作り方で、美麗なバッキングとシャウト主体のボーカルが相克して良い感じだ。ボーカリストはマイクを使わず地声で叫ぶのもなかなかどうしてエモーショナルだった。(マイクのトラブルなのかな?)

killie
つづいてはkillie。激情界隈では非常に有名なバンドで数々の伝説が。オフィシャルHPの過去の日記を結構過去まで遡って読んだのだけど、伝説というよりはびっくりするくらい人間臭くて面白かった。最近突如編集盤「犯罪者が犯した罪の再審始まる」(ずっと出る出ると言われて出なかった)をリリースしており、実質この日レコ発と言っても良い。
SEは最近のニュースの音声をつなげたものですでに不穏な感じが漂う。照明をすべてオフにし、持ち込みの蛍光灯をつける。ボーカリストが口上を述べだす。観客に向けて指をさす、そしてマイクスタンドを(怪我しないような速度で)突き刺す。今日行われるのだ。罪の再審が。私たち観客が罪人なのであった。アホ面ならべてまんまとこの場に引きずり出されたのだった。馬鹿馬鹿しいのだが、私は本当蛍光灯の強烈な光に照らされて黒い影法師のようになっているメンバーを見て、ノイズが走り帯電したようにビリビリとした空気の中でそう思ったのだった。
CITY OF CATERPILLARを見た時に激情という音楽の柱に「緊張感」があると思うと書いたが、まさしく日本のkillieはそういった意味で激情の伝統を受け継ぎ、そしてそれを自分たちなりにアップデートしているバンドだと思う。静と動を孕んだ複雑で混沌とした曲展開、シャウトと対をなすスポークン・ワードなど”激情らしい”要素を拾い上げる事はできてもそれらを組み合わせても決してkillieにはならないだろう。観客もすごく暴れるのだけど、決してわかりやすいとはいえないバンドの主張(まさしく主張するバンドだと思うのだ)を一挙手一投足見過ごすまいとステージに食いついていくような趣がある。めまぐるしい展開の中にそれでも音楽としての魅力が詰まっていて、前にいる人は拳を振り上げ一緒に歌っていた。
罪の再審が始まったんだけど、ステージの下にいる人ももちろん、それから上にいる人も全員罪人だったのではなかろうか。killieが号令をかけたのだが、それは自覚しろ、ということだったのだろうか。しばらく呆然とした。音源を聞いてまた考えさせてほしいです。

Disgunder
続いてはTokyo Darkness Possessed GrindersことDisgunder。
実は見るのも聴くのも初めてで楽しみだった。これはグラインドコアだ。それもとびっきりの。まず曲が速い。とにかく速い。ブラストしまくる。当たり前だが曲が速い、ブラストを主体にするとなれば自然と曲のバリエーションは限られてくる。しかしこのバンドはまずリフが圧倒的に豊富だ。高速という縛りの中でさらにリフの手数が多すぎる。高速すぎてトレモロみたいになったり、ミュートで落としたり、さらにはギターソロを披露したりと、まさにグラインドコア遊園地。ドラムもブラスト主体だが、D-ビート、ツービートなど目まぐるしく叩き方を変えていく。共通点はどれも速いこと。ドラマーの方(笑顔がとても爽やか!)は見た目も筋肉質で叩き方も筋肉質だが、速い∧重たいの一辺倒では決してない。端々に挟むロールがめちゃくちゃかっこいい。もうほとんどドラマーばかり見ていた、といえば嘘になる。なぜならギタリストの方も魅せるからだ。二人いるギタリストのうち、1人の方は多分半分以上はステージにいなかったのではなかろうか。フロアに降りて縦横無尽に弾きまくっていた。面白いのだが、その間も演奏は全然ぶれない。ちなみにもうひとりのギタリストの方は常にポーカーフェイスでそれも面白かった。
Possessedというのは「取り憑かれた」という意味で確かに何かが憑依したかのような攻撃的なグラインドコアだったが、終始楽しい。これはすごい。ファニーという意味ではなくてあくまでもグラインドコアなのだが、なんとなく笑顔になってしまうのだ。客席もkillieとは全く違った趣で盛り上がっていた。ベーシストの方はお休みだったと思うのでフルメンバーでまた見たい。

SWARRRM
続いては兵庫県神戸市、結成22年を迎える本日の主役SWARRRM。
結成以来一貫して「Chaos&Grind」(必ず曲中にブラストビートを用いるという厳格で実際的なルールでもある)を掲げるバンド。昨今見られたメロディへの大胆な接近がついに最新作「こわれはじめる」で開花し絶賛と拒絶を巻き起こしたのは記憶に新しい。
明確なメロディラインを歌いながらそのまま絶叫に移行するという並外れた歌唱力によって完成された(バンドがずっとこのピースを探していた、とは個人的には思わないが)、歌謡グラインドがブラストビートにのって鋭く突き刺さってくる。どちらが先かは分からないが、ボーカルにあわせてギターも音を意図的に削り、低音からの偏向から脱却している。緩急、静と動のコントラストはよりくっきりし、ギターを始め表現力は明らかに豊かになっている。重さと速さと残虐性で攻撃性を増していくこのジャンルの中で、あえて速度を落として赤裸々になることで誰にも行けない場所に行くのがSWARRRMなのだ。一体誰がSWARRRMが「愛のうた」をうたうなんて思っただろう。
だいたい私は前作「FLOWER」収録の「幸あれ」からもう本当にこの路線が好きだったのだ。最新作が悪くないわけがない。音楽性は違うが同じ日本のRedsheerにちょっと似ている。どちらも私の心に直接刺さってくるような鋭さがある。この日色々なバンドが素晴らしい音楽を披露し、大いに私は感動したけど、涙が出そうになったのはSWARRRMだけだった。アンコールでやった2ndの「偽救世主共」の冒頭の曲も個人的には全然流れから浮いてなかったと思う。
MCは基本ほとんどしないバンドなのだけれどこの日は司さんが「あと3曲」(それでも短いけど)といったり、ブラストしすぎてスネアの革破ける事件があったりとちょっと和やかなところもあってよかった。

Wolfgang Japantour
続いては北海道は札幌のハードコアバンド。概ね関東圏が多いメンツの中で異彩を放っていた。今年リリースした新作で初めて聞いたけどかなり独特だったもので生で見たかった。3人編成でギタリスト方はAcuteのシャツにギターにはLife、SLANGなどの日本のハードコアのステッカーを貼っている。物理的に距離が離れているということは、たとえネットで接続されていても現実的な差分を生み出すと常々思っている。だから音楽の世界でも地方性というのが確立されていて、それを証明するようにオリジナリティのある音楽を鳴らしている。Disgunderと同じで曲は速い。ギターのリフが速くて非常にバリエーションがある。リフとソロがひとつなぎになったような感覚があって、とにかく流れるように弾きまくる。ただ音を意図的に軽くしてあるのでグラインドコアとは全然異なる趣になっている。やはりこれはいわゆるジャパコアからの影響が強いのだろう。メタリックで感情豊かなギターソロ、単純ではない(かといって複雑すぎるわけでもない)曲展開、そして曲をまとめ上げるある種のポップ性。そのポップさにフォーカスしたのがこのバンドで、ごった煮という印象のある曲をキュートなボーカルが歌うメロディが一つにまとめている。駆け抜けていく、という言葉がぴったりにあっという間に曲が終わってしまう。哀愁というよりは、(過ぎた)青春という印象でやはり胸が締め付けられる。良かった!

ENDON
トリを飾るのはトーキョー・ディオニソスことENDON。
見るのは結構久しぶりでいきなり見た目のことで恐縮なのだけど、ボーカリストの方は髪がのびると本当若く見える。ちょっとびっくり。しかしやはり歌う(叫ぶ)ときの迫力はもはや上記を逸している。
2曲め、最新作からMVも作成された「Your Ghost is Dead」。もはや完全にキラーチューンと化しフロアが湧く。インタビューでロックバンドに憧れているノイズバンドのようなことをおっしゃっていたと思う。ENDONの特徴として歌詞がないことがあげられると思っている。全編言語化できない叫びや呻きや嗚咽で構成されている。抽象的という意味では非常に「ノイズ」なのだけど、これをロックフォーマットで構築するとライブで客がその叫びに呼応して自分が叫んだり、拳を振り上げたりできる。なるほどロックだな、と強烈に思った。その後も目下最新作「Through The Mirror」からかなり再現性の高いライブをするわけで、ノイズを一つの楽器として扱っているのかなと。ENDONはわかられることを拒否しているような印象があったけど、じつは結構ヒントを投げかけてくれているのかもしれない。ラストでノイズがベース音を出していたのも結構個人的には面白い気付きだった。(つまりバンドサウンドをノイズで代用するという意味で。)ただあくまでも2人のマニピュレーターから発信される”ノイズ”は強烈でよくよく統制されているものの、やはり物理的に耳を侵してくる。現時点で自分たちの立ち位置をやはりノイズバンドとして捉えているのだろうか。(その判断を委ねられているのは聞き手の私達ですね。)

なかなかの長丁場だったがそれぞれに個性的なバンドが集って良いイベントだった。単にレーベルからリリースしているバンドを集めたというよりは、例えば激情というジャンルにおいて新進気鋭の明日の叙景に伝説的なkillieをぶつけたり、グラインドでも変化し続ける(というよりはグラインドの限界に挑むような)主役SWARRRMに対して正統派Disgunderをぶつけたり。それに普段なかなか見れない札幌のバンドを招聘してくれたりと。主催者の意図と思惑が感じられるラインナップでした。ありがとうございました。

実はこの日killieが先の編集盤「犯罪者が犯した罪の再審始まる」の特装版を物販に持ってきておりちゃっかり購入。まだ開けてないけど重さ的にコンクリートではないと思います。パッケージには写真集って書いてある。

2018年4月28日土曜日

CITY OF CATERPILLAR (USA) & heaven in her arms Japan tour 2018@下北沢ERA

CITY OF CATERPILLARが来日するという。2000年に結成し2003年には早々に解散。2017年に再結成し、15年ぶりに日本に来るという。エモや激情と呼ばれるジャンルでは皇族に多大な影響を与えた偉大なバンドといわれている。正直私は名前はしっていたもののまともに聞いたことがなかった。来日に合わせて日本のレーベルからディスコグラフィー(フルアルバムは1枚しかリリースしていないようだ)も発売されて盛り上がる中完全にそれに乗っかる形でライブに足を運んだ。初日のデイタイムである。私は昼間のライブってすごく好きなんだよな。なんか1日の終わりにあるのも特別感あって良いけど、真ん中にあると非日常でありつつ(ライブではなくて)ライフ感があってよくないですか。

US:WE
一番手は台湾の台北からきたというUS:WE。名前聴くのも初めて。ギターがボーカルを兼任する3人組のバンドで、照明を客席に当てるのではなくステージの奥側に向けて、それから前面には白熱灯(なんだけど中の芯がオレンジによく見えるやつ、おしゃれ)をセットするというこだわり。出音がいきなりでかくて「これこれこれが聴きたくて」という感じが一気に満たされるからやはりライブは良い。なるほど激情というジャンルに属するバンドだが、必要最低限の人数ということもあって曲は結構タイトにまとめ上げていた印象。ボーカルも基本はずっと絶叫スタイル。分厚いギターの音に空間的なエフェクトを掛けて轟音でかき鳴らすというのが格好いい。
終演後の物販席にはメンバーの方以外の人もいて皆さん非常にスタイリッシュでした。

Joy Opposites
続いてはJoy Opposites。なにげに見るのは2回め。なんといっても高音で甘い声のボーカルが歌いまくるのが特徴。コーラスも多めで歌にフォーカスしている。音は分厚いながらも2本のギターが繊細なアンサンブルを奏でていて、芳醇なアイディアが短めの曲の中にギュッと詰め込まれている。芸達者をひけらかさずあくまでも無骨な楽曲にまとめ上げて、そこにボーカルが乗る。大雑把な歌ものヘヴィ・ロックというよりはハードコア含めていろんな音楽からの影響をロックという大きなくくりの中に巻き込んで、自分たちの音楽に再構築している感じ。音楽的背景の深さと練習量の多さを感じさせる。出している音的にはジャンル的にはオルタナティヴという感じで、前見たときはnothingの来日公演だったから結構しっくり来たのだけど、(激情)ハードコアに特化した今日この日だと結構アウェイな感じだったかもしれない。でも堂々とした立ち居振る舞いで格好良かった。

heaven in her arms
今回のツアーの企画者。heaven in her arms。全員黒い衣装で登場。よく見ると靴に個性が出て面白い。
3本のギターがブラックメタルから持ってきたトレモロリフでもって轟音の渦巻きを作り出す。真っ白い雪崩のようだ。真っ青な青空を背景に斜面を猛然と突進する奔流だ。本流も圧倒的だが、飛び散る飛沫もなんとも美しい。音の壁というのはこういう音楽ではよく聴く表現だけど、HIHAに関してはその壁の構成力がすごくて、3つのギターが別のことをしてそれがピッタリハマっている。だから壁の表面には凹凸というか、独特の肌触りがあってそれが素晴らしい。ハードコアには失われがちなメロディをギターリフで補完している印象があるのだが、主役になるのがトレモロそのものだったり、それに絡みつくように乗る単音リフだったり、非常にめまぐるしい。連続性を持ちながら常に変化していくような印象。突っ走るところは爽快だし、そうでないところもよくよく聴くとドラムとベースが超うねっていたりで単に直線的な動きで突っ走っていくだけじゃないことに気がつく。
目下最新作「白暈」も素晴らしい内容だったけど、ライブで見ると印象がぜんぜん違う。美麗だな〜という音源に対して、圧倒的な轟音で楽曲を発信するライブだと迫力が段違い。ビリビリする轟音の中でそれでもやはり楽曲の美しさがじんわりと染み込んでくるのでそこがすごい。基本的にライブってそういうものなのだが、演奏力の高さ故なのか個人的には「白暈」はライブを聞いて完全に完成した感じ。これか!という感じですごいしっくり来た。

CITY OF CATERPILLAR
ベースとギターがボーカルを兼任する4人編成。ギタリスト1人はエフェクター多めなのだが、それ以外の2人は凄くシンプル。(ギタリストはベニヤ板みたいなのにエフェクターを乗っけてた。エフェクターボードを使うと思う、普通は。)アンプも別に多めってわけでもない。ドラムの人もセットはシンプル。出で立ちもT-シャツでとにかく全体的にラフかつシンプルな印象。ライブが始まってみるとこれがすごかった。まず音が非常にソリッドだ。音の数は多くないのだが(少ないってことはないと思うがこの日のバンドと比べると)、どれも異常な存在感がある。ギターに関して言えばエフェクターを通しても生の音が残っていて、ジャギジャギしておりそして鋭い。全くぶれない。めちゃくちゃ安定している。非常にミニマルにリフを執拗に繰り返していく。振り下ろされるドラムにぴったりアンサンブルがあってきている。ハマっているという言葉がぴったりだ。この間ボーカルは入らないのでこれがずれたら正直お話にならないが、全然ずれずに続いてく。反復の中でドラムのプレイが徐々にフレーズをかえていき、ギターもそれに合わせて音の数を増やしていく。そしてあっという間に轟音が支配して、ボーカルが絶叫する。これがパターンといえばパターンだが、実際にはもっと自由で静かなパートでもボーカルが叫び出したりする。非常に整合性が統制されているのに同時にカオスだ。あまりに自由で形式的ではない。まず叫びたいという感情があって、そこから曲がついてきたような感じすらする。そう言いたいほど原始的で野蛮。なるほどカオティックという言葉で称されるのがよくよく分かる。ボーカルも取るギタリストの方はとにかくよく動く。エフェクトもどんどんかけていく。叫ぶときは常に前のめりだ。マイクがずれたって構わない。ボーカルの印象は強烈だが登場頻度は決して多くない。なるほど確かにアルペジオもよく使うけど、単に綺麗なだけだったり、轟音の「動」の前のただの前フリでは決してない。もっと無骨でソリッドで、かっちりしていて、むしろこのボーカルレスのパートこそCITY OF CATERPILLARの本質であることは、きっとこの場にいた人ならわかってもらえるのではないだろうか。激情の正体の一端は緊張感ではなかろうか。張り詰めた緊張感。何かが起こりそうな”予感”といっても良い。ボーカルの入る激速パートが一つの回答だとしても、そこに辿り着く前の逡巡が激情な気がした。だってこの緊張感の持続に普通は耐えられないんだけど、このバンドに関してはむしろずっとこれで良いなと思うくらいなのだもの。

Aに影響を受けてA'が作られ、さらにA''、A'''''''と際限なく進化する中で次第にAから離れて結果的にはもう全く別のBに接近していく(このときBが既存の場合もあれば、全く新しいこともある)としたら、今あらためてAを提示するということは単に再結成、リバイバルという以上に意味がある。これが激情だったのだ。これが。この圧倒的に統制されたカオスが。ほとばしる感情が。あとに続くものがこれを分解し、そしてその要素一つ一つ、たとえばこのジャンルなら反復的な要素、劇的な静と動の同居、複雑な曲展開、そしてほんの一瞬垣間見えるメロディックなリフを拡大解釈していった。その先にいるのがHIHAでもある。(当たり前なのだがこういった流れは進化そのものなのだから私はHIHAを始め、すべての現行のバンドを批判しているわけではない。)しかし黎明期の激情とはもっと混沌として芳醇で濃厚な原始的なスープのようなものだった。まさにここから何かが始まるというエネルギーに満ちたものだったのかもしれない。激情って未だによくわからないけど、ひょっとしたらその尻尾くらいは今日見えたのかもしれない。

あらためて同じステージでCITY OF CATERPILLARとheaven in hermsを同時に見れるというのはすごいことだぞ、と思った。繰り返しになるけど単に再結成の思い出ツアーでは絶対ないので、今CITY OF CATERPILLARを見るというのはどういうことなのかということは、機会と予定が合えばぜひ見て聞いて体験されるのが良いのではと思います。
US:WEのCDとheaven in her armsの新曲+zineを購入して下北沢の街をぶらついた。贅沢な連休初日でした。

2018年4月3日火曜日

dues presents “Crazy Daytime Daze” Vol.1@Dues新宿

日曜日の昼間からSuper Structureがみれるというので新宿に行くことに。場所はディスクユニオンが経営する小さいライブハウス(立ち見で60人入るらしい)Duesで、企画したのもこのライブハウス。SSの他にネムレスとFive No Risk。ともに関西を拠点として活動しているアイドルとバンド。ネムレスはボーカルの方が前にやっていた細胞彼女のCDを持っている。Five No Riskは名前しか知らなかったので非常に良い機会だと思った。
Duesに来るのは久しぶりでやっぱり小さい。人は結構はいっていたと思う。

Super Structure
1番手!東京で活動するハードコア/パワーバイオレンスバンドSuper Structure。単独音源はないバンドでライブハウスで何回か見ている。ニュースクール・ハードコアが狂気に駆られた(バンド名の元ネタはアメリカ合衆国ネヴァダ州リノのハードコアバンドFall Silentの2ndアルバムからとっている)、いかついストップ・アンド・ゴーのパワーバイオレンスとはちょっと毛色が違うのだが、これがすごく格好いい。この距離で見れるのは非常に嬉しい。本当はギターが2本(メンバーが多忙なので1人はヘルプのことが多いようだ)なのだが、この日はヘルプも入れない4人体制。ボーカルの人は背中に花があしらわれたかわいいTシャツを着ていたがやっぱりバラクラバをしっかり着用。
遅くなるパートはあくまでもニュースクール・ハードコアの流儀で冗長なスラッジさは皆無で短い曲を全力疾走する。音も低音に偏重していないが、ファストコアでないのはドラムのリズムを聞けばわかる。ニュースクールの中速をブーストさせて高速にしているが、落とすところはきっちり落としてくる。この落差が非常にブルータル。ギターの音もひたすらザクザク刻んでいくだけでなく、中音域を拍の中に詰め込むような動きのある弾き方も混ぜ込んできてメリハリが効いている。そんな凝ったバリエーションをめまぐるしいヘイトの混沌にぶち込んでノイズまみれに吐き出しているのが本当かっこいい。理解されること拒否しているような無愛想さにあこがれてしまう。
今年はいよいよ音源出るんですよね。本当楽しみ。ライブももうまた見たいもんね。

ネムレス
続いてはネムレス。思えばアイドルのライブってBabymetalくらいしか見たことないかも。あれは凄く大きい会場だったから、この距離でアイドルを見るってどんなことなんだろう、って個人的にはかなり楽しみだった。
アイドルというのはおそらくプロジェクトみたいになっているのだと思うけど、ネムレスのライブは曲はオケで流して女の子が一人ステージに立って歌う。女の子は宇宙服をワンピースにしたみたいな可愛い衣装を着ていて、振り付けとともに歌を歌う。とにかく情報量が多くて圧倒された。
曲は細胞彼女のときもそうだったけどかなりマニアック。まずリズムが複雑だもの。細かく刻みまくるブレイクコアやぶっといドラムが明快に刻んでいくガバのようなうるさいビートが土台になって、そこにちょい前のEDM(ブヒュブヒュいうやつ)や、ギター(打ち込み)の乱暴なブレイクダウンを入れたりする。声はエフェクトを掛けたり、普通に歌ったりだがここでも童謡(「とおりゃんせ」)を取り入れたり、要するに色んな要素を色んなジャンルからとってきて一つにまとめるのが「アイドル」というジャンルなのかと思った。どれもまろやかに加工してあるので悪意ある剽窃というより、音楽的な懐の広さを感じさせてマニア心をくすぐってきて面白い。これを聞いて例えばハードコアのパクリだ!なんて言う人はいないだろう。うるさい上モノにピカピカした音をまぶしてあって個人的にはおもちゃ箱をひっくり返した様な感じでかわいいと思った。
女の子も曲に合わせて表情豊かにくるくる動く。メタルやハードコアのライブだと必然的に演者の愛想は悪くなるから、女の子がはつらつとしているとギャップが凄くて、やはりかわいいだよな…と思ってしまう私はおじさん。
お客さんの方はやっぱり結構気合が入っていて、合いの手というのかヲタ芸なのかわからないがやっぱりコールとか体の動きがすごい。はじめはちょっと戸惑うけど結構こちらも楽しくなってしまう。
曲が未完成ということは全然ないけどこういうライブと言う場でアイドルというのは本領発揮と言うか、完成していくのだなと思った。物販お品書きがあったり、最後尾を示すパネルがあったり、そういう文化の差異も面白い。終演後はチェキを取るやつもやっててすごい!アイドル!!と思った。


Five No Risk
大阪のバンドは枠をいとも簡単に超えてきてこともなげに面白い音を鳴らしている印象が強い。BirsuhanahとかVampilliaとか。このバンドもそういう期待を持って見たんだけど見事にその先入観は裏切られなかったね。ハードコアといってもいかついそれとは違う、音を意図的に軽くしたもの。ジャギジャギして重たくない。なんとなくFugaziを彷彿とさせた。男らしいコーラスワークは日本のハードコアの影響を受けたもの。それからピュアであろうとすれば排除されていく雑味を臆面もなく取り込んでいく。スカを思わせる軽快な裏打ちのリズム、ジャズっぽいすべるようなフレーズ、メロディアスなギターソロも大胆に取り入れ、ロックンロールの要素も色濃く感じられた。曲自体はかなり複雑なことをやっていると思うのだが(演奏はしっかりしているし、なめらかに曲が展開していく。)、”わかりやすさ”(アンダーグラウンドでは敬遠されることもある)を強烈に意識していて、一緒に歌える(叫べる)コーラス、それからメロディアスなメロディ。ただ爽快だけのメロコア方面ではなく、喜怒哀楽を巻き込んだこぶしの利いたくどいオリジナリティのあるハードコアに落とし込んでいる。それはまさに人生の酸いも甘いも混ぜ込んだお祭りハードコアとも呼ぶべきもので、大阪らしいユーモアで辛いことも笑い飛ばしちまおうというポジティブさに溢れたものだ。これは盛り上がらないわけはないだろう、ってくらいに盛り上がる。曲は全く知らないけどとにかく楽しい。ボーカルの人は早口でまくし立てる、ハードコアらしくしゃがれた声で叫ぶ、艶のあるクリーンでメロディアスに歌い上げる、演歌みたいにこぶしを利かせる、矢継ぎ早にそのスタイルを変えていく。後ろで鳴っている曲も引き出しの多さを活かしてとにかく振れ幅が大きい。面白くあろうとすることって人を楽しませようとする利他の精神だよな、と思わせる素晴らしさ。超元気が出た。格好良かった。

ハードコアとアイドルというジャンルの違いはあるけど、結構どのバンドもお客さんは変わらずその場にいて楽しんでいるようだった。とくに関西の両者は楽しませる、というところがすごく意識されていた。関西の人が面白い、っていうのはギャグを言うとかでなくてこういう精神なのかなと思った。(そうすると関西の人は面白いというより、関西の人は優しい、ってなるのかも。)単純に出している音もぶっ飛んでいるし、関西に対する勝手な憧れがさらに強化。一方Super Structureは一切媚びないハードコアスタイルでやっぱり格好いい。
三者三様で全く放埒なイベントだったが、フロアはどの演者のときもそれぞれ盛り上がり皆さん楽しそうだった。これってひょっとしてこういう距離が違いライブハウスでないとできないイベントだとしたら、小さいライブハウスというのはそれだけで非常に価値がある場所だよね。
Five No RiskとネムレスのCDを購入して帰宅。いいイベントでした。

2018年2月25日日曜日

U TAKE ORB.Vol.2@高円寺二万電圧

大阪のsecond to noneは何度か東京で見る機会があったのだが、ことごとく気を逸してしまっていたので今回はということで東高円寺の二万電圧に。この日はQuetzalcoatlのEPのリリース記念ライブ。Quetzalcoatlの方はこの日初めて見るし聴くことになった。(調べても音が聞けないというスタイルのバンドのようだ。)

second to none
一番手はsecond to none。Discogsによると1993年頃に結成されたバンドらしい。こちらもネットにはほとんど情報がない。2016年に1stアルバム「Bāb-Ilū」をリリースし、私も発売当時に購入し、ろくに調べずに聴いてたものだからこれはドゥームなデスメタルだな!と思っていた。(感想書いたんだけど、先程見たら公開するのを忘れてた…。)確かに音的にはデスとドゥームの要素はあるのだが、調べるとハードコアバンドだということがわかる。元々BreakOutという関西のハードコアの集団(?)があったらしく、その母体に属するバンドということみたい。開演を待っているとサイズの大きいパーカもしくはコーチジャケットに身を包み、ニット帽もしくはキャップをかぶったそれらしい人たちの姿がちらほら見えて、「真ん中にいると危ない」なんて声が聞こえてきて恐ろしい気分になってくる。
客電が落とされフロアには青い光(強烈な青というよりは水色ががってきれい)が灯されて(演奏中はずっとこの照明)ライブがスタート。ツインギターで片方はAssembrage、Cataplexy(元々デスメタルとして開始したはず)のギタリストの方。ベースはGreenMachineのメンバー。音のデカさにやられるが、よくよく聴いてみると各メンバーの出す音がきちんと分離している。弦楽体はたしかに低音に偏重しているが、ギターとベースでは深さが違ってきちんと住み分けができている。ベースは特に低くて太く、首と背骨のつなぎ目あたりがブワブワ震えてほっとくと頭が上に持ち上がっているような感覚がしてすごく気持ち良い。ギターは粒子の粗い詰まった音でメタルとハードコアの中間辺のイメージだろうか。ドラムがすごいなと思ったのだが、バスドラムは重たいのだが、スネアとかシンバルはタイトで軽めにセットされていて、遅い楽曲にしては手数が多い。これが弦楽器の重たさと好対照になっている。曲は遅くほぼ疾走するようなことはない。デスメタルをただ遅くプレイするのではなく、異常にタメが効いている。ザクザク刻むのだが音をぶつ切りにするのではなく、ほぼ強烈なフィードバックを含めて音が途切れることがないように設計されていて、文字通り窒息させるような地獄(ドゥーム)感がある。音のデカさもあって、Sunn O)))やBell Witch感すらある。
ボーカルの方は細身で背が高く、はじめはマフラーをしておりスマートな見た目なのだが、唸るような低音主体のデスメタリックな声質。ステージをゆっくり動き回り客席を強烈に睨めつけてくる。怖い。中盤以降はちょっと首を揺らせたり、人差し指を口の前で「しっ」のポーズをとったり、確認のように客席を指差したり。指差しすると客席ではモッシュが起こる。魔術師。見た目はむしろジャズって感じなのに〜と思った。ところでジャズには”スウィング”という独自の概念があって、会社のジャズが好きな人に聞いたら音的な特徴を言語化するとリズムをはじめゆったりしてちょっと後ろに詰めるのだそうだ。つまり一定ではないリズムをわざと作ってグルーヴィにするらしい。second to noneはまったくもってジャズではないが、ちょっと似ている部分がある。それはこのリズム感だ。とにかく溜める。タメてタメて、それで強烈なアタックが来る。特にドラムが変則的かつ多様でドラムだけのトラックを聞いたら相当面白いのではなかろうか。ドゥームにメリハリをもたせるというよりはむしろやはりハードコアのあのつんのめるようなリズムだろう。それを劇的な低速でやっているのだ!と低音の地獄にやられている頭で思いついた。もちろんただモッシュパートを延々とやったら流石にマッチョ耐久レースになってしまうから、デスメタルの荘厳な感じを曲に取り込み(よくよく考えたら結構水と油の要素をよくまあ混ぜ込んだものだ。)、さらに凶悪にドゥーム化させたような雰囲気。それはモッシュも頻発するだろうなと納得。超ロングセットということで1時間半以上プレイして終了。ヘトヘトになったが本当格好良かった。

Quetzalcoatl
続いてはこちらは東京のバンドQuetzalcoatl。今日はEPのレコ発であるから主役。second to noneと同じツインギターに専任ボーカルの5人体制。元T.J.Maxx、Stinger、Low Visionというハードコアのバンドのメンバーによって結成されている。(Low Visionは何回かライブ見たことある。)このT.J.Maxxは大阪で活動しており(ボーカルの方はMCでは関西弁)、元々はsecond to noneと同じくBreakOutに属していたらしい。そういうつながりで今回のライブになったのかと納得。
second to noneとは打って変わって明快な音だが、音楽的にはかなり説明するのが難しい。曲によって結構雰囲気が変わるのもあるが、ハードコアを通過してややオルタナティヴになった音を基調にしている。ギターはザクザク刻んだりもするが、音を高音から低音までまんべんなく鳴らしており、場所によってはコード感も結構ある。ドラムの人は顔と体で叩け!といったエモーショナルさで前にせり出してくる。ベースもかなり肉体的でとにかく小節に限界まで音をぶち込むくらいの気迫で硬質な音を連打しまくる。ステージングも一番派手だった。上背のあるボーカルの人がかなり独特で、ライブの前半ではほとんど節のある歌い方をしなかった。がなりたてるようなハードコアスタイルでもなく、歌詞を力強く読んでいくような形。所見でも結構聞き取れるくらいの歯切れの良さ。でもおしゃれなポエトリー・リーディングとはぜんぜん違う。とにかく力強い。バンドの演奏も小節の頭を意識させるような明確な弾き方だから、なんならラップに通じる気持ちの良さがある。といってもミクスチャー感はないからやっぱり相当変わっている。中盤以降は節のある歌唱法を導入していき、どんどん歌めいてくる。中盤では速度を落としてヘヴィにした楽曲や、冒頭にアカペラのような独唱を用いた曲などを次々に披露。それぞれに表情があるが共通しているのはやはり日本語の歌詞。これをちゃんと聞き取れるような速さと勢いに調節されているような気もする。歌詞もまた独特でおそらくだが、団結と友愛の素晴らしさについて雄々しく(声が太くて格好いい)歌い上げるんだけど、結構神話的な要素もあって、多分なんだけど「大国主〜」って歌ってたようなきがする。別に怪しいとか、左右いずれかとかそうではなくて、普通にひょいっと出てくるような感じ。相当な懐の深さを見せつけてくるのだけど、フロアを見れば殺伐とした感じというよりは熱量が眩しい。そういった意味ではストレートな日本のハードコアといってもよいのではと思う。

物販で幾つか購入して帰宅。自転車できたのだけど結構距離があって帰り足がパンパンになってしまった。しかし自転車こいでいると冷静にライブのことを思い返したりできて良い。すごく寒かったけど。楽しかった。

2017年10月11日水曜日

3LA-LongLegsLongArms Records-Presents『ろくろ』@新宿Nine Spices

よくあることなんだけど10月8日は面白そうなライブがかぶって困る日だった。そんな中でも足を運んだのはこちら。このライブは日本のLongLegsLongArms Recordsが主催するもので、先日リリースされたレーベル初めてのコンピレーションアルバムの発売を記念してのもの。アルバムに曲を提供しているアーティストが出演する。さすがにアルバム収録全アーティストとは行かないが、出演陣は下記の通り。
PRIZE OF RUST (茨城)
ungodly (香川)
unfaded (奈良)
SWARRRM (神戸)
Pterion (京都)
KLONNS (東京)
ILIAS (神奈川)
ご覧の通り東京のバンドが一つしかない。奈良、神戸、京都、香川と普段はなかなか見れないような地域で活動しているバンドが名を連ねており、それならこの機会に見るべき!と思ったわけ。もちろんコンピレーションアルバム「ろくろ」の内容が素晴らしいことも理由の一つ。

この日会場のSEではHelmetが流れていた。アメリカのオルタナティブ・ロック(メタル)バンドである。この3LAというレーベルは一風変わったハードコアを世に紹介するレーベルで、もう一つの可能性という意味で「オルタナティブ」という言葉がよく似合う。その集大成の一つが日本全国からバンドを集めて作った「ろくろ」なわけで、それが眼前で見れるということで期待が高まる。
例によって道に迷ったので(馴染みのない駅を使うとかならずぜんぜん違う出口を選択するのが私)私がおっとり刀で会場にたどり着くとすでに一番手が始まっているところだった。

PRIZE OF RUST
茨城(いばらき)のハードコアバンド。この間見たときも同じ3LA企画でやはり同じ会場だった。4人組のバンドでコンピレーションアルバムでもお気に入りだったので二回目に見るのが楽しみだった。改めてライブで見るとニュースークール・ハードコア!という感じ。音が非常にゴツゴツしている。音が非常にメタリックで、ミュートを使った刻み込んでくるリフをあまり多様せず、滑らかにつややかなリフを弾きまくる。このリフが非常にメロディックで、ツインボーカルはシャウトしかしないのでその対比が本当に”叙情的”という感じ。低音低速で力任せにぶん回すモッシュパートみたいなのもあって非常に暴力的だが、歌詞は多分日本語で、モッシュ用ハードコア(それはそれで好きだけど)ではなくて訴えかける何かがある。マイクにかぶりつくように歌う様もそうだが、前のめりにメッセージ性がある感じは日本の激情系からの流れを感じさせる。個人的には日本ならではのニュースクール・ハードコアという感じで、どうしても悩みすぎている激情に比較すると、懊悩はあるけどアクセルを踏み切っているような潔さが魅力。重量感があるけど滑るようなメロディアスなリフを低音で急ブレーキ掛けるところが非常にかっこよかった。

ungodly (香川)
続いては香川のバンド3ピースでボーカルの方がボーカルを取る。「ろくろ」収録の曲しか知らないものでどんな音なのか?白塗りにしている動画があったようだしブラックメタルよりの(ブラッケンドな)ハードコアかな?と思っていたら、結構想像と違った。まずはリフの音の数が多い。刻みまくるような密度濃く詰め込んだリフは、相当テクニカルでかっちりしたスラッシュの影響色濃いデス/ブラックだった。トレモロにそこまで比重をおいているわけではないというか、印象ではもっと刻みまくっていたようなのでボーカルの喉に引っ掛けるようなイーヴィルなシャウト意外はわかりやすいブラックメタルの要素はないし、塊をぶん回すのがハードコアの真髄の一つだとするとそういった意味ではハードコア感はほぼない。ただ(間違っているかもだが)ドラムはツービート主体だったり、曲もアルペジオをなどを効果的に導入しつつ起伏に飛んでいるが、ダラダラ長くないし、あまり耽美/アーティステックな雰囲気もしないので終始殺伐としてて個人的にはそこが良かった。

unfaded (奈良)
つづいては奈良のバンドで、MCでいっていたのだが10年位は活動しているが県外でライブをするのは2回めで東京はこの日が初めてだったらしい。「ろくろ」ではとにかく攻撃的でメロディアスな楽曲がかっこよかったのでこの日楽しみだった。
スリーピースで基本的にギタリストの方がボーカルを取る。この日一番”激情”という感じだったのでなかろうか。内省的な歌詞をうずまきのような轟音にのせて送り出すあのスタイルである。ただいわゆる激情というよりはむしろエモバイオレンスという感じで、具体的には激情でありがちな静かなパートは必要最小限にとどめて勢いとスピードを殺さないように、そして飾らないシンプルさでほとばしる激情を披露していた。歌詞に関しては演奏の合間に吐き出す、というようなスタイルで演奏のよく練られた細やかさが感じられた。うるさいバンドだが、なんとなく寡黙でいぶし銀なスタイル。ギタリストの方はDeath SideのT-シャツを着ていたが、envyからの激情というよりはむしろジャパニーズ・ハードコアの流れを強く感じた。音源を購入したのだがシンプルだが力強い歌詞も勿体つけない音楽性とあいまってシンプルかつ力強いハードコアの進化系という方がしっくり来る。ドラムがやたらと印象的だった。

SWARRRM (神戸)
続いては「カオス&グラインド」を掲げるSWARRRM。この日は冒頭から激速で一気に耳目を集め、そこから「幸あれ」、そしてkillieとのスプリット音源から「愛のうた」「あなたにだかれこわれはじめる」、ろくろ収録の「March」と大胆に歌を取り込んだバンドの昨今を披露していく。「カオス&グラインド」とは単なるスローガンではなく1曲に1回はブラストビートを入れる、という厳格なルールでもある。このバンドは常に何かに挑戦しているように個人的には感じられる。すべての曲はそれ自体完成品だが、同時に何かに対する一つの試行錯誤の結果に見れる。バンドとしての挑戦の結果が曲として残っているようなイメージだ。常に高みに、だから孤高のバンドと呼ばれるし、目下最新アルバム「Flower」以降での大胆な歌へのアプローチも単純なセルアウトとは絶対解釈されようがない。ルールと言うのは縛るものだが、他のバンドが良くも悪くもとどまり続けるフィールドを、SWARRRMはルールを使ってあっさり(はたからそう見えるだけで実際には苦労を重ねた末にだと思うが)乗り越えていく。ビリビリ震えた。

Pterion (京都)
つづいては京都のバンド。このコンピで初めて知ったのでバンドの情報については殆ど知らなかった。(結成は2017年ということもあり。)5人組でボーカルは専任。ボーカル以外は顔を白く塗っている。ボーカルがガッチリした体躯に編み上げブーツを履き込んで一人だけ素顔を晒している。他のメンバーは顔を塗っているものの服装は結構バラバラでなかなか作為が読み取りにくいスタイルで面白い。
曲が始まってみるとこの日一番ブラックメタルだった、というか完全にブラックメタルだ。ギタリストの一人は多分7弦ギターで、ベーシストと三人で相当テクニカルなリフを矢継ぎ早に繰り出していく。ミュートも使いながらも主体となるのはブラックメタル然としたトレモロを主体としたリフで、不穏なアルペジオや低速パートを使いながら自らの持ち味である激速トレモロパートに持ち込んでいくスタイル。面白いのは「ろくろ」ではYvonxheなんかはアンダーグラウンドなブラックメタルだったが、このPterionに関しては曲に起伏があるし、ドラスティックな曲作りをしていて結構メジャー感というか、そういう感じがあって面白かった。多分メンバーはまだすごく若いと思うが、あまり動かないメンバーに対してボーカリストの人は声にバリエーションがあるし、動きも派手。面白かった。

KLONNS (東京)
つづいては唯一の東京のバンド。ライブを見るのは2回め。ブラッケンドとは距離をおいている的なインタビューが面白かったが、たしかに音源を聞いてみてもライブを見てもバンドの核はハードコアな感じ。メンバー全員が黒い服に身を包みスタイリッシュ。
ぬろぬろ動き回るベースがかっこいいのだが相当な轟音でとにかくやかましい。ドラムもとにかく叩きまくりで、ギターとボーカルには強烈なリバーブ効果がかけられており、特にギターは音がでかい。非常にノイジーだが、例えばノイズ専用の装置を使っていないところなどあくまでもハードコアで勝負という姿勢の現れだろうか。曲も基本的にはシンプルな構成で、たまにギターソロなどを挟むもののほぼ一直線で進行するオールドスクールスタイル。ボーカルも歌うというよりは要所要所に吐き捨てて置いていく、のような歌唱方法。ステージを降りてきて客席に突っ込むという場面もあり、この日一風変わったバンドが多い中で一番やかましく、一番肉体的だったのがこのKLONNSだったと思う。

ILIAS (神奈川)
トリを飾るのはコンピレーションの冒頭を飾るILIAS。ライブを見るのは初めて。専任ボーカルにギタリスト二人を擁する5人組。「存在と理由」というタイトルの1曲からはいわゆる激情系かとおもっていたが、ライブで見るともっと、というかだいぶかっちりとしたハードコアだった。ニュースクールや日本の激情を巻き込んだバランスの音で、ハードコアなりの強面感と叙情感を勢いを殺さずに取り込んでいる。曲によってはガッツガッツした暴れるパートとドラスティックと言っていいくらいのトレモロい叙情的なパートが奇妙に同居している両極端さが魅力的。この日のバンド概ねそうだが、このバンドも激情というよりは絵もバイオレンスという感じで、冗長とした感じは皆無。ボーカルの人のちょっとかすれた歌唱法もあって、場面によってはkhmerの新作がちらっと頭をよぎった。ブラッケンド感は皆無だし、一聴したところクラスト感もそこまで感じられないのだが、(MCでもあったが)あとからそのような流れを聴いて影響を受けたのかもしれない。
この日唯一のMCをちゃんとするバンドでポジティブなメッセージが印象的だった。

音楽を本当に好きな人は国や州、県、など地域で音楽を語り、そのときは所々の「シーン」という言葉が出てくる。今少なくとも日本を含めた先進国だとおおよそインターネットを通じて均等に音楽の昨今を知ることができるが、それでもやはり地方ごとのシーンが出来上がるのは面白い。(すべてが均質化されているならそもそもシーンと言う言葉がなくなるはずだ。)先輩からの伝統だったり、内輪での流行り廃りだったり、きっとそういうものが積み上がって地域ごとの差を生み出しているのだろう。別に全国からバンドを集めようというコンセプトではないだろうが、結果的に「ろくろ」というコンピレーションには相通じる要素を通して全国のバンドが名を連ねたわけで、この日はそんな各所のシーンを垣間見れて面白かった。出演者の皆様はわざわざ遠いところありがとうございました。
Prize of RustとUnfaded、それからungodlyの音源を買って帰宅。

2017年7月17日月曜日

LOSTTRIP@新宿ロフト

日本のハードコアバンドVVORLDのドラマーチンウィルさんの企画。
真夏の新宿ロフトで全17バンドが出演するハードコアパンクのお祭り。
見たいバンドがいくつかあったのとの興味のあるけどほとんど聞いたことがないジャパニーズ・ハードコアを1日でいくつも聴けるのは良いな!と思っていってきた。
このあいだのVVORLDのリリースパーティ@新代田Feverと同じようにステージとバースペースで二つの舞台を作って交互にバンドが演奏してくスタイル。このやり方だと転換の間の待ち時間がなくなるわけです。最終的にはちょっと両方のステージが被りだしたけどほぼ押さなくて時間通りだったと思う。
新宿ロフトは広いし、トイレにも余裕があるので良いなと思いましたよ。

本当は12時開場の13時開演なのだが、私は余裕の重役出勤をかましついたらちょうどWrenchが終わるところ。Wrenchはいろんなイベントに呼ばれている気がする。当時はミクスチャーバンドという文脈だったと思うけど、いろんな音楽のイベントにハマるというのはミクスチャーなんだな〜と。

Fuck You Heroes@バースペース
とりあえずじゃあというわけでバースペースの方に移動すると超満員でかなり後ろの方から見る。メンバーが何人かもわからない。若さが何かは知らないが、サウンドを聞く限りは若い!という感じの音で、基本早めのビートにコーラスワークの爽やかなパンクという印象。場面によっては非常にメロディアスだった。

Black Ganion@ステージ
続いては愛知県名古屋のハードコア/グラインドコアバンドBlack Ganion!お目当の一つ。ハードコアというにはひねりすぎている凝った悪夢的なアートワーク(2ndその名も「Second」は非常に凝った装丁の特殊ジャケット仕様。)が象徴するように誰にも似ていいない音を鳴らすバンドなので一度ライブを見たかった。メンバーの立ち居振る舞いは完全にハードコアで、特にギタリストの方の顔というか表情が尋常じゃなくて恐ろしい。ジャニーズのライブに行く女の子じゃないんだけどライブ中に目があったような気がしたんだけど怖すぎました。
まず思ったのがスネアの音が徹底的にカラカラに乾いていてグラインドコア、ゴアグラインドっぽい。そしてブラストしまくり。指弾きベースはあくまでも不穏なのに対してギターのとは金属質であえて重量をある程度削ぎ落としたカミソリサウンド。そこに不明瞭に呻くボーカルが乗っかるという地獄仕様。ただ激しい一辺倒ではなく例えばアルペジオも入れてくるような起伏を曲に持ち込んでいるが、美麗なポスト感皆無でひたすら不気味。ソリッドなギターもともするとエフェクターのつまみをいじって異常なノイズを発生させていた。耳が慣れてくると楽器の音がそれぞれバランスよく聞こえてまさに音を浴びている状態。気持ちよかった。

ELMO@バースペース
お次はおそらく東京?のハードコアバンドELMOで前回のVVORLDのリリースパーティの時には異常に尖りまくっていたのでまた見たかった。こちらのバンドもお目当の一つ。
前回同様VVORLDのギタリストの方がギターのヘルプ。高音のノイズを異常に放出しまくる一目で危ないサウンドでワクワクが止まらない。前回見たときは異常に怒りまくっている感じだったが、今回は他のアーティストに対するリスペクトを言葉にしていた。とはいえ音の方はというと非常に凶悪な耳を痛める系でエフェクト過剰でほぼノイズになったリフの中を高音ボーカルが絶叫。高速パートもさることながら、ノイズがひゅんひゅん飛びまくる低速パートが個人的にはたまらん。怒りの感情をストレートでない歪んだ形で表現しているところがかっこいい。ただあくまでも感情的でちょっとメランコリック。もっと長いこと見たいものだと思ってしまう。
「Still Remains...」しか持ってなかったので「Change But True」とT-シャツ付きのThirty Joyとのスプリットもゲット!音に反してメンバーの人は丁寧な方でした。

Warhead@ステージ
古都京都の1990年結成のハードコアバンド。ボーカルの人は刺青びっしりに真っ赤なモヒカン頭という清く正しいジャパニーズ・ハードコバンンド。
「Fuck Off!」という絶叫から幕開けるステージは正しく反抗するという意味でパンクだった。しゃがれ声でシャウトするボーカルは一体何回「Fuck Off!」と叫んだのやらわからない。声質がジョニー・ロットンに似ている。円熟味もあるんだけどやんちゃな感じがしてよかった。曲はシンプルなハードコア・パンク様式だが相当速いスピードで駆け抜ける。コーラスはあるんだけどメロディアスさはあまりなく、本当掛け声という感じで高揚感はあるが曲自体はかなりハードコアだと思う。
曲が終わるたびに次やる曲の名前をコールし、一体どういったメッセージが込められているか(概ね曲名がそのメッセージを代表するワードで構成されているみたい)をぶっきらぼうな言葉で語って行く。これが全くもって自分たちの言葉という感じでまさにパンクスだった。ステージの強烈なライトの逆光に生えるモヒカンがかっこよかった。

kamomekamome@パースペース
Warheadを最後まで見終えてさては次はkamomekamomeだな〜と思ってバースペースに向かうとすでに人がパンパンでした…。完全に油断していた。新代田Feverで見たライブがとてもよかったので前の方で見たいなと思っていたのだが、そういえばあのときもすごく前の方はぎゅうぎゅうだったのだった。それでは!という感じで後ろで見たのだけど、もはやこの界隈のアイドルかってくらいの人気というか愛されようで、人が暴れる暴れる。ハードコア的な殺伐さではなくて笑顔で人がポンポン飛んでいる感じ。kamomekamomeは複雑な楽曲にメロディアスなパートがある曲が多いんだけど、メロディアスなところはみんな歌う。本当に後ろから見てそれと分かるくらい合唱。激しいだけだともっと殺伐とするし、メロディアスすぎたらもっとしっとりしてしまうし、両極端の要素を楽曲に融合させている本当にすごいバンドなんだな…と後ろの方から思ったりした。当たり前にかっこよかった。

EX-C@ステージ
続いては大阪のハードコアバンド。みるのも聞くのも初めてで名前も知らなかった。メンバーの方の様子から見てオールドスクールなハードコアバンドかなと思ったら全然違った。明らかにタフなバンドだった。基本的にボーカルの方がぎゅっと結んだバンダナが勇ましいレイジングなハードコアなのだが、曲にボーカルの入らないモッシュパートがあって、曲の速度がガクッと落ちる。するとフロアでは運動会が開催されるといった激しさ。一個前のkamomekamomeとはまた違った激しさでこちらはとにかく肉体的で拳やら足が振り回さられる剣呑なもの。といっても曲自体はストレートで勇ましいもので負の要素は皆無。もちろん前の方に行かなければ暴れなくてもライブを楽しめる。よく聞いてみると楽曲自体はただ暴れるための、というよりはツインのギターが叙情的なメロディを奏でたりとよくよく練られているものだったのが面白い。

Forward@バースペース
続いては東京のハードコアバンド。Death Sideという大変有名なハードコアバンドのボーカリストのIshiyaさんという方が今やっているバンドで、私はForwardもどちらも聞いたことがなかったのだが、Ishiyaさんのコラムを面白く読んでいたりしたので是非一度見たかった。見事に立ったモヒカンもあっていかついバンドかと思っていたし、実際相当いかついのだけど楽曲はちょっと思ってたのと違ってもっと温かみのあるものだった。メロディアスさはあまりない掛け声コーラスが雄々しいオールドスクールなハードコアなんだけど、Motorheadのようなロックなギターソロが結構入るのと、日本語歌詞を噛み含めるように独特の節でシャウトすると歌うの中間くらいで発生するボーカルで思ってたのよりもっと親しみやすい。速度もそんなに速くないのでギリギリ歌詞の短編が聞き取れるくらい。
お酒が飲めなくなったMCもそうだけどタイトな楽曲とシリアスさの中に柔和な一面があって、それがすごくよかった。個人的にはこの日とてもよかったバンドの一つ。また見たいです。

ENDON@ステージ
この日Wrenchとともに異色なバンドだったのではなかろうか。この日は結果的に出している音は違ってもハードコアバンドが集う日だったけど、ENDONの場合はバンドフォーマットを取っているけど出自がノイズで憧れからハードコアに接近した経緯があるから、そういった意味では明確に異色の人選だったのではと。
さすがの貫禄で全く動じずマイペースに最新アルバムの冒頭「Nerve Rain」からスタート。プロジェクターから放射される強烈な光が印象的で、チカチカ点滅するとメンバーの動きがコマ送りのように飛び飛びのように見える。ENDONの音楽は抽象的だが実際には物語性が明確にある。アルバムと同時に展開されたメンバーによる小説作品はオフィシャルでありながら、解釈でもあると思う。無数の解釈はあるのだが詳らかにされることを拒否しているようでもある。パンクスがやるハードコアは物語というよりはメッセージ(という物語である、ということもできるが。)だから、単に音楽以上の隔たりがあるかもしれない。そんなことを明滅するライトの白さに思ったりした。かっこよかった。

KiM@バースペース
続いて京都のバンド。このバンドはウッドベースがいるというのはなんとなく知っていたので一体どんな音になるのか気になっていた。さすがにウッドベースの存在感は半端ない。バーのステージは決して広くないのだが、くるっと回したり、掲げたりしていた。(重くないのだろうか。)
パンクスはメッセージだと思ったけどこのバンドはそのメッセージが強烈だった。そして音的には非常にタフ。不良を通り越して怖いです。”男らしさ”というのが強烈に意識されていて、それを曲に落とし込んでいる。わかりやすいモッシュパートがあるわけではないが、全編フロアが危険なことになっていた。バチバチ、カチカチなるウッドベースはさすがのかっこよさ。ロカビリー感というのはそこまでなかったけどシンプルかつ力強いハードコアサウンドに独自な音を追加していてかっこよかった。とにかくタフな男のハードコア、怖かった。

九狼吽@ステージ
続いて名古屋のハードコアバンド九狼吽。「クラウン」とよむ。ボーカルの人は巨躯でモヒカン頭、両目を横断するように黒い線を引いている。ベースの人は金髪リーゼントに鋲を打ちまくった革ジャンを着込んでいた。この日革ジャンを着込んでいたのはこの人だけかな?冷房効いているとはいえ暑かろうに。とてもかっこよかった。
ジャパニーズ・ハードコアスタイルだが、ボーカルがダミ声。曲の速度はWarheadよりは遅いかな?Forwardと同じくらいでおそらく日本語の歌詞が聞き取れるかな?くらい。コーラスワークが「お〜お〜」とメロディをなぞるように入ったりするから見た目に圧倒されるけど楽曲自体は結構聴きやすく、ライブハウスでは一体感が出る。あくまでもハードコアの音で中域をブーストしたどっしりとした温かみのある音で、Motorheadのようなロックンロールなリフや一点刻みまくるようなリフなど、ギタリストの方は豊かな表現力で曲に多彩な表情があるのが印象的。Warheadのようにメッセージを自分の言葉で(借りてきた言葉感ないのが良い)不器用ながらにもきちんと語ってそこから曲に流れ込むスタイル。まずはメッセージありきのパンクバンドだと思う。

ここでちょっとお休み。バーステージではMeaningが演奏中だが漏れてくる音を聴きつつ休憩。

Fight it Out@ステージ
トリは横浜のパワーバイオレンスバンドFight it Out。休憩中はステージの方にいたんだけ
ど出している音が凶悪でこの日見たどのバンドにも似ていない。
幕が上がってボーカルのYoungさんがフロアから柵に手をついてヒョイっと乗り越える様がかっこよかった。(結構高さがあるのを軽々飛び越えた。)
Black Ganionに似たソリッドな音だけどもっと厚みがある強烈な音で音質だけならかなりメタリック。ベースもガッチガチした音で、バンド全体で音響のせいか分離が良く、フロアに向けて放射される音に埋もれる感じ。始まってみればフロアではでかいピットが出来上がり。ボーカルの人はほぼステージから降りてフロアに。タフなんだけどKiMの盛り上がりとはちょっと違う感じ。こちらの方がもっと混沌としているのはパワーバイオレンスというジャンル故だろうか。高速と低速を行ったり来たりするめまぐるしい楽曲が次々と繰り出されていく。激烈な曲の中にもちゃんと決めどころがあって結構場所によってはみんな歌う(というか叫ぶ)。 例えば速すぎたりして曲が激烈だとなかなか乗りにくかったりするのだけど、Fight it Outはとても乗りやすいからすごい。最後にふさわしい盛り上がりだった。

ハードコアといってもやはり色々な種類があるな、と当たり前ながら思った次第。そういった意味でハードコアというところを共通点に全国のバンドを1日で見れてしまうとても良いイベントだった。ライブハウスの音響も良かったと思う。特にステージの方は。気になっていたバンドを見ることができたし、実際に見てみると色々自分の好みについても言語化できたりして面白い。
ありがとうございました。