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2018年9月16日日曜日

REDSHEER Presents Gray World Vol.7@高円寺二万電圧

9月はいろんなライブがあるぞ、楽しみだなあなんて思ったのに全然ライブハウスにいっていないハイプ野郎こと私はその思い腰を上げて高円寺二万電圧に向かった。いろんなライブが被っていたが別にへそ曲がりなわけではない。純粋にREDSHEERが観たかったのだ。

ele-phant
一番手はele-phant。2012年に結成された(今は)三人組のバンド。なんとこの日が解散ライブとのこと。ドラムとベース、それから選任ボーカルという変則的なバンド。ステージ前面フロアから見て左に構えるドラムセットが迫力がある。ギターレスだがことさら低音を強調するわけでもない。かといってベーシストが持つのは多弦(5本以上という意味で
)ベースではなくリッケンバッカースタイルの通常の4弦ベース。これでギター以上に豊かなメロディを奏でるのだ。アルペジオ、それから2本以上の弦を同時に鳴らしてコードも行けるし、ソロも大丈夫。リフは多様で音の種類も非常に豊富である。音だけ聞いたら普通にギターだななんて思ってしまう。ただし例えば高音のチョーキングのようなものはなかったような気がする。一風変わった演奏をするバンドなのだが、音の方がドゥームを基調としたサイケデリックロックといった趣。変則的なのは形だけで音の方は変態的というワードに逃げを打つ臆病さは微塵もなく、むしろ堂々としたロックンロールだ。日本語で綴られる歌詞がビンテージなドゥーム・リフが奏でるメロディライン上に曲線を描いていく。ことさら遅いというわけではないが、よくよく聴いていると地の鳴りが動いてその姿を変えていくのがわかる。生きた楽曲という感じでサイケデリックであるが、出しているのは轟音でしかもソリッドだ。思い切りの良いドラムが格好いい。記憶の忘れていくその過程を曲にするというコンセプトはなかなかないだろう。だって誰も知らない音ということになるからね。忘れていく過程だから。すでに忘れた、ではないところに美学を感じる。最後の最後に見れてよかった。この体験は忘れないようにしたい。

kowloon ghost syndicate
続いては東京のハードコアバンド。kowloon ghost syndicate。まず名前がカッコ良い。バンドのメンバーの方のインタビューなど、音より先にその他の情報が入ってきていて非常に気になっていたバンド。なかなか見る機会がなかったので個人的には非常に楽しみだった。ギタリスト二人に選任ボーカルの五人組。いわゆる激情というスタイルなのかなと思っていたのだが、実際に見て聴いて見ると結構それらとは異なる。
まず音がでかい。5人全員がフルボリュームで鳴らしているかのような轟音で耳がやられる。計算されたバランスなのだろうが、楽器陣がぶつかり合うので曲の判別はやや難しい。(これは私のいた位置も大いに関係あると思う。ライブハウスの音響はその他のバンドの演奏を聴けば問題ないことがわかる。)歌詞は日本語でなかなか聞き取れないが、ストリートにおけるタフさを強調するようなものではないだろう。確かに速度と音の数を落とすアンビエントなパートもあるし、つぶやくように歌詞を読むパートもあるのだが、それらは非常に短い。要するに冗長なパートが一切ない。一瞬でも早く飛び立ちたい、そんな性急な感じがある。懊悩や正義感がなるほど出発点なのかもしれないが、募る焦燥感が曲からナイーブさをほとんど拭い去ってしまっている感じがあって、それが病的で、むしろそれが激情というかエモバイオレンスとしては正しいのではと思ってしまう。肉体的なところは非常に肉体的でたまに入る低音ミュートのサウンドが混沌とした楽曲の中で異彩を放っていて格好良かった。大抵なんだこれ!ってわからなくなるのは良いものであるから、また見たい。

REDSHEER
トリは企画主REDSHEER。見るのはだいぶ久しぶりになってしまった。東京を拠点に活動する3人組のハードコアバンドである。個人的には激情という文脈で判断していたし、ある部分は確かにそうなのだろうが、独特な音を鳴らしているバンドで私はとても好きだ。
REDSHEERは忙しいバンドだ。やかましいバンドだが音の数が多いわけではない。速度も中速がメインだ。ただそれぞれの楽器陣が詰め込むアイディアが半端ない。1曲あたりのリフの種類の多さがわかりやすいが、構成も練られていてここが聞き所というところはその他の2つまたは声を入れて3つの楽器はぶつからないように抑制されている。逆に言えばそれぞれ個性があって、特に私はドラムのプレイがすごく好きだ。別にブラストを入れるわけではないが、実際の高さ的な意味で低くセッティングされたドラムから叩き出されるやや変則的なフレーズがたまらない。三者三様の個性のぶつかり合い、せめぎ合いがあってその切磋琢磨の間隙でなっている曲がREDSHEERの曲なんだという趣すらある。
この日思ったのは、REDSHEERはわかりやすさのないバンドだ。別に難解なわけではないが、わかりやすい必殺フレーズを(多分というか絶対)あえて使わない。激情のスタイルなら綺麗なアルペジオ(このバンドのアルペジオはなんか以上に反復的で病的である)や静寂と轟音のドラマティックな展開、浮遊感などだろうがそんなのは一切なし。殺伐としているが、かといってブラストを打つわけでも、陰惨さを過剰に演出するためのスラッジパートを入れるわけでもない。掴みやすいとっかかりがない。そういった意味でわかりやすくないのだけれど、そういうとっかかりを排除した楽曲は私はこのバンドにしかない、病的な円を感じてしまう。音が丸いというわけではなくてむしろ尖りすぎるほどに尖っているのだが、どこかに到達するような直線的なイメージではなく、病的な円を描いて沈み込んでいくような負の感情があって良いのだ。恨みつらみ逆恨み、なるほどそんな感情は含まれているのかもしれないがもっと多様だ。もっといろんな感情が溶け込んでいて、それが何か言い表すことができないのだけど、聞くたびに「それなんだよ!」と勝手にわかった気になってしまう。音楽性は違うけどToday is the Dayに通じるものがあるな!!と妙な納得感。この日もすごく良かった。

自転車漕いで帰宅。

2017年8月20日日曜日

Guilty Forest & MOCHI presents Under The Surface Vol.4@東高円寺二万電圧

暑いのが苦手なのでしばらくライブに行かずにいたのだが、気になるバンドがいくつか出演するイベントがあるというので参加してきた。
主催の一方であるGuilty Forestとは同名の音楽レビューサイトでまずサイト名が良い。おそらくCoaltar of the Deepersの曲からとったのだと思うが。今は休止中のようだが昔から愛読していて、このブログがきっかけで購入した音源も少なからずある。そんな人とそのお友達(のMochiさん、この方はこの前までプロの音楽ライターだったようだ。)が主催するのだから良い企画に違いないのだが、私が参加するのは今回4回目が初めてである。「表層の下」という規格名通り、アンダーグランドと呼ばれるバンドを集めた企画。面白いのは結構ジャンルがバラバラのようだ。私がきちんと音源を持って聞いたことがあるのはRedsheerとSunday Bloody Sundayだけ。その二つをみるのはもちろん名前は知っているものの気になっているバンド、名前すら知らなかったバンドも名を連ねており、これは良い感じである。雨の予報だったが開演少し前にギリギリ降られずにつくことができた。しかし雷鳴がすごくまさに嵐の予感を孕んだ、むしろこの手のジャンルには吉兆のような幕開けだった。

Redsheer
一番手はRedsheer。このバンドはカオティックでとてもストレートとは言い切れないのだが無駄な装飾が一切ない。むき出しという感じがしていて、それも暗いし陰鬱といった音楽性なのだがなぜだか心にビシビシくる。ハードコアなので高揚感があるが、いわゆる血気盛んなそれらと違ってじんわり私に細胞に音が浸透してくる。ライブだと特に。
いつもただただ圧倒されるのがドラムなのだが、今日よく聞いてみると相当複雑ではなかろうか。三拍子だったり、色々な音がなっていてそもそも何ビートなのかわからなかったりする。それが同じ曲の中でコロコロ表情を変えていく。派手な必殺技を出してくるのではなく地の部分がすでに複雑なのだ。それに乗っかるギターも3人体制という布陣の弱点を補って余りある分厚さである。おそらくだが一度に低弦の数が多い。だからRedsheerの音はただただ低音によっているわけではなく、厚みのある音の中に高音から低音までがぎっしり詰まっている。こちらもテクニカルなソロを弾くわけではないが、いくつもの展開をめまぐるしく(余り感じさせないのがすごい)変えていく。とにかく表情豊かなバンドなのだが、こういう音の作り方も絶対その完成形に一役買っているはず。
曲全体では渦巻きのように落ち込んでいくのだが、決死のボーカルの絶叫はその落下に抵抗しているように思える。だから退廃的(いわば理想形としての美しい後退)というよりは血が通っている(時になりふり構わない生々しさ)し、むしろ絶望的(な抵抗)とも言える。それが良い。非常に良い。1000の安い応援ソングよりも私の心を打つ。今日もかっこよかった。

Punhalada
続いては名古屋のバンドPunhalada。ブラジルと日本の混成バンドとのこと。バンド名はポルトガル語で「刺す」という意味だと思う。みるのも聞くのも初めて。おどろおどろしいアートワークからオールドスクール・デスメタルバンドかと思っていたが、半分正解だった。ボーカルの方がブラジルの方だろう。がっしりとした巨躯にカリカリの頭髪はさすがに日本人離れしている。
Redsheerと比べると圧倒的に音がかっちりしている。鈍重なデスメタルというよりはかっちりとしたクロスオーバー・スラッシュという感じでザクザク刻んでいくギターに吐き捨て型のボーカルが乗っていくストロングなスタイル。びっくりしたのはギターの方とベースの方のボーカルの入れ方。力強いシャウトなのだが、これが曲に圧倒的なハードコア感をプラスしている。今年何回か見ているいわゆるジャパニーズ・スタイルのハードコアを彷彿とさせる。そういえば短く生き急いでるようなギターソロもメタル的というよりはハードコア的な情緒に溢れている。曲は直感的でわかりやすいのだが、展開があって特に曲の速度の転換を非常に効果的に使っている。一気に加速するところはめちゃかっこいい。かっちりしている曲と、ボーカルの(いい意味での)汚さが良い対比でなるほどこれが理想的なクロスオーバーか!と思った。フロアも盛り上がっていて踊る人突っ込む人がいた。ボーカルの人もフロアに降りてきて楽しそう。東京でのライブは久しぶりと言っていたが、この間みたDieaudeのように距離があるとやっぱり型にはまらない異質さがあると思う。それが新鮮。

Ry
3人組でギター兼ボーカルの人はエレキギターに加えてアコースティックギターも持っている。前の二つのバンドとは明らかに異なる佇まいで、アコースティックギターを大胆に用いた曲からスタート。足元のペダル類の数の多さがすごくて(この日ペダル多めのバンド多し)、アコギでも色々なエフェクトをかけている。伸びやかなボーカルも高めの声でクリーンで歌い上げるまさにゆったりという感じで夢見心地かな?と思っていたが、ドラムが入ってくるとすぐにその認識が間違っていることに気がついた。もちろん優しさ、美しさはあるけど同時に力強さもあって、フォーキーというよりはやはりポストロックである。ボーカルが多めで頭でっかちでインテリな感じのそれとは違い、歌も多めでもっと直感的である。ゆったりしているが音はそれなりに大きく、曲もよく動く。エレキギターに持ち変えるとさすがにロック然とするが、それでもエフェクトの使い方は絶妙で切ない音がよく伸びる。この伸びるというのが非常に気持ちよくて時にはシューゲイザーに振り切ったAlcestを感じさせたり。キラキラした音質は繊細で太陽そのものというよりは葉叢から差し込む日光のように程よく拡散していて優しい。

Sunday Bloody Sunday
続いてはみるの久しぶりで楽しみだったSunday Bloody Sunday。佇まいから完全にグランジな感じでかっこいい。3人組のバンドで去年リリースした1stアルバムは本当いろんな人が絶賛している。オルタナティブとは昨今でも聞くが、グランジというのは概ね過去の音楽を指す言葉になりつつある昨今、現行でグランジな音を鳴らすバンド。
音のデカさではない(十分でかいんだけど)轟音という感じで中身がぎゅっと詰まった厚みのある低音、キャラキャラした高音を縦横に行き来する。ずっしりとしているが肉体的でよく動くし、リフではミュートを多用するがやはりメタルとは一線を画す音楽性。この音楽性の秘密はなんだろうね?やはり中域が出ているギターに秘密がありそうなものなんだけど。高音の使い方もよくなじんでいてそこらへんもあるきがする。楽器の音が肉厚な感じなので泥濘感も結果的にストーナーな雰囲気を醸成しない。転調はあるけどドラムのビートは非常に力強いがビートは非常にシンプルってこともあるかも。ザラついているが艶っぽい、それは重たい楽器隊と対比をなすボーカルによるところが大きい。ハリと伸びがある、ちょっと幼さの残る声質で、声というのはいじったり作ったりが難しい(特にシャウトを多用しないと)ので本当にtalentだと思う。新曲も披露してフロアはかなり盛り上がり。

The Creator of
続いてはThe Creator of。1994年に結成されたバンドで昔は日本で言うところのモダンヘヴィネス、向こうで言うニューメタルへの日本からの回答という音楽性で確か当時熱心に見てたハングアウトとかの深夜番組でPVを見たことがある。ニューメタルといっても洗練されたそれというよりはグランジを乗り越えたねっとりしたもの。その後活動を休止したのだが、2009年ごろに再始動。かなり音楽性が変わったことをそれこそGuilty Forestで読んで気になっていた。この日は1年半ぶりのライブということだった。まずバンドの背後、ライブハウスの壁の全面を覆うように白い布が張りわたされる。自前のフラッグを掲げるのではなく無地。これはVJを使う感じである。メンバーはギターの二人のエフェクターの量が多分この日一番多い。ボーカル兼任のメンバーはそれ覚えられるのですか?というくらい。
始まってみるとポストロックに一番似ているが、やはり肉体的(この日この要素が共通していておそらく主催の二人の好みなのだろうな〜と思った)で次々に展開を変えていく洗練されてオシャレ感が漂うバンドとは明らかに一線を画す。もっと荒涼としていて、とにかく非常にミニマルである。静かなメロディにならないフレーズを反復していき、音のレイヤーをどんどん厚くしていく。それが執拗に繰り返され、徐々に、非常にゆっくりその姿を変えていく。ピアノなどの楽器(ひょっとしたらレフェクターをかけたギターかも)も使っているが、派手なきらびやかさはなくひたすら潜行するよう。ボーカルが入る曲はボコーダーを使いとにかく人間性を排除している。スクリーンには幾何学模様が浮かび続け、幾何学はつまり数学的であるからなんとなく巨大な機械が唸りを上げる空間にたまたま迷い込んでしまったような感じがする。ひたすらマシーンかというとギターの音は強烈で、むしろミニマルな地平線にかすかに、しかし力強く夜明けの予感のような感情が見えてそこがかっこよかった。

割礼
ラストを飾るのは割礼。バンド名は知っているがみるのも聞くのも初めてである。1983年に結成されたバンドでメンバーを変更しつつ現在まで活動し続けるバンドのようだ。最近だとborisとライブをやったりで名前は知っていて、マニアックなサイケデリックバンドかな…と思っていた、がこれもやっぱり半分違った。
メンバーは4人だが全員今までのバンドとは佇まいが全然違う。さすがに私より年上のバンドでみなさん泰然としている。このメンツでは割礼が異質なのだろうが全く動じていない。ボーカルの方はとにかく一番変わっていて転換の時から行動がゆっく〜りしている。メモを見ながらアンプのつまみを「ムムム」という感じで設定しているところを見て、大変失礼ながら「だだだ大丈夫か?」なんて思ってしまったがライトが落ちて曲が始まってみるととんでもない化け物だったという話。まず音がでかいわけだけど、実際の音量という意味では前述のバンドの方が大きい。エフェクトはかけているものの生々しさの残る音はどれも非常にソリッドである。音の数はそこまで多くないのだが、どれもここにある最適の音という感じで主張が半端がない。そしてサイケデリックなバンドというよりは、非常にメロディアスな歌ものバンドといったも良い音楽性である。ただそれが非常に遅いのだ。ドゥームのような遅鈍と違うのは音の軽さ、音の密度、そして何よりドラムのビートは遅くなく(早くもない)、そこに乗る弦楽隊がゆったりとしている。いわば二つの時間軸が存在するのだが、それがきちんとそうであるように同時に存在している。ちょっとわけがわからない。ボーカルの方は異様な声をしていてゆったりとした見た目からは到底想像できないハリのある声、そしてまだまだ幼さの残る妖艶なもの。ビブラートをかかって怪しく歌い上げる。ギターソロは多めだがサイケデリックのように高速で弾きまくるというよりは、ノイズの領域に時に突っ込んでいくような縦横無尽なもので、こちらも緩急、ゆっくりの怪しさがある。ミニマルな演奏の中まるで無軌道にかけていくが、歌と同じでとてもメロディアス。前人未到の秘境といった孤高を感じさせるが、高尚な仙人というよりはずっと長いことやっていたら前人未到の地にいました、という自然な感じ。まさに泰然自若。おっかねえ。ビリビリするのだがメロディアスで、とにかく妖しい!

流行りのバンドを集める、というのではなく好きなバンドを集めるからみんな見てくれよ!という気持ち、つまり自分の好きな音楽を人にも共有したいという中学生くらいの頃からあるあの自然な気持ちが素直に現れていて非常に楽しかった。バリエーションがあって、色々なジャンルに跨っているのだけどどのバンドも非常に肉体的、というところが共通項だったと思う。規格名通りマニアックで楽しかった。ライブハウスを出ると雨も止んでてラッキー、という気持ちで爽やかに帰宅。

2016年12月11日日曜日

REDSHEER x NoLA Split 7inch ~Gray Matter~ Release GiG@東高円寺二万電圧

年の暮れも迫った12月の日曜日、昼間の12時から高円寺でTILL YOUR DEATH RECORDSのコンピレーション第三弾で収録されているREDSHEERとNoLAがスプリット音源をリリース。そのタイミングでライブをするというので足を運んだ。日曜日は出不精になりがちだけど昼間からというのは嬉しい。
鈍りがちな体も動かしたいし、高円寺なら大丈夫かな?と思って自転車で新宿経由で行ったら道に迷ってまさかの遅刻。(ちなみに自転車楽しかったけど超疲れた。)既に一番手REDSHEERが演奏中。一生の不覚。フロアはかなり埋まっている感じ。
二万電圧は初めていったのだが、革ジャンに身を包んだスタッフが外に立っているからわかりやすいし、ソフトドリンクでグレープフルーツジュースがあるのが個人的にはよかった。

REDSHEER
入ると前述のコンピに収録されていた「DistortionsControtions」のちょい手前。
ベースボーカルのオノザトさんは既に汗だくで鬼の形相である。
最新音源を聴いても思ったが(というかそういう趣旨で集められたコンピなので)、REDSHEERはその歪んだ音像に圧倒されるが、激情/カオティックに親和性がある。ただ美麗なポスト感や贅沢な音使いが絶望的に皆無で、3人編成で余計なものを極力削ぎ落としまくっているし、出来上がった音が(日本の)激情系特有のユースっぽさを微塵も感じさせないので、それらと比べると結構違和感があるのだと思う。しかし、マイクを食べる様な勢いで喚きまくり、そしてときに歌う様なボーカルだったり、豊かな表情を持つ複雑な曲展開だったりは確かに激情の影響が色濃い。今日改めてなまで見て思ったのは、REDSHEERは非常にエモーショナルなバンドだ。イカツイ見た目(と音)に惑わされがちだが、ギターに注目してみるとこの上なく感情に溢れている。低音一辺倒ではなく良い感じに粒々した音がぎっしり詰まっている様な音が個人的にはとても好きだし、そんな音で披露されるブラックメタル顔負けに弾きまくるトレモロリフ、鋼鉄の塊の様に叩きつける低音はひたすらかっこい良い。何と言っても細かい音で作られるアルペジオが魅力的でクリーンかつクリアでゆったり、ディストーションがかかった速度の速いものだったり同じアルペジオでも出される色が全く違う。どれもが非常に感情に満ちている。REDSHEERはボーカルがないパートも結構な比重を占めるけど、むしろそんなパートに言葉にできない感情が溢れている様に思う。リズムをキープしつつ音の数が多いドラムはSadness Will PrevailらへんのToday is the Dayのそれにちょっと似ているなと思った。
全体的にギュルギュルと内巻きの螺旋で落ちていく様な、そんな悲壮感、絶望感がある。しかし退廃的というよりは首だけになっても噛み付いていく狂犬の様な、そんな強烈なエネルギーに満ちている。これが高揚感と、そしてさらに胸の奥深くに突き刺さってくる。とにかく無駄がない分全編異常な緊張感に包まれていてヒリヒリしたという形容詞がぴったりだ。こういうタイプのバンドと音でライブを見てこんな感情が湧いてくるというのが個人的には驚きで、そして非常な楽しみである。やっぱり最高だ。どんな言葉より励ましになる。

NoLA
続いてはNoLA。前述のコンピで聞いたのみなのでほとんど前情報がない。
5人組のバンドでボーカルは専任。メンバーは皆背が高く細い。スタイルが良いのでよくステージで映えていた。
曲が始まるとREDSHEERとは全然違う!!すごいびっくりした。もっと素直にエモバイオレンスな激情かな?と思っていたのだが、音自体はかなりサザンロックというか泥臭いビンテージなロックの影響のある、ともするとElectric Wizardを豊富とさせるためのあるリフが飛び出してくる音を演奏していた。ただこれを凶暴にアンプによってブーストさせていてもはやドゥーム感はほぼない。スピードも速いし、テンションも高めで外に外に開いていく感じ。バネが仕込まれている様に跳ねる大音量のバスドラムが生み出すビートに身を任せていくと異常な高揚感に浸れる。専任ボーカルは楽器がない分ステージ上のアクションで魅せる。長い手足を活かして動き回る、白目をむいてヘドバンする、客席に倒れこむ、お客さんの帽子を被る、などなど。次は何をするんだというワクワク感は激しい音を鳴らすバンドを象徴する魅力的なキャラクターだと思った。REDSHEERにあった閉塞感・緊張感などの陰性の雰囲気はあまり感じられず、とにかく粗野で凶暴だ。本能に訴えかけるボディミュージックで良いも悪いもあるかという感じ。例えば草食動物を捕食するライオンを見て良いとか悪いとかいうのは変でしょう。ただ暴力的で恐ろしいがなんとなく野生を捨てた人間には魅力的に見えてしまう。NoLAはそういったバンドの様に感じた。とにかく凶暴、獣。非常に楽しかった。

REDSHEERとNoLAは同じカテゴリでも正反対と言っていいほど個性の異なるバンドだと思った。ハードコア、非常に懐の深い音楽。スプリット音源とNoLAの音源2枚を購入して外に出ると冷たい12月の外気が暑くなった体が良い感じに気持ちよかった。日差しも気持ちよくてお昼のライブは良いものだな〜と思った。(感想もその日中に書ける!)
主催者・出演者の皆様ありがとうございました。

2016年4月17日日曜日

Khmer Japan Tour2016@新宿NineSpices

ネオクラストというジャンルがある。
恥ずかしながら私はいくつか搔い摘んだだけでそれが一体どういったジャンルなのかははっきりせつめいすることができない。言い訳する訳ではないがまだこれからのシーンなのだと思う。そんなシーンをずっと追いかけて、いや応援しつつなんならそのシーンの発展に寄与しようというレーベルがある。AkihitoさんとYasuさんが運営する日本のLongLegsLongArms(通称3LA)がそれである。海外の音源を仕入れて売るにとどまらず自らレーベルとしても国内外(!)のネオクラスト音源を発表し続けている。そんな中でネオクラストの歴史の中で一つの里程標的なバンドであるスペインのIctusのメンバーが新しく始めたバンドがKhmerである。前述の3LAでもいくつも音源をリリースしているこのバンドがいよいよ来日ということで私もその初日に足を運んでみたのである。
金沢のThe Donorはメンバーの体調不良ということで出演がキャンセルとなったのが残念。ただ代わりに非常に良い出会いもあった。
場所は新宿の9spicesというライブハウス。初めて行ったのだけど横に広くて開放感があるし、客としてはステージがとても見やすい。奇麗だし良いところでした。今回なんとライブハウスのご好意もあってツードリンク代のみという破格のお値段で見れた。ありがとうございます。

いつも通り押っ取り刀で駆けつけると(ライブハウスの道順案内を見ていながらご多分に漏れず道に迷った。)一番手Vertraftが始まったところ。
Vertraft
自らをTOKYO BLACK SIDE SOLUTION HARDCOREと称するハードコア。カオティックハードコアを通過して激情性を盛り込んだかなりブルータルなハードコア。がっつりタフなハードコアとは一線を画す内省的な陰鬱さを激しさに昇華させた印象。カオティック/激情の要素はあるのだが頭でっかちでにはならないあくまでも直感的なイメージで知的なポスト感でもったいぶる(ちょっと悪口に聴こえてしまうがポスト系も好きです)ような小細工はなし。ボーカルの人のMCはリスペクトにあふれていて良かった。

Gleamed
The Donorの代役を急遽つめることになったバンド。まず第一印象はメンバーが皆さん若い。ギタリストは本当大学のお兄ちゃんみたいな感じでおおおと思っていたら、鳴らす音の方はこの日一番ブルータルだったのではなかろうか。Agnostic Frontのカバーも演奏していた通りオールドスクールな先人たちへのリスペクトを感じさせる音楽スタイルで、キャッチーさ、コマーシャルさ(例えば分かりやすいモッシュパートなどもその範疇だろう)とは一切無縁で叩き付ける様な無骨なハードコア。高速と低速を極端に行ったり来たりするところはかなりパワーバイオレンスで、いわば伝統に則った最先端という感じだろうか。滅茶カッコいい。私はかなりやられてしまってカセットを購入。そろそろ私はカセットプレイヤーを買わないといけない。

Redsheer
3番手Redsheer。沁みた。別に奇を衒ってRedsheerは癒し系なんて言わないけどやはりこのバンドの音は不思議と心の琴線を揺らしまくる。枯れていることなんて全然なくてむしろ間合いに入ったら刺し違えて殺されそうな、絶命しているのに首だけで噛み付いてくる狂犬の様な、そんな殺気に満ちた様相のあるバンドなのに不思議だ。2曲目の「Silece Will Burn」でもう完全に正気ではいられない。陰鬱なヘヴィネス、重量感とコード感のある美しいギターの音色を黒く塗りつぶしていくコールタールの様な粘性の音。それに浸食されるのはひたすら気持ちがよい。披露された新曲も静からの動、いやさ慟哭ででもって素晴らしく心が揺さぶられた。この時点では正直今日一番はまちがいなくRedsheerでしょと思ってしまった。そのくらい良かった。一つ難点としてはもっと曲数多かったら良かったな。

Sekien
極東の日本でネオクラストを鳴らすバンド。間違いなくこのジャンルだと日本の旗手に経つのがこちらのバンドでは無いでしょうか。正式な音源のリリースは未だ(正確にはこの日初めて発売開始された。)なのにもかかわらずその名は轟いている。これがマッチョ苦戦に伸びるおっそろしいハードコアだった。前のGleamedもブルータルだったがこちらはもっとクラストっぽい。ハードコアパンクをもっと正統進化させたような。ただこのバンドの勢いというのは常軌を逸していてひたすらまえへまえへ突進していく。徹頭徹尾呵責の無い疾走性で持って駆け抜けていく。ボーカルは野太い方向で滅茶カッコいい。一見孤高な音楽性で客もおいていきそうな取っ付きの悪さなのだが、これがフロアが盛り上がること半端無い。MCもないし本当無愛想なんだけど、まさに曲で魅了するわけでフロアの盛り上がりは相当なものだった。あっつい。最後の曲?かなコーラスが本当高揚感やばくてフロアもさらに点火した。

Prize of Rust
「錆賞」というバンド名は皮肉が利いていてカッコいい。「Regret&Progress」を掲げる東京のハードコアパンクバンド。ごりごり感と叙情性をあくまでもハードコアのフォーマットで表現するバンドだと思った。ツインボーカルで疾走するハードコアでちょっとPoison the Wellを彷彿とさせる。PtWのようにクリーンパートがある訳ではないのだが、同じように激しさとそれと相対する様な憂いの感情を曲に込めているのだ。ここら辺のバランス感覚は非常に良くてともすると悲しくなりすぎる曲を攻撃性の横溢したハードコアの形式で鳴らすものだから、うっぷんを晴らすにはもってこいの音楽になっている。ベースの弦が切れてSekienの人のベースに持ち替えて(ましたよね?)演奏してなんだかそれは卑怯なくらいカッコいいなと。

Khmer
ラストは勿論スペインネオクラスト総本山Khmer。これがね〜本当にね〜、前述の通りRedsheer越えるのはナインじゃないですか〜?くらいの気持ちで臨んだんですがそれが裏切られることに。この日一番だったのは恐らくあの場にいた皆さんも頷いてくれるのではなかろうか。
1曲目が始まった瞬間フロアが飲まれた。勿論期待感も大きかったし、前の素晴らしいバンドのかたがたが場を暖めていたということもあるのだろうが、やはりKhmerの実力がすごいのだろうと思う。ブラックメタルを巻き込んだ壮大な音楽性をクラストのシンプルなフォーマットで鳴らす、その音楽があっという間に客をみんな持ち上げた。点火されたフロアの気温が上がって人が飛んだ。そして1曲終わってKhmerのもう一つの魅力に気づいたよね。それは特にボーカルのMarioがそうなんだけど圧倒的に楽しそうに演奏すること。Marioの笑顔ったらないぜ!本当に!なんて楽しそうに歌うのだろうか。決して明るい音楽じゃないし演奏はシリアスなんだけど、とても楽しそうに演奏する。伸びやかに手が伸ばされる。それが見ている人たちの心臓をぐっと掴む。素晴らしいよね。人に伝播するポジティブさというのを目の当たりにして猛烈に感動した。ライブにほとんど行かないけどきっとこれがこの高揚感と一体感(この一体感の前には個々人の感動があると思うんだ)が、ライブの醍醐味の一つなのではないだろうかと。ほぼ1曲毎に「アリガトウ」というMarioそして拍手する私たち。突き上げる拳の何と楽しいことか。終始人が飛びまくり、跳ねまくり、そのほとんど皆が笑顔。アンコールも2回。あっという間に終わってしまった。

という訳で本当素晴らしかったライブでした。未だ迷っている人がいたら是非!!足を運んでみることをお勧めします。

さて楽しいライブが終わり、帰る道すがらレーベルが今回のツアーのために用意したブックレットを読んだ。敢えて紙のフォーマットで出したレーベルの意向もあるし(なにより売り物だってものもあるんだけど)あまり内容には触れないんだけど、行って、見て、楽しかった、次の外タレ、というライブにならないようにしたいという3LAの思い入れがビシビシ感じられた。その内容はメンバーへのインタビューを盛り込んでKhmerが一体その音楽を通して何を考え、そして伝えたいのか、ということにも目を向けてほしい、そういうことだと私は思った。実はライブの途中でもMarioが「自然はとても大切だ。私たちは自然を破壊している。それは遠回しに自分たちを害することになるんだよ」と言っていた。(私の英語理解力は破滅的なので間違っていたら申し訳ありません。)そんなシリアスな一面がMarioのインタビューを読むとよくわかる。3LAは他の音源でも丁寧な歌詞の和訳を付けてくれる。こちらももっと読んでみようと思う。
それからMarioがインタビューの中で影響を受けた音楽の一つにnine inch nails、そして影響を受けた本にセリーヌを挙げていた。双方ともに私がそれぞれのジャンルで一番すきなアーティストなのである。とても嬉しかった。

2015年12月30日水曜日

総武線バイオレンス2015 @Sunrize 12/29

振り返るまでもなく今年はほとんどライブに行かなかった。元々そんなにいく方でもないけどやっぱりいくつか気になるのはある訳で、なかなか足を運ぶことが出来ず、最悪前売りチケットを買ったのに当日いけなくなったという事も何回かあった。ひとえに自分の準備不足の所為としかいいようがなく恥ずかしい限り。
そんなうっぷんを晴らすべく総武線バイオレンスという過激な名称のイベントに足を運んだ。BLOODBATH RECORDS、CAPTURED RECORDS、TILL YOUR DEATH RECORDSという日本の激音レーベルによる共同企画でそれぞれが推すバンドを招聘する、という企画で年末の恒例となっているようだ。参加するバンド数は多くて、今年は全部で10ものバンドが演奏するというまさにお祭り。私は初参戦。というのも音源がとにかく素晴らしいRedsheerをちゃんと見たいというのと、活動休止中だったブルデス/ゴアグラインドバンドAbort Masticationが復活・参戦するという事でこれは!と思った訳です。
舞台となるのはお相撲さんの町両国。Sunrizeというライブハウスは始めていくのだけど、HPに丁寧に道順を解説した(ギチさんという方のとても面白い)動画があがっており方向音痴な私でも難なく到着できた。これとてもありがたい。(比較的駅から近い方だけど私なら余裕で迷うからね)
バンド数も多いので開演は15時から。

すこし遅れて会場に着くと一番手THE幻覚NEONSが演奏を始めていた。フロアにはすでに結構人が入ってました。女性ボーカルのグラマラスな(男の人も御化粧していて派手な見た目でかっこ良かった。)ロックンロールという感じ。当たり前なんだけど生演奏自体夏ぶりくらいなのでおおこれは気持ちよいなと思って地味にテンションあがりましたね。ハスキーなボーカルがかっこ良くていかにもロックな感じだった。折角だから始めから見れば良かった。

2番手はAbort Mastication。
私はこのバンド大好きで未だに「Orgs」は良く聴いている。活動休止期間も大分長いが、メンバーはCohol、Butcher ABC、Ozigiriで活躍していて、満を持してという感じで活動再開で嬉しい限り。お目当ての一つでしたので気持ち的にもあがる。音の方はというと「Orgs」中心のセットで間に新曲を混ぜこんだもの。特に「Orgs」の楽曲は短い中にもこれでもかというほど複雑なリフを詰め込んだものという印象があるのだけど、これを精緻な正確性で持って再現していて驚いた。あとボーカルも高中低の声の使い分けがものすごい。音源通りというとあれなのだが、このバンドの場合はメタルの正確性が持ち味だと思うので、それを大音量でやられたら最高以外の何者でもないわ。Coholでも叩くきょうすけさんのドラムはCoholのそれより速い!この手のバンドの持ち味でもある抜けの良いスネアの乱打が本当気持ちよい。「スコココココ」ってやつね。もっと長いライブが見たいな。このライブで活動は終わらず春には音源をリリースするようで嬉しい限り。

3番手はweepray。
主にライブレポで頻繁にその名前を目にするから非常に楽しみでした。メンバー全員黒い衣装に照明は角度を付けた白色のもののみを使う(照明は終始当て方が同じ)という、ステージングにもこだわりを見せるバンド。音の方はというと分厚い轟音とアルペジオの単音を組み合わせた、これまたこだわりと美学があるもの。攻撃性と儚い美しさを両立させたもので、(恐らく)日本語歌詞と良く合う。ボーカルは絶叫頻度高めでたまにクリーン。ポスト感はあるのだけど、ひたすら美しい、難解であるというよりもっとこう焦燥めいた余裕の無い感じがあってそれが緊張感と危うさを生み出している。そういうところ、非常にすきです。堂々たるステージでしたが何とまだ正式な音源をリリースしていないそうだ。来年は!と言っていたので楽しみに待ちます。あとベースの人のベースの角度が地面に対して垂直に近づきがちだなと思いました。

4番手W.L.D.K.。
京都のはんなりスラッジ。Zenocideとのスプリット「Dirtbag Cartel」を持っているからまあろくな事にはならねえぞ、とワクワクしながら待っていたが果たして期待を裏切らないステージング。まずメンバー上背ある人多くて動きも粗野、やたらとBrujeriaのマーチ着ているし悪い予感しかしない。ドラムセットもなんだかシンバルとタムだかスネアがデカ過ぎ。始まってみれば執拗に反復するスラッジリフに低音でグワグワうめくボーカルとハーシュノイズをのせたもので、リフの徹底的なミニマルさとノイズの奔放さが良い対比になっていて凶悪としかいいようがない。ライブだとすべての音が何倍も増しにされていて酷い。客がステージ向いて一心に頭を振るという邪教の儀式状態に。楽しい。とにかく下品で分かりやすく(褒めてますよ)ライブだと最高でした。ドラムの人の叩き方が力一杯で超かっこ良かった。

5番手vimoksha。
名古屋のバンドなんだけどこちらは全く知らなかった。なんといっても全く知らないバンドを見れるのがこういうイベントの醍醐味ですよね。どうもDjentらしく、私は本当にこのジャンルが分からないので密かに楽しみにしていた。8弦ギター(ネックが超太い、良く弾けるものだなあと)2本に、大小和太鼓のセットを取り入れたバンド。その楽器の布陣もさることながら楽曲もプログレッシブかつクリーンボーカルを大胆に取り入れたもので、前のバンドからのあまりのギャップにビックリ。ギターの人はとにかく指板の上を指が動く動く、曲自体は複雑なのだけど非常にメロディアスなサビやフレーズを導入する事で滅茶苦茶聴きやすい。タッピングやギターソロなど普段耳にしないので新鮮だった。雰囲気が良いバンドで(「アットホームかよ!」と突っ込まれたりしてた。)、「バイオレンスという事で殺伐とした感じで」と言った後に「まあ次はしっとりとした曲なんですけども…」というくだりは非常に面白かった。癒し。音源は未リリースだそうだけどレーベルからでるコンピには入るよということでこちらも楽しみ。

6番手はRedsheer。
とにかく今年リリースした「Eternity」がヘビロテ中なのでこれはと思ったお目当てのもう一つ。一回本当5分くらいライブを見た事あるのでちゃんと見たかった。
で、これがとんでもなかった。どのバンドもすごかったけどRedsheerは頭二つくらい抜けていた印象。音だってW.L.D.K.に比べれば大人しいし、展開だってAbortやvimokshaに比べれば複雑でない。しかしステージングは神懸かり、私は棒立ちになりながら騒然となったものだ。曲が終わればオノザトさんの荒い息がマイクを通して聴こえてくるくらいの必死さ。3人ということで無駄を配したごまかしのきかない演奏は緊張感に満ちている。爆発寸前の危うさ。ボーカルと対比する様なギターの美しさ。音楽というのは波長であって、私はそこになにか自分のものを重ね合わせるように同調したと感じたのであった。それはなんというか切なさであった。孤独と焦燥といってもよいかも。それを強烈に感じた。音楽に対してエモーショナルであると称する事があるけど、Redsheerの音楽はまさにエモーショナルであった。金を払ってみてやるか、という気持ちなんか吹っ飛ぶというか(勿論自分ではそんな気持ちは無いと思っているんですけど。)、なんか抽象画を見ていて、見た事のある風景だなあと思っていたら自分の顔だったみたいな、そんなもう他人事でいられない感覚とでも例えるべきか。とにかく私はこのRedsheerに完全にやられてしまったのであった。ライブの面白さがちょっと分かった。オノザトさんは最後「老い先短いので死ぬ気でやります」とまさに鬼の形相で2016年の意気込みを語っていてこれはとんでもねえぞとなったが、やっぱり長生きしてくれーと思わずにはいられなかった。

という訳でバイオレンスすぎるイベントはまだまだ4バンドを残していてフリーザに相対したZ戦士の様な震えが駆け巡ったのだが、用事があってここで離脱。Zombie Ritualは見たかった…無念。約半分しか見れなかったけどそれでも寒さに凍える胸に灯がともる様なイベントでした。BLOODBATH RECORDS、CAPTURED RECORDS、TILL YOUR DEATH RECORDSの皆様、出演者の皆様ありがとうございました。
Sunrizeも世界のビールがあってすごく良い感じでした(私お酒あんまり飲めないんだけど)。転換中はMotorheadが流れていて涙。(マーチ着ている人も多かったです)
イベント言って思ったのはみんな楽しそうにおしゃべりしていて良いなと。私も来年はもう少しライブに行けるようにしようと思いました。


駅の構内に暴力は犯罪です!というポスターが貼ってあって面白かった。バイオレンス!

2015年8月1日土曜日

Redsheer/Eternity

日本のハードコアバンドの1stアルバム。
2015年に日本のTill Your Death Recordsからリリースされた。
1stアルバムではあるが新人バンドではなく、メンバー3人それぞれが名だたるバンドのメンバーだったとのこと。(Atomic Fire Ball、Scalene、Bucket-Tというバンドなのだが、私は恥ずかしながらどのバンドも聴いた事が無い。)
そんな経歴もあってか注目度は高くとにかく音源が出る前からライブがスゲエと評判だった印象で、私は本当見たとも言えないくらいのライブ体験(ライブハウスのフロアに入ったら本当に彼らの丁度最後の曲の最後の部分だった)が一回だけあったのだが、そんな評判が気になっておりこの音源を買った次第。
濃い血の色を思わせる赤が印象的なジャケットはスペインのニュークラストバンドKhmerのメンバーの手によるもの。真っ黒い鳥(多分からす?)はハードコアパンクの界隈では何か含意のある象徴なのかもしれない。(AmebixのMVとかTragedyとか。)

聴いてみるとこれは何とも形容のしがたい音楽性。
土台はハードコアだと思うのだが、荒々しくも素直が心情の真性ハードコアパンクにしては曲が相当凝っている。怨念かってくらい想いがこもっているので激情系かというと、その界隈に見られる”青さ”は皆無であるどころか、明らかに鬱屈しすぎている。曲調もあってじゃあスラッジかというと、スラッジの要素はありつつもそこにとどまらない叙情性や美学がある。だから曲作りの方針としてちょっとブラックメタルっぽさもあると思う。こびている訳ではないがメロディアスでもある訳で、tiwitterで目にした「オルタナっぽさ」という形容にもなるほど!と頷ける。
既存の型にはめるのが難しいからといって朦朧とした音楽か?というと、例えば衒学的な難解さで煙に巻く様な”高貴さ”なんてのは皆無であって、それはもう曲を聴けばすぐ分かるだろう。刺さる様な、それでいて鈍器の様な衝撃のあるソリッドな音の塊である。

3人体制という訳で各パートごまかしのきかない状況でそれぞれに個性が強い。
ベースは右に飛騨入りにとにかく動きまくり、強調された低音が溜まった澱のように不穏かつ活発に動いている。ドラムは手数が多いのだが、あえてここって時に音を抜いてくる様な叩き方でこれが猛烈に気持ち悪くてカッコいい。ギターはアルペジオからスラッジーな叩き付け、メロディアスなトレモロまで多彩なリフを披露する。
どれも割とクリアな音質なんだが、なんでこんな地獄の釜のふたが開いちゃいました、な激音、凶音になるのか不思議だ。まあ後述のボーカルもその要素だと思うんだが。
とにかくボーカルがすごいわけで、こちらも安易にハードコアな吐き捨てタイプと安易にくくれない様な異様さがある。若干しゃがれた声。バンドサウンドではどうしても括弧付けた感じが出てしまうのものだが(勿論それがカッコいいのだが)、このバンドのボーカルに関しては括弧付ける事を放棄したかの様な必死さがある。オイオイ暑苦しいなと余裕ぶっていると次第に本気度に当てられてこっちが黙り込んでしまうような、そんな力がある。前もどれかの記事書いたけど必死さが突き抜けてかっこよさになるんだと思う。楽器陣はわりと乾いたバランスの良い轟音なので、ボーカルの切羽詰まった感がむしろとても良く映える。
とあるオンラインショップではToday is the Dayが引き合いに出されていてすごい納得した。あのカオティックさ、ジャンクさ、そしてすでにぶち壊れているのに本人が気づいていないかの様な、どうかしている美しさへの憧憬がある。これは個人的にはばっちりハマる訳です。

身もふたもない言い方なのだが敢えて言うと夢が無い音楽性であると思う。想像性(創造性)が無いことはもちろん全くない(さながら悪夢だ)。しかし夢みがちなドリーミィさの付け入る隙がないのだ。顔も足もある幽霊が包丁を持って襲って来たかの様な奇妙な現実感がある。(幽霊というか鬼かもしれないが。)生々しさ。インタビューを見るとメンバーは40代ってこともあって、それはもう夢だけ見てられない訳で、そこで音楽をやるという決意が、変な話40代にしか作れないソリッドさ(ストイックさ)でもって”現実的”に恐ろしいその音楽に結実しているように見える。「大人のロック」などというといかにも取って付けた様な余裕さが頭に浮かぶが、とんでもねえな、Redsheerこそ「大人のロック」じゃねえかと思う。なぜなら大人になっても現実に余裕なんてできやしないからだ。(これは多分に私的な感情によるが。普通の30代はもっと人生に余裕があってそれを謳歌しているのかもない。)この窒息させるような閉塞感よ!
という訳で窮鼠猫を嚙む用な息苦しい音楽。良い年しても相変わらず生きにくい大人の貴方、是非どうぞ。オススメです。

2014年8月17日日曜日

Oppression Freedom vol.12@新大久保Earthdom 8/14


私がBirushanahに出会ったのはいつだったか忘れたけど、彼らの音楽は大好きだ。音源の数は決して多くないけどどれも楽しんで沢山聴いている。日本には素晴らしいバンドが沢山あるけどBirushanahは今一番好きかもしれない。ただライブに行ったことはない。
そんな彼らがこっちでライブをやるらしい。しかもフランスのドゥームメタルMonarch!と一緒に。今度こそ〜と思って仕事を文字通り放り出して私は新大久保に向かったのであった。
Oppression Freedomというのは日本のデス/ドゥームメタルバンドCoffinsの主催する企画のことらしい。今回BirushanahはMonarch!を招聘して「Blackest Summer」と銘打ち日本各所を巡っている訳だけど、その一環としてCoffinsの企画に出演という流れ。
前述の3つのバンドに加えてFuneral MothとRedsheerの2バンド、合計5バンドによるライブである。
私は19時過ぎに会社を逃げ出し、会場に着いた頃はFuneral Mothは終わっており、Redsheerのまさにラスト直前であった。

Redsheer
3人組のバンドでラストの曲は結構ドゥーミィーな曲展開。
ベースの人が楽器をおろしてフロアにおりて来て絶叫。恐い。これは恐い。なんともヘイトフルだった。すごい格好いい。ちゃんと見たかった…


Coffins
音源はもっているけどライブを見るのは初めて。どうやらボーカリストが交代したらしい。新しいボーカリストは長髪長身で見栄えが良いね。
「平日なのにたくさんの人に来てもらってありがとうございます。それではCoffins始めまーす。」と飄々としたMCにおほーとニヤニヤしているとあっという間に演奏が始まり、それがすげー重々しい音なもんで、えーまだこっちの準備ができてねえよ、という感じが非常に面白かった。
結構カッチリしたデスメタルなんだけど随所に入れてくるクラシカルなドゥームっぽいフレーズやギターソロがアクセントになっていて面白い。ドゥームだから決して速くはないんだけどバスドラムの連打が重くて戦車のよう。ズンズン来る。低速からの加速は気持ちよい。曲はライブ映えして、モッシュやサーフも発生していた。曲はどうみても邪悪かつダークなデスメタルなんだけど、ライブで聴くとこんなに気持ちよいのは不思議。

Birushanah
次はBirushanah。やっとこ見れる。念願の。勿論一番のお目当て。
セッティングからじーっと見てたけど佐野さんのメタルパーカッションは本当に楽器というか金属の塊で出来ているんですね。鉄板、鉄パイプ、タイヤ?、フライパン、ドラム缶と。
セッティング、ドラムソロ(ドラムが康平さんじゃなかったような…)からライブスタート。ギターとドラムでミニマルなフレーズを繰り返す、まさに嵐の前の静けさの様な雰囲気。Isoさんの声は朗々としている。ドラの音がどこから聴こえるんだろう?と思っていたら客席から佐野さんがステージに。メタルパーカッションが一気に曲を複雑なものに。金属的な音、勿論金属をぶったいている訳だから100%金属的だ。聴いたことあります?キンキンしている。超低温の氷がくだける様な鋭い音で震える。そうしていると曲が一気に爆発。Birushanahの音楽はギターもぶっ叩くように演奏する。勿論普通に演奏もするんだけど、聴いたことある人なら分かると思う、あのゴムン!とやるフレーズ。で、ドラムとパーカッションがいる訳だ。こうなると全員打楽器の様なもんだ。だからすごく原始的なのだ。そしてボーカルはデスボイスではないくて、声量のある呪術的な雰囲気のある独特なもの。和音階を意識した曲作りも相まって、太古の祭りの祝詞を聴いているようだ。サイケデリックと称されるのも恐らくここら辺が由縁だろうと思う。私もライブを聴いてそう思った。CD以上の大音量に自然に体が揺れる。滅茶苦茶気持ちよい。とてつもなく巨大なものの心臓の鼓動のようにしっくり来る。たぎるんだけど違和感がない。
佐野さんのちょっと滑舌の悪いMCではっと我に返る感じ。Isoさんが「じゃあ最後に人的欲求やるから」と「ヒニミシゴロナヤココロノトモシビ」からキラーチューンで締め。数え唄もやってくれー!!と思った。
いやー本当にすごかった。多分新曲が中心(といっても数はそんな多くないと思うけど)たっだと思う。やっぱりBirushanahは頭一つか二つ突き抜けているな〜。本当こんな素晴らしいバンドがあるってだけで嬉しい。見れて良かった。

Monarch!
最後はフランスからの刺客Monarch!。最近は追ってなかったんだけど、結構前によく聴いてた。だいたい1曲20分くらいでSunn o)))を思わせる様なデカい音で引きずり回す様な極悪なドゥームメタルを演奏するバンド。ボーカルがかわいい女の子なのが特徴。
照明を落として左右の赤いライトのみ点灯。ボーカルの機材の横に蝋燭をともす雰囲気のあるステージ。
ささやく様なうめく様なウィスパーボーカルをその場で録音、エフェクトをかけて反復させ、その上にさらに声を重ねていく、こちらも悪夢の様な呪術的なスタイルでスタート。
極端にセットの少ないドラムが腕を振り上げ、力を込めて振り下ろす。ギターとベースが同時にどーーん!!音がデケーー!ドラムの人は本当一撃一撃をとんでもない力で振り下ろすもんだからドラムの音が半端無い。太鼓の達人ですよ。で、一撃と一撃の間がとても長い訳なんだけど、よく聴いていると結構リフがはっきりしている。音源だともっと全体が溶けた様な印象だったけど、ライブで聴くと想像以上にソリッド(音の輪郭はデカ過ぎてぶわぶわだが)かつタイト。「ギイーーーーヤーーー」と落下していく様な絶叫ボーカルもたまらん。なんせ口を開けると歯が震えているのが分かるんだもん。腹にくる低音が疑似吐き気みたいで気持ち悪く、それが大変気持ちよいという背徳的な状況。
ラストはハードコアパンクなカヴァー(だと思うんだけど)で今までの鬱憤をはらす様な速度でもって終了。こちらもすげかった〜。

Coffinsが始まる前に物販でIsoさんが前にギターで参加していたCavoとMonarch!の最新CD(大分前にAmazonでオーダーしたのに全然届かないので当日買うという。)を購入。佐野さんがオマケやで〜といってポスターをつけてくれました。どうもありがとうございました。
すごい楽しかったし、折角だから最後バンドの人に感想言えば良かったな〜。