振り返るまでもなく今年はほとんどライブに行かなかった。元々そんなにいく方でもないけどやっぱりいくつか気になるのはある訳で、なかなか足を運ぶことが出来ず、最悪前売りチケットを買ったのに当日いけなくなったという事も何回かあった。ひとえに自分の準備不足の所為としかいいようがなく恥ずかしい限り。
そんなうっぷんを晴らすべく総武線バイオレンスという過激な名称のイベントに足を運んだ。BLOODBATH RECORDS、CAPTURED RECORDS、TILL YOUR DEATH RECORDSという日本の激音レーベルによる共同企画でそれぞれが推すバンドを招聘する、という企画で年末の恒例となっているようだ。参加するバンド数は多くて、今年は全部で10ものバンドが演奏するというまさにお祭り。私は初参戦。というのも音源がとにかく素晴らしいRedsheerをちゃんと見たいというのと、活動休止中だったブルデス/ゴアグラインドバンドAbort Masticationが復活・参戦するという事でこれは!と思った訳です。
舞台となるのはお相撲さんの町両国。Sunrizeというライブハウスは始めていくのだけど、HPに丁寧に道順を解説した(ギチさんという方のとても面白い)動画があがっており方向音痴な私でも難なく到着できた。これとてもありがたい。(比較的駅から近い方だけど私なら余裕で迷うからね)
バンド数も多いので開演は15時から。
すこし遅れて会場に着くと一番手THE幻覚NEONSが演奏を始めていた。フロアにはすでに結構人が入ってました。女性ボーカルのグラマラスな(男の人も御化粧していて派手な見た目でかっこ良かった。)ロックンロールという感じ。当たり前なんだけど生演奏自体夏ぶりくらいなのでおおこれは気持ちよいなと思って地味にテンションあがりましたね。ハスキーなボーカルがかっこ良くていかにもロックな感じだった。折角だから始めから見れば良かった。
2番手はAbort Mastication。
私はこのバンド大好きで未だに「Orgs」は良く聴いている。活動休止期間も大分長いが、メンバーはCohol、Butcher ABC、Ozigiriで活躍していて、満を持してという感じで活動再開で嬉しい限り。お目当ての一つでしたので気持ち的にもあがる。音の方はというと「Orgs」中心のセットで間に新曲を混ぜこんだもの。特に「Orgs」の楽曲は短い中にもこれでもかというほど複雑なリフを詰め込んだものという印象があるのだけど、これを精緻な正確性で持って再現していて驚いた。あとボーカルも高中低の声の使い分けがものすごい。音源通りというとあれなのだが、このバンドの場合はメタルの正確性が持ち味だと思うので、それを大音量でやられたら最高以外の何者でもないわ。Coholでも叩くきょうすけさんのドラムはCoholのそれより速い!この手のバンドの持ち味でもある抜けの良いスネアの乱打が本当気持ちよい。「スコココココ」ってやつね。もっと長いライブが見たいな。このライブで活動は終わらず春には音源をリリースするようで嬉しい限り。
3番手はweepray。
主にライブレポで頻繁にその名前を目にするから非常に楽しみでした。メンバー全員黒い衣装に照明は角度を付けた白色のもののみを使う(照明は終始当て方が同じ)という、ステージングにもこだわりを見せるバンド。音の方はというと分厚い轟音とアルペジオの単音を組み合わせた、これまたこだわりと美学があるもの。攻撃性と儚い美しさを両立させたもので、(恐らく)日本語歌詞と良く合う。ボーカルは絶叫頻度高めでたまにクリーン。ポスト感はあるのだけど、ひたすら美しい、難解であるというよりもっとこう焦燥めいた余裕の無い感じがあってそれが緊張感と危うさを生み出している。そういうところ、非常にすきです。堂々たるステージでしたが何とまだ正式な音源をリリースしていないそうだ。来年は!と言っていたので楽しみに待ちます。あとベースの人のベースの角度が地面に対して垂直に近づきがちだなと思いました。
4番手W.L.D.K.。
京都のはんなりスラッジ。Zenocideとのスプリット「Dirtbag Cartel」を持っているからまあろくな事にはならねえぞ、とワクワクしながら待っていたが果たして期待を裏切らないステージング。まずメンバー上背ある人多くて動きも粗野、やたらとBrujeriaのマーチ着ているし悪い予感しかしない。ドラムセットもなんだかシンバルとタムだかスネアがデカ過ぎ。始まってみれば執拗に反復するスラッジリフに低音でグワグワうめくボーカルとハーシュノイズをのせたもので、リフの徹底的なミニマルさとノイズの奔放さが良い対比になっていて凶悪としかいいようがない。ライブだとすべての音が何倍も増しにされていて酷い。客がステージ向いて一心に頭を振るという邪教の儀式状態に。楽しい。とにかく下品で分かりやすく(褒めてますよ)ライブだと最高でした。ドラムの人の叩き方が力一杯で超かっこ良かった。
5番手vimoksha。
名古屋のバンドなんだけどこちらは全く知らなかった。なんといっても全く知らないバンドを見れるのがこういうイベントの醍醐味ですよね。どうもDjentらしく、私は本当にこのジャンルが分からないので密かに楽しみにしていた。8弦ギター(ネックが超太い、良く弾けるものだなあと)2本に、大小和太鼓のセットを取り入れたバンド。その楽器の布陣もさることながら楽曲もプログレッシブかつクリーンボーカルを大胆に取り入れたもので、前のバンドからのあまりのギャップにビックリ。ギターの人はとにかく指板の上を指が動く動く、曲自体は複雑なのだけど非常にメロディアスなサビやフレーズを導入する事で滅茶苦茶聴きやすい。タッピングやギターソロなど普段耳にしないので新鮮だった。雰囲気が良いバンドで(「アットホームかよ!」と突っ込まれたりしてた。)、「バイオレンスという事で殺伐とした感じで」と言った後に「まあ次はしっとりとした曲なんですけども…」というくだりは非常に面白かった。癒し。音源は未リリースだそうだけどレーベルからでるコンピには入るよということでこちらも楽しみ。
6番手はRedsheer。
とにかく今年リリースした「Eternity」がヘビロテ中なのでこれはと思ったお目当てのもう一つ。一回本当5分くらいライブを見た事あるのでちゃんと見たかった。
で、これがとんでもなかった。どのバンドもすごかったけどRedsheerは頭二つくらい抜けていた印象。音だってW.L.D.K.に比べれば大人しいし、展開だってAbortやvimokshaに比べれば複雑でない。しかしステージングは神懸かり、私は棒立ちになりながら騒然となったものだ。曲が終わればオノザトさんの荒い息がマイクを通して聴こえてくるくらいの必死さ。3人ということで無駄を配したごまかしのきかない演奏は緊張感に満ちている。爆発寸前の危うさ。ボーカルと対比する様なギターの美しさ。音楽というのは波長であって、私はそこになにか自分のものを重ね合わせるように同調したと感じたのであった。それはなんというか切なさであった。孤独と焦燥といってもよいかも。それを強烈に感じた。音楽に対してエモーショナルであると称する事があるけど、Redsheerの音楽はまさにエモーショナルであった。金を払ってみてやるか、という気持ちなんか吹っ飛ぶというか(勿論自分ではそんな気持ちは無いと思っているんですけど。)、なんか抽象画を見ていて、見た事のある風景だなあと思っていたら自分の顔だったみたいな、そんなもう他人事でいられない感覚とでも例えるべきか。とにかく私はこのRedsheerに完全にやられてしまったのであった。ライブの面白さがちょっと分かった。オノザトさんは最後「老い先短いので死ぬ気でやります」とまさに鬼の形相で2016年の意気込みを語っていてこれはとんでもねえぞとなったが、やっぱり長生きしてくれーと思わずにはいられなかった。
という訳でバイオレンスすぎるイベントはまだまだ4バンドを残していてフリーザに相対したZ戦士の様な震えが駆け巡ったのだが、用事があってここで離脱。Zombie Ritualは見たかった…無念。約半分しか見れなかったけどそれでも寒さに凍える胸に灯がともる様なイベントでした。BLOODBATH RECORDS、CAPTURED RECORDS、TILL YOUR DEATH RECORDSの皆様、出演者の皆様ありがとうございました。
Sunrizeも世界のビールがあってすごく良い感じでした(私お酒あんまり飲めないんだけど)。転換中はMotorheadが流れていて涙。(マーチ着ている人も多かったです)
イベント言って思ったのはみんな楽しそうにおしゃべりしていて良いなと。私も来年はもう少しライブに行けるようにしようと思いました。
駅の構内に暴力は犯罪です!というポスターが貼ってあって面白かった。バイオレンス!
0 件のコメント:
コメントを投稿