2015年12月12日土曜日

Totem Skin/Weltschmerz

スウェーデンはボルレンゲ、Falun(ファラン?ファルン?)のクラストハードコアバンドの2ndアルバム。
2015年に複数のレーベルからリリースされた。私の買ったのはデジタル版。
タイトルになっている「Weltschmerz」とはドイツ語で世界苦、厭世を意味する言葉らしい。生と死を混ぜて白でまとめあげた印象的なアートワークはChris Panatierの手によるもの。2012年に3人体制で発足したバンドはメンバーチェンジを繰り返し今は5人体制でやっているようだ。(彼らのFBより)

ダークハードコアとも評されるその音楽性は苛烈なハードコアを基調に、哀切に満ちたメロディを大胆に取り入れたもの。本人たちも自らの音楽性を「Fast,Heavy,Atmospheric」と称している。矢継ぎ早に繰り出される全7曲はまるでブリザードのよう。ブラッケンドとも称されるのは掠れていい感じにイーヴィルな質感を持っているボーカルの片割れと、ひたすら弾きまくるギターリフ故か。ただブラックメタル的な冷たさはあまり感じられなく、ギターリフにしても例えば6曲目なんかは勇壮でこちらを鼓舞してくる様な異常な”熱気”に満ちている。ニヒリスティックでお前を殺して私も死ぬ的なブラック感というより、タイトル通り生きる故の苦しみを悩み抜いた末に熱い気持ちとともにこの世にまき散らした様な気概を感じる。
ざらついた質感のギターの音は確かに今風だが、コンパクトにまとめあげて来たファッション性は皆無で、持てる武器を最大限に有効活用し、過去にリスペクトを捧げつつ、あくまでも伝統に則りその枠を超えようとする温故知新のその音楽性には頭が下がるばかり。なんら奇抜な事はやっていないのだが、人間の表現力(の結果)というのは想像を軽く追い越していく。
メロディアスと言ってもボーカルが分かりやすいサビを歌い上げる訳ではなく、轟音の嵐の中にそのメロディがわずかに終えるもの、アコースティックギターの静謐なアルペジオ、男臭いコーラスワーク、それからバンドアンサンブルで竜巻の中心に突っ込んでいくように爆走するその轟音自体がメロディとなっているものと表現の仕方は様々。どれも飾りっけなし。例えば5曲目なんかは中盤から後半にかけてのクライマックス感は半端無く、暴風雨の中叫びまくる後ろで泣きまくるギターがささくれた旨に火をつける。あったかい。ひたすら五月蝿い音楽何故こんなに涙腺を責め立ててくるのか分からないながらも涙がちょちょギレル激アツな展開に思わず笑い泣きの1曲。リピートが止まらん。

何の気なしにかったらとんでもない音源だった!的な嬉しさ満点の1枚。熱い音楽を聞きてえなという心も体も12月の空気に冷えきった貴方を熱くさせる激オススメの音楽を是非どーぞ。

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