スランス(FBにはバスク州(スペイン?)と書いてあるね…)のハードコアバンドの3rdアルバム。
2015年に複数のレーベルから発売された。私が買ったのはデジタル版。
このバンドの事は全然知らなかったのだが、twitterでフォローさせていただいている方がお勧めしているのを切っ掛けに購入。タイトルの「Malaise」は不安とか沈滞とかそういった意味だそうな。
どうでも良いんだがロデオとつくと途端にミッシェルガンエレファントっぽくなりますよね。ロデオタンデムビートスペクター。
2009年に結成されたこのバンドは自らをブラッケンドスクリーモバイオレンスと称している。オフィシャルサイトのaboutを読むとカオティックハードコアとポストメタルかスクリーモの不快な部分の間の子と書かれている。なるほど確かにちょっと前ならカオティックハードコアと紹介されていた様な音像。FBの影響を受けたバンドにはConvergeやCult of Luna、それからGazaの名前が挙がっていてまさにそこら辺のバンドからの影響をヒシヒシと感じる。
曲は2分台から7分台で通常なら何曲かけそうなアイディアをそれぞれに詰め込んでいる印象。速いし展開も複雑でせわしない。かと思ったらアンサンブル以外の音色も取り入れている激スラッジっぽい曲もある。荒々しく混沌とした音楽性の中にも、例えば前述の音色の豊かさだったり、カオティックの一側面であるマスロックへの接近や、執拗な反復に曲の尺を贅沢に使ったり、劇的なギターのトレモロリフだったりでハードコアから一段階進んだ知性的な方向への指向性が感じられる。ともすると過度に知的な面に接近するあまり、まとまりと攻撃性の欠如に陥りがちなところを、内蔵吐き出しそうな劇的なボーカルと露悪的(ジャケットを見ていただけるとなんとなく彼らの態度というのが理解できそう)とも言える突き放した様な意識的な醜さがストップをかけている。曲の長さも程よくあくまでもハードコアの土俵で戦おうぜという気概が感じられる。8曲目は短く終始突っ走る中にも何とも吐かないメロディが隠れていてこういうところも良い。
4曲目はバイオリンも取り入れた静寂パートが吐き出す様なボーカルから一点、地獄のようなスラッジの展開をみせるもので、ある意味では王道なのだがやはり自分はこういうのに弱くてリピート必死。このスラッジパートもボーカル一本で持っているのではなく、ギターはうねる様なトレモロを奏でる一方で、ドラムとベースがタメのあるもったり感を演出していて結果音の数が多いのになんとも堂々とした異彩を放っている。前半の器用さを見事に台無しにするこの感性!とても好きです。
終始テンション高く、ともすればいかれている位の激音なのだが、そこかしこに知性を感じさせるバンドだなと思いました。音的には荒涼とした風景を感じさせるもので私的にはこういった世界観は非常にツボでした。4曲目ばっかり聴いている。
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