2015年12月26日土曜日

Med,Blu,Madlib/Bad Neighbor

アメリカのヒップホップグループによるアルバム。
2015年にBangYaHeadからリリースされた。
Med、Blu、Madlibという三者のコラボレーションアルバム。
Madlibは西海岸の長命なプロデューサーで私はこの人のみ名前だけ知っていた。MedはそんなMadlibの弟さんでMCとして活躍している。Bluはカリフォルニアのラッパーとの事。
正直全く知らなかった音源なのだが、Twitterでフォローさせていただいている人が褒めていたのでBandcampで購入。最近ハードコアだったり尖った音楽ばっかり利いていたから趣向が異なる音を聴きたかったのです。
3人のコラボレーションなのは間違いないのだが、3人以外にも多彩なゲストMC/シンガーが参加している模様。フィーチャリングがつかない曲は全15曲中3曲しか無い。残念ながら私はゲストも一人も分からなかったのだが。

音の方はというと所謂アンダーグラウンドヒップホップという事になると思う。
アンダーグラウンドというとその名の通り地下っぽい、つまり悪っぽくて煙ったいイメージを持ってしまうけど、ことホップホップに関してはそうではないようで。大学生の時にアングラヒップホップだよと紹介されたのが日本人トラックメイカーのnujabesだったのだが、多分オーバーグラウンドに対するアンダーグラウンドということで、私の耳にはジャズネタをサンプリングしたトラックはむしろ清々しいくらいに聴こえたものだ。
nujabesほどキラキラしている訳ではないけど、この音源も聴いてみればそんなルーツに敬意を払ったピュアなヒップホップに聴こえる。
例えばトラックのベースの部分、恐らくサンプリングしているんだろうけど特にドラムの音が格別で、バスドラのくぐもった感じや、とくにシンバルのクラッシュだったり、シャーーとなる叩き方だったりはもはや美学。
例えばRun the JewelsやDeath Gripsの隠そうともしないサイケな電子音楽をふんだんに使った新しいヒップホップなのだろうが、それらとは明らかに一線を画す。イントロやアウト路にSEだったりを効果的に使っているものの、他は驚くほどシンプルだ。アルバム単位で音の種類が豊富なので豪華に聴こえるのがさすが名うてのプロデューサー故だろう。
和食の一汁一菜を思わせるぶっといビートを構成するドラムとベース音にホーンやオールドスクールなシンセのリフを乗っけて、あとはボーカルがその腕を存分に振るうスタイルである。リリックに関しては残念ながら何を主張しているのかは分からないけど、全体的な雰囲気を通じて悪自慢なギャングスタな雰囲気はほぼほぼない。都会的な雰囲気というのか埃っぽい光の中に坐って眺める巨大な都市の様な趣がある。ただし完全に牙を抜かれたお洒落BGMかというとそんな事は無い。一見伸びやかな雰囲気のなかにもはっとするほどの緊張感が閉じ込められている。
個人的にはMF Doomが参加した7曲目が素晴らしい。ラップとトラックもさることながら終盤の贅沢にとられたピアノのソロが何とも余韻を残して純粋に曲として素晴らしい。メタルのようにぎゅっと詰まっている訳ではないが、音数が少ない分実は自由度が減っているというか、例えるならば五七五のルールで表現の限界に挑戦する俳句の様な美学を感じてしまう。

全くの門外漢ながらとても楽しめた。これはカッコいい。ヒップホップに詳しくない人も是非どうぞ。

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