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2017年5月22日月曜日

Rolling Stoned#8 VVORLD『Highway Shits』Release Party@新代田Fever

日本は東京吉祥寺のハードコアバンドVVORLDが2017年に2ndアルバム「Highway Shits」をリリース。リリースパーティをやるよ、というので行って来た。というのもVVORLD自体がかっこいいのに加えて出演陣がとても豪華なもので。全部で15のバンドが出演。ほとんどがハードコアという大きなジャンルで括られるバンドばかりだけど、中には大阪のスラッジBirushanahや同じく大阪のストーナー・ロックバンドSleepcityなどハードコア以外のバンドも名を連ねていてとても面白いメンツなのだ。
なるべく全部のバンドを見たい派なので私は開演前に行くことにした。会場はFeverでこの日は14時会場だったのだけど、ちょうど一番雨がひどかった時間帯かも。傘をさすけどなぜかいつもびしょ濡れになる男である私はこの日もびしょ濡れで会場に到着。フロアに入るとフロアの左にセットが設けられている。つまりこの日はステージとフロアの2ステージ制で交互にバンドが演奏する。こうすると転換の時間を節約してたくさんのバンドを消化できるというわけ。Feverは広くて綺麗なので物販もバンドぶん対応できていてよかった。
以下感想なんですけどバンドの出演順番間違っている気がしています…。記憶力がなさすぎて違ったら申し訳ないです。

①Self Deconstruction@ステージ
見るのは2回目かな?美少女ボーカル、美人ゴスロリギタリスト、細マッチョドラムとキャッチーかつ情報量が多い見た目と裏腹にステージングと音楽はハード。曲がかなり独特で耳と頭がおかしいので間違っているかもしれないが、あまり反復の要素がない。普通のバンドは激烈でも反復性があるから円を描いて走るんだけどこのバンドの場合は直線で走り抜ける。だから常に今がすごいスピードで過ぎ去って行く。通過している新幹線を呆然と眺めているみたい。グラインドコア/パワーバイオレンスと名乗っているだけあって、たまにくる低速パートがかっこよかった。

②Super Structure@フロア
こちらも2回目。元ネタのFall Silentも聞いたんだけどあまり共通項が見出せない。パワーバイオレンスバンドなのだが、ステージングが凶悪。ただ激しいというか怖い。「パワー”バイオレンス”なんだよ、ふざけんな」という覚悟が滲み出る凶暴性。目出し帽かぶったボーカルもさることながら他のメンバーの動きも切れている。ギター振り回して当たったら危ない、とハラハラするんだけどびっくりするくらいかっこいい。ただただ低速パートのみにフォーカスするようなバンドではなくきっちり速いパートもかっこいいという清く正しい(つまり濁っていて悪い)パワーバイオレンスバンド。

③Enslave@ステージ
見るのは初めて。男女混成ツインボーカルのハードコア/クラストコアバンド。ギタリストも二人なのでメンバーが多い。激しいハードコアを基調に叙情性を取り入れていて、またメッセージ性も強い。日本のハードコアバンドの系譜を感じさせる。男性ボーカルも強いのだが、どちらかというと女性ボーカルの方が鋭く、逆に男性ボーカルは激しい中にも丸みがあってそれが良い対比になっているなと思う。演奏は非常にかっちりしてまっすぐ。見え隠れするメロディラインが高揚感あってかっこよかった。

④Sleepcity@フロア
大阪のストーナーバンド。見るのも聞くのも初めてでドラマーはBirsuhanahでもドラムを担当している。立ち居振る舞いからハードコアとは一線を画す感じでワクワクする。音を出して見ると果たしてかっこいいオルタナティブ・ロックだった。もっと煙たくて怪しげなものかと思っていたのだけど、かなりかっちりしたロック。ファズなのかはわからないけどグシャとした中にもざらついた温かみのある中域が分厚いギターに歌が乗る。歌も歌うと叫ぶの中間で全体的にはかなりエネルギッシュで激しいのだが、どこか気だるい(音楽がとい意味ではないですよ)雰囲気があって、あの頃のオルタナティブを感じさせる。初めて聞いたのになんか胸を締め付けるようなノスタルジーを感じてしまう。モダンなアップデートでオリジナリティのある、単なるリバイバルにならないオルタナティブをプレイするという意味ではSunday Bloody Sundayに通じるものがあると思う。音源が欲しかったけどなかったみたい。

⑤Band of Accuse@ステージ
見るのも聞くのも初めて。福島の4人組のバンドでメッセージ性の強い音楽をやっているとのこと。音楽的にはハードコア/クラストコアという感じ。スラッシーナリフで組み立てられたシンプルながらも力強いコーラスがよく映える男らしい音楽をプレイ。飾らないシンプルなハードコアなんだけど演奏は非常にカッチしていてよかった。やはりソロも入れてくるギターがハードな曲にキャッチーさを付与していると思う。個人的にはドラマーの人がすごくてちょっと独自の癖があるのかわからないけど妙に耳に残る。ヅタヅタ刻むD-ビートも力強くかっこよかった。

⑥System Fucker@フロア
続いてはSystem Fuckerなんだけど個人的にはこのバンドが結構楽しみで。というのもいでたちがすごい。正しいクラストコア(パンク)という感じでボーカルの人は細くそして高いモヒカン頭である。他の人もなんともクラストないでたち。パンクというと一般的なイメージはこうなのかな?この日は異彩を放っていた。メタリックに武装したあくまでもクラストコアという音楽性で、D-ビートに生き急ぐような前のめりの演奏が乗っかる。思っていた通り華のあるボーカリストで、Dis系の男臭いがなり声とはちょっと違うんだけど、無愛想ながなりがかっこいい。この人がフロアを動き回る。上背があり、蹴り上げる踵の高さ!イメージとしてはサメみたい。突進したり、突き飛ばしたりと暴力的なんだけど陽性のエネルギーがあって、(怖いのは怖いけど)なんだか楽しい。フロアにいる人もきっとそう思っていたはず。とても盛り上がっていた。

⑦Fight it Out@ステージ
このバンドも見るのは2回目。今年リリースされた新作がとても良かったのでライブをまた見たかった。ストップ&ゴーを繰り返すショートな楽曲を繰り出すパワーバイオレンスバンドだが、HIp-Hopアーティストをアルバムのゲストに迎えたりと生々しいストリート感を演出した独特の楽曲をプレイする。この日おそらく一番フロアが湧いたバンドだったのではなかろうか。ボーカルの方がフロアに降りてきてからは特に危ないダンスフロアになっていた。ライブで聴く楽曲は改めて肉体的で速度を落とすタイミングが絶妙でみんなが暴れるわけだと思う。鬱屈しているというよりは、断然鬱憤を晴らすかのような爽快感がある。

⑧LAST@フロア
続いては岡山県から車で8時間かけてやってきたLAST。1時間ないステージのために16時間とさらに色々な準備の時間使うのだから本当にすごい。本当ならこっちから行かないと見れないんだもの。ありがたい。専任ボーカルにギター二人の5人組のバンド。日本の伝統を感じさせるメタリックなハードコアをやっている。コーラスワークを大胆に取り入れているという意味ではBand of Accuseに通じるところもあるのだけど、こちらのバンドはもっと曲を凝ったものにしている。装飾性はないのだけど、速度の変更や展開などがあって面白い。最終的にあくまでも肉体的なハードコアであり続けているところにかっこよさがある。ボーカルの人は暑くて前のめりなMCもそうだし、フロアを所狭しと動き回る。ジャンプ力がすごかった。ハードコアの持っている激しくもポジティブな部分が前面に出ていて強いなと思った。(ポジティブでいる方が難しいと思っているので。)

⑨Birushanah@ステージ
続いては大阪の和製トライバル・サイケデリック・スラッジ。Birushanahは大好きなのでこのイベントに名を連ねているのにびっくりしつつも嬉しい。音的には明らかにこの日一番異質でメタルの、それも相当独特なメタルを鳴らしている。この日も特に迎合することなく最新作を中心に毘盧遮那世界を展開していた。メタルパーカッションはさらに楽器が増えて要塞のようになっていた。このバンドは打楽器が二人にギター一人という一見するとアンバランスさなのだけど、ギターが鉄塊のような低音を担当する反面、様々な工業的な廃材で組み上げられたメタルパーカッションがキンキン響く高音でメロディというかその名残のようなフレーズを担当。おまけに最近はボーカルの歌の度合いが強いので見た目よりとっても聴きやすい。やはり最後にプレイした「鏡」にBirushanahの魅力が詰まっていると思う。現実に立脚するのがハードコアならメタルは異世界に連れて行く。この日も短い中でもトリップ感満載だった。
そしてすごいどうでもいいけどボーカル/ギターのIsoさんはとてもお痩せになったのではと思います。

⑩ELMO@フロア
続いて東京のハードコアバンドELMO。もうずっと前になぜか1枚だけCD「Still Remains...」を買って持っている。この日多分一番尖っていたのがこのバンド。低音に特化した極悪なハードコアを鳴らしている。テンポチェンジも多用しているが、基本的には速度は遅め。ボーカルの方はシュッとした人で高い声で絞り出すように叫ぶのが基本だが、たまに這いずり回るような低音も出してくる。この人はひょっとしたらラッパーもやっているのかも。ハードコアでは客に暴れろと煽るバンドは多いのでは。このバンドも煽るのだが、それが変わっていて普通は演者と客の間に共通の連帯感がある場合が多いのだけどこのバンドは観客すら敵くらいのヘイトをぶちまけてくる。非常にヒリついた空気で緊張感が半端ない。ほんのちょこっと見ただけなのでなんとも言えないのだが、そもそもライブってなんでしたっけ?という問題提起にも思えた。

⑪Saigan Terror@ステージ
続いては東京の高円寺のハードコア。見るのは2回目。年季を感じさせるいぶし銀のメタリックなオールドスクール・ハードコアをやっているのだが、とにかく怖い。ボーカルの方の見た目もあるだろうけど音の方も超いかつい。そういった意味では日本のハードコアらしい叙情性というのはそこまでなくて、代わりに攻撃性と速さと重さがある感じ。コーラスワークもシンプルで恐ろしげ。スラッシーなギターはかなり動きの激しいギターソロにも反映されているが、やはり刻みまくるリフがかっこいい。良い感じに音が抜けているのでメタルの重苦しさがほとんどない。どちらかというとロックンロール的だ。このバンドはそのままだと相当怖いのだけど、ギタリストの方のMCでバランスが取れている。よくもあんなに言葉がポンポン飛び出してきて、どれもが面白いものだな〜と思う。

⑫Shut Your Mouth@フロア
続いては昨年1stアルバムをリリースしたShut Your Mouth。こちらも見るのは2回目。こちらも現行型のハードコアを鳴らすバンドで、一気に速度を落とすパートを取り入れた楽曲はハードコア的な踊れるものなのだろうが、それだけではない深みのある独自のセンスがあると思う。叙情的というのは何も装飾的であることでも、わかりやすいメロディがあるわけでもない。このバンドはニュースクールっぽいなと思う。ニュースクールというと激しいハードコアにプラスオンで情報を追加するイメージなんだけど、そこを通過してきているイメージ。2本のギターがリフに加えて奥行きのある要素を曲に持ち込んでいるし、ちょっとFall Silentっぽくもある若さのあるボーカルはとてもエモーショナル。ラストの「Grey World」はかっこよかった!この日一番良かったかも。

⑬SLIGHT SLAPPERS@ステージ
続いてTokyo PowerViolenceスラスラ。今日ボーカリストの方はメガネではなくきらきらひかる眼帯をつけていた。(あとで外してお客さんに優しく(?)かけてあげていた。)前回見たときと同じく妙にポップな前半から後半一気に加速する曲でスタート。このバンドは今風の低速パートをほとんどやらない。音的にもギターは中域を分厚くしたハードコア〜パンクを感じさせるあえて肉抜きした生々しいもの。ショートカットな超特急で突き抜ける。そういった意味ではある種乗りやすいわけではないのだけど、そこをコーラスワークだったり、フリーキーなポップセンスだったりで速いだけでなく曲にフックをつけることで魅力的でステージで映えるもにしている。またボーカリストの人の動きやその他のメンバーのステージング(みんな楽しそう)で明るくて、楽しいものにしている。

⑭Friendship@フロア
フロアのトリはこの夏1stアルバムのリリースがアナウンスされているFriendship。期待値の高さと自分たちの大量の機材を使うことからとりなのだと思う。縦横に2✖️2に積まれたOrangeアンプからとんでもない轟音を鳴らすバンド。(豊富な物販でもSunn O)))のモチーフを拝借したりしている。)超高速と超低速を行き来する楽曲は現行のパワーバイオレンスに括られるバンドだと思う。ひたすら低音に特化した様はELMOに似ているが、あちらはざらついた低音だったのに対してこちらはもっと密度の濃い壁のような低音。また積極的に煽るELMOに対して、こちらはMCなしの楽曲没入型。(要するにもっと無愛想とも言える。)ひたすらブルータルな楽曲を繰り出していく。あえて楽曲に隙間を開けない、また開けても全開でフィードバックノイズを鳴らすやり方で客に拍手や歓声をあげる暇すら与えない無慈悲なストイックさ。ある意味客を置いてけぼりにするようなイメージで、客の方もただ圧倒されて首だけ降っているみたいな状況になっていた。個人的にはやっぱりこのバンドはドラムがすごい。シンプルなセットででかいドラムのパートをでかい音で”一定”のペースで鳴らし続けるのは結構異常事態ではと思う。そういったところも含めて潜行というか窒息感があってすごくかっこいい。

⑮VVORLD@ステージ
イベントのラストはもちろんVVORLD。ライブを見るのは初めて。今年新作された「Highway Shits」のリリースパーティな訳だけどその新作のかっこいいこと。期待度も非常に高かった。改めて生で楽曲を聴くとだいぶ独自の音を鳴らしている。根っこがハードコアだとしても、出ている音はメタルを通過したブルータルなもの。強くデス声めいたボーカルもそうだが、動きの激しいギターもそう。煙たく充満するフィードバックノイズもそうだし、高い音も使ったりしていて相当不穏である。ソリッドというよりはざらついた質感でハードコアのフォーマットでかなり先鋭的で独特な音を鳴らしている。メッセージ性もいわゆるストレートなハードコアのそれとは微妙に異なり毒気のある個性がある。ラストを飾る「Living Hemp」は長丁場のイベントの大団円ということで感動的ですらあった。

全15バンドというとでちょっとしたお祭り状態。ハードコアを基本にしながらも幅広いアーティストを全国津々浦々から一堂に集めるというのは贅沢で非常に楽しかった。こんな機会はそうそうない。まだ知らないかっこいい音楽に出会えたという意味でも非常に良い場所だった。
VVORLDのパーカーとFRIENSHIPのT-シャツを購入。もっと色々欲しかったな〜といつも帰宅してから思う不思議。ライブハウスの外に出てたら豪雨はとっくにやんでいた。雨上がりの濡れた道を気持ちよく帰った。

2015年8月30日日曜日

BIrushanah 魔境-Makyo-リリースイベント @新宿Dues 8/29

2015年8月19日、日本は大阪の3人組トライバルスラッジバンドBirushanahの最新作「魔境-Makyo-」がリリースされた。
その10日後ディスクユニオンのライブハウス新宿Duesでリリースイベントが開催された。
ライブレポートを書くのが1年ぶりということでこの一年ライブに行けてなかった私だが(チケット買ったのに行けなかったライブとかもありました…)、個人的に今年最大級の期待感を持っていたBirushanahの最新作ということで万難を排しても行かねばということで行って参りました。最新作「魔境-Makyo-」に関しては一個前の記事で書いているのでもし良ければそちらもご覧ください。一言で言うと高すぎる期待を全く裏切らない素晴らしい音源です。もしよろしければ是非聴いていただきたい。

Birushanahを見たのは去年のフランスの女性ボーカル激遅ドゥームMonarch!との一連のツアーが初めてでそれ切りでした。(この日メタルパーカッションの佐野さんはMonarch!のバンドT着ていました。)レポートはこちらです。
初めて行ったDuesはとても小さいライブハウスでステージは一段高いものの距離は本当に近い。12時開場ということで15分くらいに入場してぼんやり立っているとギターボーカルのISOさんが物販を始めたのでCavoのCDを購入。「マアカ」はもっているので「カズカ」と「ユシナ」を購入。後一枚でコンプリートできるっす。

少し遅れて12時40分位にライブがスタート。まずは新作1曲目「薔薇小夜も兎」。
まず思ったのはドラムがすごい重たい。サポートメンバーのモトキさんが叩くドラムは一撃一撃が滅茶重たい。スラッジなんだが、速度はそこまで遅くないし、手数も結構多いので重たい連打になって大変な迫力。そこに佐野さんのメタルパーカッションがキンキン乗ってくる。こちらは見た目はすごい厳ついのに(メタルパーカッションという楽器はドラム缶鉄板、車のホイールなどの素材から手作りです。楽器屋にいっても売ってないです。)そこから出る音は結構繊細で美しくもある。キンキンしているのですが、余韻が奇麗で耳にいたくない。それが跳ねる様なリズムで持ってドラムに重なっていく。音が多いリズムは複雑で楽しい。そこにギターがつま弾かれるようにフレーズを反復しつつ乗っかってくる。まだ静かと言っても良いくらいの出だし。これがミニマルに続いていく。段々と激しさを増していき、ISOさんが「ああああーーーーーーーー」と叫んだら地獄の始まり。渦を巻くように弾くギターリフ、そしてズンン!!と抉じるように止める弾き方。打楽器2人どころじゃない、曲の一部では全部打楽器のよな暴力的で物理的な衝撃!これが複雑なリズムと絡み合って体が揺れる。思ったのだが、スラッジであるものの、この速度がBirushanahにとってもは自然な速度なのだ。一番リズムが合う。スラッジだから遅くしている訳ではないんですね。
そこから一気に畳み掛けるイントロの新作の中でも唯一4分台と短い「瞼色の旅人」。激しさと重たさがないまぜになりつつも、朗々としたボーカルが歌い上げる儀式っぽい不思議な曲。スラッジパートを経ての後半の魔術的なボーカルに酔う。
佐野さんのMCを挟んで前作「ヒニミニゴロナヤココロノトモシビ」から「人的欲求」。一点獣の咆哮めいた荒々しいボーカルが特徴的な攻撃的ナンバー。この曲は歌詞も怖いんだが、それもあってかライブではとても良く映える。最後爆走するパートも大変気持ちよい。
再度MCを挟んでラストは最新作のラストでもある「鏡」。ドラムとパーカッションが一体になって5回、7回と繰り返していく叩いていく冒頭でもうやばかった。ここんところ深夜の会社で繰り返しこればっかり聞いていたもんでなんかこうこみ上げるものがありました。ギターがつま弾かれていく。思ったのだが、この反復し段々高まり合っていくイントロというのはまさに魔術めいている。例えば魔法の詠唱のように。細かくライブハウスの空間に音をためていく。小さい音がどんどんたまって緊張感が高まってくる。そうすると本当にもうだめだってところで曲が爆発する様な感じ。アルバムの長いイントロはなるほどすごいカッコいいけど、ライブで聴くともっとすげえなと。要するに間であって、いきなり激しいのはそれはそれで良いものだけど、魔法陣を組むように緊張感を高めて曲を完成させるというやり方もあるのだなと。そうこうしているうちにISOさんのボーカルが入ってくる。ここ私もう多分一緒に歌えるくらいだな。歌わなかったけど。この曲は珍しくサビっぽいところがあるのだが、そこまでくるとこっちはもう死にそうな訳で。そこからの無声パートはライブ的にもばっちり映えて佐野さんもあおってくる。佐野さんがドラを乱打してライブは幕。本当短時間だったけど時間が経つのを忘れた。本当に魔境だった。私はそれを真っ昼間の雨のそぼ降る新宿でかいま見たのだった。幸せでした。

ライブがあまりにかっこ良かったのでパーカを買ってISOさんに「かっこ良かったです」とボソボソしゃべることができました。(ISOさんは次はCavoのあったら全部持ってくるよと優しかったです。)んでもって佐野さんと握手して帰りました。良かった〜〜〜。(折角だからかっこ良かったと思っている事をメンバーに直接伝えたいなと思っていたので。)またライブ行きたいです。音楽は個人的なものなんだけどそれが連鎖するように全体(人と空間)に浸透するようでライブはやっぱり面白い。

Birushanah/魔境-Makyo-

日本は大阪のトライバルスラッジメタルバンドの3rdアルバム。
2015年に自身のレーベルScumzoneからリリースされた。
前作「ヒニミシゴロナヤココロノトモシビ」から2年を経てのリリース。前作に関してはベースの草魚さん在籍時に録音が完了し、その後ベーシストで唯一のオリジナルメンバーである草魚さん脱退に伴ってお蔵入りになっていた事を考えると、編成が変わってからの新しいBirushanahになってからの初音源ということになる。ただしこのアルバムではドラムは康平さんがクレジットされているが、恐らく録音終了後に脱退し、現在ではギターボーカルのISOさんと、メタルパーカッションの佐野さんが正式メンバー。ライブではやじん(佐野さんがやっている別バンド)のドラマーもときさんが叩いている。
私は1st「赤い闇」を発売大分経ってからのファンで、Drain the Skyとのスプリットに収録された「窖」、前述の「ヒニミシゴロナヤココロノトモシビ」も大変楽しく聴いているのでこのニューアルバムというのは今年最大級の期待度だった(もう一個はCult Leaderのフルアルバムかな)。

印象的なアートワークは前作から引き続き彫り師のヨナルテさんの手によるもの。(ヨナルテさんはISOさんとCavoをやっていた方です。)
全5曲で1曲だけ4分台で後の曲はすべて10分を超えている。
相変わらず和太鼓、笛などの楽器を取り入れた和風のテイストを盛り込んだ重苦しいスラッジメタルを演奏している。ドラムとメタルパーカッションという打楽器混成部隊が強烈なリズムを編み出して、その上に重たいギターが乗る。伸びのあるギターリフを無理矢理低音でギュドンと止める様な印象的な弾き方も健在。そしてどこかしら儀式めいた感のある魔術ボーカルが乗っかる。
ただし前作までの流れを概ね踏襲しつつもメンバーチェンジもあって少し変わって来ているかなという印象がある。かなり歌っているアルバムである事。ともすれば難解とも表現される様な長尺の曲を一貫してプレイして来たバンドではあるが、「窖」はとても良い例だが常にメロディ(ただし決して明るくはない。)を曲に取り入れていた。ので別にポップになったという事は無いのだが、今作は歌詞をなぞって一緒に歌えるくらいのメロディがぐわっと前面に出ている。特にラストの「鏡」は私家で聴きながら一緒に歌っているくらい。(大変気持ちよい)もう一つはちょっと上手い言い方か分からないのだが、より生々しくなっている事。前作までは荒々しい音楽である事は勿論だったが、いわばカッチリした様式美も勿論あって一個の劇を見ている様な展開の一つ一つにも時間と楽器(例えば種々の楽器や女性の合唱だったり)を贅沢に使っていたが、今作ではバンド以外の楽器は取り入れつつ、そして移ろい行く展開もありつつももっと生々しくなった。より粗野になった印象。(ただしISOさんのボーカルは高音をとりいれてその表現力をかなり増している。)これが打楽器2人という体制にすごく合っている。より研ぎすまされている。
ドラムがリズムを刻む。キンキンしたメタルパーカッションが踊るように乗ってくる。ギターフレーズがつま弾かれ始める。しばらく無声のパートが続き反復を繰り返しながらも徐々にテンションがあがってくる。いつの間にか轟音に包まれている。と一点朗々とした男らしいボーカルが乗ってくる。気づくとそこは魔境。改めて思うのはリズムがとても重要なバンドであるなと。音が多い分の複雑さもそうなのだが、力強いそれはまさに血を沸かせる邪悪な祭り囃子のようだ。ギターが乗ればまさに聞き手を圧殺しにかかる重たい音楽だが、よくよく聴いてみると跳ねるリズムは踊れるくらい楽しいものだ。歌詞を読んでもなんとなく分かるのだが、恨み節というよりはもっと内面に切り込んでいくストイックなものだ。

という訳で一言で表現すると今作も最高です!こんな記事を読んでいる場合ではないのでさっさと買いにいってくださいませ。面白くかっこ良い。超ワクワクするアルバム。劇的にオススメ。

2014年8月17日日曜日

Oppression Freedom vol.12@新大久保Earthdom 8/14


私がBirushanahに出会ったのはいつだったか忘れたけど、彼らの音楽は大好きだ。音源の数は決して多くないけどどれも楽しんで沢山聴いている。日本には素晴らしいバンドが沢山あるけどBirushanahは今一番好きかもしれない。ただライブに行ったことはない。
そんな彼らがこっちでライブをやるらしい。しかもフランスのドゥームメタルMonarch!と一緒に。今度こそ〜と思って仕事を文字通り放り出して私は新大久保に向かったのであった。
Oppression Freedomというのは日本のデス/ドゥームメタルバンドCoffinsの主催する企画のことらしい。今回BirushanahはMonarch!を招聘して「Blackest Summer」と銘打ち日本各所を巡っている訳だけど、その一環としてCoffinsの企画に出演という流れ。
前述の3つのバンドに加えてFuneral MothとRedsheerの2バンド、合計5バンドによるライブである。
私は19時過ぎに会社を逃げ出し、会場に着いた頃はFuneral Mothは終わっており、Redsheerのまさにラスト直前であった。

Redsheer
3人組のバンドでラストの曲は結構ドゥーミィーな曲展開。
ベースの人が楽器をおろしてフロアにおりて来て絶叫。恐い。これは恐い。なんともヘイトフルだった。すごい格好いい。ちゃんと見たかった…


Coffins
音源はもっているけどライブを見るのは初めて。どうやらボーカリストが交代したらしい。新しいボーカリストは長髪長身で見栄えが良いね。
「平日なのにたくさんの人に来てもらってありがとうございます。それではCoffins始めまーす。」と飄々としたMCにおほーとニヤニヤしているとあっという間に演奏が始まり、それがすげー重々しい音なもんで、えーまだこっちの準備ができてねえよ、という感じが非常に面白かった。
結構カッチリしたデスメタルなんだけど随所に入れてくるクラシカルなドゥームっぽいフレーズやギターソロがアクセントになっていて面白い。ドゥームだから決して速くはないんだけどバスドラムの連打が重くて戦車のよう。ズンズン来る。低速からの加速は気持ちよい。曲はライブ映えして、モッシュやサーフも発生していた。曲はどうみても邪悪かつダークなデスメタルなんだけど、ライブで聴くとこんなに気持ちよいのは不思議。

Birushanah
次はBirushanah。やっとこ見れる。念願の。勿論一番のお目当て。
セッティングからじーっと見てたけど佐野さんのメタルパーカッションは本当に楽器というか金属の塊で出来ているんですね。鉄板、鉄パイプ、タイヤ?、フライパン、ドラム缶と。
セッティング、ドラムソロ(ドラムが康平さんじゃなかったような…)からライブスタート。ギターとドラムでミニマルなフレーズを繰り返す、まさに嵐の前の静けさの様な雰囲気。Isoさんの声は朗々としている。ドラの音がどこから聴こえるんだろう?と思っていたら客席から佐野さんがステージに。メタルパーカッションが一気に曲を複雑なものに。金属的な音、勿論金属をぶったいている訳だから100%金属的だ。聴いたことあります?キンキンしている。超低温の氷がくだける様な鋭い音で震える。そうしていると曲が一気に爆発。Birushanahの音楽はギターもぶっ叩くように演奏する。勿論普通に演奏もするんだけど、聴いたことある人なら分かると思う、あのゴムン!とやるフレーズ。で、ドラムとパーカッションがいる訳だ。こうなると全員打楽器の様なもんだ。だからすごく原始的なのだ。そしてボーカルはデスボイスではないくて、声量のある呪術的な雰囲気のある独特なもの。和音階を意識した曲作りも相まって、太古の祭りの祝詞を聴いているようだ。サイケデリックと称されるのも恐らくここら辺が由縁だろうと思う。私もライブを聴いてそう思った。CD以上の大音量に自然に体が揺れる。滅茶苦茶気持ちよい。とてつもなく巨大なものの心臓の鼓動のようにしっくり来る。たぎるんだけど違和感がない。
佐野さんのちょっと滑舌の悪いMCではっと我に返る感じ。Isoさんが「じゃあ最後に人的欲求やるから」と「ヒニミシゴロナヤココロノトモシビ」からキラーチューンで締め。数え唄もやってくれー!!と思った。
いやー本当にすごかった。多分新曲が中心(といっても数はそんな多くないと思うけど)たっだと思う。やっぱりBirushanahは頭一つか二つ突き抜けているな〜。本当こんな素晴らしいバンドがあるってだけで嬉しい。見れて良かった。

Monarch!
最後はフランスからの刺客Monarch!。最近は追ってなかったんだけど、結構前によく聴いてた。だいたい1曲20分くらいでSunn o)))を思わせる様なデカい音で引きずり回す様な極悪なドゥームメタルを演奏するバンド。ボーカルがかわいい女の子なのが特徴。
照明を落として左右の赤いライトのみ点灯。ボーカルの機材の横に蝋燭をともす雰囲気のあるステージ。
ささやく様なうめく様なウィスパーボーカルをその場で録音、エフェクトをかけて反復させ、その上にさらに声を重ねていく、こちらも悪夢の様な呪術的なスタイルでスタート。
極端にセットの少ないドラムが腕を振り上げ、力を込めて振り下ろす。ギターとベースが同時にどーーん!!音がデケーー!ドラムの人は本当一撃一撃をとんでもない力で振り下ろすもんだからドラムの音が半端無い。太鼓の達人ですよ。で、一撃と一撃の間がとても長い訳なんだけど、よく聴いていると結構リフがはっきりしている。音源だともっと全体が溶けた様な印象だったけど、ライブで聴くと想像以上にソリッド(音の輪郭はデカ過ぎてぶわぶわだが)かつタイト。「ギイーーーーヤーーー」と落下していく様な絶叫ボーカルもたまらん。なんせ口を開けると歯が震えているのが分かるんだもん。腹にくる低音が疑似吐き気みたいで気持ち悪く、それが大変気持ちよいという背徳的な状況。
ラストはハードコアパンクなカヴァー(だと思うんだけど)で今までの鬱憤をはらす様な速度でもって終了。こちらもすげかった〜。

Coffinsが始まる前に物販でIsoさんが前にギターで参加していたCavoとMonarch!の最新CD(大分前にAmazonでオーダーしたのに全然届かないので当日買うという。)を購入。佐野さんがオマケやで〜といってポスターをつけてくれました。どうもありがとうございました。
すごい楽しかったし、折角だから最後バンドの人に感想言えば良かったな〜。

2013年7月14日日曜日

Birushanah/ヒニミシゴロナヤココロノトモシビ

日本は大阪のトライバルスラッジメタルバンド、Birushanahの2ndアルバム。
2013年に自身のレーベルScumzoneからリリース。
Birushanahは2002年に結成されたバンド。バンド名の由来は毘盧遮那で毘盧遮那仏とも。大日如来という仏様のお名前です。基本はサイケデリック要素のあるスラッジメタルですが、比較的長い尺の曲の中では時にゆっくり、時に速く、かなり複雑な展開をもった曲が特徴。ここまではほかのバンドでもならせる範疇かもしれませんが、このバンドはここにメタルパーカッションと和音階という二つの得意な要素を取り込むことでその音楽性を唯一無二なもの足らしめています。

メタルパーカッションは文字通り鉄をたたいて音出しており、キンキンという独特の金属音、ドラム缶をたたいているようなからっとしたぱらぱら音、同じ打楽器にしてもやはりドラムとは一線を画すグシャっとした重い打撃音、これらがバンドにほかのバンドにはない重々しさを加えています。聴く分にはすごい格好いいのですがその衝撃たるや凄まじく、オフィシャルサイトでギターボーカルのIsoさんはこう書いています。「響きはいいが、ただ鉄を叩くその破裂音の振動は脳を揺さぶり骨まで軋ませる。そのせいかとにかく俺の記憶力は特に最近は劣化が激しい。」物理的破壊力を持った恐ろしい楽器ですね!

私は彼らの1stアルバム「赤い闇」を買って好きになり、アメリカのハードコアバンドDrain the Skyとのスプリット収録の「窖(あなぐら)」で完全に打ちのめされたものです。多分後者はリリースされた2009年一番聴いた曲だと思います。女性の混成アカペラから始まる18分のスラッジ絵巻に虜になったものです。

この作品は2010年から2011年に録音されたものだったのですが、バンドの創始者にしてベーシストでリーダーであったSougyoさんが脱退してしまったためお蔵入りになっていたのですが、2013年になってからめでたく発売されることになったそうです。本当にもう待ちわびたリリースです。不思議なタイトルは歌詞カードによると「日に見し頃なや、心の灯火」。
Sougyoさんはフレットレースベースを使っているらしく、ぶおーんという特徴的な音使いが非常に格好いい。じゃららんとまるでギターのようにも弾いて、兎に角多彩かつ巧みなので脱退は非常に残念…。

全4曲で3曲目「受戒」が17分弱と長い尺ですが、ほかの曲は5分、7分、3分と今までの彼らからしたら少し短いですね。

1曲目「人的欲求」
金属の上を滑らすようなメタルパーカッションの乱打でスタート。ドラムは一撃が非常に重く、バスドラムはマシンガンのよう。重々しいギターがバンド特有のリフを奏でるのですが、イントロだけでBirushanah節が全開。ちょっと聴いただけですぐにKoreHaBirushanahDa!とすぐわかるのがすごい。あやしい裏声っぽい叫び声にぶおんぶおんうなるベースがたまらない。
2曲目「数え歌」
ぐまぐましたベースからの日本の伝統的音楽のような節回しのぐにゃっとしたボーカルでスタート。この曲は全編ギターボーカルのIsoさんの魅力がふんだんに詰め込まれております。Isoさんの叫び声はまさに絶叫という感じで個人的に大好き。変な言い方なのだけどすごい必死な感じがあって訴えかけてくる感じが半端ない。すごみがあるのに時に懇願するようで強さと弱さが同居したような独特の声。中盤からはもうカオスで極楽浄土につれていかけること必至。
3曲目「受戒」
混成男声、和笛を大胆に取り入れた実験的な曲で、テクニカルなベース、キンキンしたメタルパーカッション、生々しいギターのフィードバックノイズが素晴らしい一大スラッジ地獄絵図。過去の曲にもあった静と動の対比が強調されていてるのだけど、今回は曲の後半の静かなパートが今までにないプログレッシブな感じから一転、急に伝統的な和笛が入ってくるところがすげー。
4曲目「小松」
3分弱のコンパクトな曲で、アウトロっぽい役割なのかな?揺れるような跳ねるようなリズムが高揚されるようなボーカルと相まって気持ちいいです。

かなりかわった異形の音楽であることは間違いないです。しかしこの堂々とした様はどうだろう。卑屈なところはいっさいない、正面から正々堂々歌い上げる(まさに歌だと思います。)素直な音楽性であると思います。Sougyoさん脱退は悲しいけど、早くも次の音源が楽しみでならないなー。どのくらい先になるか分からないですけど、活動を続けてくれるだけで嬉しい。

素晴らしいですね。期待の遥か上をいく素晴らしさでした。私の言葉で彼らの音楽のすごさがちっともうまく伝えられないのがもどかしいです。兎に角たくさんの人に聴いていただきたい。これを機会に是非聴いてみてください。