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2018年4月3日火曜日

dues presents “Crazy Daytime Daze” Vol.1@Dues新宿

日曜日の昼間からSuper Structureがみれるというので新宿に行くことに。場所はディスクユニオンが経営する小さいライブハウス(立ち見で60人入るらしい)Duesで、企画したのもこのライブハウス。SSの他にネムレスとFive No Risk。ともに関西を拠点として活動しているアイドルとバンド。ネムレスはボーカルの方が前にやっていた細胞彼女のCDを持っている。Five No Riskは名前しか知らなかったので非常に良い機会だと思った。
Duesに来るのは久しぶりでやっぱり小さい。人は結構はいっていたと思う。

Super Structure
1番手!東京で活動するハードコア/パワーバイオレンスバンドSuper Structure。単独音源はないバンドでライブハウスで何回か見ている。ニュースクール・ハードコアが狂気に駆られた(バンド名の元ネタはアメリカ合衆国ネヴァダ州リノのハードコアバンドFall Silentの2ndアルバムからとっている)、いかついストップ・アンド・ゴーのパワーバイオレンスとはちょっと毛色が違うのだが、これがすごく格好いい。この距離で見れるのは非常に嬉しい。本当はギターが2本(メンバーが多忙なので1人はヘルプのことが多いようだ)なのだが、この日はヘルプも入れない4人体制。ボーカルの人は背中に花があしらわれたかわいいTシャツを着ていたがやっぱりバラクラバをしっかり着用。
遅くなるパートはあくまでもニュースクール・ハードコアの流儀で冗長なスラッジさは皆無で短い曲を全力疾走する。音も低音に偏重していないが、ファストコアでないのはドラムのリズムを聞けばわかる。ニュースクールの中速をブーストさせて高速にしているが、落とすところはきっちり落としてくる。この落差が非常にブルータル。ギターの音もひたすらザクザク刻んでいくだけでなく、中音域を拍の中に詰め込むような動きのある弾き方も混ぜ込んできてメリハリが効いている。そんな凝ったバリエーションをめまぐるしいヘイトの混沌にぶち込んでノイズまみれに吐き出しているのが本当かっこいい。理解されること拒否しているような無愛想さにあこがれてしまう。
今年はいよいよ音源出るんですよね。本当楽しみ。ライブももうまた見たいもんね。

ネムレス
続いてはネムレス。思えばアイドルのライブってBabymetalくらいしか見たことないかも。あれは凄く大きい会場だったから、この距離でアイドルを見るってどんなことなんだろう、って個人的にはかなり楽しみだった。
アイドルというのはおそらくプロジェクトみたいになっているのだと思うけど、ネムレスのライブは曲はオケで流して女の子が一人ステージに立って歌う。女の子は宇宙服をワンピースにしたみたいな可愛い衣装を着ていて、振り付けとともに歌を歌う。とにかく情報量が多くて圧倒された。
曲は細胞彼女のときもそうだったけどかなりマニアック。まずリズムが複雑だもの。細かく刻みまくるブレイクコアやぶっといドラムが明快に刻んでいくガバのようなうるさいビートが土台になって、そこにちょい前のEDM(ブヒュブヒュいうやつ)や、ギター(打ち込み)の乱暴なブレイクダウンを入れたりする。声はエフェクトを掛けたり、普通に歌ったりだがここでも童謡(「とおりゃんせ」)を取り入れたり、要するに色んな要素を色んなジャンルからとってきて一つにまとめるのが「アイドル」というジャンルなのかと思った。どれもまろやかに加工してあるので悪意ある剽窃というより、音楽的な懐の広さを感じさせてマニア心をくすぐってきて面白い。これを聞いて例えばハードコアのパクリだ!なんて言う人はいないだろう。うるさい上モノにピカピカした音をまぶしてあって個人的にはおもちゃ箱をひっくり返した様な感じでかわいいと思った。
女の子も曲に合わせて表情豊かにくるくる動く。メタルやハードコアのライブだと必然的に演者の愛想は悪くなるから、女の子がはつらつとしているとギャップが凄くて、やはりかわいいだよな…と思ってしまう私はおじさん。
お客さんの方はやっぱり結構気合が入っていて、合いの手というのかヲタ芸なのかわからないがやっぱりコールとか体の動きがすごい。はじめはちょっと戸惑うけど結構こちらも楽しくなってしまう。
曲が未完成ということは全然ないけどこういうライブと言う場でアイドルというのは本領発揮と言うか、完成していくのだなと思った。物販お品書きがあったり、最後尾を示すパネルがあったり、そういう文化の差異も面白い。終演後はチェキを取るやつもやっててすごい!アイドル!!と思った。


Five No Risk
大阪のバンドは枠をいとも簡単に超えてきてこともなげに面白い音を鳴らしている印象が強い。BirsuhanahとかVampilliaとか。このバンドもそういう期待を持って見たんだけど見事にその先入観は裏切られなかったね。ハードコアといってもいかついそれとは違う、音を意図的に軽くしたもの。ジャギジャギして重たくない。なんとなくFugaziを彷彿とさせた。男らしいコーラスワークは日本のハードコアの影響を受けたもの。それからピュアであろうとすれば排除されていく雑味を臆面もなく取り込んでいく。スカを思わせる軽快な裏打ちのリズム、ジャズっぽいすべるようなフレーズ、メロディアスなギターソロも大胆に取り入れ、ロックンロールの要素も色濃く感じられた。曲自体はかなり複雑なことをやっていると思うのだが(演奏はしっかりしているし、なめらかに曲が展開していく。)、”わかりやすさ”(アンダーグラウンドでは敬遠されることもある)を強烈に意識していて、一緒に歌える(叫べる)コーラス、それからメロディアスなメロディ。ただ爽快だけのメロコア方面ではなく、喜怒哀楽を巻き込んだこぶしの利いたくどいオリジナリティのあるハードコアに落とし込んでいる。それはまさに人生の酸いも甘いも混ぜ込んだお祭りハードコアとも呼ぶべきもので、大阪らしいユーモアで辛いことも笑い飛ばしちまおうというポジティブさに溢れたものだ。これは盛り上がらないわけはないだろう、ってくらいに盛り上がる。曲は全く知らないけどとにかく楽しい。ボーカルの人は早口でまくし立てる、ハードコアらしくしゃがれた声で叫ぶ、艶のあるクリーンでメロディアスに歌い上げる、演歌みたいにこぶしを利かせる、矢継ぎ早にそのスタイルを変えていく。後ろで鳴っている曲も引き出しの多さを活かしてとにかく振れ幅が大きい。面白くあろうとすることって人を楽しませようとする利他の精神だよな、と思わせる素晴らしさ。超元気が出た。格好良かった。

ハードコアとアイドルというジャンルの違いはあるけど、結構どのバンドもお客さんは変わらずその場にいて楽しんでいるようだった。とくに関西の両者は楽しませる、というところがすごく意識されていた。関西の人が面白い、っていうのはギャグを言うとかでなくてこういう精神なのかなと思った。(そうすると関西の人は面白いというより、関西の人は優しい、ってなるのかも。)単純に出している音もぶっ飛んでいるし、関西に対する勝手な憧れがさらに強化。一方Super Structureは一切媚びないハードコアスタイルでやっぱり格好いい。
三者三様で全く放埒なイベントだったが、フロアはどの演者のときもそれぞれ盛り上がり皆さん楽しそうだった。これってひょっとしてこういう距離が違いライブハウスでないとできないイベントだとしたら、小さいライブハウスというのはそれだけで非常に価値がある場所だよね。
Five No RiskとネムレスのCDを購入して帰宅。いいイベントでした。

2017年12月3日日曜日

FAIRLYSOCIALPRESS presents [BOYS DON`T CRY 5]@初台WALL

たまにあることだけど12月2日(土)のライブイベントのかぶり方と行ったら豪華という水準を高く通り越し、もはや残酷だった。スケートパークで轟音に浸るというのも一興だし、killieの凄まじいライブをもう一度みたいというのもある。しかし自分は何回かライブを見たSaigan Terrorというバンドがよく消化できなかったのでその音源欲しさに初台に行くことにした。この日はSaigan TerrorとFight It Outのスプリット7インチのレコ発なのだ。日本のヒップホップのアーティストも名を連ねているので、ヒップホップのライブも見てみたいな、という気持ちもあったので。
ライブハウスにつくとすでにもうかなりの客が入っていてかなりキュウキュウだった。WALLは入り口に「〇〇(多分バンドなのだろう)の☓☓とヴィジュアル系出入り禁止」みたいな張り紙がしてあり、私はどうみてもヴィジュアル系ではないがなんというかハードコアな雰囲気がしてちょっと怖いと思う。(実際怖めの人が多かったし、私のようなオタクっぽい人がいなくてさらに怖いというのがあります。)
ステージの前が不気味に人がいなくて不穏であり、これを見るとハードコアのライブに来てしまった…という感じがする。

Super Structure
一発目はSuper Structure。私は何回か見ているけど見るたびに好きになる、このバンドに関しては。この日もかなりとんがった音を出していた。後のFriendship、Fight It Outはとにかくパワーと音量がでかい。Super Structureも音はでかいのだが曲の方はもっとカオティックだ。別にプログレッシヴだ、カオティック・ハードコアだというのではないが、もっと混沌としている。変な言い方だがどの楽器もフルスピードで鳴らしまくった音が重なると奇跡的に曲に聞こえる、みたいな雰囲気がある。この日共演するバンドと比べると音はもっとざらつき、音の数は多い。パワーバイオレンスといっても流行とは一線を画す内容でもっとラフだ。例えば地獄のようなスラッジパートがあるわけでもない。甲高い、と評しても良いボーカルが激しく細かく忙しないバンドアンサンブルにさらにカオス感を注入している。バンド名は(あとから知ったのだけど)USのニュースクール・ハードコアバンドFall Silentの2ndアルバムからとっていることもあり、ルーツとなっているのがそういった音楽なので、パワーバイオレンスたろうとするパワーバイオレンスバンドとは明確に違う音に仕上がっているのではなかろうか。まさしく鉄砲玉、それも恐ろしく命中率が悪く乱射しまくるような凶悪なバンドで、ラストにやった「Despair」(だと思う。唯一気軽に聴けるこのバンドの音源でもある。)には中盤にギターの高音を響かせる地獄のようなモッシュパートがある。非常に格好いいのだ。私がお金持ちだったら最高の環境で音源を録音してもらうのにな、といつも思う。(音源出してほしいです。)

Friendship
続いてはFriendship。今年アルバムが出てからはみたっけな?結構見る回数が多いのは色んなイベントに招かれているからだろう。全くフレンドリーではないが、普通の意味とは違うキャッチーさがあって、それがわかりやすく”ハードコア”なので少しジャンルをまたぐようなイベントに引っ張りだこになるのかな、と思う。
Super Structureの直後ということもあって両者の違いが明確になる。こちらも非常にやかましいが音の数はぐっと減る。数というか密度だろうか。とにかくキチンと音を抜くことで重苦しいのに閉塞感から適度に脱しており、過密のコントロールが上手いのか、その結果ある意味ハードコアの枠組みだけ残したみたいな音楽になるのだが、それが非常に頑強で非常に暴れられる。初めてFriendshipを見た人でも絶対すぐに「のれ」ると思う。相変わらず一切MCはなく、ボーカルはほぼフロアに降りて歌う。毎回すごいと思うのは一切一体感は演出しない。シンガロングパートはもちろんないし、フロアに降りるボーカルも急に回りの客に向けてタックルを仕掛けてくる。みんなで楽しくモッシュ!って感じでもない。曲もそうだし、こういった姿勢の作り方というのも非常によく考えられている。「策士だね〜」というのではなくて、茨の道を我が物顔で進むな〜という感心の気持ちのほうが勝ってきた。若手、というのだけでなく、例えば私のような門外漢にとってのハードコアのゲートウェイになっていてそういった意味でもすごいバンドだ。

CENJU from DMC
続いては日本は東京のラッパー。実はヒップホップのライブを見るのは初めてかな?結構楽しみにしていた。CENJUはがっしりとした高身長と体躯に恵まれた大男でかなり迫力がある。低音のラップパートを同期させてそこにラップを被せていくように進む。これは合唱で言う下のパートってことだろうか。ヒップホップのライブは(他のラッパーは違うかもだけど)こうなんだな!と面白かった。強面なのは外見だけでなく、かなりハードな内容を噛み砕いた言葉でリリックにしたためるアーティストらしく、(ストリートのなんたるかを知らない私が言うのもちょっとおかしいのだけど)”ストリート感”のあるラップを披露する。つまりリアルでアンダーグラウンドな世界観である。悪いのだ。音の洪水を通り越し、もはや壁(WALLというライブハウスの名前は非常に格好いいと思う。)になっているハードコアとは全然ちがう音の数だ。とにかくシンプルに限界まで削ぎ落としたトラックが鋭い。そして鋭いだけでなく、煙たい、ダルいを表現する。これが良い。よくヒップホップのラップでは「スキル」という言葉が浮き彫りになるが、一人でステージに立つ(そうでない場合も多いが基本的にラップをするときは一人だ。)ラッパーは露骨にその出来にごまかしが効かない。タフな役回りだ。(それ故かっこいい。)CENJUは韻を踏みつつ結構フリーに煽ってくるタイプで客席を大いに沸かせていた。見た目に反して声は少し甘い感じがあるのが個人的には良かった。

Fight It Out
危ないことになるから後ろに下がったんだけど結局ダメでした…。
続いては横浜シティのパワーバイオレンスバンドFight it Out。この日の主役の片方でもある。バイオレンスを音にしたらこうなりました、というバンドで今年発売された3rdアルバムは私のようなオタクも聞いていると何か自分が強くなったように錯覚するようなブルータルなアルバムだった。ライブはモッシュ天国(普通の基準で考えればなぜ金を払ってそんなことを?と思わずにはいられない地獄)になるのは何回か見てことがあるので私は後ろに下がった 。WALLは後ろに長いライブハウスなのだが結果から言うとこの長さを活かした縦長のピットができて、だいたいほぼほぼ安全地帯がなし。全員が当事者に。
音の作り方はFriendshipと似ているモダンで金属的で良い感じに音の数を落としたものだが、こちらはもうモッシュに特化していると言っても良いかもしれない音で、Friendshipのような黒いヴェールのようなものもない粗野な音像。激速と激遅(げきおそ)を行ったり来たりするくせに神経症的な痙攣という病的な感じではなく、暴力性の発露のような運動性が特徴。そういった意味では健康的なのだろうか。あっという間にフロアにヘイトが感染して凶悪なモッシュパートが出来上がる。ボーカルの人はほぼフロアにいたのはFriendshipと同様だが、こちらはシンプルながらシンガロングできるパートがあったりしてモッシュピットに一定の法則、というよりは一つの指向性があったように思えた。腕を振り回す人、足を振り回す人、タックルをかます人、マイクを取りに(一緒に歌おうとしてね)行く人、サーフする人(カオスなのであまり長く上に居続けられない)、もみくちゃで後ろの方にもピットの動きが人を通して伝わってくる。ライブと音源の違い、というの一つのテーマに対する回答を明確にFight It Outが示し、そしてライブ(ともするとライブのみ)がリアルである、というのもうべなるかな、という状況でした。

ILL-TEE
つづいてはILL-TEE。DJの他にもう一人ラッパー、多分MASS-HOLEという人かな?がステージに立つ三人体制。トラックの内外とわず自由にやるCENJUに比べるとこの二人のラッパーはかなりかっちりタイトにトラックにリリックをはめ込んでくる。小節頭に言葉の喋りだしが噛み合ってこれはこれで非常に格好いい。やはりリアルな感じのするリリックだったと思うけど(固くて低い声質もあってCENJUに比べるとやや聞き取りにくい場面もあった。)、もう少し言葉遊びと陰陽の陽にあたるようなリリックもあってヒップホップの楽しさ、というのがわかりやすくそして最大限に発表されるようなステージングだった。ある意味淡々と韻を踏んでいくスタイルではじめは聞き惚れるような感じなのだけど、トラックとのかみ合わせが非常に良くてどんどん気持ちよくなってくる。フックのようなものもあってわかりやすい。ハードコアという明確に違うフィールドで徐々にヒップホップの楽しさ、というのがじわじわ浸透してくるようなライブでやはりもう最終的にはかなり前の方は盛り上がっていた。トラックがシンプルでビートが強いので実は乗りやすい、というのはあると思う。真面目と言っていいほどしっかりしていて格好良かった。

Saigan Terror
続いては東京高円寺のハードコアバンドで結成は1997年(素晴らしいインタビューより)。クロスオーバー、つまりこの場合はハードコアに刻みまくるスラッシュ・メタルをかけ合わせた音楽で私は何回かライブを見たかな?格好いいんだけど言語化するのが難しいな(音源もいまでは廃盤状態なので。)と思っていた。本日はスプリット発売の主役で堂々のトリ。
改めてライブを見るとこんなに重かったっけ?となったブラストビートが冴えまくり、ブラストビートに乗って突っ走るさまはもはやTerrorizerでは!?と思うくらい凄まじかった。よくよく聴いてみるとなるほど確かにグラインドコアというには音が良い感じに抜けていて、より疾走感が強調されているけどそれでも軽薄ということはまったくない。ブラストビートにすべてを掛ける、という音楽性でもなく、シンプルな2ビートが土台を作りそこに凝ってはいるが決してスピード感を減じさせない”刻み”のスラッシュリフが乗る。この日ドラムとともにすごいなと思ったのはベースで、おそらくエフェクターを噛ませて幾つかの音をコントロールしているのだが、かなり硬質で刻みのリフと相対するようなガーンとアタックしたあとミュートしない弾き方が、硬い地面に金属が跳ね返るような強烈さで非常に格好良かった。この日前の3つのバンドは共通点があってそれはとにかく突っ走るときは突っ走る、ということだったが、Saigan Terrorは速度はあってもミュートを用いたリフにはつんのめるような独特の粘りのあるコシが生まれているところが明確に異なる。つまり何が言いたいかというと他のバンドにはない「グルーヴィ」さが生まれていた。これはとにかくピットに反映されていて、Fight It Outの殺伐としてたピットと比べると同じことをやってい人はいるのだけど、もう少し多様性があり、ステップを踏む人やそれこそ女性の人もいた。そして沢山の人が笑顔だったのが一番印象的だった。危なくないわけではないけど、それを圧倒的に上回る楽しさ。ギタリストの方のキャラクターやMCもそんな雰囲気を作り出していくことに大いに寄与していると思う。 20年の貫禄がバチバチ発揮されていた唯一無二のサウンドだった。

もちろんスプリット音源(とZine)を購入してほうほうの体で帰宅。終始激しかったけど楽しかった。ライブを見に行く醍醐味に知らないバンドを知れる、というのがあると思うがそういった意味ではハードコアとヒップホップとクロスオーバーなイベントで知らないジャンルを垣間見れてよかった。

2017年7月23日日曜日

SUPER STRUCTURE presents "NO STRENGTH TO SUFFER vol.5" -TRAGIC FILM「Violent Works」 Release Show-@西荻窪Pit Bar

アメリカ合衆国はネバダ州リノのハードコアバンドFall Silentが14年ぶりに復活。
EPもリリースしてその流れで来日するという。
私は完全に後追いで「Drunken Violence」をなんとなーく買って見たら大変かっこよかったのでその後来日のニュースが出たからには行かねばなるまいと足を運んだ次第。
都内を中心に結構ぎっちり色々なバンドと共演していたのだが、私的には金曜日に西荻窪に足を運ぶことに。たまたま日程の折り合いがつかなかったので行けるのがこの日だけだったのだが、初めていくPitBarはとても小さいライブハウス。西横浜のEl Puenteよりは大きいかなくらい。19時開場で20時前につくとすでにライブハウスは満杯状態。
この日は特別にPitBarのキャパが2万人まで増えたらしい。メンツもあってかとにかくハードコアな方が多い。ガタイが良くおしゃれ。こういうところにうっかり紛れ込むといつ「テメー、ポーザーだな」とバレてボコボコにされるのではと内心とてもビクビクしている。バーの女の子のシャツがExtortionだった。ライブハウスで働いている女の子、可愛い子、多くないですか?気のせい?

Super Structure
一番手は企画の主催者Super Structure!バンド名のSuper Structureはもちろん本日トリを務めるFall Silentの2ndアルバムからとったもの。ちなみに企画名は1stから取っている。ある意味Fall Silentに対する日本からのアンサーなバンドなわけで、メンバーの方々は一体どういった気持ちで今日のステージに立つのかと思うとすごくワクワクしてくる。のっけから緊張感がバチバチだったが始まった瞬間に圧倒的な加速力で最高速を迎え、フロアが地獄の様相に。New SchoolなFall Silentに対して圧倒的にパワーバイオレンスなSuper Structureなので音の表層は違うのだが、Fall Silentの持つブルータルさを拡大解釈したかのような音楽性に、狭くかつ密集したフロアで腕をぶん回すもの、足を振り上げるもの、人の上に乗っかるもの、タックルするものと、さながら与太者の大博覧会。暴風域から後ろにいたものの押したり引いたりでまっすぐ立っていられない状態。メンバーのやる気が見ている側に見事に伝染していく素晴らしいライブだった。なんせやっぱり曲が良い。最後にやった高音が血液とアドレナリンを爆発させるキラーチューンもそうだけど、体が思わず動いちゃうような扇情的な暴力性がかっこいい。何としても音源が欲しい。

Saigan Terror
続いては高円寺のスラッシュコアバンドSaigan Terror。相変わらずギタリストの方のMCが面白い。この日はお酒を飲んでないんだよな〜とぼやいておりました。
曲の方が劇タイトなハードコア。何回か見たことあるんだけどいつも勢いにやられてしまう。この日はちゃんと聴くぞ!という気持ちで臨む。ボーカルの人のいかついステージアクションとどすの利いた声(ベーシストの方のボーカルもやばい)は(トータルでは)紛れもなくハードコアだが、演奏陣は非常に正確できっちりしている。刻みまくるギターにまず目がいっちゃうけど、よくよく聞いてみるとドラムのバリエーションが非常に多彩である。荒々しく突っ走る時はシンプルに(シンプルといっても絶対簡単ではないはず)ツービート、速度をやや落として8ビートでスラッシーのギターリフと絡みつくように、それからブラストビートでこちらはボーカルの咆哮と相まって暴力が爆発するような迫力。アティテュードはハードコアなんだけど、メタルから大胆に取り入れた表現力をハードコアの威力を殺すことなく融合させていてスゲえなと思った。Fall Silentも刻みまくるハードコアだから、この日とてもぴったりだったと思う。かっこよかった。こちらのバンドもですね、音源が欲しいんですね。

Tragic Film
下調べもしなかったので完全に初めて見て聴くバンド。この日はこのバンドのディスコグラフィーのリリースパーティでもあるわけだから主役。バンドの佇まいからするとエモーショナルなハードコアかな…と勝手に思っていたら全然違った。完全にパワーバイオレンスだった。それも非常にロウかつハードコアな感じ。1曲めが始まった瞬間くらいにボーカルの方がフロアに矢のように飛び出していき、しばらくすると真っ白いタンクトップがなぜかビリビリに、そんな感じのバンド。メタリック感はほぼゼロで次々落ちる雷のように乱打されるドラムに、ざらついたギターがコード感のあるハードコアなリフを重ねていく。伝統的なパワーバイオレンスかと思いきや、リフに結構メロディックなコード進行があってそこが面白い。結構日本的なハードコア感な匂いがする。何と言ってもボーカルの人のキャラクターがすごくて叫びっぱなしなのだが、エモーショナルすぎてマイクと離れているのかよく聞こえなかったり、バテて?次の曲になかなか行けなかったり、感情がこもりすぎたMCに野次を入れられたりと。楽曲は激しいのになんとなくあったかい雰囲気になっていた。

Fall Silent
トリはお待ちかねFall Silent。期待感こもるフロアはぎゅうぎゅう。メンバーは全員ガタイがよく刺青もびっちり。確か復活に伴いベースの人が変わっているらしい。ベースの人は一人だけ他のメンバーより若そうだったけど、転換の時からマイクに叫んだりして陽気な人っぽかった。だいたい立ち居振る舞いで人となりがちょっとはわかるものだけど、Fall Silentに関してはみんな良さそうな人でいい感じにリラックスしている感じ。ステッカーをお客さんに配ったりもしてました。
始まってみると一気にフロアがうわっと盛り上がって前に押し寄せる。この瞬間というのがライブの醍醐味の一つかも、期待感と実際がぶつかり合って何かが脳内に溢れてくる。刻みまくるギターは紛れもなくFall Silent。Fall Silentは色々な魅力に溢れたバンドだけど、唯一無二の才だと思うのはボーカルの声質。やんちゃっぽい高い声なのだけど、この独特な声がブルータルな演奏陣と対比をなしていて曲を独創的なものにしていると思う。歳をとるとあの艶やかな声がいくらか失われているのでは…とちょっと不安に思ったけど、果たして艶のある声は健在。ライブなのでもっと暴れていて、振り絞るように絶叫する声の、喉に負担がかかりすぎるように伸びるところがかっこよすぎた。個人的に大好きな2ndからの「One More Question」もやってくれてテンションマックス。後半のパート脳と体を揺さぶってくるモッシュパートだと思う。曲にやられている、そんな感じがライブでは物理的な感じでさらによかった。刻み込むリフはメタル的というよりも、ドラムの延長線上にあって曲(時間)をハードコア的に区切るリズミカルなものだということを実感。つまり暴れるためにはうってつけ。
フロアは地獄の様相で狭いフロアを人がごちゃごちゃごちゃごちゃ、拳と足が振り上げられ、狭い天井をこするように人が頭上を行き来する。恐ろしいのだが、みんな笑顔だった。これは本当すごい。マジでみんな笑顔。どんだけ愛されているバンドなのだろう。「Looking In」はみんなでシンガロング。他の曲もそう。最後にやった「The Ruler」という曲もみんなすごく歌っていたのだけど、これEPに入っている曲でみんなよく聞いているな〜と思った。ちなみにSuper Structureのメンバーの方々もフロアにいて、特にギタリストの方は本当すごい良い笑顔でした。
モッシュピットがすごいからすごいライブ、じゃなくて、ステージングが良いからフロアが盛り上がるんだよな、と。そういうライブだった。終演後も「やばい」とか「最高」とか聞こえてきて本当に良いライブだった。メンバーの人柄なのか音楽的にもフロア的にもブルータルだったが、陽性のエネルギーに満ちたライブだったと思う。

音楽的にもすごかったけど、ライブという意味で非常に良い時間と空間を堪能できた。あの狭い空間にエネルギーがバリバリ帯電しているような感じ。
Fall Silentはさすがのかっこよさ。何と言っても飄々とすらしているような佇まいがかっこよかった。日本に来てくれてありがとうという気持ち。

2017年5月22日月曜日

Rolling Stoned#8 VVORLD『Highway Shits』Release Party@新代田Fever

日本は東京吉祥寺のハードコアバンドVVORLDが2017年に2ndアルバム「Highway Shits」をリリース。リリースパーティをやるよ、というので行って来た。というのもVVORLD自体がかっこいいのに加えて出演陣がとても豪華なもので。全部で15のバンドが出演。ほとんどがハードコアという大きなジャンルで括られるバンドばかりだけど、中には大阪のスラッジBirushanahや同じく大阪のストーナー・ロックバンドSleepcityなどハードコア以外のバンドも名を連ねていてとても面白いメンツなのだ。
なるべく全部のバンドを見たい派なので私は開演前に行くことにした。会場はFeverでこの日は14時会場だったのだけど、ちょうど一番雨がひどかった時間帯かも。傘をさすけどなぜかいつもびしょ濡れになる男である私はこの日もびしょ濡れで会場に到着。フロアに入るとフロアの左にセットが設けられている。つまりこの日はステージとフロアの2ステージ制で交互にバンドが演奏する。こうすると転換の時間を節約してたくさんのバンドを消化できるというわけ。Feverは広くて綺麗なので物販もバンドぶん対応できていてよかった。
以下感想なんですけどバンドの出演順番間違っている気がしています…。記憶力がなさすぎて違ったら申し訳ないです。

①Self Deconstruction@ステージ
見るのは2回目かな?美少女ボーカル、美人ゴスロリギタリスト、細マッチョドラムとキャッチーかつ情報量が多い見た目と裏腹にステージングと音楽はハード。曲がかなり独特で耳と頭がおかしいので間違っているかもしれないが、あまり反復の要素がない。普通のバンドは激烈でも反復性があるから円を描いて走るんだけどこのバンドの場合は直線で走り抜ける。だから常に今がすごいスピードで過ぎ去って行く。通過している新幹線を呆然と眺めているみたい。グラインドコア/パワーバイオレンスと名乗っているだけあって、たまにくる低速パートがかっこよかった。

②Super Structure@フロア
こちらも2回目。元ネタのFall Silentも聞いたんだけどあまり共通項が見出せない。パワーバイオレンスバンドなのだが、ステージングが凶悪。ただ激しいというか怖い。「パワー”バイオレンス”なんだよ、ふざけんな」という覚悟が滲み出る凶暴性。目出し帽かぶったボーカルもさることながら他のメンバーの動きも切れている。ギター振り回して当たったら危ない、とハラハラするんだけどびっくりするくらいかっこいい。ただただ低速パートのみにフォーカスするようなバンドではなくきっちり速いパートもかっこいいという清く正しい(つまり濁っていて悪い)パワーバイオレンスバンド。

③Enslave@ステージ
見るのは初めて。男女混成ツインボーカルのハードコア/クラストコアバンド。ギタリストも二人なのでメンバーが多い。激しいハードコアを基調に叙情性を取り入れていて、またメッセージ性も強い。日本のハードコアバンドの系譜を感じさせる。男性ボーカルも強いのだが、どちらかというと女性ボーカルの方が鋭く、逆に男性ボーカルは激しい中にも丸みがあってそれが良い対比になっているなと思う。演奏は非常にかっちりしてまっすぐ。見え隠れするメロディラインが高揚感あってかっこよかった。

④Sleepcity@フロア
大阪のストーナーバンド。見るのも聞くのも初めてでドラマーはBirsuhanahでもドラムを担当している。立ち居振る舞いからハードコアとは一線を画す感じでワクワクする。音を出して見ると果たしてかっこいいオルタナティブ・ロックだった。もっと煙たくて怪しげなものかと思っていたのだけど、かなりかっちりしたロック。ファズなのかはわからないけどグシャとした中にもざらついた温かみのある中域が分厚いギターに歌が乗る。歌も歌うと叫ぶの中間で全体的にはかなりエネルギッシュで激しいのだが、どこか気だるい(音楽がとい意味ではないですよ)雰囲気があって、あの頃のオルタナティブを感じさせる。初めて聞いたのになんか胸を締め付けるようなノスタルジーを感じてしまう。モダンなアップデートでオリジナリティのある、単なるリバイバルにならないオルタナティブをプレイするという意味ではSunday Bloody Sundayに通じるものがあると思う。音源が欲しかったけどなかったみたい。

⑤Band of Accuse@ステージ
見るのも聞くのも初めて。福島の4人組のバンドでメッセージ性の強い音楽をやっているとのこと。音楽的にはハードコア/クラストコアという感じ。スラッシーナリフで組み立てられたシンプルながらも力強いコーラスがよく映える男らしい音楽をプレイ。飾らないシンプルなハードコアなんだけど演奏は非常にカッチしていてよかった。やはりソロも入れてくるギターがハードな曲にキャッチーさを付与していると思う。個人的にはドラマーの人がすごくてちょっと独自の癖があるのかわからないけど妙に耳に残る。ヅタヅタ刻むD-ビートも力強くかっこよかった。

⑥System Fucker@フロア
続いてはSystem Fuckerなんだけど個人的にはこのバンドが結構楽しみで。というのもいでたちがすごい。正しいクラストコア(パンク)という感じでボーカルの人は細くそして高いモヒカン頭である。他の人もなんともクラストないでたち。パンクというと一般的なイメージはこうなのかな?この日は異彩を放っていた。メタリックに武装したあくまでもクラストコアという音楽性で、D-ビートに生き急ぐような前のめりの演奏が乗っかる。思っていた通り華のあるボーカリストで、Dis系の男臭いがなり声とはちょっと違うんだけど、無愛想ながなりがかっこいい。この人がフロアを動き回る。上背があり、蹴り上げる踵の高さ!イメージとしてはサメみたい。突進したり、突き飛ばしたりと暴力的なんだけど陽性のエネルギーがあって、(怖いのは怖いけど)なんだか楽しい。フロアにいる人もきっとそう思っていたはず。とても盛り上がっていた。

⑦Fight it Out@ステージ
このバンドも見るのは2回目。今年リリースされた新作がとても良かったのでライブをまた見たかった。ストップ&ゴーを繰り返すショートな楽曲を繰り出すパワーバイオレンスバンドだが、HIp-Hopアーティストをアルバムのゲストに迎えたりと生々しいストリート感を演出した独特の楽曲をプレイする。この日おそらく一番フロアが湧いたバンドだったのではなかろうか。ボーカルの方がフロアに降りてきてからは特に危ないダンスフロアになっていた。ライブで聴く楽曲は改めて肉体的で速度を落とすタイミングが絶妙でみんなが暴れるわけだと思う。鬱屈しているというよりは、断然鬱憤を晴らすかのような爽快感がある。

⑧LAST@フロア
続いては岡山県から車で8時間かけてやってきたLAST。1時間ないステージのために16時間とさらに色々な準備の時間使うのだから本当にすごい。本当ならこっちから行かないと見れないんだもの。ありがたい。専任ボーカルにギター二人の5人組のバンド。日本の伝統を感じさせるメタリックなハードコアをやっている。コーラスワークを大胆に取り入れているという意味ではBand of Accuseに通じるところもあるのだけど、こちらのバンドはもっと曲を凝ったものにしている。装飾性はないのだけど、速度の変更や展開などがあって面白い。最終的にあくまでも肉体的なハードコアであり続けているところにかっこよさがある。ボーカルの人は暑くて前のめりなMCもそうだし、フロアを所狭しと動き回る。ジャンプ力がすごかった。ハードコアの持っている激しくもポジティブな部分が前面に出ていて強いなと思った。(ポジティブでいる方が難しいと思っているので。)

⑨Birushanah@ステージ
続いては大阪の和製トライバル・サイケデリック・スラッジ。Birushanahは大好きなのでこのイベントに名を連ねているのにびっくりしつつも嬉しい。音的には明らかにこの日一番異質でメタルの、それも相当独特なメタルを鳴らしている。この日も特に迎合することなく最新作を中心に毘盧遮那世界を展開していた。メタルパーカッションはさらに楽器が増えて要塞のようになっていた。このバンドは打楽器が二人にギター一人という一見するとアンバランスさなのだけど、ギターが鉄塊のような低音を担当する反面、様々な工業的な廃材で組み上げられたメタルパーカッションがキンキン響く高音でメロディというかその名残のようなフレーズを担当。おまけに最近はボーカルの歌の度合いが強いので見た目よりとっても聴きやすい。やはり最後にプレイした「鏡」にBirushanahの魅力が詰まっていると思う。現実に立脚するのがハードコアならメタルは異世界に連れて行く。この日も短い中でもトリップ感満載だった。
そしてすごいどうでもいいけどボーカル/ギターのIsoさんはとてもお痩せになったのではと思います。

⑩ELMO@フロア
続いて東京のハードコアバンドELMO。もうずっと前になぜか1枚だけCD「Still Remains...」を買って持っている。この日多分一番尖っていたのがこのバンド。低音に特化した極悪なハードコアを鳴らしている。テンポチェンジも多用しているが、基本的には速度は遅め。ボーカルの方はシュッとした人で高い声で絞り出すように叫ぶのが基本だが、たまに這いずり回るような低音も出してくる。この人はひょっとしたらラッパーもやっているのかも。ハードコアでは客に暴れろと煽るバンドは多いのでは。このバンドも煽るのだが、それが変わっていて普通は演者と客の間に共通の連帯感がある場合が多いのだけどこのバンドは観客すら敵くらいのヘイトをぶちまけてくる。非常にヒリついた空気で緊張感が半端ない。ほんのちょこっと見ただけなのでなんとも言えないのだが、そもそもライブってなんでしたっけ?という問題提起にも思えた。

⑪Saigan Terror@ステージ
続いては東京の高円寺のハードコア。見るのは2回目。年季を感じさせるいぶし銀のメタリックなオールドスクール・ハードコアをやっているのだが、とにかく怖い。ボーカルの方の見た目もあるだろうけど音の方も超いかつい。そういった意味では日本のハードコアらしい叙情性というのはそこまでなくて、代わりに攻撃性と速さと重さがある感じ。コーラスワークもシンプルで恐ろしげ。スラッシーなギターはかなり動きの激しいギターソロにも反映されているが、やはり刻みまくるリフがかっこいい。良い感じに音が抜けているのでメタルの重苦しさがほとんどない。どちらかというとロックンロール的だ。このバンドはそのままだと相当怖いのだけど、ギタリストの方のMCでバランスが取れている。よくもあんなに言葉がポンポン飛び出してきて、どれもが面白いものだな〜と思う。

⑫Shut Your Mouth@フロア
続いては昨年1stアルバムをリリースしたShut Your Mouth。こちらも見るのは2回目。こちらも現行型のハードコアを鳴らすバンドで、一気に速度を落とすパートを取り入れた楽曲はハードコア的な踊れるものなのだろうが、それだけではない深みのある独自のセンスがあると思う。叙情的というのは何も装飾的であることでも、わかりやすいメロディがあるわけでもない。このバンドはニュースクールっぽいなと思う。ニュースクールというと激しいハードコアにプラスオンで情報を追加するイメージなんだけど、そこを通過してきているイメージ。2本のギターがリフに加えて奥行きのある要素を曲に持ち込んでいるし、ちょっとFall Silentっぽくもある若さのあるボーカルはとてもエモーショナル。ラストの「Grey World」はかっこよかった!この日一番良かったかも。

⑬SLIGHT SLAPPERS@ステージ
続いてTokyo PowerViolenceスラスラ。今日ボーカリストの方はメガネではなくきらきらひかる眼帯をつけていた。(あとで外してお客さんに優しく(?)かけてあげていた。)前回見たときと同じく妙にポップな前半から後半一気に加速する曲でスタート。このバンドは今風の低速パートをほとんどやらない。音的にもギターは中域を分厚くしたハードコア〜パンクを感じさせるあえて肉抜きした生々しいもの。ショートカットな超特急で突き抜ける。そういった意味ではある種乗りやすいわけではないのだけど、そこをコーラスワークだったり、フリーキーなポップセンスだったりで速いだけでなく曲にフックをつけることで魅力的でステージで映えるもにしている。またボーカリストの人の動きやその他のメンバーのステージング(みんな楽しそう)で明るくて、楽しいものにしている。

⑭Friendship@フロア
フロアのトリはこの夏1stアルバムのリリースがアナウンスされているFriendship。期待値の高さと自分たちの大量の機材を使うことからとりなのだと思う。縦横に2✖️2に積まれたOrangeアンプからとんでもない轟音を鳴らすバンド。(豊富な物販でもSunn O)))のモチーフを拝借したりしている。)超高速と超低速を行き来する楽曲は現行のパワーバイオレンスに括られるバンドだと思う。ひたすら低音に特化した様はELMOに似ているが、あちらはざらついた低音だったのに対してこちらはもっと密度の濃い壁のような低音。また積極的に煽るELMOに対して、こちらはMCなしの楽曲没入型。(要するにもっと無愛想とも言える。)ひたすらブルータルな楽曲を繰り出していく。あえて楽曲に隙間を開けない、また開けても全開でフィードバックノイズを鳴らすやり方で客に拍手や歓声をあげる暇すら与えない無慈悲なストイックさ。ある意味客を置いてけぼりにするようなイメージで、客の方もただ圧倒されて首だけ降っているみたいな状況になっていた。個人的にはやっぱりこのバンドはドラムがすごい。シンプルなセットででかいドラムのパートをでかい音で”一定”のペースで鳴らし続けるのは結構異常事態ではと思う。そういったところも含めて潜行というか窒息感があってすごくかっこいい。

⑮VVORLD@ステージ
イベントのラストはもちろんVVORLD。ライブを見るのは初めて。今年新作された「Highway Shits」のリリースパーティな訳だけどその新作のかっこいいこと。期待度も非常に高かった。改めて生で楽曲を聴くとだいぶ独自の音を鳴らしている。根っこがハードコアだとしても、出ている音はメタルを通過したブルータルなもの。強くデス声めいたボーカルもそうだが、動きの激しいギターもそう。煙たく充満するフィードバックノイズもそうだし、高い音も使ったりしていて相当不穏である。ソリッドというよりはざらついた質感でハードコアのフォーマットでかなり先鋭的で独特な音を鳴らしている。メッセージ性もいわゆるストレートなハードコアのそれとは微妙に異なり毒気のある個性がある。ラストを飾る「Living Hemp」は長丁場のイベントの大団円ということで感動的ですらあった。

全15バンドというとでちょっとしたお祭り状態。ハードコアを基本にしながらも幅広いアーティストを全国津々浦々から一堂に集めるというのは贅沢で非常に楽しかった。こんな機会はそうそうない。まだ知らないかっこいい音楽に出会えたという意味でも非常に良い場所だった。
VVORLDのパーカーとFRIENSHIPのT-シャツを購入。もっと色々欲しかったな〜といつも帰宅してから思う不思議。ライブハウスの外に出てたら豪雨はとっくにやんでいた。雨上がりの濡れた道を気持ちよく帰った。

2016年5月5日木曜日

20Years Chaos@新大久保アースダム

日本のカオティックグラインドSwarrrmが活動20周年ライブを催すということで行って参りました。Swarrmは目下の最新作「FLOWER」がグラインドコアにメランコリックなメロディを持ち込んだヤバい出来になっており、これはという訳で行って来たのです。実は前にもライブのチケット買ったのに仕事で行けなかったこともあり、なんとなくリベンジ感もあったという。
新大久保は不思議な町でオシャレな若い娘さんが沢山いる。ほっぺたに何かの文字列をはっ付けている子がチラホラいて、あれは推してる韓国のグループのなんかなんですかね?もうちょっと人が少なければ良い町だと思う。(廃墟になれという意味ではない。)

珍しく一番手に間に合う。アースダムは久しぶりに来たんですけど相変わらず独特のスメルがしますね。きっとアレがアンダーグラウンド臭ってやつなんだね。「Welcome to underground」と耳元でささやくアレでしょうか。タバコOKのライブハウスなんで最終的には転換時は喫煙室の様相を呈していてヤバかったです。

Self Deconstruction
「自らの脱構築」という名前の3人組のグラインドバンド。ボーカルが女性が特徴的でしかも魅力的。私はこういう時も生まれながらに身に付いたモテなさを発揮し、「よしボーカルの女性は見ないようにするんだ、音に集中するぞ、俺は音でバンドを判断する男なんだ」と自分に言い聞かせて、音に集中することでなんとかコトを収めた。とにかくギターが面白いバンドで、リフが完全にデスメタル的。もう一人のボーカルかってくらい饒舌に歌いまくる。変幻自在のその様は極めて流動的であとからあとから複雑かつカッコいいフレーズがボコボコわき出してくる。なんならちょっとオーストラリアの巨大な暗黒Portalみたいなぎゅわぎょわしたリフもあって良かった。曲の切れ目が全然分からない。つまりグラインドコアってことなんだ。最高だ。終演後もボーカルの女性を見かけたが天性のセンスであまり見ないようにした。見なければどうということはない。

Super Structure
Coffinsのベースの人がやっている別バンド。こちらは完全にハードコアなバンドでフロアも直情的にこの日一番盛り上がっていたのではなかろうか。ほんとチャッカマン的なあれであっという間に燃え上がったからね。ドラムの人がもうすごく煽ってくるもんね。怖いぜ。演奏陣もすごいテンションでやるもんだからこっちも盛り上がるんだな…と思った。とにかく高揚感を煽って来て前に行かないと〜と思わせるすごさ。といっても分かりやすいモッシュパートがある流行のものってより、もっとざらついて荒々しいハードコアだと思う。これはと思ってデモを買おうと思ったら売り切れていた。残念。

Sekien
この間もKhmerの来日公演でみた姫路の赤い煙。2回目見て思ったけどやっぱり不良っぽい。ヤンキーというのではなく不良。悪そう怖そうというのが音と見た目からそのまま出ている感じ。だから基本的に無骨で無愛想(メンバーの人個人がってわけでない。特にギターの方は色んな人と話しているのを御見かけして優しそうでした)。曲もはっきり言ってとにかくわかりやすくキャッチーって訳ではないんだけど、その見かけと中身でもって人を惹き付ける魅力がある。背中で魅せるタイプと言うか。今回は音源を聴いていたので曲もすっと入ってくる。個人的にはアルバムの中で異彩を放っているインストの「開花」をやってくれて胸が熱くなったよね。無骨なsekienの表面剥いだ裏側のその激情が一番ストレートに表現されていると思う。勿論その他の曲でも豪腕でフロアを盛り上げていくその様にはかっけえなあとため息が出てしまう。
思ったんだがこのバンドまでMCらしいMCはなくてハードコアすぎるな。

Twolow
主催の3LAの水谷さんがギターボーカルの”オルタナティブ”メタルバンド。見るのは初めてだったので超楽しみだった。HELMETを聴いたばかりだからか思ったのは、なんというかアメリカっぽい。Sekienとは違った無骨さ。こちらは前身これしなやかな筋肉とリズムの塊、という感じでひたすらリズミカルに迫ってくる。反復的でぶっといリフがひたすらカッコいい。上背のあるフロントマンも良く映える。音源に比べると圧倒的にドラムの迫力が増していて、手数が多い訳ではないけど一撃一撃が非常に重たく迫力がある。このドラムあってのリズミカルなリフなのかもしれない。いわゆるHELMETなんかに比べるとボーカルパートが少ないし(リフで魅せるパートが多い)、キャッチーな歌メロもない訳だからやはり中々挑戦的なバンドだと思う。沁みてくる何かがある。とても良かった。Swarrrmへの祝辞を水谷さんが述べる。

isolate
続いて東京ブラッケンドハードコアisolate。厳ついボーカルの人がSwarrmへの祝辞を非常に丁寧な物腰でしゃべるな〜と思っていたら、一気にぶち切れたボーカルからの曲になだれ込み私驚愕。ヤバい感がヤバい。だいたい普段平静な人が切れだす方がヤバいと相場が決まっている。フロアから身を乗り出してわめきまくる。まるで手話のように声だけでなくこちらに語りかけてくる。こうなると俄然一体このバンドが何を伝えたいのか興味が出て来てしまう。曲は激情ハードコアをさらに押し進めたものなのだが、トレモロリフも美麗なポスト感というよりはイーヴィルなブラックメタルのそれである。どの曲も速く、そして展開が複雑。なんというか個人的には絶望的な負の感情を感じ取り鳥肌。フロアも盛り上がる。
終演後物販でCDを買おうと思ったらアルバムは既に売り切れ。EPを購入。

Swarrrm
やはり今日の主役ということでフロアの密度が一番濃かった。
この日出演したバンドでは唯一始める時にSEを使った。盛り上がる。個人的にはこの時のステージとフロアの緊張感がマックスすぎて本当ワクワクして楽しかった。
曲が始まってしまえばカオス&グラインドの奔流だった。とくにボーカルの司さん(フロアでお見かけしたんだがおっかなすぎた…)は神がかっており、あの「ヴォオオオオオオオイヤアアアアア」という低音から高音に一気にオクターブあげていくシャウトはCDそのままどころか威力マシマシで殺気に満ち満ちていた。膝が崩れるかと思った。
おっそろしいボーカルをグイグイ押す、ギターの美しいこと。ポスト感とは明らかに一線を画す。ただグラインドしながらも最高速ではなく、べつのもっと陰鬱な美しさを志向するこのバンドの一角をになうのがこの饒舌なギターだと思う。この日もその魅力を堪能できた。個人的に大好きな「幸あれ」この曲は速度はどちらかというと速くないのだが、Swarrrmのもつメランコリーが結実した様な曲で、私の体が透明になり、物理的な力持つ音の塊が身体の水分を揺らしている様な感覚に陥り、ちょっと感動で涙ぐんだ。
アンコールが起こるくらいかっこよく、そして短かった。でもSwarrrm見れて良かった。圧倒的だった。もちろんこの日一番。

Stubborn Father
大阪のバンド。「頑固親父」というバンド名が気になっていたバンド。(ユーモアのあるハードコアバンドかなと思ってた。)
まずライブハウスの証明は全部切って自前の青白く光量の多い証明を使っていた。これをステージの真ん中あたり(だと思う)におく。するとバンドメンバーは陰影濃く浮かび上がり、ライトの前にいるボーカルのみ逆光で影法師のようになる。うーん。これは面白い。たしかweeprayもにた様なことやってなかったかな。ボーカルの人は長身で良く動くから見ていてすごい面白かった。
音の方はこちらも激情ハードコアを基調にした激烈なもので、ただし前のisolateと違ってこちらは澱みを速度に昇華せず、そのまま荒れるに任せたスラッジーなイメージ。ギターのアルペジオというか、妙に壊れた感じのつま弾かれるそのコード感が曲の速度にばっちりあってどうかしている感じの美しさがある。相当人気のあるバンドらしく、フロアもとても盛り上がっていた。1曲も結構長いんではないかな。ボーカルの声質は同じ大阪のBirushanahのIsoさんにちょっと似ていてとても良かった。音源、かえば良かったな〜。

念願のSwarrrmはやっぱりすごかった。どのバンドも激烈だったがSwarrrmは一体どこを見ているんだろうな。ちょっとやはり別格的な感じがしました。20年の重みなのかも。20周年おめでとうございます。
GWということもあってSwarrrmもそうだけど、大阪だったり姫路だったり全国色んなところからバンドが集ってきてすごいイベントでした。主催の水谷さん、お疲れさまでした。とても楽しかった。